5スレ>>740-2


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「ほう……ギガドレインとはな。変わった技を覚えさせる」
「特殊アタッカー型だからね。毎日血液をギガドレインされて困ってるやつがいるけど」
「…………」
 わずかな沈黙。彼は、何を思ったのか?
 その答えを、エドワードは知っている。
「しかしそのサンダース……目覚めるパワーの水タイプで、最高威力か……?」
「ああ。あんたの計算が間違ってなければね」
 再びの沈黙。しかし、今度は小さなつぶやきが返ってきた。
「まさかな。あのイーブイが生きているとは思えん」
 その意味するところを、やはりエドワードは知っている。
「ミル。竜の舞」
「わかっている」
 応えたギャラドスの体に闘気が満ちるのが見て取れる。
 竜の舞はスピード・パワーをともに底上げする優秀な技だ。
 それを許してでもガラガラを陥落させたことに、意味がある。
 地震。ガラガラは太い骨を持っているとき、そのパワーが倍加する。
 そのパワーから繰り出される地震に恋歌が耐えきれるはずがない。
 幸い、ギャラドスのメインウェポンであろう技に不利なのはアルバート1人。
 十分、巻き返せる。
「……ガリレオ。頼むぞ?」
「それでも地球はまわっている。まわっているのだ……」
 現れた、ドーブル。彼こそが、この先の問題点となる。


「ハピナス……?」
 一度の雷でギャラドスを沈めた先に待っていたのは、あまりにも有名な、
 そしてあまりにも強力な萌もん。特殊攻撃で彼女を陥落せしめるものは片手で数えられるより多いのだろうか?
 ……そして、物理攻撃ですら、強いといわれる連中のそれを受け止める。
 しかし、だ。
 問題になるのはその能力ではない。
 本来、ハピナスはトレーナーにかなり懐いていなければラッキーからの進化ができない。
 そんな萌もんを、なぜこの男がもっているのか?
「ご主人様。またあれですか?」
「ああ。ガリレオ共々、頼むぞメフィス」
 そして、明らかに他人の萌もんでもない。
 なぜ、なぜ、なぜ。
 この男に対する疑問が尽きない。
 これまでのイメージと目の前の男が一致しない。
「(惑わされるな。僕は、彼女たちの『マスター』なんだ)」
 心の揺れを首に移し、打ちとめる。
「ドーブルに集中砲火!」
 その選択に、間違いはなかったはずだ。
「……残念だったな」
 そう、思いもよらなかった。
「まだだ、まだおわらんよ。……しねん。この程度では死ねんのだ!」
 レベルが同程度のドーブルが、2人の攻撃を受けきるなどと。
「……っ、しまっ……」
「雷ならば。あるいは、命中して倒すこともあったろう。オボンの実があったことを含めてもな。」
 それでも、雷は若干命中精度に難がある。
 ギャラドス相手の時は雨乞いをするわけにもいかず、攻撃技が2つしかない恋歌だ。
 期待値の関係上雷を選択したのだが、今度は時間がなかった。
 故にはずすことのない目覚めるパワーを選択したが、それが失敗だった。
「……ドーブルの強さを、その器用さだけだと思っていた僕が馬鹿だった……!」
 優秀な特攻があってもタイプ不一致威力70。
 タイプ一致90でも並の特攻。
 オボンの実をもったドーブルには、この両者を合わせても一歩届かない。
 その防御力は、紙と呼ばれるほどではなかったのだ。並というほどではないが。
「へ~んしん、トゥ!」
「……へんしん、だと……?」
 さっきハピナスは「またあれ」と言った。
 つまり常に同じ戦法。状況に左右される変身が同じということは、つまり、
 1ターンではほぼ落ちないタッグパートナー・ハピナスへの変身。
「(っち、おとなしく交代するか……!)」
 自分の場はどちらも特殊アタッカー。次の一撃で変身ハピナスすら倒せない可能性がある。
 そうなったらジリ貧だ。
「ジニー!」「ガリレオ!」
「「戻れ!」」
 ……が、変身ハピナスは下げられた。
「(……何を考えて、────! 待てよ、さっきハピナスは何をした?)」
 冷静さを欠くあまり、相手の行動を観測しきれていない。
 だが、考えればすぐにわかる。
 ハピナスが場に出てから、向こうは変身しかしていない。
 そう、変身。能力値の関係上、ハピナスこそが真に使いこなせる技。すなわち。
 物真似。技をそのバトル中のみコピーする技。
「(それならば、こちらには何もしていないようにも見える────!)」
 ならば、次に出てくるのはおそらく、特殊も物理も硬いツボツボ。
 ハピナスがツボツボに変身すれば、まさに要塞。大部分の攻撃は大した意味がなくなる。
 例えばゴウカザルのインファイトだとしても、7発ほど必要な計算になる。
 即興の暗算だから間違っているかもしれないが、反動で防御能力が最低レベルまで下がる数だ。
「(冗談じゃない……! そんなの突破できるやつ、いないぞ!)」
 変身される前に倒さなければ……、いや、すでに遅い!
 交代終了後、ハピナスは即座に変身できる。その短い時間で無傷のハピナスを倒すのは……無理だ!
「っく……アルバート!」
「ジェミニ!」
 予想通り。現れたのはツボツボだ。ならば、次は。
「変身だ、メフィス!」
「言われなくても!」
 一つのミスで、自らの負け筋を組み立ててしまった。
「(どうする……どうする、エドワード………………!?)」


「──ごめん、あとよろしく……」
 かろうじてツボツボは撃破できた。しかし、同時に恋歌も墜ちる。
 アルバートも、その毒に侵されている。
「(……くそっ──!)」
 パワートリックで物理防御力と物理攻撃力を入れ替えたハピナス、否──ハピツボ、と呼んだ方がわかりやすいか。
 彼女は、すさまじい重火力アタッカーと化していた。
 最初こそ威力30のころがるだが、命中する限り威力は倍加していく。
 最大で480──これは、大爆発にも匹敵する火力である。
 加えて言うなら、タイプ一致による補正も受けているため、実際はさらに上だ。
「(──ピンクの悪魔とは、よくいったものだ……今はピンクじゃないが!)」
 現在の希望は、僅かに2つ。
 1つ、物理防御は通常のハピナスと大差ないこと。
 それならば倒す手段はある。
 2つ、転がるは若干命中率に難があること。
 あるいは外れる可能性もある。
「(危険だが……かけるしかない!)
 済まない、ジニー! 時間を稼いでくれ!」
 クロバットの物理耐久では最低火力でのころがるでも致命傷。2発目以降の威力では1発確定だ。
「──あとで、しっかり埋め合わせして頂戴ね?」
 悔しい。
 彼女は、自身が場に出た意味を理解し、そのうえで、それだけで済ませてくれる。
 ──少しでも外れる確率を上げるための、スケープゴート──
 それを、笑って貸しひとつで許してくれるのだ。
 そんな彼女のためにも、絶対に負けるわけにはいかない。
 いや、彼女だけではない。
 自分の手持ちの少女たち。
 彼女ら全員が、負けられない理由だった。
「ギガドレイン! スカイアッパー!」
 ヴァージニアはハピツボの体力を少しでも削ってもらい、アルバートは先ほどのドーブルに止めを刺す。
 次の転がるは、クリティカルヒット。ヴァージニアに耐えられようはずもない。
「……私は”フェイバリット”だけど、”切り札”のあなたは、負けないで頂戴ね……?」
 ”最好”の彼女はマスターの作戦を理解し、後を託す。
 マスターの手持ち”最強”の相棒に。
「”運命の悪戯(ディスティニー・ゲーム)”。いくよ」
 凛として悟しを受け継がんとす。その名が与えたかもわからない、傍らの異能の顕現。
 マスター曰く、己のそばに──STAND BY ME ──、故にスタンド。
 自身と同じく、マスターにつけられた名を呼び、視線を交わす。
 言葉も、身振り手振りも要らない。ただ、もう一人の自分に伝える。
 自身に託した彼女と同様、理解していた作戦。
 逆転の、1手を。
「凛悟。この窮地に言うのもなんだが……お前と肩を並べられて、うれしいぞ」
 それは、物語などで敗北が確定している人物が言いそうな台詞。
「ええ、せっかくの初陣です。たとえ僕たちで止めを刺せなくとも、絶対に勝ちましょう」
「ああ。俺が倒れても、お前がいる。言ノ葉もいる。──勝つぞ!」
 それは、毒で弱っているとは思えなほど、力強い言葉。
「”運命の悪戯”!」
 叫ぶ。勝率は、低くなかった。


「……正直、頭合わせ以外のなんの役に立ったかわからんが、これでよかったのか」
「ああ、あとは──」
「──任せてください」
 5ターン連続攻撃の転がるは、外れるなりして技が終了するまで最初に狙わなかった方に攻撃できない。
 その狙われなかったアルバートが倒れ、場には無傷の凛悟と言ノ葉が並ぶこととなった。
 ハピツボは────眠っている。
「……あくび、か? 先ほどのターン……」
「ああ。睡眠コンボ──相棒が、最強たる所以だ」
 持久戦に持ち込むコンボ。持久戦に耐えうる耐久力と、使い勝手のいい攻撃技。
 そして、もうひとつの要因。
 それらが合わさって、普通なら勝てない相手にも十分勝ちうるからこその、切り札。
「言ノ葉。腹太鼓」
「はい」
 そして、最高の攻撃力。この状況で、もはや負ける可能性は、ゼロだ。
「……あなたは覚えていないかもしれません。ですが、それでもいいんです。
 あなたのおかげで、ご主人様に会えました。アルバートさんにも会えました。
 みんなの会えた、その恩で、あなたに勝ちます」
 恩返し。使い手の感情がそのまま威力に比例する技。
 その最高威力をハピナスに叩きつける。
「”運命の悪戯”」
 凛悟が最強たる最後の要因……強運の助けを借り、一撃のもとに、勝利を手にする。
 彼は、笑っていた。


「さて、何を聞きに来たのかな?」
「とぼけるな”Lord”頭領。イーブイに行った人体実験、萌もんの人身販売、
 ……そして、オツキミ山萌もん一家殺人事件。僕の手持ちを見て、わからないとでも言ってみろ」
 殺してでも。その瞳は、そんな狂気をたたえた光を放っている。
「フ……いかにも。イーブイに実験を施したのも。ジグザグマを売り渡したのも。
 オツキミ山で、ある萌もんの一家を皆殺しにしたのも。
 すべて、私がやらせた」
 一つの巨大な組織の頂点に立つ男は、悪びれもせずに言い放った。
「……そんな男が、なぜギャラドスなんて萌もんを育てた? シオンのガラガラを手懐けた?
 ハピナスに進化させることができた?」
 だからこそ、この戦いでの疑問が増す。
 そんな男の手持ちにふさわしい萌もんたちではない。
「もうわかっているんだろう? 私が、少なくとも”悪”ではないことぐらい」
 だから、そう言われたとき、つい頷きそうになった。
 そんなこと、認められない。彼女たちの悲劇は、こいつが仕掛けたのだから。
「そうだな。イーブイの実験から話そうか」
「……」
 断る理由はなかった。こちらも、真実をすべて知っているわけではなかったから。
「そのイーブイは先天的な欠陥をもっていた。そのままでは、1年と持たなかったろう。
 その命を救うため、私達はあることを決めた。
 それは誰も試したことのないものでな。成功するかもわからなかった。
 これを実験といわずして何と言おうか?」
 あまりにもあっさりと語られるそれは、しかし嘘ではないと理解できた。
 イーブイを自分に託した相手……マサキが、昔は体が弱かったと言っていたのを思い出した。
「まぁ、そのイーブイはアフターケアを受ける間もなく連れ去られ……
 誰もが、彼女は助からなかったと思っていた。なにせ、遺伝子操作した肉体との融合だなど……
 碌な研究もなしに成功するものではない」
 だが、成功した者がいた。マサキその人である。
 彼がイーブイを連れ去ったのかはわからない。それでも、彼が融合装置の開発に成功していた。
 それが彼女を救ったのは、疑いようがないだろう。
「……そのイーブイが、今サンダースに進化してここにいるわけだ。
 知れば大喜びで泣きながら抱きつきに来るやつが全員残ってる」
 1つ目の真実は明らかになった。次は、
「さて、ジグザグマの話だが……彼女は、この地方には野生では存在しないこと以上に、
 希少価値の高い理由があった。知っているはずだ」
 言わずものがな、それがあるからこそ、彼女は第一線で活躍している。
「──神速」
「そうだ。通常どうやっても覚えられない技を覚えていた。だからこそ、売り払うふりをして、
 信頼できそうなトレーナーに託したのだ。500円などという価値でもなければ、
 お前のような正義感の塊にわざわざ売りつけるバカもおるまい?」
 確かに、よく考えればわかったことだ。だが、
「それでも、人身販売に変わりはない。彼女自身が許していなければ、僕は絶対に許さなかった」
「ああ。急を求めるあまりに、次善の策をとったのは事実。それは弁明するつもりもない」
 どうしようか。なんだかものすごい勘違いで迷惑かけたのかもしれない。
 そう思いつつも、すべてが解決するまで頭を下げようとしないあたり、
 自分は案外頑固だったんだな、と柄にもなく感慨にふける。
「最後の、一家皆殺しだが」
 そこで言葉を切られる。なにがあるというのか。
「……聞いているのが、そこのカメックスとマッスグマだけであることに感謝すべきかもしれない」
「……どういうことだ?」
 尋ねても、返ってくるのはわずかな溜息。……黙って聴け、といいったところか。
「……奴らは、人、萌もん問わず襲いかかって吸血する凶悪な萌もんだった。
 他のゴルバット種からも嫌われていて……復讐の連鎖は、起きないはずだった」
「復讐? まさか、」
 耐えきれず、口をはさんでしまう。
 だって、それなら、彼女の家族はみんな、
「そうだ。私達の仲間が殺された。それでも、誰が死んでも悲しむつながりの輪が小さく、
 しかもそのすべてが復讐の対象。そこまでわかってからとはいえ、ただ感情のままに奴らを殺した。
 まさかその輪から見落とした、幼く何もできない少女が一人、家族のすべてを失ってしまうとは知らずにな」


「自己紹介がまだだったな。お察しの通り、丸見え秘密結社”Lord”のトップ、公爵だ」
 秘密結社という割に一般人のエドワードが知っているあたり、確かに丸見えである。
 なぜか備え付けてあった萌もん回復マシーンで手持ちを回復させながらの会話だ。
「それだけ? 本名は?」
「ここにいる奴は、たいてい知られたくない過去を持ってるんでな。コードネームや、
 こう呼んで欲しいといった名前で呼ぶのが通例だ」
 いかにもそれっぽいルールである。つい興味がわいてしまうのも無理もないだろう。
「僕もなにかそういった呼び名がほしいな」
「なに、お前が私達の仲間になるというならつけてやろうではないか」
 何の気なしに言ったのだが、妙な方向に捕らえられてしまった。
 しかし、敵対する理由もすでにない。
 むしろ、公爵の人柄に何か惹かれるものを感じ始めてすらいるのだ。
 ──悪くないかもしれない。
「……手持ちが反対しなければ、そうさせてもらおうかな」
 思うが早いか、そう言っていた。
 思わず口に手を当て、自分が何を言ったのか反芻したが、取り消す気は起きなかった。
「……ふむ。本気ではなかったが……まぁ、仲間が増えるのはうれしい限りだ。
 ただし、私達は決して堅気な商売ではない。それは忘れないでくれ」


「というわけで反対の人は挙手」
 意外にも挙がったのは1つだけだった。
「……俺は博士の助手でもある。あまり裏に利く顔は持ちたくない」
「言ノ葉との将来のために?」
「やだ、ご主人様! 気が早いですよ!?」
 だいぶ普段の調子が戻ってきている。
 それを見て凛悟は、ああ、また騒がしい時間が戻ってくる、と他人事のように考えていた。
 突っ込み役の彼はブレーキも兼ねているため、仕事をさぼっているといつまでもアルがいじり倒されることになる。
 だから大きく息を吸い込み、こういった。
「ヌルポ!」
「ガッ!」
 思いっきり叩かれた。仮にも人間の力なのだし、甲羅に当たったので凛悟は痛くないが。
「で、反対1票なんだから決行するんでしょ?」
「Of course」
 このマスターは生真面目な奴ほど振り回される。
 いい加減、自分も染まりきってしまおうかな、とか思ってる自分が末期であることを確認し、
「日本語でおk」
 ネタをもってネタをせいしてみた。
 わずかな沈黙の後、大爆笑。そんなに笑わなくてもいいじゃないか。
 笑いが収まる頃には、こんなことをいった。
「ハハハ、ハ……はぁ。さ、いつもの僕らに戻ろうか」
 まだ戻ってないつもりだったのか。


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~あとがき~

 まじめその2。
 今回は電卓とデータ片手に頑張りました。実際のゲームとそこまで違うダメージはないはずです。
 ロケット団がいない? 主人公がジムリーダーになったssがあったからからませられたらいいな、
 とかそんな感じでロケット団は出てきません。ご了承ください。
 さて、次回からはまたネタのデパートに戻りたいです。
 たぶん新キャラ登場何で若干控えめになるだろうけど。
 ではまた次回で。ポケダン大好きなんだ☆730でした。
ツールボックス

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