5スレ>>774


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 メイド長には、破ってはならない鉄の掟がある。





              かの者は完全無欠の給仕なり。
      それは恒久の献身。それは減衰無き忠誠。それは生涯途絶えぬ奉仕。
            それは、死してもなお連なる挺身なり。

            ゆえに汝は、給仕の憧憬となる者なり。

             然るに主君、その存在を忘れたり。

          身に余る栄誉故に、主君との絆、引き裂かれたり。


           献身を滅せよ。忠誠を忘れよ。奉仕を絶えよ。




        そ し て 永 遠 に 、 主 君 を 想 え よ 。




この詩こそ、先祖代々語り継がれてきた、メイド達のリフレイン。


主人に身を捧げるが故に、主人との絆を断ち切る。
馬鹿げた皮肉。狂気の背反。同期しえないはずの表裏。
そう思ってしまうのもわからなくはない。


それでも、主君を想いし頂点へ。資格ある者は茨の山肌を掴んで登る。



「君に、メイド長になってほしいんだ。」



自らの出尽くした血に塗れたとき、見上げた山上からようやく東雲は見える。
蔦は既にもう、深く自身の体に絡みついていて。故に詩の最後にはこう書かれているのだ。





        ―――メイド長は、館の外に出てはいけない―――










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             萌えっ娘もんすたぁ創作SS         
                                    
                                     
                猫娘三名様             
              にゃんこさんめいさま          
                            後編     
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その言葉を、聞き入れてはならない。
心のどこかで、そんな警告を示していたにも関わらず。


「私が・・・メイド長に・・・。」


告白を、反芻してしまった。

いつ開いたか覚えのなかった窓の、カーテンが突然踊る。

頬を撫でる空気は、どこか冷たく。


「君にはきっと、その資格がある。だから決めたんだ。」



           献身を滅せよ。忠誠を忘れよ。奉仕を絶えよ。



終わらない、鉄のリフレイン。
言葉に詰まる。
この不安で、怖くて嬉しくて恥ずかしくて悲しい感情を。

私はどうやって、伝えてきた?


「ペルシアでもない。ニャットでもない。君こそが本当に―――。」


―――!

彼が踏み出した一歩に合わせるように、私は―――半歩下がっていた。


「・・・おや、どうしたんだい?」


また一歩踏み出す。また半歩下がる。
また一歩、また半歩。


まるでワルツを踊るかのような、彼と私の歩調。


「・・・それは本当ですか?」


この上ない、名誉なはずなのに。
はずなのに―――。


ふたりの顔が浮かんだ瞬間、私の身体から、枷のようなものが取れた気がした。


「―――そんなことより・・・何故あなたがここにいるのですか、ごしゅ―――んぐっ!?」


ペルと一緒にいたはずでは?
ようやくそんな簡単な疑問に気づいたわけだが、私の口からは遅すぎて遂に言えなかった。


「かわいい口から出たと思ったら、主人に対して申し開きの言葉か。教育が足りん。」
「~~~~!!~~~っ!」


力強い手に顔の下半分を拘束され、そのまま―――


「ぐっ!―――こほっ、ごほっ・・・」


片手でいとも簡単に、ベッドに組み敷かれた。
上を取られ、重さに任せて首を掴まれる。


「ぅぐ・・・ぁ―――。」
「―――ん?」


何かに気づいたように、彼はそれを、空いている手でつかみ取った。


「・・・へぇ、かわいらしいワンピースだ。」


邪悪な笑みが、浮かぶ。
それを見て、私の全身を冷たい電流が駆け抜けた。


「僕が着せてあげるよ。」


・・・おそらく、私の中の人生で起こった、嫌な鳥肌の立った出来事ベスト3に入るであろう。
結果としておぞましい恐怖と恐ろしい怒りに翻弄され、私の意識は水底から急浮上した。







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アタシの得意技、何か知ってる?


「むごっ・・・・・・!?」
「ね・こ・だ・ま・し・よっ!バーカ!」


ああ、ありえないありえない。
そんなに接吻がお望みなら、アタシの食べ掛けにでもどうぞ。

彼の口に、溶けかけの乗ったコーンをねじ込んで、頬をはっ倒してやった。

そのままきりもみ回転しつつ、地面に吸い込まれるように―――


「!?」


先の会話の次にサプライズだったのがこれ。
例えとかじゃなくて、本当に地面に吸い込まれたのだけれど・・・。


『クク・・・見破られるとは予想外だったよ、しかしウブだね君も。』


                     ・
人の純心を弄んだり、他人のお株を奪ったり、影に潜ったり。いちいち趣味の悪いヤツね。


「で?ひるんだから影に隠れて、何がしたいわけ?」
『焦るなよ・・・。君たちはどうもせっかちでいけない。』


コイツは今君『たち』と言った。
と、いうことはやっぱりマニュもニャットも・・・なるほど。


「私たちを引き離して、孤立させてだましうちをするつもりだった。」


おおかた、それが狙いのようね。


『くく、正解だよ。もっとも、それがわかったところで貴様だけではどうしようもない。』


くやしいけどその通りなのよね。
でも、アンタもそれは一緒でしょ?


「そう、あなた勘違いしてるのね。」


けらけらとおどけて見せる。
余裕たっぷりに、アンタを嘲笑ってあげる。


『勘違いとはまた随分と的外れなことを・・・。』
「え?的を外してるのは、あなたではなくて?」


あーおかしい。バカを見るような目と態度と言葉で、"ちょうはつ"を徹底する。
そうすれば、ね。


『・・・なんだと?』


ほら、引っかかった。


「だーかーら。的を外したのは、あなたなのよ。」
『ぐっ・・・!』


さぁ、あとはなるようになれ。


「私があっさり釣れたことに疑問を持たなかったわけ?バカもここまでくると呆れるわ。
さ、気にせず楽しみましょう。軽く遊んであ・げ・る。」


残念なことに、アンタはアタシの演技を見破れなかったようね。
そんな意味合いを込めて、改めて啖呵を切った。


『・・・焦るな、と言ったであろう?遅かれ早かれ、貴様の首は私がもらう。』


・・・まるで悪者の模範を示しながら、影は消えた。
これでいい。
余計な戦闘を回避できたことには、まず及第点。

そして影の消えた方角。
これ一つを得るためだけの、面倒な芝居も終わり。
これがプラスでようやく満足な点数かしら。

それは十分な情報であった。
向かう先は、ひとつしかない。


「メイドなめんな!」


トップギアから最高速で、向かうは萌えもん屋敷。一直線に!








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状況を整理しましょう。

主を騙った影は、闇から闇へと移りながら動く。


その動きは、速い。
見逃さないように、木々の間をすり抜け、全速力で駆け抜ける。

感じていた影は、三つ。
つまりはペルやマニュも今、同じような状況と対峙していると考えるには容易。


誘い出されたのは、ニャット達を孤立させる為としたら。
一体、何が目的なのか。

そもそも、ニャット達を孤立させる為の誘いだという裏付けは、ない。


    「血が濃ければ濃いほど、高貴であるほど、その本能はより研ぎ澄まされる。
       実に結構。やはり君は、君だけは成功作品だよ。おめでとう。」


    ・・・・・・
やはり、そういうことなのだろうか。

何故ニャットが狙われるのか。
何故ニャット達は主のそばにいられるのか。
何故ニャット達はメイド長候補なのか。


その疑問は、すべてこの一文に集約されている。

高貴な血。
誇り高い系統。

母では資格すら得られず、祖母でも満たしきることはできなかった器。
そして、純度の限りなく高い種として、マールはこの世に産み落とされた。

出会ったのは同じようにして血を捧げる資格を持った、ふたりの猫。
でも、器が受け入れるそれは、ひとつだけ。

・・・はて、何か見えてきたような。


「どちらにせよ、主を探すのが最優先ね。」


魔導書の解は、あなたが握っているのよ、主。
見えてきたその建物を見上げながら、スピードを緩める。


『果たして君に、主を探せるかなぁ?』


指向性のない声に、場所の特定は困難を極める。
それでもニャットは、前だけを見て言い放つ。


「メイドなめんなよ。」








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派手に散らしすぎたわね。
さすがにこれは後で怒られるかしら・・・。


「はっ・・・はぁっ・・・!」
「ぐ・・ぅっ・・・くくく・・・。」


マウントポジションを取られた状態から渾身の膝が入り、
それ以降のラッシュはどう相手を殴ったか憶えてもいない。


「随分と気性の激しい・・・、冷静さに事欠くか。尖兵の器にしか収まらんな。」
「余計なお世話よっ!」


構うものか、そんなこと。
何はともあれ、目の前の敵を赦す気にはなれない。


「ご主人様は・・・どこにいる!」
「言うと・・・思うかい?」


にらみ合い。
打撃も手ごたえはあったが、効いているのかどうかは定かではない。
少なくとも一発二発は的確に急所を狙ったはずではあったが・・・。


「言わせてあげるわ・・・これで。」


床に転がっていた、私の箒。
両手で柄を握りなおし、水平に構える。


「もう一度、聞くわ。ご主人さまは何処?」
「・・・・・・。」
「そう。ならば―――斬る。」


右手を広げる。
握った柄の間から、鈍く光る刀身が姿を現した。


            ・・・
「ふ・・・そうか。ならばまけておくか」
「何・・・!?」


一尺ほど引き抜いたところで、奴の口が開いた。
そのまま、床に溶けるかのように姿を消してゆく。


「面妖な・・・!」


急ぎ振りぬいて、一閃。
私のその一太刀は、空を斬ることとなった。


『探すがいい、主君を。登るがいい、茨の山を。はたしておまえにそれができるか?』


おこがましい。
私を試すような真似をしていいのは、ご主人様ただ一人。

そう、アイツだけ。

今、助けに行くから。そんな気持ちで、仕込み杖の刀身を納めた。


「メイドなめんじゃないわよ!」








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          みんながみんな、それぞれの色の花を持ってるんだ。
       その中から一つ摘めと言われても、そんな特別なことはできないよ。


館の庭園には、今日も種々の花が咲く。
そんな情景を見て、確かに僕はそう言ったんだ。

それは僕の、紛れもない本心。
そうでありたいと、願ったから。


でも、それはあくまで理想だった。



      『おまえの世話をしている三人の中から、一人を選びなさい。』



これが、現実。
受け入れることができない事実。


僕のこころは、それほど弱い。


「ならば、ここはひとつ。」


そんな僕に、ニャットは言った。


「勝負事と洒落こみましょうか。」


ペルが引き剥がした布の下にあったもの。
それは、全自動卓。


「たまーには、息抜きもいいんじゃない?考え込むから疲れるのよ、きっと。」

「だからと言ってこれはあんまりだと私は思ったのですが・・・。座りましょう、ご主人様。」

「主と言えど手加減はしませんよ。25000点の半荘でいいですね?」


突然の出来事に面食らう僕をよそに、着々と準備は整えられていく。


「主は言いました。"選ばない"と。」


そうだ。
それが僕の答えだった。


「だから、あたし達は勝手に決着をつけることにするわ。」


―――僕は、間違ってしまったのか?


「ただ一つ、ご主人様には、伝えなくてはならないことがあります。」


その詩は、終わること無きリフレイン。




        ―――メイド長は、館の外に出てはいけない―――




「ご主人様。」


重苦しい空気と、むせ返るような鉄の臭いがした。


「―――え?」


気がついたら、ゲームは終わっていた。
が、そんなことよりも、この異常な事態に、思考がついていかない。


「勝ちましたよ、私。ペルもニャットもご主人さまもトバせるなんて、今日は運がいいわ。」


そうか、マニュの一人勝ちか。
道理で、負けた二人は卓に突っ伏して大人しいはずだ。


「負けちゃったか。はは、マニュは強いなぁ。」


それじゃぁ、卓を染める真っ赤な液体は、何?


「それでは、お支払です。」


ゆらり、と彼女の身体が椅子から離れた。
・・・お支払?

                        ・・・・・・・・
「あらいけませんねご主人様、お支払の件、ちゃんと聞いていましたか?」


彼女の―――鮮やかな赤に染まった両手が、ゆっくりと・・・得物を抜き放つ。


      ・・・・・・・・・・・
「それとも、聞いていませんでしたか?」
「―――っ!?」


ギラリと、右手の鋼が僕を笑う。
ようやく追いついた思考が捉えたのは、死の恐怖―――。


「きっ、きいてた!聞いてたからっ・・・はぁ・・・はっ!」


呼吸が、乱れる。
痛いぐらいに、跳ね上がって暴れるパルス―――。


「そうですか。では―――」



          リフレインしなさい。私の詩を。



敗者の支払いは、心の臓でもって、これを取引とする―――。
そう言おうとした瞬間、彼女の刃は僕の胸に、食い込んだのであった。





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「・・・ちょっと、聞いてるのマスター?」


呼ばれた声に引き寄せられるかのように、僕の意識は浮上した。


「っ・・・・・・!?」


・・
あの、僕の胸に突き刺さった刃も、彼女の姿もそこにはなかった。
重い鉄の空気はいつの間にか、潮の香りに。

波の音が耳を撫でる。


「せっかく館を抜け出してきたんだから、もっと嬉しそうな顔をしてよね。」


呆れたような笑顔を見せる、ペル。
瞳には、涙を溜めているのに―――彼女は笑っていた。


「そっか・・・。そうだったね。」



         いつかみんなで、勝手気ままに旅をするのもいいよねぇ。
        それでそれでぇ、旅する先でステキな出会いが待っててさぁ。



それは、とても魅力的な提案。
恋する憧憬。
反逆のプラン。


黄昏の海岸で、見つめ合うこと十数秒ほどか。
背中に、彼女の手が回って―――。


「やっと、自由になれたね。」


抱きしめられた。

僕の胸に、彼女の顔が埋まる。


「もう、あなたを縛る鎖はないのよ。」


恋人のように、彼女の鼻先が、くすぐったい愛撫を始める。
胸板を起点に、鎖骨に向かい、肩を超えて、身体はさらに密着する。


「夢みたい。」


耳元でささやくような、彼女の声が心地よかった。
鼻腔をくすぐる、石鹸の香りが、気持よかった。


「でも、解放には、まだ足りない。」


それなのに。
夢見心地な快感は、彼女の一言であっという間に終わってしまった。


「ぐっ・・・ペル・・・っ、く、くるし・・・。」
「あなたという器から解放されなければ、この夢は終わってしまうの。」


彼女の両腕に、徐々に力が入る。
もがこうと暴れることに全力を注ぐが、拘束された僕の身体は、全く動かない。


「はっ・・・う、ぐ・・・ごぼっ!?」


そして蘇ったのは、鉄の臭い。
人の身体とは、これほど脆いのか。
不快な液体が、僕の器官を逆流して口から溢れた。


「もう少し。光が離れるその先に、あたしは待ってるわ―――。」


こぼれ落ちる赤い液体。
最早言葉を紡ぐことも、呼吸することすらも叶わなかった。


「これから始まる旅の先で、ステキな出会いを果たしましょう、あたしたち―――。」






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「・・・・・・ぅ・・・?」


徐々に、意識が戻る。
目をゆっくり開くと、そこは薄暗い無機質な一室であった。

何かの機械が、低い唸りをあげている。
あるいは、周期的な電子音が、時を刻むかのように。
水の中にいるかのような泡の音は、目の前の巨大な試験管のような装置から。


「母体を保管して、優秀な父親のDNAを受け継ぐための研究よ。」


靴音と共に、声がやってきた。
ディスプレイの照明などから漏れ出た光は、彼女を照らし出した。

白衣をまとった、彼女の顔はよく知っている。


「ニャット・・・?」


違和感は、メイド服を着てないからだろうか。
それとも、まるで笑顔を知らないかのような無機質な表情しか見せないからだろうか。


「安心して。ペルもマニュも、そこにいるから。」


指で示された、その先を見た。

黄色い液体で満たされたカプセルが、ふたつ。
体中を管で貫かれた、彼女たちが眠っていた。

信じられない光景。


「意外と冷静?・・・それとも、受け入れられない?」


もちろん、こんな未来は受け入れられない。
でも、どうしてだろうか。

こころも、泣いてない。
悲しみとか、怒りとか、そう言った感情が一切出てこなかった。


「―――それもそうか。感情を振りまいたところで、中のあなたはなにもできない。」


そうか、この音は―――。
そうだよ。
この音は、外にいる者には、聞こえないはずの音。


水の中にいるかのような泡の音。


それは、僕の入っているカプセルの音じゃないか。


「さてと、そろそろ始めましょうか。実験を―――」


黒か白かもわからない、霧のような闇のような光に、頭の中が洗脳された気分。
僕は、どうなってしまったのだろうか。
支離滅裂で、こんなにも心に衝撃を負う光景ばかり―――

・・・だった覚えはあるのに、なにも思い出せない。
どうしてこうなった?
事の発端は?
僕が何をした?


どんなに問いかけても、カプセルの向こうには届かないはずであった。


その、カプセルに、一筋の亀裂が入った。

視界が、揺らぐ―――。


「地震?・・・そう。もう夜が明けるのね。」


何の感慨もなく、ニャットは言い放つ。
突然の揺れにも狼狽の色を見せることもなく。

                ・・・・・・・
「あなたの勝ちか。よかったわね。また逢えるわよ。」


光の本流に呑まれ、崩壊の一途を辿る一室。
僕に向かって、そう言葉を紡ぐ彼女の表情は、どこか微笑んでいるように見えて―――



黎明の光に呑みこまれてゆく僕に向かって―――。
『彼女』は、最後にこう言葉を続けた。




                あなたが見てきた未来。
      それぞれは決してないとは言い切れない、枝分かれした因果の一つ
    でも、それはあなた自身が、招く惨劇でもあり、回避することもできる事象。
   だからこそ、この物語は、あなたが強くあることで、結末の頁を開くことができる。

                 時、見誤ることなかれ。

                因果を、恐れることなかれ。

                歩みを、止めることなかれ。

    あなたにしか咲かせることのできない花が、蕾のままずっと待ち焦がれている。

                     さぁ。

                みらいの希望となるために。




              リフレインしなさい、私達の詩を!







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「!!」


目を、開いた。
何かに呼び出されたような気がして。

徐々に、視界のピントが整えられて、目の前の光景が―――


「ご主人様っ!?」
「主っ!」
「マスタぁー!!」


―――なぜ、この見慣れたみっつの顔触れなのだろうか。


「・・・みんな・・・どうしたの?」


未だに状況の把握できない僕に、三者三様から説明をもらって理解をするのには
かなり長い時間を要した。


「だからぁ、マスターに今朝デートに誘われて・・・」
「部屋の掃除をしてたらご主人様が・・・」
「主のにせものを追ってたらここに・・・」


要所がすべて自分主体の、脈絡のない説明がこんがらがって、混乱した所為でもある。

           ・・・・
要点をまとめると、僕のにせものが現れたらしく。
そいつを追ってきたら、みんなここにたどり着いたということらしい。

"ここ”というのは、館の地下室。
その昔、領民の反逆者や、犯罪者を収容していた牢獄として使われていたという。


「もうね、あたし大活躍だったのよ?マニュの死角カバーしたり、ニャットのフォローしたり。」


ところが、彼女らの話には、肝心な点が抜けていた。


「私の特攻がなかったら、ペルとニャットだけじゃ勝ててなかったじゃない!」


彼女たちの服がところどころ解れているのも。
僕が地下牢の一室で、眠っていたことも。


「誰のおかげで特攻できたんですか?このニャットのけん制と陽動のお陰でしょう。」


     ・・ ・・・・・
一体全体、誰が、何のために、こんなことを仕組んだのだろう?


「ふむ、お主ら自重せい。君主が困っているのではないか?」


―――そんなことを考えていると、姦しい喧騒の中を貫く、静かな威厳のある声。
道を空けるように側に控えた猫娘達の間から、その姿を見ることができた。


「よい。素直でよき娘達。面を上げなさい。」


今まであーでもないこーでもないと騒ぎ立てていた猫娘たちが、信じられない変貌ぶりである。
彼女の一声で、まるで王の御前かのように大人しくなった。


「あ・・・あなたは?」


思わず僕まで畏まりそうになったが、彼女の服装は紛れもなく、メイドのそれ。


「お初にお目にかかります、若君殿。エネコロロのコロネ・エーコと申します。」


そう言うと彼女―――コロネは、僕に向かい恭しく頭を垂れる。
またひとつ、パズルのピースがはまった気がした。


「まさか、あなたが―――」
「その通りでございます、ご主人様。」


僕の答えを見透かしたかのように、側にいたマニュが口を開く。


「こちらの者は、あたし達メイドを総括する、メイドの頂点。」
「コロネ・エーコ―――現・メイド長にございます、主様。」


        ・・・・・・・・
君主の前に本来、現れるはずのない、メイド長の出現。
それによって、僕の知りたい真実は、より手の届くところまで近づいた。


「僭越ながら、今回の事件のすべてについて、報告させていただきたく参じました故。」


それを掴んだとき、はたして僕は何を思うのだろうか。





                                 後編・終




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【あとがき】

本作品のご愛読、誠にありがとうございます。
本編はこれにて終了で、次回へと続ry
これより先は、作品本編のネタばれ・メタ発言を含ry



その点をご理解頂いて、お読ry
皆様のご理解に感謝ry


此度は「猫ry









     -------------------------------------------------------






P「暴れ足りない。」

B「・・・はぁ。」

P「ねぇ、戦闘シーンいつ来るわけ?全部カットカットカットォォォォ!されてるじゃないの!」

B「時系列の順序をわかりづらくしてるのね。
 まぁ時にはそういう描写も読者を惹きつけるとは思うけど、今度ばかりは粗末ね。」

P「にゃーっ!!あたしたちが一番活躍するところ切り取っちゃってどうすんのよ!!」

B「落ち着きなさいメス猫。」

P「あんたもメス猫っ!」

B「お願いだから落ち着いて。重病患者がこれ以上増えてくれても困るの。」

P「はぁ・・・?何言って・・・」

B「ん(指差し)」

M「(前略)べ、べつにあんな風にされたいとか思ってないんだから!
 『かわいいワンピースだね、僕が着せてあげるよ。』な、ななななんて、言われたいなんて
 思ってないしっ!そもそも偽物なんかに言われてもキモいだけよ!ああもうっムカつくっ!
 ・・・け、けどまぁ、アイツに言われるんだったら悪くも・・・って、べ、べつに(後略)
 (以下無限ループ)」

P「・・・新しい芸ね。」

B「ニャットは前回同じような症状に陥った患者さんを知っているのです。(チラッ」

P「目を逸らす)・・・どうすれば治るんですか先生?」

B「ばくれつパンチね。彼女の場合効果4倍よ。」

P「覚えられないわよそんなの・・・。」



―――どんだけメイドに命かけてんだよ。



P「・・・?」

B「? ・・・ああ、そういうこと。」

P「どういうこと?」

B「人間の方たちには理解できない感性を、我々もんすたぁは持ってるってこと。」

P「・・・え、えっと?」

B「はぁ・・・。本来もんすたぁ達は人間に『使役される』ことに名誉とか生きがいを持つ感性を
 備え持ってるのが本質なのよ。野生のコもそういった潜在的な性質をもっているからこそ、
 人間に捕獲されたところで特に反感を持たないのが普通なのよ。但し、中には例外として
 非常に『なつきにくい』個体や、人間側の取り決めで『自然を残す』一環として野生の乱獲は
 禁止しているのよ。」

P「ふーん、そうなんだ。」

B「そういった『使役する』能力に長けた人間はトレーナーと呼ばれ、
 『自然を残す』ようにトレーナー達に呼びかけ監視する人間はレンジャーって呼ばれてるわ。」

P「マスターはどうなのかしら?」

B「主もトレーナーの一人ってことになるわね。
 広義にはこの館のもんすたぁ達全てのトレーナーってことになるだろうし、
 狭義ではニャット達三人のトレーナーってことになるわね。」

P「なるほどなるほどぉ。」

B「こうした性質面の議論から、我々メイドは『使役される者』として最高級の名誉、
 メイド長に任命されることに、この上ない喜びを得るわけです。
 ・・・たとえそれがどのような苦悶であっても。」

P「言われてみれば、マスターのお世話したいなーとか、自主的に動くことが無意識下で
 働いている節はあるわね・・・。」

B「そういうわけなので、トレーナーとなる人間は、面白い性質を兼ね揃えます。」

P「面白い性質?」

B「もんすたぁ達に、モテまくるわけ。」

P「あぁー・・・なるほど。」

M「もっ・・・もうっ!そんなに褒められても何も出ないわよ!で・・・でもアンタがry」

B「乙女心をちょっと刺激されただけで、このような症状が出ます。」

P「そろそろこのコこっちに引き戻さないと、手遅れにならない?」

B「それもそうね。おいいい加減戻ってこい発情期(バシッ」

M「ひにゃ!?・・・・・・ちょ、痛いじゃない何すんのよ!」

P「もう例のコーナー始まっちゃってるわよ。」

M「えっ・・・?やだ、もう本編?」

B「・・・その認識は改めていただきたい問題だと、筆者は泣くでしょうね。」



―――結局三人ともメイド長にはならんの?



B「それはないんじゃないでしょうか。」

P「どうして?」

B「ひとつに、メイド長を選任しない理由がないこと。
 ひとつに、メイド長を選任する理由があること。」

M「それ、説明にすらならないわね。」

B「しょうがないじゃない、ED本編までしゃべっちゃいけない内容なんだもの。
 前者は、今のところ主の意向でもあるんだけど、それは願望であって、実際には許されない。」

M「どうして許されないのかっていうのも・・・?」

B「そうね、EDまで待ってね、ってこと。」

P「結局秘密なわけね・・・今の時点では。」

B「そうね。・・・でも本編ではメイド長が選任されるところまで書くかどうかわからないから、
 "このお話では"結局三人ともメイド長にはならない、という解釈は正解かもしれない。」

M「どちらにせよこれが、最大の論点になることは間違いなさそうね。」

P「マスターって、結構焦らすの好きね・・・。」

B「単に優柔不断なだけじゃないかしら。」



―――マニューラってねこじゃなくてかぎづm



M「おいやめろ馬鹿。
 この話題は早くも終了ですね。」

P「さんをつけろよデコスケ野郎!」

B「筆者も馬鹿よね・・・気がつかないとか(笑)」

P「まぁ待って待って。ヒトの姿かたちに似ているあたし達がどうであろうと、
 結局は猫『娘』なわけだから、猫っぽくてもそれには該当するわよ。」

M「メイド長はどうなるんですか?猫なのに進化したら『おすまし萌えもん』
 分類なんて第一の特徴が採用されるだけじゃない。だから私は紛れもないネコよ!」

B「そうだとしてもマニュが猫に分類されるかどうかは論理的に確定しません。
 見ろ、見事なカウンターで返した。」

P「 完 全 論 破 」

M「・・・。
 これで勝ったと思うなよ。」

E「もう勝負ついてるわ。」

P「ちょ、メイド長・・・こっちにいらしていたんですか?」



―――メイド長のことについて教えてください。



E「此度において、かような質問が想定されていたから待機しておったのだぞ。」

M「・・・左様でございましたか。」

E「よい。こんな楽屋裏まで上下関係を持ち込まれても肩が凝るだけよ。
 普通にしてよい。」

P「メイド長のことと言われても、何をどう答えればいいのかしら。」

E「ふむ。単に肩書きのことを指しているのか、それとも我のことを訊いているのか。
 まぁよい、双方について答えるとしようか。」

B「メイド長とはこの館のすべてのメイドを取り仕切るメイドのことね。
 選定基準は主の裁量で、すべてのメイドに対してその可能性はあるわ。
 但し、より優秀な能力を持った者でなければ真の資格を得ることはできず、
 また選定されたとしてもメイドの規範から逸脱した行為を強行した場合その資格は剥奪。」

E「うむ。故に我は常にメイドの規範であり常にメイドの憧憬であり常に完璧なメイドであるぞ。」

B「補足すると自信家なのが玉にキズ。」

M「背丈はニャット以下なあたりはメイドの憧憬ではない。」

P「ついでにおっぱいのほうはマニュ以下で完璧な絶壁。」

E「さて、誰から再教育を施してやろうか(ビキビキ」

PMB「調子こいてすいまえんでした;」



―――三人はいつ進化したのですか?



P「いつだったかしら?」

B「さぁ。」

E「まさか覚えてないとは・・・。」

M「私は覚えてます。たしかご主人様が子供のころ、私たち四人で一緒に寝た日の翌朝でした。」

P「ああ、そんなこともあったわね。」

B「マニュが一人でおしっこ行けないこわいって喚いてた時の話ですか。」

M「っ!!だ、誰がそんなことっ!!」

E「いや、合ってるぞ?」

M「なんてこった!?」

E「それでお前が『幽霊こわい』って若の寝室に飛び込んだと伺っておる。
 なかなかお前が泣きやまないから若が『じゃぁ四人で寝よう』って提案したのが発端ぞ。」

B「おお、こわいこわい。幽霊こわーい(笑)」

M「~~~っ!あ、アンタまた馬鹿にしてっ」

*「はいはい、そこまで。」

M「むぎゅっ!・・・だ、誰?」

E「あら、若様。」
P「マスター!?」
B「主・・・」

*「子供のころの話でしょ?笑って流さないと。」

M「う、ううう・・・!」

*「ニャットもあまりからかいすぎちゃダメだよ。」

B「申し訳ありません。可愛さ見たさに。」

P「っていうかマスター・・・」

*「ん?」

P「名前のところ、アスタリスクになってま・・・wwwwぷぷwwwwww」

E「まさかの村人wwwwwwwふくwwwwwwwふくのじゃwwwwwww」

*「や・・・だってしょうがないじゃないか!」



―――主人公の名前出てなくない?



*「・・・これだもの。」

B「だったらHEROの『H』とかでいいんじゃないでしょうか。」

*「それじゃぁ逆に『H』って何のイニシャル?って思わせちゃうでしょ!」

P「『ERO』の間違いじゃない?」

*「人を煩悩の塊みたいに言わないで・・・。」

E「急ににぎやかになったの。やはりお主もここに呼んだのは正解だったな。」

*「そんなに収拾ついてなかったんですかここ・・・。」

E「単にツッコミ役が決まってなかっただけじゃ。」

P「マニュはいじられ役だしねー。」

M「なんでこんなに不憫な扱いなのかしら、私って・・・。」

*「コントじゃないんだからさ・・・。この緊張感のなさはどうなのよ。」

E「まぁそう腐るでない。
 主役のお主が次回の予告を立てるというのも、また乙というものじゃろう。」

*「は、はぁ・・・まぁそういうことなら・・・。」

P「あぁーっと!!もうこんな時間になっちゃいましたにゃ!(グイッ」

*「おわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・(フェードアウト」

B「さて、次回は遂にエンディング。これをもって、本編は完結。」

P「果たして、この館に隠された真実とは?」

B「そして、ニャット達の戦いの顛末は?」

P「次回っ!『猫娘三名様 ED』に、こうご期待!」

B「残すはEDだけなので、次回予告はなし。」

P「今度の今度こそ、本当に完結よーっ!」

B「もうあとわずかと考えると、また感慨深いものがありますけどね。」

*「うぐ・・・なんか僕の役割安定してなくないかな・・・。」

P「いつもマスターが出しゃばってるんだからいいでしょ!こっちぐらい主役はりたいわよ!」

B「いつもおいしい思いしてるわけじゃないですか。我慢してください。」

*「・・・この不条理さ、どうリアクションを取ったらいいのでしょう。」

M「私って不憫ね・・・(遠い目」

E「・・・まだまだ未熟じゃの。若い衆は。」







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               ―猫娘三名様・ED―



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