5スレ>>734


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「ん…ふ、むぅ…」
「ん……っ、そういえば…」
「…?」
 腕の中に収まったまま振り向き、椅子になっている足の持ち主の顔をのぞく少女。
「今日は七夕だったよね」
「……ぷは、うん」
 生物の三大欲求の一つを満たしている最中だというのにこの発言である。
 この男……いや、まだ少年というべきか、彼はよく言えば自由奔放、悪く言えば空気が読めない。
 そんな彼には慣れている彼女だが、次の一言はさすがにどうかと思った。
「だから、エリカ嬢に笹をもらおう」


「………、とりあえずいつもの苦情より先に突っ込もう。なんでそうなるんだマスター。
 そしていつもの苦情だ、僕が来るより早く血の吸い合いをやめてくれ」
 そういったのは部屋の入口に立っていたカメックス。その最大の特徴たる甲羅が見当たらない、
 そこを除けばただカメールに見えるだけのただのカメックスだ。そこ、興味ありませんとか言わない。
「おはよう凛悟(リンゴ)。今日も不機嫌だね。少しはディーを見習って、鉄面皮とはいわないからKOOLになりなさい」
「その”クール”のスペルに突っ込もうか。あなたがそうやってボケに走るから突っ込んでるんでしょうが」
 このカメックス(♂)は旅立つ際に少年が貰った萌もんで、当然一番彼との付き合いが長い。
 だから2人の、吸血、という行為には不足する栄養を摂取する手段だということも分かっている。
 それでも、ああ勘違いされそうな雰囲気を出さないでもらいたいと思っているのも事実で、
 実際この場面、描写次第では完全にデッドボールである。塁を進んではいるがセーフではない。
「ところでそのディーはどうしたんだい?」
「眠り姫さま方を守る騎士役をしてるよ」
 しかしこのカメックス、時折こうして冗談めかす。こうした所は主人と似ている…というと怒るが。
「こっちもところでになるけど。ヴァージニアも驚いてるよ。あとそのはだけさせた首元なおしときなさい」
「ああ…すまないね、ジニー。けど、別に冗談で言ってるわけじゃないんだ」
「それこそ冗談じゃない…」
 リンが微にして妙なるうまいことを言った気がする。が、マスターは気にしない。
「…笹、あるのかしら」
 根本的な問題、発覚! 告発者は乙女さん(仮名)!
「……あ」
 少年、テキトーさ加減がばれる!


「あはははは! それ、リンが先に気がつくところなんじゃない?」
「…うるさいな。こいつに突っ込み続けてて感覚が狂ったんだ。レンも僕の立場になってみればいい」
「遠慮しておくよ。ボクはキミに突っ込んでほしいからね」
「…………」
 リン君、赤面。実際に照れて赤面するなんて、日常生活じゃあんまりないんだよね。
 赤面したらしたで真っ赤だし。頬が染まる、なんて表現で済む赤面なんて、見たことないね。
 もし見るとしたらそれは染まっていく途中だね。
「…あ~、えっと…他意はなかったんだけど…?」
 その理由に気づいたレンも赤面していく。
「恋歌(レンカ)・リー。『みんな! 抱きしめて!』」
「ぎ、『銀河の、はちぇまれ!』」
「だからネタに走るなロリコンマスター!」
 そして少年が空気を壊す。別段珍しくない光景だ。このネタもすでにお決まりになりつつある。
 このサンダースの少女が、歌うことが大好きだから。
「…やっぱり、『あたしの歌を聴けええぇぇ!』も欲しくなるな」
「いらないよ!」
「もっと腕にシルバー巻くとかSA☆」
「……”運命の悪戯(ディスティニー・ゲーム)”…。射出!」
 ディー、と少年が言っていたモノ━━リンの甲羅に手足首が生えたソレ━━が波乗りを放つ。
 直後、自身がネタ合戦に応じていたことに気づき、追加攻撃しておいた。
 もちろん、わざわざ目的地から遠ざかる方向には流さない。ちゃんとジムの方向だ。
「スタンドと本体の同時攻撃とは卑怯なあああぁぁぁ~~~」
 こんなときでもネタを忘れない少年に心底呆れたのか、ため息を吐くリン。
「ため息ついたら幸せ逃げちゃうよ?」
「ほんとだよ。君だけが僕の幸せだ」
 さらりと歯の浮くセリフを言ってのけるリン。本人は無自覚であるが、ここら辺やっぱりマスターそっくり。
 まぁ向こうは歯が浮くことを承知で言ってるのだが。
「…皆さん、楽しそうですね」
「あなたも神速が得意技とは思えないくらい、会話の波に乗れないわね。 
 もっと積極的にならないと、空気みたいになっちゃうわよ、言ノ葉(ことのは)」
「いいんです…マスターの役に立てるなら、それで」
 そのどことなく陰を感じさせる、相手が彼らでなければ十分に印象的であっただろう、マッスグマの少女の笑み。
「(『Nice baot』、なんてことにならなきゃいいんだけど…)」
 そう思わせるだけの何かがあるというのに、まるで陰そのものである。
 結論からいえば、その懸念は的外れではなくなるだろう。いい人が見つかれば。


「ちょっと、ここは男子禁制よ!」
「水も滴るウホッ、いい男はだめかい?」
「またやってるよ…あなたがやるには無理があるだろうがっ!」
 どこまでもゴーイング☆マイ上へなマスターに、今日も元気に突っ込むリン。
 マスターのネタに合わせてアッーーなわけではない、リン君は隣の恋歌ちゃん一筋である。
「もう…トレーナーの方は構いませんと何度も言っているでしょう?
 そんなに寝所をともにしたいならそういって頂戴? 今夜は…寝かせませんからね?」
 さらっとエリカ嬢は大変な以下略。
「やあ、今日も相変わらずお美しい…その美貌、不肖このエドワード・ワイリーがものとしたいものです。
 ですがそれもかなわぬ望み、私にあなたは高嶺の花。せめてその代わりに、笹を一振りいただけませんか?
 されば彦星にはこのような想いを抱かせぬよう、願いを込めたいと思います」
「よくまあ即興でここまででてくる…」
 すでに慣れたつもりでいたリンですらなお呆れさせる口上を述べるエドワード、以降の呼称エド。
「…ええ。ですが、あまり大きなものはありませんの…」
「構いませんよ…この厚かましいお願いを聞いていただけるだけで…」
 傍目には結構いい雰囲気に見えるエリカとエド。言ノ葉はつい、傍らのヴァージニアに問う。
「ヴァージニアさん…いいんですか?」
「なにが、かしら?」
「ご主人様たちがいい雰囲気なのが、です」
「いいのよ。2人とも、ああやって遊んで楽しんでるだけだもの」
 なんでもないと返すヴァージニア。それでも言ノ葉は食い下がる。
「本当に…? 本当にそう思うんですか?」
「疑り深いわね。エリカさんはどう考えてもエディに興味ないし、エディに至っては言うまでもない、
 私以外に惚れるなんてありえないわ」
 そう断じるヴァージニアの笑顔は、言ノ葉ですら心揺さぶられる何かがあった。
 そして、わずかな裏病みも。
「(わたしも、いつか…あんな風に誰かと愛し合って…あんな風に、笑って言えるように、なれるのかな…)」
「…こちらをご覧下さい。…どう思いますか?」
「…すごく…大きいです…」
「いい加減にしろ道下エドワード! エリカさんもネタを振らないでください! ていうかなんでしってるんですか!?」
「そんな…”フジン”のたしなみですわ」
「その”フ”は漢字でかくとどうなるんだあああぁぁぁ!! ジムリーダーがこれでいいのか!?」
 相も変らぬご主人様とその切り札との会話。
「(…いまは、このままでいい。これだけでも、十分すぎるんだから)」
 それでも少女は願わずにはいられない。七夕という、この日が与える影響を抜きにしても。


「極めつけろベガアルタイル♪」
「マスター、それ七夕じゃないから」
 歌を口ずさみながら短冊に願いを書くエド、突っ込みながらも笑顔のリン。
 その笑みはどちらかというと照れ笑いにも見える。
「ねぇ、2人はどんなお願い書いたの?」
 レンは他の女の子2人に質問している。
「わ、わたしは…秘密、です」
 隠すのは言ノ葉で、逆に問い返すのがヴァージニア。
「貴方は? 相手にだけ答えさせるのはいいことじゃないわ」
「え、と。…リンには内緒ね?」
「それなら、私もエディには内緒って言わないとね」
 訳:私はそれを言わないつもりですbyエキサイト
「ん、じゃあ……」
「…はい」
 相変わらず漫才してるそれぞれの想い人をうかがい、見えないようにして短冊を交換する。
「「っ!?」」
 レン、及び背丈のなさから逆に肩から覗かているような形で一緒に見ていた言ノ葉が驚く。
「…ふぅん? そんなに意外かしら? レンとそんなに変わらないと思うのだけれど」
「い、いや、そうだけど…なんというか…」
「意外、というか…つい歪んだ眼で見てしまうというか…」
「…私達、そんなに変わって見えるのかしら」
 そう言って、ため息一つ。それすら艶めかしい少女に言われても2人に納得できようはずもない。
「みんな書けたかーい?」
「ええ」
「あ、はい!」
「うん!」
 エドの一声で笹の元へ向かう3人。ヴァージニアとレンは互いの短冊を入れ替えなおすのを忘れなかった。


「…相変わらず、なんでもそれなりにできるよね、マスターは」
「そりゃこんな性格だもの、雑用係くらいできなきゃ集団じゃやっていけないって」
「いや、その性格直そうよその前に」
 そういいながら笹のにあっという間に短冊を付けていく。
 5人分と言わず、センターに泊まっていく人々の分まで。
 笹はそれができるほどには大きかったので、便乗するものが多かったのだ。
 願いを知られるのが恥ずかしい人もいるだろうからと、名前は書かない決まりにしてある。
 ほかでもないエドワード少年の提案である。これを受けて凛悟曰く、
「その気遣いを普段から僕にしてほしいな…」
 と。
「…よし、これで全部だね。さ、みんなで笹見だ。思う存分飲め! 食え!」
 誰からともなく拍手喝采粉砕玉砕大喝采。
 その晩のセンターは少し騒がしかったが、きっとだれもが楽しんだだろう。
 快晴の天の川、織姫と彦星も。




 「『愛してる』って囁いてもらえますように」…全く、飾り付ける僕は見るってことぐらいわかってたろうに…
 これは、今夜にでもかなえてあげますか…。
 こっちは…「マスターが少し自重してくれますように」。ほんと、これはわかってて書いたんだろうな。
 でなきゃ「あの娘と幸せになれますように」とでも書いてたろうしな。
 「『愛してる』って言われますように」か。これは偽らざる本心だろうね。あいつ、なかなか奥手だしな。
 そりゃ言ってほしいとでも願いたくなるだろうさ。
 …「素敵な恋がしたい」、か。これは胸に来るね。僕の願い事、書き直さなきゃ。


 「この幸せな日々が続きますように」…×
「こんな幸せな日々が続きますように」…○



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~あとがき~

 最後に言っておく! 最初からネタに走ってます…oyz
 ちなみに前回書いたフルネタに出てきて今回出てきてないやつらは、
 このタマムシから始まるストーリーの中で出てきます。
 思いっきり続けるつもり全開です、全力全壊です。
 さて、本格的な補足に入りましょう。それってどうなんだとか言わないで、6時間クオリティだから。
 ・三大欲求
  食欲です。血液中を流れる状態の栄養を直接摂取いないと栄養失調になる…
  それがうちのクロバットさんの…あ、ヴァージニアだけ種族名出せてないorz
  こんなところで中途半端さをにじませつつ説明続行、クロバットさんの設定なのです。
  で、あんまりたくさん吸血されたら貧血起こすだろうってことで、
  エドは手っ取り早く補充するために吸血してる。そう言う設定です。それだけじゃないけど。
 ・ディー
  ディスティニーだからディー。見た目は原型のゼニガメの首と手が原型のミュウっぽくなって、
  腕がロックマンっぽくなったイメージ。まあ別に個々人々で勝手にイメージしてもらってもいいです。
  ちなみにエドがこいつをスタンドいうてるけど、消えないし、みんなに見えるし、あのスタンドとは違います。
  エドがノリでそう言ってるだけです。
 ・ロリコンマスター
  ヴァージニアと言ノ葉が若干幼さの残る外見だから。てかほんと説明不足にもほどがある…!
  どうか生暖かい目で睨みつけてください。
  そして感想をください。リンの勢いはなくていいのでガンガン突っ込んでください。
  以上、シリーズ化するなら名前とかあった方がいいのかなとか第1話で考えてる作者でした。
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