5スレ>>740-1


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 わたしは こんらんしている ! ▼
 わけも わからず じぶんを こうげきした !▼


 まずは目覚めてからの短い時間を追想しましょう。ええ、そうしましょう。
 最初に目についたのは恋歌さん。寝間着の肩がはだけてるし、裾もまくれて太ももが丸見えになってるし……
 寝相でここまでになるものなんでしょうか、と疑問に思ったのが1番でしたね。
 見渡せばディーちゃんがいて、「おはようございます」なんて言って……それで、そのまま部屋を出たんですよね。
 ……はい、あまりにも短いですね。ですが自分を見つける時間は稼げたようです。
 きっと、素数を数えるのも同じ効果があるんでしょうね。いけない、また逃避しちゃってる。
 とにかく、私に起きたこと。それは。

 一目ぼれ、です。


 目を疑うようなきれいな髪。金色にも見えるし、銀色にも見える。不思議な色です。
「……どうした?」
 その上、こうしてこちらを気遣ってくれています。どうしましょう、知れば知るほど好きになってしまいます。
「あ、あの、わたし、言ノ葉っていいます!」
 どうしましょう、何を続けたらいいのかもわかりません。
「ああ……アルバートだ。今後ともよろしく、言ノ葉」
「! は、はい! こちらこそ」
 やっぱり、気の利く方です。握手で考える時間をくださいました。
「ところで、ご主人様との御関係は……?」
「一応、弟だ。……それと、そこまでかしこまらなくていい」
「は、はい……!」
 ご主人様の弟。じゃあ、やっぱり、
「ご主人様!」
「? なんだい?」
 ……まずはご挨拶から!
「お、弟さんをわたしにください!」


 空気が凍った。
『おいリン、拡散冷凍ビームを撃たないでくれよ』
『撃ってないよ、ていうか僕そんな高等技術使えないし。言ノ葉に失礼だよ』
 カメックス・凛悟(リンゴ)は確かに冷凍ビームを覚えているが、攻撃力を殺せるほどは制御できていない。
 そもそも、熟練でも納涼のためだけに使うなどという芸当はできない。
 仮にもトレーナーたるエドはそのあたりわかってるのだろうか。
『おい、エドワード。何とかしてくれ』
 こちらアルバート。立派なバシャーモである。先ほど言った通り、エドとは兄弟である。
 ではエドワードもバシャーモの血が流れているかというとそうではない。親を同じくする兄弟ではないからだ。
『そうは言ってもな。僕としては言ノ葉の幸せを願いたいのだが……まぁ、仕方ないね』
 以上、アイコンタクトでの会話でした。
「……言ノ葉」
「は、はい!」
「まずは深呼吸。話はそれからだ」
「は、はい!」
 マッスグマの少女、言ノ葉。まさか種族名の通りにここまでまっすぐ来るとは、恐るべし。
「はーい、息を吸ってー」
「すうぅーー……」
「はいてー」
「はあぁーー……」
「はいて―」
「はあぁーー」
「はいて―」
「はぁー……」
「はいてーー」
「殺す気か!」
 ギャグの古典である。ただし今回はそれでいいかもしれない。そう判断し、リンはそれだけで済ませた。
「……ぷはぁ、もう、ご主人様は相変わらず冗談がお上手で……」
 確かに冗談なのだが、それですませるあたり言ノ葉はできた娘である。
「とりあえず落ち着いたみたいだね。さて、さっきの『アルがほしい』ってことだけど」
「はい!」
「(……冗談じゃないみたいだね)」
 しっかりしたその返事に、煙に巻くのは無理だと判断、作戦を決定する。
 その名もズバリ、「お友達から作戦」。まんまとか言わない。
「とりあえず、そう言うのってお互いの気持ちが重要だと思うんだ。だから、アルの方もその気になったらってことで。
 まぁ、何も持ってかなくても、2人で博士のところにお世話になればいいと思うけど」
 もともとアルはその知りたがりのせいで得た知識で博士の助手まがいのことをしており、
 事実博士も助かっているので、1人連れて行ったところで確かに問題なさそうである。
「は、はい……わかりました。精一杯アタックします!」
 燃えている。言ノ葉がとても燃えている。炎タイプのアルの立つ瀬がなさそうなほど。
『……なんだか、押しかけ女房になりかねん勢いなんだが』
『いいじゃないかアル。君の好みのタイプだろう?』
 再びアイコンタクト。エドは明らかに面白がっている。
「(兄弟そろってロリコンめ……)」
 リンは明らかに呆れ返っている。兄弟とはそんな所まで似るものなのか、と。
「……アルバートさん。改めまして、よろしくお願いします」
 晴々とした笑顔。あからさまな身長差のため、どうしても下からのぞきこむ形になっていしまうそれは、
 明らかにアルを動揺させていた。
「(……堕ちるのも時間の問題ね)」
 これまで会話に参加していなかったクロバットのヴァージニア。
 ドアに頭を叩きつけた親友に近寄ったはいいが、そのあとの怒涛の展開についていけず、一人蚊帳の外にいた。
 それでも、親友である言ノ葉の春の到来に、彼女は誰よりもよろこんだ。
「ん~~、おはよう……」
「あら、おはよう……?」
 そして、不参加だからこそ、新たな来訪者の異常にいち早く気づいた。
 寝間着についた不自然なしわ。それが意味するところを即座に理解し、彼女を部屋へ戻らせた。
「ふぇ~? なぁに、ジンジャー?」
「貴方の格好は、リン以外の殿方に見せるべきではないわ」
 同じ部屋に言ノ葉もいたというのに。
「(最近の若い子は乱れてる、って本当ね)」


「アルバートさん、ご主人様とは御兄弟と言いましたが……」
「ああ……正直、なぜ俺が兄ではないのかと何度思ったか……」
「そのあたり、詳しく教えていただけますか?」
「ん、ああ……」
 人間と萌もんが兄弟。ふつうはありえない。だからこそ、言ノ葉は知りたがった。
 愛する人のすべてを知って、受け入れて。そんな、ファンタジーのような恋にあこがれて。
「……俺は、あいつの両親のもとで孵化したんだ。エドが生まれた次の日にな。
 ……以来、俺たちは本当に兄弟のように育った。いや、同じ親に、同じ家で育てられたんだ。
 仮に血が繋がっていなかったとしても、俺たちは兄弟だと確かに言える。俺たちは、そういう関係だ」
 なんでもないかのように話すアル。事実、その顔には何一つ変わらない笑顔がある。
 その笑顔に、また捕えられ、逃げられなくなる。
 言ノ葉は、確信していた。
 親友にとっての主人。それが、自分にとっての彼だということに。
「……何ほけた顔してんだ。結構真面目な話のつもりだったんだけどな」
 そういって、デコピンされた。
「はうっ!」
 からかわれてる。そう感じた。そんなちょっとした茶目っ気に、なお思いは募る。
 もう1つ、決心した。彼から逃げることはできそうにない。ならば、彼も自分から逃げられなくしてやろうと。
「……アルバートさん」
「うん? なん」
 チュ。
「…………え……」
「……えへへ……」
 ほっぺにキス。精一杯背伸びした、ほんのちょっとのからかい。こうかは、ばつぐんだった。
「────っ!」
 触れられた頬を押さえて、後ずさる。少々間抜けにあいた口をわなわなとふるわせている、その姿さえ、
 言ノ葉にはいとおしく感じた。
 あばたもえくぼ。
 今、自分は間違いなく幸せだと、心の底から想った。


「……へぇ、あったばかりだってのに、もうアルの堕とし方を見つけてる。
 案外、ほんとに2人は赤い糸でつなっがてるのかも」
「……こりゃ、博士も安心かな。後継者候補の2人が家庭持ちになる可能性大なんだから」
 博士の後継者候補筆頭・大木戸郁紀(おおきど ふみのり)とその最初の手持ちにして、
 自身の親友でもある少女との関係を思い出し、つぶやくリン。珍しくマスターも真面目である。
「うっわあ……ジンジャー、ひょっとしてボクたちって……」
「あんな感じね、デートのときは」
 朝寝坊+ヴァージニアに身だしなみを整えさせられたため、アルと話す間もなかったサンダースの恋歌(レンカ)。
 リン君とカップルしてる女の子だが、自分たちのバカップルっぷりを客観的に見せられたようで、
 恥ずかしさの余り顔が真っ赤である。
「うう……マスター、はやく次の町に行きましょうよ、もうここでの用事はすんだんでしょう!?」
 ついにはマスターに助けを請う始末。そのマスターがこっそり、
『さて、レンの恥じらう姿の写真データができたわけだが……』
『く、いったい今度はなにを要求するつもりだ!』
 とかリン君と取引してることは知らない。
「んー。それが、まだ一つ残ってるんだよね」
「……え?」
 意外な答えに目を丸くする。いったい何なのかと思い、尋ねようとしたら、先に言われた。
「ゲームコーナー地下の調査。エリカ嬢に頼まれちゃってね」
 そうか、と納得し、じゃあ早く行こうとせっつくレンにいちゃついてる2人を連れて来い、
 と言って追っ払ってから、リンが口を開く。
「そこに何がある?」
 凛(リン)の名にふさわしく、可愛らしさと格好よさを両立する声で問う。
「……因縁、かな。マスターとしての、ね」
 答えたのは、普段のエドではなかった。
 短くない旅で、片手にも満たないほどしか見たことのない、まさに「鬼」だった。
「場合によっては、この力を使うかもしれない」
「!? マスター、それは……!」
「心配いらないさ。自分の力、自分の体だ。折り合いの付け方ぐらいはわかるさ」
 あやしく光る、その両眼。危険な光が、そこには宿っていた。
「……使わせないさ。僕が、ヴァージニアが、使わせずに済ませる」
 気配だけでわかるほど、ヴァージニアは強く頷いていた。
 何も言わなかったのは、ただ何も言わなくてもわかっているからだ。
 この2人の絆は、本当に強い。
「ああ。頼りにしているよ、凛悟」


 ゲームコーナー地下。ただの倉庫にしては仕掛けが多い。むしろ罠ともいえるそれは、明らかに、
 ここが生臭い場所であることを物語っていた。
 そして、群がる黒服の集団たちも、また同じことを。
「くそ、であえであえーー!! 侵入者だーー!!」
「畜生、なんだこいつ!?」
「くそ! 絶対に通すな!」
「ボスのところへは行かせん!」
「…………」
 だが雑魚だ。あまりにも。萌もんバトルにすらならない。
 木刀をぶら下げた相手の目の前に、素手で現れる時点でだめだ。
 力量の差がわかってない。
 だから、
「ォラア!」
 一撃で沈める。ボスの元まで、一直線に屍を築き上げる。
 あまりにもお話にならない。傍らのヴァージニアさえいなければ、ものの5分とかからずボスの部屋までたどり着いていた。
「……この先だね」
「ええ。……そろそろ、みんなを出しましょう」
 さすがに5人もつれて進むのは無理があった。
 1人ですら邪魔になりかねなかったのだ。いちいち5人を確認しながら駆けることはできない。
「そうだね」
 だが、この先がゴールならばもう関係ない。むしろいつ襲われるかもわからないのだ。
 戦力は展開しておいて損はない。
「アルバート。言ノ葉。恋歌。凛悟。出番だ」
「ああ」「はい」「おっけい!」「……ん」
 各々が応える。これで、準備は整った。
「……さあ、突入だ」
 言うが早いか、ゲートをくぐる。
「だれだ? ここへはだれも来るなと言っておいたはずだが」
 不思議と心が落ち着く、ボスとしてのカリスマの感じさせる声が響いた。


 オールバックの髪。空調が行き届いているとはいえ、この暑い時期に着込んだコート。
 特徴的なその人物は、続いてこういった。
「……侵入者か。私に知られるよりも早く到達するとは、なかなかの人物のようだ」
「一刻も早くあなたに聞きたいことがありましてね。失礼ですが、部下どもは殴り倒させていただきましたよ」
 対するエドワードは丁寧ながらも礼のこもっていない口調で応じる。
「ふ……、ならば、バトルに勝って見せろ」
「(お約束の展開だな……まぁ、力を使わずに済みそうなのはありがたいか)」
 そんなことを考えたのも束の間、両者左手にボールを2つ構える。
「ゆけ、ミル! サキ!」
「ジニー! 恋歌!」
 こちらは後方に控えた2人を、あちらはボールの中から2人を繰り出す。
「Yes,my master.stanby ledy, set up」
「……っ」
 いつもと変わらない恋歌と、それに若干の非難のまなざしを向けるヴァージニア。
 コンディションは、万全だ。
「……いや、相手を見る限り、そうでもないかな」
 相手は、ギャラドスとガラガラ。強力なタッグである。
「(……ギャラドス?)」
 そこに疑問がわいた。野生のギャラドスなど、この地方には存在しない。
 ならばコイキングから育てたとみるべきだろうが、なぜ。
 戦力にならず、まともな方法で育てるのはあまりに面倒なはずだ。
 その苦労に見合うだけの狂った強さなどもない。
「……サキ、初仕事だが……いけるな?」
「問題ないさ、ミル。……子に寂しい思いをさせているんだ。負けてやれるわけがない」
 2人の会話。そこからさらにありえない事実を思い浮かべる。
「(……まさかあのガラガラ、シオンのカラカラの?)」
 サキ、と呼ばれたガラガラの声は、仕方がなしに従っている雰囲気ではない。
 むしろ、今ここにいることを誇っているようにすら思える。
 そして、ミルと呼ばれたギャラドス。彼女もまた、相方への気遣いがあるが、
 それは同情の類でなく、優しさを感じさせるものだった。
 もし、彼がエドワードの思ったとおりの人物なら、どう考えてもあり得ない状況だった。
「…………」
 それでも、認めたくなかった。マスターとして、彼女たちの悲劇を知る者として。
 それでも、認めたかった。悲劇が、悪意の元にあったのではないと信じたくて。
「ジニー! 恋歌!」
 勝てばわかる。真実を得るために、勝つ。
「ガラガラを狙え!」
 まじめな自分など、嫌いだから。はやくいつもの自分に戻りたいから。
 だから、倒したくない相手を、真っ先につぶす。


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~あとがき~

 まじめ。かーなーりまじめ。
 ほとんどネタがありません。
 でもギャグはちょっとあるよ。
 なんだろう、期待しないでとか言っちゃったけどだいぶシリアスだよ、予想GUYだZE☆
 控えめにした結果がこれだよ!
 もう次回予告行きますか。


 戦い。そして明らかになる少女たちの過去、
 謎の組織との関わり。

 「すべて、私がやらせた」

 その時、マスターは何を思い、何をするのか。
 そして彼女たちの過去を知った彼らは。

 「さ、いつもの僕らに戻ろうか」

 真実とすれ違う事実。
 次回、萌もん吸血記第4話。
 「続・恋する少女は無敵なの?」


 次回でまたネタのデパートハイテンションラブコメに戻りたいな。
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