5スレ>>729

 やあ、こんにちは。オレは萌えもんのマンキーだよ。名前はサルサ。
 あ、いま「うはwwww俺ッ娘キタwwwwwww」と思った人、残念だったね。
 オレはオスなんだ。だから、一人称がオレでも別段おかしくはないんだ。
 しかし、オレは今、残念な気持ちでいっぱいなんだ。
「何故だ……何故なんだ……」
 よく考えてほしい。
 オレ達は萌えもんだ。幼女を思わせる愛くるしい姿をした萌えもんだ。
 ぶっちゃけオスはイラネッ、なんて思う不届きものもいると思う。
「そうなんだよ……オスはいらねぇ……」
 そうだ……オスはオレ一人で十分だろう……なのに……なのに……。
「どうしてこのパーティーには! おにゃのこがいないんだーーー!!!!」
 トキワの森の中心で、オレは愛を叫ぶのだった。



<<<<< おサルのサルサ! 魂のルフラン編 >>>>>



「何を意味不明の絶叫をしている、サルサ」
「ぬ、リディム」
 オレの魂の叫びを聞きつけてやってきたのは、リザードのリディム。
 さっきのオレのシャウトを聞いた諸兄には察しがつくと思うが、当然のごとくオス。
 ちくしょう……図鑑での説明文(要修正パッチ)はカワイイのに……。
「おまえがおにゃのこだったら……ヒトカゲの頃に、いっしょにお風呂入りたかった……」
「何を気色悪いことを言っている」
 げんなりとした顔でそう言うリディム。
「気色悪くて悪かったな! オレは、どうしても! おにゃのこと一緒に旅がしたいんだよぉ!」
「また、それか……いいじゃないか。今のところ不自由はないだろう?」
「そりゃ戦力的な意味でだろう! オレが言ってるのは、もっとこう、精神的な意味なんだよ!」
 実を言うと、パーティーといっても、今のところオレとリディム、あとスピアーのビート(こいつもオス)、この3人しかいない。
 しかしながら、オレたちのトレーナーであるシキ(男です、チキショウ)は少数精鋭主義らしく、やたらめったにメンバーを増やしたりはしない。
 まあ、タイプ的に不利なニビジムをオレたち3人で突破したから、優秀ではあるんだろうけど……。
「なんでシキはおにゃのこを捕まえないのかなあ……ハーレムしたくないのかなあ……」
「シキはその辺のこだわりは薄そうだしな。お前と違って」
 ぬう、確かに相手は萌えもんだ。しかし見た目は人間とそんなに違わないのだぞ? しかも外見としてはカワイコちゃん(死語)ぞろいだというのに。
 なのに、シキはオスばかり捕まえている……これは……つまりっ!
「ホ○かイン○か熟○属性か、さあどれだ!」

「どれでもないよ」

「うお! ビックリした!」
 う、噂をすればなんとやら。件のシキさんがビートと一緒に戻ってきておりました。
「ふふふ、言われてるねえ、シキさん?」
 ニヒルな笑みをかたどる口元を、スピアー種自慢の槍で隠しながら話すビート。
「うーん、只オスメスのこだわりなく捕まえただけなんだけどねえ……」
 シキは笑ってその言葉に答えながら、よっこいしょ、と近くの切株に腰を下ろした。
 と、おもむろにオレに向けて微笑みかける。
「ねえ、サルサ?」
「な、なんだ?」
「これから一週間、オヤツ抜きね」
「!!」
 う……、怒ってやがる……しかし……相変わらず、怒る時ですら満面の笑みなんですな、シキさん。
 正直めっちゃこわいです。
「さてさて、次なるジムはハナダジム。情報によると、次は水の使い手らしい。正直に言うと、今のメンバーでは心伴い。そこで戦力の増強を図ることにした」
 一気に喋っていったん区切るシキ。
「ま、簡単に言うと新しく仲間を増やしました。皆、仲良くするよーに!」
 そういうと、ポケットから一個のモンスターボールを取り出し、手前に投げた。
 ポンッ、と音がなり、ボールが二つに開く。 
 光と共に現れたのは……。
「!!」
「新しい仲間、ピカチュウのチャチャです。さ、皆に挨拶を」
「え、えっと……。チャチャです。特技は電気です。よろしくおねがいします」
 シキに促されて、おずおずと頭を下げる小柄な萌えもんがひとり。
 ふわふわした黄色いワンピース、林檎のようなつややかな頬、ぴょこんと立ったチャーミングなアホ毛。
 その姿は、まるで妖精だ。か、かわいい。これはかわいすぎる!
「よろしくな、俺はリディm「サルサ! オレ、マンキーのサルサ! 超ヨロシク!」
「え、あ、その、よろし「ねえ、チャチャ! 今好きなやつっている!? ぶっちゃけ、オレなんてどう!?」
「え、えーと、そn「あーわかってる! わかってるよ! 流石にいきなり付きあうとか、そんな大胆なことはいわないよ! だからさ、まずは友達から……」
「ヒートアップしてるとこ悪いけどサルサ。チャチャは男の子だよ?」
「そう! 男の子……え?」
 シキの一言で、オレの体温が一気に下がる。……今、なんて?
「チャチャは男の子だよ。ほら」
 そういって萌えもん図鑑のステータス表示画面をオレに見せる。
 そのチャチャの欄に……しっかりと「♂」のマークが刻まれていた。
「そ……そんな……こんなにかわいいのに……こんな……な……あばばばばばばばばばばばばばばばばば」
「わあ! サ、サルサさん! 大丈夫ですか!?」
「お、おい! 泡はいて倒れるってどんだけだよ!?」
「よほどショックだったようだねえ、ふふふ」
 変わらず愛らしいチャチャの声と、慌てた様子のリディムの声。それから人を食った調子のビートの声を聞きながら。
 オレの意識は闇に落ちていった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





「……あーーーーー…………」
 あれから数時間後。
 オレは意識を取り戻したオレだったが、あまりのショックに放心状態のまま、こうして座っている。
 なんでだ。どうして。男だらけのパーティーに入って幾世相。
 やっとかわいいおにゃのこに出会えたと思ったのに。
「男だなんて……これは……何の試練だ……」
「……あの、サルサさん。大丈夫ですか……?」
 不意に横から、鈴の音のような声。
 ……横を向くとチャチャがいた。……心配そうに眉を「へ」の字に曲げて、上目遣いにこちらを見ている。
 ……やっぱかわいい。
「あ、あの……よくわからないけど、ボクのせいで……ごめんなさい!」
 ぷるぷる震えながら、頭を下げるチャチャ。
 ……やっぱかわいい。
「え、えーと……あの……」
「謝らなくていいよ……お前さんは悪くないから……」
 かろうじて回るようになった頭から、その言葉を絞り出す。
 すると、安心したのか、チャチャの顔がぱっと明るくなった。
 かわいい。かわいい。
「よ、よかった! ……あ、あの……」
「……なに?」
 はにかんだ笑顔で、もじもじと、何か言いにくそうな様子を見せるチャチャ。
 かわいい。かわいい。かわいい。
「よかったら……これからも、なかよくしてくださいね! サルサさん!」
 ヒマワリが咲いたかのごとき笑顔で、そう言われた。
 かわいい。かわいい。かわいい。かわいい。かわいい。ぶちん。
 ……なにかが切れた音がした。というか、吹っ切れた。
「そうだよな……。こんなかわいい子が……女の子のはず……ないよな……」
「……え、サ、サルサさん……?」
 ゆらり、とオレは立ちあがる。
 急に様子の変わったオレを見て驚いたのだろう。チャチャは怯えた顔をしていた。
 あーーー、そんな顔もかわいいいなあああああ。
「いや、むしろ、それが、いいんだよな……」
「あ、あのあの、サルサさん? いったい、何を……」
 ぺたり、ぺたりとゆっくりチャチャに近づいていく。
 チャチャは固まったかのように動かない。ただ、オレが両肩に手を置くと、ビクンッ、と体が一跳ねした。
「……チャチャ……」
「は、はい。なんでしょう……」
「お前の言う通り……仲良くしよう……」
「あ、はい……でも、なんだか……サルサさん……怖いです……」
 ふるふると震えながら、吐息混じりの呟きを洩らすチャチャ。
 それが、トドメとなった(オレの理性の)。
「大丈夫……ダイジョウブ……優しくするからあぁぁああああああああああ!!!!!!」
「きゃあああああああああ!!!!!!」



「なにをやっとるかーーーーー!!!!」
「へぶぅ!!??」



 俺の「きりさく」がクリーンヒット。サルサは見事に吹っ飛び、後ろの大木に叩きつけられ再び気を失った。
 まったく、様子を見に来てみれば、まさかあんなトチ狂った事態に出くわすとは……。
「少し頭を冷やさせた方がいいな……。おい、大丈夫か」
「は、はい……ありがとうございます……リディムさん……」
 ふるふる震えながら、答えるチャチャ。
 まあ、新しく入ったばかりのパーティーメンバーにいきなり襲われる(性的な意味で、しかも同性に)事態になればそれも当然か。
「あいつも普段はここまでイカレてはいないんだ。……まあ、今日はいろいろショックなことがあったようだから……」
「……はい」
「まあ、これからもおかしなことがあったら、シキも対策を打つだろうし……それまでは俺がなるべく守るようにするからな」
「! はい……ありがとう……ございます……」
 ふと、ここで俺はチャチャの様子が変わっていることに気づいた。
 頬を赤らめ、夢見心地な、トロンとした瞳で俺を見つめている。
 ……これでは、まるで。
「じゃ、じゃあ、俺はいったん戻るから……」
 なんだか居心地が悪くなり、踵を返してシキの元に向かう。サルサもボールに戻してもらわなければならないし。
「あ、あの……!」
 と、チャチャのどこか必死な問いかけが、俺の足を止めさせた。……なんだか嫌な予感がするが……。
「……なんだ」
「お、お兄様って……呼ばせてもらっていいですか……」
「……出来ればよしてくれ。普通にリディムで……」
「! わかりました! リディム様!」
 ……トチ狂った事態は、まだ続きそうだった。





『あとがき』
なんというか、すみませんでした。
誤解ないように言っておくと、私は別に腐でないのです!
ただ、♂の萌えもん出てくるSSって少ないよなー、と思って書いたらこうなってしまったのです。
ふしぎ!

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最終更新:2009年07月10日 22:53
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