「ふぁ~~……ふひゅ」
今布団から起きてあくびをしているのは早羽人(サバト)。
ごく普通のどこにでもいる男の娘。
しいて違うところをあげるとすれば、ズバットと人間のハーフってとこかな。
とまぁ茶番はこの辺にして、彼女…と言いたくなるような彼は、先もいったが半分ズバットの人間である。
母がクロバット。父はハナダでジムトレーナーをする程度には腕の立つトレーナー。
そんな彼の夢は、かつての父のように各地のジムを攻略し、萌もんリーグの頂点に立つことだった。
……まぁ、元来が弱気で、まだまだ幼い彼が夢を実現できるのは遠い未来だろうが。
「……っと」
階段の手すりを飛び越え、2メートル以上を落下して着地する。
その飛び越え方も、片手をついて両足を横から持っていく……まぁ、漫画とかでよくあるあんな感じの越え方で。
このあたり、父親の性格を十分受け継いでいることがうかがえる。
「あら、おはようございます、サバトちゃん」
「おはようございます、お姉ちゃん」
彼女は父の手持ちの1人のマッスグマ。
母の親友でもあり、サバトにとってはやさしいお姉さんある。
彼女が夫であるバシャーモをいろんな意味で逆らえなくしていることをサバトは知らない。
「ふふ、今日もかわいいですね」
「ありがとうございます」
そしてサバトは毎日のように着せ替え人形されて遊ばれているのだが、
本人もそれを喜んでいるあたりどうしようもない。
ほんとに「こんなかわいい子が(ry」とか言われる見た目に違わぬ性格である。
いや、来るもの拒まず去る者追わずなのか。
「今日はお客様が来るからいっぱいおめかししませんとね」
「はい! ……でも、スカートとかはやめて欲しいです」
サバトがこんなことを言うのも、前科があるからである。
その時は父に、「ウチには息子がいたはずなんだけどねぇ。そんなに娘がほしいならあいつに伝えておいてあげるよ」
などと言われていた。なぜバシャーモさんがそこで出てくるのかはわからなかったが。
「……あの夜でいやというほど反省しましたから、もうしませんよ」
「……?」
言っている意味がわからない。
あるいはもっとサバトがもっと大人だったら、理解できたかもしれない。
「さ、今はおめかしの時間です。どんな服がいいですかー?」
とっても平和な、朝の出来事。
「やあ、おじゃまするよ」
そう言って現れたのは、いかにも博士といった感じの男性だった。
「いらっしゃいませ、ウツギ博士」
「……ウツギ、はかせ……ふええ!?」
ウツギ博士。このマサラのオーキド博士と並ぶ、
お隣ジョウト地方がワカバの萌もん研究第一人者。
とんでもない大物が家にやってきた。
「あはは、混乱しちゃってるみたいだね。今日は君にプレゼントをしにきたんだ」
「ぷれ、ぜんと?」
「ああ、オーキド博士にあとでお礼を言っておくんだよ?」
~真実~
『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる……じじぃを説得しろフミロリ!』
『サバトくんのためとあっては従わざるを得ない』
『よし……つぎは……』
『従うにきまっているだろう、兄弟? サバトは俺にとっても息子みたいなもんだ』
『よくいった! これでじじぃは堕ちた!』
~間~
『うつぎクン、アノ子ニ萌エモンヲ与エテクレマイカ』
『オーキド博士の頼みとあっては断れませんね。ちょうどいい、この子たちもトレーナーを持つべきだろう』
~以上~
「さて、ここに3人の萌えもんがいる。……好きな子を選ぶといい」
「い、いいんですか!?」
「ああ、もともとこの子たちは誰かに託すつもりだったんだ」
いまだに混乱はしていたが、それでもサバトは大喜びで萌えもんを見比べている。
「(この状況……お父さんが旅を始めたときとおんなじだ!)」
昂る想いが邪魔して、なかなか選べない。どうしよう、どの子に……。
そう思った矢先、1人の萌えもんと目が合った。
「…………あ……」
「………………」
その真っ赤な瞳から、なぜか目が離せなかった。
どれだけそうしていたのか、やがてウツギ博士がこういった。
「ほら、いつまでもお見合いしてても始まらないよ。……そのこに、するかい?」
迷いは一瞬。
「はい! ありがとうございます!」
大声で返事をしていた。
と、そこまでは良かったんだけど。
「…………あう」
「………………」
ウツギ博士が帰ると、膠着状態になってしまった。
なにせお互い全く知らない相手だ。ここで積極的になれないのがサバトちゃんなのである。
お姉さんの後ろに隠れて、もらった萌えもん……ヒノアラシの様子をうかがっている。
お姉さんは「あらあら」と苦笑しつつも、成り行きを見守っている。
「……マスター」
「ひゃ!? はいぃ!」
呼びかけられただけでこれである。まぁ、元気な声を返せるだけまだましなのだが。
普段は知らない人に話しかけられたらパニクって碌な返事もできないのだから。
「……名前を、ください」
「……え……?」
だから、その意外な一言で冷静になることができた。
「(そっか……ぼくがこの子のマスターなんですら、名前を付けてあげなくちゃいけないんですね……)」
1度冷静になれば、もともとインドア派なサバトだ。考えるのは得意だ。
「(やっぱりヒノアラシですから、炎とかそういう名前がいいでしょうか……でも、落ち着いた子ですし、
水系統の名前も似合いそうです……)」
それでも、名前というものはそう簡単に決められるものではない。
なかなかいいものが思いつかず、首をひねる。
「(……あ)」
その拍子に、思いついた。
「(お父さんは、どうやってぼくの名前を付けたんでしたっけ?)」
そう、身近な人を参考にすればいいと。
「(たしか、ズバット~クロバットの名前に共通する”バット”とひっかけて、
”こういう子だ! っていうイメージにあう名前”を考えたって……。
ヒノアラシ~バクフーン……落ち着いた子……すっきりした……うん、これです!)」
決まった。あとは宣言するのみ。
「きみの名前は、”嵐(ラン)”です!」
「……はい、マスター」
そういってほほ笑んだラン。力の抜けた、安心しきったような笑みに、気がついた。
ランも、自分と同じだったんだと。
「……えへへ」
「……マスター?」
笑いかける。ほとんど初対面の相手に。それは彼にとって、初めてのことだった。
「……あらあら、すっかり仲良しさんね? じゃあ、このままご主人様の応援に行きましょうか?」
「はい! ランのこと、ちゃんと紹介しないとです!」
そのころハナダジムでは、件の父が意味深な笑みを浮かべていたのである。
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~あとがき~
かなり未来を先取りした話だよ!
登場キャラ達の名前をほぼ隠してるのは気分です。
今回はとりあえずキャラのお披露目回だよ!
どう考えてもうまく書き切れてないんだけど、サバちゃんの特徴をまとめると以下の通り。
・男の娘・天然系・内気・ですますっこ(翠の子みたいな?)・前髪は片目が隠れる程度(もし進化してもこのまま)
・ボーイソプラノ・歌が好き・自分の血を嘗めるのも好き・舐めてる時はすごいエロい・ちっちゃい子
・百合とかBLとか普通に受け入れる子
萌え属性だらけだろ……? これ、昔の俺なんだぜ……?
いっておくとキャラとして使いやすくするためにいじった部分はほんの1、2か所。
まあ、あれです。
ど ん ど ん 好 き に い じ り 倒 し て く だ さ い 。
いくらでも異世界(他作者の作品)につれってっていいよ! でもちゃんと返してね!
以上、なんでこんなに俺はネタに困らないんだ! 730こと吸血の人でした!
最終更新:2009年07月25日 14:16