5スレ>>695-3


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No.278
種族名:きゃもめ
タイプ:みず ひこう
性格:ひとみしり
ニックネーム:にゃあこ


~ 第三話 ~

次の日、俺は朝早くにくららと一緒に家を出た。
母から餞別だとランニングシューズを貰ったんだけど、出来れば旅費のカンパもして欲しかった。
笑顔で断られたけどな!
「マスター。」
「ん?」
「これからよろしくお願いします。」
「ああ、俺からもよろしく。」
とりあえず、昨日ハルカちゃんとバトルした103番道路にやってきた。
「マスター?ここで何をするのですか?」
「昨日、くららが戦ってる時にきゃもめを見つけたんだ。それをゲットしておきたいなってね。」
きゃもめ、ぺりっぱーは水もえもんの中でも貴重なそらを飛べるもえもんだ。
戦力の増強の意味でもぜひぜひゲットしておきたい。
「私が一生懸命戦ってたのにマスターは余所見ですか。」
うん、くららの機嫌が悪くなっている。
このミニマムボディのどこからこんな威圧感が出せるのか。
「わ、悪かったよ。これからはくららが戦ってる時はくららだけを見るよ。」
「う、その、分かってくれればいいんです。」
さっきのくららの殺気を感じ取ってか辺りにもえもんの気配はない。
「まあ、のんびり探そうか。」
「…了解です。」
自分の失態に気がついてかくららは少し気落ちしているようだった。

「マスター。」
「ん?どうした?」
「いました。」
くららが目線で示した先にきゃもめはいた。
何故か空を飛んでおらず、木陰から顔を半分だけ出してこちらを見ている。
目が合いそうになると木の陰に隠れ、離すとまたそそーっと出てくる。
以下繰り返し。
「マスター、いつまで遊んでいるんですか?」
「すいません、真面目にやります。」
俺は木陰に隠れたきゃもめの方へ向くと少し離れた位置から声を掛けることにした。
「あーそこの君、なんか用かな?」
後でくららが問答無用でボールを投げつければいいじゃないですかとぼやいているがとりあえず保留で。
「…おまえ、とれーにゃーか?」
「ああ、そうだよ。まだ駆け出しだけどね。」
「…色んにゃとこにいくのかにゃ?」
「ああ、そのつもりだ。」
俺の答えに何か感じたのかきゃもめは虚空に目を向けている。
十秒くらいだろうか、きゃもめは今度は俺を上から下まで見つめなおし、足元に待機しているくららを見る。
「…にゃあが付いていってもいじめにゃいか?」
「いじめないよ。」
きゃもめは視線を俺からくららに移す。
くららは無言で頷く。
「あのなんか丸いの出せにゃ。」
もえもんボールを取り出す。
「…どうすればいいにゃ?」
「真ん中の出っ張ってるとこを押してくれればいいよ。」
「…ん。」
ポチリと音がなってきゃもめがボールの中に消える。
しばしカタカタと揺れていたボールがおとなしくなると、もえもん図鑑に情報が登録されていた。
一体どういう仕組みになっているんだろうか?
分布図を確認してみるといたる所にマークが並んでいる。
大半が海なんかの水辺であるところが変わっているところだろう。
いつまでもボールに入れたままも可愛そうだと外に出すと、きゃもめは自分の体のあっちこっちを見て触って確認する。
「あーにゃんだか変にゃ気分だにゃ。にゃれにゃい場所にゃにょに居心地いいって。」
多分ボールの中のことなんだろう。
「んー、あー、そにょ、よろしくにゃ。」
「ああ、よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「じゃあ、きゃもめ、君にニックネームをつけようと思うんだけど。」
「にっくにぇーむ?」
「要は君の名前のこと。」
「あーにゃるほどにゃー。」
図鑑の説明文を見て思いついたんだけどなかなかいい名前だと思うんだ。
「にゃあこ、ってどうだ?」
俺の示した名前の前にきゃもめは踊りださんばかり喜んで…いなかった。
「にゃあ、こいつのにぇーみんぐせんすってこんにゃもんにゃのか?」
「これは既に才能がないとかのレベルではないから、諦めた方がいい。」
「しかたにゃいにゃー。」
えぇっと君たち?
そういう会話は出来れば俺がいないところでしてほしい。
「んじゃ、今からにゃあのにゃまえはにゃあこだにゃ。よろしくにゃ。」
性格、ひとみしり。
でも、ひとみしりって頼る相手を見つけるとその相手に対しては饒舌になるもので。
どうやら、さっきまでの人見知り状態は仲間になったことで問題なしになったらしい。
この辺は人間ももえもんも対した違いはないみたいだ。
「そういや、聞いてにゃかったにゃ。おまえにゃんてにゃまえ?」
「翠っていう名前だ。こっちはくらら。」
「そうか~んじゃすいって呼ぶにゃ。後くららもよろしくにゃ。」

トウカシティまでの道のりは割合楽なものだった。
目が合ったなどというチンピラまがいの理由でもえもんバトルを迫ってくるトレーナーやらもいるにはいたが、くららとにゃあこの前には敵ではなかった。
「二人とも結構強かったんだな。」
「う~ん、くららはともかくにゃあはあんまり戦ったことにゃかったんだけどにゃ~。にゃんかすいの言う通りにしてたら勝ってる感じだにゃ~。」
「っとトウカシティに到着っと。」
「ここまで来たことにゃかったけど、おっきいとこだにゃあ。」
「ミシロに比べると街という感じですね。」
「まあ、もえもんジムもあるところだしな。」
で、そのジムのリーダーが親父というわけだ。
「じゃあ、そのじむっていうところにいくのかにゃ?」
「いや、先にもえもんセンターに行こう。疲れたし少し休憩しよう。」
もえもんセンターの中はカントーもホウエンも対した違いは無い様に見える。
俺はボールに戻った二人をジョウイさんに引き渡して、調べ物をお願いした。
調べる内容はもちろんあわゆきの事。
見つかったら連絡があると分かっているけど、確かめずにはいられない。
結果は予想通り、分かっていたことだからショックは少なかった。
「…マスター。」
「ああ、くらら。もう終わったのか?」
「…はい。」
「初めてだったけど結構気持ちよかったにゃ。」
「そりゃよかった。」
なんとなくくららの様子がおかしい気がする。
「くらら、なんかあったのか?」
「…いえ。」
「そうか?じゃああそこの喫茶店にでも入ろうか。」
もえもんセンターには喫茶店の他にも寝泊りが出来るスペースなんかも完備されている。
もちろん格安で俺みたいな貧乏人にはありがたい限りだ。
「にゃあ、この黒いのは本当にのみものにゃのか?」
にゃあこがコーヒーに興味を示したり、
「…ぱふぇ。」
くららが案外甘党なのが分かったり。
俺はそんなことをしている間にさっきくららに感じていた違和感を忘れてしまっていた。

「さてと、そろそろ親父に挨拶に行くか。」
「にゃあ、すいの親父はそんにゃやつにゃ?」
「う~ん、優しいけど甘くない、厳しいけど固くないって感じかな?」
「よくわからにゃい。」
「まあ、これから実際に会うんだからいいだろ?」
ジムのドアを開けるとすぐ親父の姿があった。
「お、翠じゃないか。よくここまで来れたな。」
「まあ、こいつらがいたからね。」
「…そうか、翠もついにもえもんと旅をするまでになったか。」
そして、俺の傍にあいつがいないことを確認した。
「まあ、あの子なら大丈夫だろう。」
ガチャ。
ジムのドアが開いた。
ジム挑戦者かと思ったけどどうも違うみたいだ。
「おや?君は確かミツル君だったね?どうかしたのかい?」
親父…もしかしてトウカ中の子供の名前覚えてるわけじゃないよな?
「ぼく、もえもんが欲しいんです。今日引越しするんですが、もえもんと一緒なら…寂しくないかなって。」
へー、ジムってトレーニングとかだけじゃなくてこういうことも仕事なんだ。
「ふむ、翠。話は聞いていたね。」
「聞いてたけど?」
「彼のもえもんを捕まえるのを手伝ってあげてきなさい。」
親父の言葉を聞いて、ミツルくんとやらが俺を期待を込めた目で見つめてくる。
うぅ、断れそうもないな。
「さあ、ミツルくん。もえもんともえもんボールだよ。」
「わあ!もえもんだ!!」
ミツルくんの手にあるのはじぐざぐま。
オダマキ博士のお弁当を狙っていた姿は記憶に新しい…というか昨日のことだ。
「翠さん、行きましょう!」
もえもんを持った所為でテンションが上がったのか、俺の手を引いて町の外に歩き出す。

「もえもんってこういう草むらの中にいるんですよね…。」
ミツル君は真剣な顔つきで草むらを探し回っている。
「あ!」
ミツル君の視線の先には赤いリボンをした緑色の髪の女の子。
図鑑で確認すると『らるとす』という種族らしい。
まだゲットしてないからこれ以上の情報は表示されなかった。
「らるとすっていうもえもんらしいよ。この子にすんのか?」
「は、はい。翠さん、見ててください、行け!」
ミツル君が投げたボールからじぐざぐまが現れる。
「体当たりだ!」
親父が渡したもえもんはこの辺の野生のもえもんの強さに合わせた奴だったらしい。
じぐざぐまの体当たりを受けてらるとすが目に見えて弱っている。
「それ!」
かくしてらるとすは無事にミツル君の手持ちとなった。

ジムに戻ると、もう引越す時間だったらしい。
ミツル君はもえもんセンターで回復させたらるとすと一緒にお礼もそこそこに帰っていった。
「で、どうだった?」
「結構珍しいもえもんだったよ。」
「そうじゃない、ジムの、いやもえもんリーグの仕事の一部を覗いた感想だ。」
「正直、あんな相談までジムの仕事とは思わなかったよ。」
「そうだな、もえもんのジムというと強くなるための訓練というイメージが強いしな。」
親父は楽しそうに俺の肩を叩く。
「もえもんは未だ未知と神秘に溢れた生き物だ。それこそ人類という存在が生まれるよりも前からいるというのに。」
カントーにいる頃、古代の化石からもえもんを蘇らせたという新聞の記事を読んだ覚えがある。
「未知の生物を怖がる人もいる。自分たちよりも強い生物だと恐れる人もいる。」
そうだ、こんなにももえもんが溢れている世界でももえもんを嫌う人はいる。
「その人がもえもんというものを知って嫌いになるなら仕方がない。それはその人の考え方なんだから。だけどな、もえもんのことをよく知らないで嫌いになるのは悲しいことだと思う。」
にゃあこが俺の頭に強くしがみ付く。
くららがちらっと俺を見上げる。
「だから、もえもんと人を繋ぐこと。これもジムの、そしてもえもんリーグの大切な仕事なんだ。」
そう言って笑う親父はなんだかすごく格好よかった。

「そう言えばあの石はどうしたんだ?」
「ああ、あれね。今はボックスにしまってあるよ。」
「せっかく用意しておいたのにな。」
実は俺のパソコンのボックスにはみずのいしを含めた五つの石がしまってある。
つきのいし、たいようのいし、ほのおのいし、かみなりのいし、そしてみずのいし。
お小遣いを溜めつつ、親父にお願いして用意してもらったこの石はもちろんあわゆきのために用意した石。
あいつが何になりたいといっても叶えてやれるようにしたつもりだった。
「ずいぶんと若いがいい父親だよ。お前は。」
石を揃えきった時、俺は初めて親父が俺にいーぶいをプレゼントしたのかの理由に気がついた。
多種多様に進化するいーぶいは俺がどんな道を志してもいいようにという親の優しさだったのだと。
恥ずかしくて素直にありがとうなんて言えやしないけど。
「じゃあ、翠。お前が四つのもえもんリーグのバッチを集めたら、その時にバトルをしよう。」
「ああ。その時は絶対に俺が勝つ!」
「ああ、その時を楽しみにしているぞ。」
親父の見送りを断って俺はトウカを後にする。
「かっこいい親父さんだったにゃあ。」
「あんなお父様だったから今のマスターがあるんですね。」
「ああ…まあ、そのなんだ。俺もそう思うんだけど、なんか褒めまくられると恥ずかしいんだが。」
「にゃあ、すいまっかだにゃあ。」
「ジムバッチ、早く四つ集めましょうね。」
「ああ、がんばろうな。」
俺たちは次のジムのある町、カナズミを目指して歩き出した。
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