5スレ>>737


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 ……夢を、見ている。
 知らない、荒れ果てた場所。
 知らない、傷だらけの少年。
 少年は、あたしを姉と呼ぶ。
 ……知らない。
 あたしに、人間の弟はいない。
 それでも、夢の中のあたしは。
 私を置いて去っていく彼に手を伸ばし、名を呼ぶ……と、いうところで。

『待って、ミ――――』
「ゆかゆか~ゆかりん♪ゆかりゆかゆか♪ゆかゆか~ゆかりん♪ゆかりゆかりんりんりん♪」

 ……人の名前を連呼する歌に邪魔されて目が覚めた。



『萌えっこもんすたぁ Legend of interstice』
『序章 旅立ちは再会と共に』



 まぶたを開くと、そこは見知らぬ洞窟……ではなく、シンジ湖の中央にある孤島の洞窟の中。
 あたしはいつも、嫌な事があったり腹が立ったりしたときはここに篭って、壁に描かれたエムリット様に愚痴ってストレスを解消していた。
 当然、返事が返ってくるわけも無いけれど、なんとなくエムリット様はあたしの愚痴を聞いてくれている気がしていた。
 それで、愚痴り終わって疲れて寝ちゃった訳なんだけど……

「( ^ω^)ゆかゆか~ゆかりん♪ゆかりゆかゆか♪ゆかゆか~ゆかりん♪」

 ……騒音の元は相変わらずご機嫌で人の名前を連呼している。
 とりあえず、この何ともいえない怒りをぶつけてやるとしよう。
 あたしはヤツの小柄な後頭部を、思いっきり鷲掴みにして。

「(;^ω^)……おっ?」
「ブーン、あんたねぇ……何あたしの名前変な歌にして歌ってんのよぉっ!」
「(;゚ω゚)ぶごぉっ!?」

 そのまま前に押し倒し、地面と思い切りキスさせてやった。

 っと、本格的に話を始める前に自己紹介でもしておいたほうがいいわよね。
 あたしの名前はユカリ、年は18歳。フタバタウンのちょっとした名士の家の生まれ。
 でも子供があたし一人のせいか、親がやたら過保護で困るのよねぇ……まぁ、最近の愚痴の理由は専らコレね。
 正直、家出してでも旅に出たいんだけど……まぁしない理由は後でね。
 んで、今あたしの目の前で痙攣してるのはあたしの手持ちの一人で、ビーダルのブーン。
 昔っからふざけたヤツで、いつもあたしの神経を逆なでしては痛い目に遭っている……もしかしてコイツ、マゾ?

「(;^ω^)ぼ、ぼくはマゾじゃないお……」
「地の文を読むんじゃないの。ってかあんた、何ソレ?」

 あたしはブーンが持っているノートパソコンを覗き込む。

「(;^ω^)ちょっ、勝手に見ないでほしいお!」
「えーと、何々……『ゆか○んふぁ○たじあ』?」

 イヤホンジャックが刺さっているおかげで音は聞こえないけれど……画面の中では奇妙な袋を被った全裸の男?が踊っている。
 ……ぶっちゃけ、キモい。

「……で、ナニコレ」
「(;^ω^)あうあう……ゆ、ゆかりんは空間に隙間を作って自由に出入りできるんだお!それで靴下がちょっと臭いけど少女臭なんだお!」
「……とりあえず、氏ね」
「(;゚ω゚)ぶぎゅるぅっ!?」
 
 ブーンの鳩尾に二重の極みを打ち込んで放置。
 瀕死っぽいけど、気にしない。


「まぶしっ……」

 洞窟を出ると、西の空に沈みかけた太陽があたしの目を焼いた。
 と、ほぼ同時に日傘が太陽とあたしの間を遮断する。

「今日はもう終わりかい?」
「……そうね。それにしても、毎度毎度用意が良いわね」
「それが僕の役割だからね」

 そう言って彼……キルリアのタクトは柔らかく微笑んだ。
 彼はあたしの手持ちの中では一番の年長者で、細かいことは皆よくタクトに相談している。
 それに細かいことに良く気がつくし、エスパーの割に体術の心得もあったりしてやたらとハイスペック。
 ……でも、あたしのお目付け役として家から押し付けられてるような状態だから素直に喜べないのよね。
 色々と助かるし感謝もしてるけど。
 それが顔に出ていたのか、タクトは少し悲しげな表情になった。

「ユカリちゃん……君が家のことを鬱陶しく思う気持ちはわかるけど、ご両親の気持ちも少し理解してほしいな」
「……別に、わからない訳じゃないわよ。でも……あたしだって、いつまでも子供じゃないのに」
「それは……ほら、親にとっては子供はいつまでも子供って言うじゃないか」
「それを押し付けられる方の気持ちも考えてよ……全く」

 あたしはため息をついて島の反対側へと歩き出す。
 そんなあたしに、タクトは苦笑しながらも日傘を持ってついてきた。

 島の裏手にある小さな原っぱ。
 そこでは二人の萌えもんが戦っていた。
 片方は拳に電撃を纏い、青いシャツと黒いミニスカートを風にたなびかせながら相手の隙を伺って跳びまわる萌えもん……ルクシオのリン。
 相対するは竹刀を中段に構え、灰色を主とした羽織袴に身を包みじっと動かない萌えもん……ムクバードのテンペスト。
 その光景にあたしは息を呑み……足元にあった小枝を踏み折った瞬間、リンは仕掛けた。
 方向はテンペストの右斜め後方。
 リンは電光石火の勢いで彼に飛び掛る。

「うああああああああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!!!」
「……破ァッ!」

 が、テンペストも然る者。振り返ることもなく彼女の飛び掛ってくる位置に竹刀を振り下ろす。
 それを紙一重でかわし、リンはそのまま拳を伸ばす。
 テンペストはそれを上体を逸らすことでかわし、その体勢のまま彼女の胴を蹴り飛ばした。

「げふっ!?」
「くっ、腕を上げたなリン殿!」
「えへへっ……テンペストと戦うのは楽しい、なぁっ!」

 リンは、今度は正面から全力でぶつかろうとする。
 テンペストはというと、軽く笑うと彼女に向かって振り向き……彼女の視界から一瞬で消え去った。

「あれっ?」
「だが、まだ甘い!」

 スパァン!

「ぎゃん!」

 テンペストは、向かってくるリンと接触する瞬間に前方宙返りをして彼女を飛び越えていた。
 それと同時に、逆さまの上体で竹刀を振りぬいてリンの尻を思い切り打った。
 リンは全力の突進をかわされた上に尻を打たれ、バランスを崩して草むらへと転がった。
 数拍の時間をおいて、リンは草むらから勢い良く立ち上がった。

「あはははははははっ♪ やっぱテンペストは強いねぇ」
「リン殿こそ、日に日に強くなってきている。直に拙者など、圧倒されてしまうであろうよ」
「そうかな?それじゃもう一戦……」
「二人とも、盛り上がってるとこ悪いけどそろそろ帰るわよ」

 あたしはまだまだやる気らしい二人を呼ぶ。
 リンは元気でバトルが大好き。勝ち負け関係なく、戦うということが好きみたい。
 まぁ、それは結構なことなんだけど……時々気分が高まると狂ったように笑い始めるのよねぇ。
 しかもそうなったら戦闘を止めるのも一苦労だし、いつか体壊しそうで怖いわね。
 んでもう片方のテンペストは……今のあたしの手持ちでは最強ね。
 速さも力もあるし、誠実だし従順だし。
 ま、性格は口調と見た目のまんまサムライね。
 ……とりあえず、二人の解説はこんなとこでいいかしら。
 あたしはタクトから日傘を受け取ると、手持ちを皆ボールへ戻す。
 そして太陽が完全に沈むまでの間、島のてっぺんに登ってじっと待つ。
 それがあたしのここ三年間の……マシラが旅に出てからの、日課だ。



 マシラは、ヒコザル族の青年だった。
 物心つく前からあたしと一緒に育ってきて、あたしの兄貴みたいな存在だった。
 あたしがトレーナーになったときも、最初の手持ちになってくれた。
 ……ずっと、一緒だと思ってた。
 けど。
 三年ほど前、マシラは一通の置手紙と共に姿をくらませた。
 曰く、『俺よりも強いヤツに会いに行く。いつか帰るから、シンジ湖で待ってろ』とのこと。
 あたしはその手紙を信じ、毎日日が暮れるまでシンジ湖の島で過ごしてきた。
 ……正直なところ、あたしはまだこの件のことで両親を恨んでる。
 マシラが強い萌えもんと戦えないのは、トレーナーであるあたしが拘束されているせいだから。



 ……もう日が沈む。
 今日も、マシラは帰ってこなかった。
 ふぅ、と一つため息をつき、腰掛けていた岩から立ち上がる。

「マシラ……帰って、来るんだよね……」

 ふと、不安になる。

「あたしのことが嫌になったから……逃げちゃったんじゃ、ないよね……」

 そんなことはない……はず。
 でも、そうじゃないという保障はどこにもない。
 ……もう三年以上にもなる、ということを思っただけで、愛想を尽かされてたんじゃないかと思う気持ちが止まらない。
 そんな、時だった。

「んなわけねぇだろ、アホ」
「……!」

 背後からかけられた、懐かしい声。
 恐る恐る振り返る。
 そこに居たのは……三年前の面影を少しだけ残した、モウカザルの青年。

「マシ……ラ……?」
「おう、ただいま。ユカリ」

 まるで散歩からでも帰ってきたかのような軽い挨拶。
 そんなマシラの態度に、あたしは……彼の胸に、倒れこむように抱きついていた。

「おっ……んだよ、らしくもねぇ」
「……っく……ばかぁ……」
「っておい、何故に泣く!?」
「バカバカバカぁっ!信じらんない、このバカ猿、山猿、放蕩猿!」
「ユカリ……」
「あんた、どんだけあたしが心配したと思ってんのよ……!」
「ばっか、俺がそうやられるようなタマじゃねぇことは……」
「別にあんたのことなんか最初から心配してないわよっ!!!」
「……それはそれで腹が立つぞオイ」
「あたしはっ……あんたが、もう戻ってこないんじゃないかと……思ってたんだからぁ!!!」
「何言ってんだ、俺がそんなことするわけ」
「無いなんて保証どこにも無いじゃない!……もうどこにも行かないでよ……お願いだから……」

 後で思い返してみれば、本当にあたしらしくも無い。
 でも、多分。
 夕方に見た夢が、マシラのことを暗示してるんじゃないかって、不安になったんだ。
 そしてマシラはというと、いまだにぐずってるあたしにされるがまま……という訳でもなく。
 男らしい大きくあったかい手であたしを抱きしめて、撫でてくれた。

「スマン……俺の自分勝手な考えで、不安にさせちまったんだな」
「うぅ……ぐすっ」
「ああもう泣くなって……もう俺はいなくなんねーから」
「……じゃあ、一つだけお願いがあるんだけど……聞いてくれる?」
「何だ、言ってみな」

 マシラへのお願い。
 それは、マシラが居なくなってから、ずっとずっと抱き続けていた想い。

「……あたしを、旅に連れてって」
「……何だって?」
「だから……今度はあたしを置いてかずに、一緒にってこと」
「一緒にって、家の連中が許すはずねぇだろ」
「いいの!あたし今日から家出する!」
「ハァ!?」
「ずっと待ってたのよ!あんたが帰ってくるの!」
「それとこれと、何の関係があんだよ!?」
「あたしが居ないときにあんたが帰ってきても困るからに決まってるでしょ!」

 そういい切ると、あたしはマシラに手をさし出した。

「あんたのボール、返しなさいね。もう離してなんかやんないんだから」
「……ったく、しゃぁねぇな」

 マシラはそう言うと、頭をかきながらあたしの手にボールを乗せた。

「それじゃ……マスター、改めてよろしく頼むぜ」
「くすぐったいから今までどおりでいいわ。それじゃ、今夜はここで野宿して……明日出発しましょ」



 こうしてあたしは満天の星空の下、手持ちの皆にマシラの帰還と、皆で旅に出ることを伝えた。
 タクトはちょっとだけ渋ったけど、家が過保護だとは思ってたみたいで家との交渉をしてくれるみたい。
 あとは……テンペストがマシラに長期不在の件でつっかかってたり、リンが腕試しに不意打ちしかけてたりしたくらいかな。
 そんなこんなで、洞窟の中で寝るって時にはすっかり夜も遅くなってしまったのでした。

 ……後に、あたしは知ることになる。
 何故両親が、ここまであたしに対して過保護だったのか。
 何故マシラが、三年以上も連絡もなしに旅をしていたのか。
 そして……夢で見た光景と、見知らぬ少年が何者なのかを。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


・後書き

 どうもこんばんわ、毎度お馴染み曹長です。
 ……え?シリーズの新作どうしたって?
 いいじゃない、たまには別のシリーズ書き始めても(撲殺
 いやまぁ正直に言えば多少スランプって言いますか、構想詰まっててデスネ。
 ふと思いついたネタをいろんな人からアイディア貰って気晴らしに書いてみたらこのありさまだよ!(ぇ
 ……いえ、一発ネタで終わらせる気は無いのでご安心ください。次がいつになるかは全く想像つきませんが。

 さて、新シリーズということで登場人物も一新。
 劇中で簡単に紹介もありましたが、ここで纏めておくとしましょう。



・ユカリ(人間♀)
 主人公。やたらと過保護な両親に嫌気が差し、家出した18歳の少女。
 家はフタバタウンにあり、親から一人前と認められたいという思いからリーグ出場を決意する。
 前向きで一途な性格。また、目的を定めると他のことに目が行かなくなるという癖がある。
 外向きは大人しくて丁寧な娘だが気が強く、気を許した相手には乱暴な態度をとることも多々。 


・マシラ(モウカザル♂)
 ユカリが最初から連れていた萌えもん。人間の年齢で言うと20歳相当。
 一番古い付き合いなあるため、ユカリが一番気を許している。
 本編開始の三年程前、「俺より強いやつに会いに行く」という手紙を残して旅に出た。
 ガサツで乱暴で頑固で意地っ張りだが、何よりもユカリのことを大切に思っている……妹分として(ぇー
 ユカリへの呼称は「ユカリ」


・テンペスト(ムクバード♂)
 ユカリが初めて捕獲した萌えもん。人間の年齢で言うと19歳相当。
 紳士的で古風な性格。乱暴者なマシラとは拳で語り合う仲。 
 ユカリに対しては護るべき主人としての想い以上のものを抱いているようだ。
 ユカリへの呼称は「主殿(あるじどの)」


・ブーン(ビーダル♂)
 ユカリが転んだ拍子に転がっていったボールの中に入り込んでしまった萌えもん。人間の年齢で言うと15歳相当。
 ( ^ω^)おっおっおっおっおっwwwww
 ↑これで全て言い表せる便利なヤツ(マテ
 メンバーの中で一番PC関係に詳しく、秘伝技も殆ど習得しているため戦闘以外での活躍の場が多い。
 ユカリへの呼称は「ゆかりん」


・リン(ルクシオ♀)
 ユカリの手持ち。人間の年齢で言うと16歳相当。
 戦闘狂。バトルの時には一番最初に飛び出そうとする困った娘。
 明るくて陽気、ちょっぴり狂気。勝っても負けても構わない、「戦うこと」を何よりも好む。
 ユカリへの呼称は「マスター」


・タクト(キルリア♂)
 ユカリの手持ち。人間の年齢で言うと22歳相当。
 ユカリの手持ちの中では最も年長かつ常識人。当然その分苦労人ポジションでもある。
 誠実で実直かつ温厚な性格。マシラとテンペストの喧嘩の仲裁はいつも彼かユカリが行っている。
 ユカリへの呼称は「ユカリちゃん」


 ……え、何?やたら♂が多い?
 だって主人公♀だもの!(理由になってない
 主人公♂だったらギャルゲ風シナリオになるんだから、主人公♀なら姫ゲー風でもいいじゃない!(意味不明
 ……ごめんなさいただ単にLlsと逆の性別比にしたかっただけです(ぇー

 さて、次回は……まだ何も構想立ってないな(ぇー
 まぁ、何かしら書けたらまた後書きでお会いしましょう。それでは。
ツールボックス

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