5スレ>>784


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「……そうか、お前ずっとここにいたのか。」

 そう言って……。

――――――

 誰も彼もが生き急ぎ、全ての人間が時間に縛られている現代にあって、ゆったりと謳歌している者は少数だろう。
 しかしこの日は休日、国の定めた祝日。
 ありとあらゆる人が休日を思い思いの過ごし方で謳歌する日。
 その中でもやはり仕事に従事し学業に専念する者もいるだろうが、今回はその人達を除外しよう。
 なぜって? 今日はある人物の休みの過ごし方を追いかけるストーリーだから。
 このストーリーの主人公はとある施設の、とある業務に毎日勤しむ勤勉……。
 な、訳は無い、なぜなら年がら年中休みのような人物だからである。

――――――

「……休み?」

 知らなかったのは無理も無い、今朝決まった事であり“リーグ”の方も想定外の事態なのだ。

 『チャンピオンロード入り口が崩れた。』

 どこかの誰かがやったのか、天災なのか、知る者はいないがなったのだから仕方ない。

「四天王の皆さんも許諾しました、後はチャンピオンである貴方の許可さえ出れば復旧まで休暇となります。」

 チャンピオンリーグ入り口受付員、普段はロードの入り口で挑戦者のバッジを確認するだけの仕事をしている者だ。

 ――不意に“彼”のトレードマークである『煙草』から紫煙が昇る。

 静かに、それでいて慣れた仕草で吸い込んだ紫煙は、彼の頭上に消えていく。

「……勝手にしろ、こっちは構わない。」

 いつもなら隣にいる九尾の狐、彼女はここにはいない、ここと言っても挑戦者準備室であるセンターなのだが。

 投げつけるようなその台詞を後に残し彼はまた戻っていく……。
 夕焼けよりも夜の帳が似合うその姿は、正しくチャンピオンに相応しい風格を備えていた。

――いつの日か私も……。

 そう、心に決め彼の背に憧憬の眼差しを向ける。
 受付員であるこの人もまた駆け出しのトレーナーである、チャンピオンへの憧れは強いだろう。

 ただひとつを除外して。 

 チャンピオンの背に映える可愛い巨大な狐のプリントを除いて……。

――――――

「休みぃ? 休みったって普段と変わらないわ。」

 当然だ、彼女が住まうのはチャンピオンルームにある巨大なログハウスなのだから。

「……開店休業なのは認める。」

 事実である。
 チャレンジャーがいつも引っ切り無しに来るわけではない。
 故に挑戦者のいない日は常に休みであるし、四天王に負けて帰って行く者も少なからずいるのだから。

――……でもな、油揚げ食って寝るだけだと太る……。

 心に留めたこの台詞を口にしたが最後、このログハウスは塵になるのだろう。

「……買い物、行かないか?」

 空気が凍りつく、静かな空間になった、何もかもが停止し塵のひとつ、分子のひとつまでが停止したかのよう。

「…………」

 なぜか、と言うと。
 彼は今まで買い物などした事は無い、無いと言ったら無い。
 メイドのようなハピナスがいるお陰で、リーグから配給される物資もあり自ら足を伸ばす必要が無いのだ。
 こんな誘いは恐らく二人旅をしていた時以来であろう。

「……おい?」

 この狐、実を言えばとんでもない妄想家である。

 買い物⇒デート⇒……

 と、ありとあらゆる妄想が脳内を駆け巡り声をかけられている事に気付いていないのだ。

「……また、か。」

 もはや慣れているのであるからして首根っこを掴んでバイクのサイドカーに乗せる事は苦にならないのであろう。
 凍ったままの狐を連れてバイクで走り出す紫煙……。

 しかし、ハピナスに声をかけ忘れたのに気付いたのは、帰りがけに寄ったラーメン屋にて、である。

――――――

 いない、リビングにも自室にも書斎にもお風呂にもベランダにも地下室にも受付にもいない。
 ハピナスがそう気付いたのは珍しく寝過した休日の昼だった。

「どこへ……? それ以前になぜ私だけ残して……」

 一人シリアスを気取っているが、残念な事に今回はシリアス回ではない、諦めたまえ。

「……朝ごはんにしましょう、それから考えても遅くないはず。」

 本編で一切触れていないのだが、このハピナス、かなりのマイペース。
 だからこそ、今回のが成り立つのであるが……。

――――――

「……はっ?!」

 そのハピナスがやっと主題に戻る事が出来たのは、およそ3時間後、1時過ぎの事だった。

「私は何を寛いでいるんですか、暢気に紅茶を飲んでケーキ食べて……もう一個くらい大丈夫ですよね。」

 問題など、忘れるに限る。

 こう言ったのはハピナスの師であるメイド長であった教育係のヤドラン。
 染み付いた癖は抜けるものでなく、彼女の習性はおよそメイドに相応しくない自己中だったりもする。

――――――

 午後の麗らかな日差しの中で読書をしながら日光浴、なんて優雅なひと時であろうか。

「―――だぁから和んでる場合じゃないですって!」

 本を床に叩き付け……るのだろう、普通なら。
 だが彼女の性格だと自分の所持品を傷つける事は出来ない。
 何しろ自分の物は大切にするのである、他人のは知らないが。
 ……一応雇い主であるチャンピオンと九尾の狐の所持品は大切にする、一応。

「そうですよ、とりあえず探しに行かなきゃ。」

 言って始める身支度で、気付けば夕方になる、いつもの事であった。
 普段の買い物の時にはこうならない、何故なら朝早く起きて最初から身支度を整えておくから。
 今日はなんと、未だにパジャマである、シンプルだが可愛いデザインのピンクパジャマである。

 まぁ、要するに……出かけられるのは夕方になってしまったのだ。

――――――

「あら、いないわ。」

 帰ってきた狐の一言である。
 食べかけのケーキと窓際の文庫本、まるでつい先ほどまでそこに居たかのような様子であるのだが……。

「……土産……。」

 紫煙の手にあるのは温かい肉まん、声をかけ忘れた謝罪の意を込めた品なのだろうか?
 ……そんな殊勝なはずは無い、ただの夕飯である。

「居ないなら仕方ない、食べちゃいましょう。」

 この家に他の者を思いやる存在などは居ない、一人も。

――――――

「ここは何処ですか……。」

 方向音痴ではない、暗さと相まって山奥の複雑な道に迷った。

「何でこんな寒いんですか……、まだ10月なのに。」

 今年は台風少なかったからな、寒くなるのも早い。

「そんな事はいいんです、お家はどっちですか……。」

 判れば迷ってないと思う。

「お腹も空きました……。」

 最後に食べたのがケーキだからだな。

「何でこんな時に限って道具を置いてきてしまったのかしら。」

 基本的にドジ設定になってるからな、ちなみに今回からの設定。

「酷いものです……。」

 仕方ないだろ、リメイクなんだから。

「メイドと在ろう者が山奥で遭難……、惨めな……。」

「あれ……、この焼け野原は……まさかここは白銀山ですか……。」

「さっきまで勝手に喋ってたのにいきなり黙らないでくださいよ。」

「……まさか投げっぱなしですか? オチも無いんですか?」

「はぁ……、もう誰でもいいから助けてー!」

――――――

 響き渡る悲鳴、それに気付いた人はいたのだろうか? 
 彼女が救出されたのは2日後、白銀山の麓にある雪に埋もれて冬眠寸前の所を助け出された。

 ……どうだったろうか、これが彼らの休日である。
 そしてこれはまだ『マシ』な休日、普段ならもっと……おや、誰かが来たようです。
 では、この辺りでお別れと参りましょう……。

――――――











――――――――――
 (あとがき)
 作者抹殺会跡地

――――――――――

作者代理のハピナスです
作者は寝てます、えぇ、寝てますよ

今回は……リハビリだとか
次の筆はいつ向くのか定かではありませんが
気が向いた時に筆も向くのでしょうね

それより今回の扱いは酷かった
私が何をしたって……
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