とある町に化石萌えもんを愛する者がいた
彼はその萌えもん達を慈しみ、そして我が子のように育てた
彼は幸せだった、彼の萌えもん達も幸せだった
しかしそんな生活も悪意を持った他者によって終わりを告げることとなる
突然の火災、彼と彼の萌えもん達の館を瞬く間も無く火が襲いかかった
彼はとにかく萌えもん達を救おうと必死になって彼の萌えもん達を館から逃がした
しかし放火をした者達は彼の努力をあざ笑うかの如く家から出てきた萌えもん達を攫っていった
彼は財産も家も自分の萌えもんすらも失った
失意のままに放浪する彼の前に一人の男が現れた
貴様のものだろう、返してやる、と男は彼に萌えもんを渡した
それは彼の萌えもんの一匹、リリーラであった
彼は男に問う、どこでこの子を見つけたのかと
男は答えた、裏マーケットで見つけたと
そして男は言葉を続ける、お前の萌えもんを奪ったのは世間のトレーナーどもだ、と
お前が珍しい化石萌えもん達をたくさん持っていると知った連中がお前の館に火をつけ奪っていったのだと
そして大多数を売り捌いた事を、リリーラはその内の一匹であると
全てを知った彼はさらに絶望し、そして恨みました。世の中を、心無きトレーナー達を
男は彼に問いました、世の中が憎いか、トレーナー達が憎いかと
彼は頷きました
ならば俺と共に来い、俺たちはロケット団、世界を支配する為の組織だ、と男は手を彼に差し出しました
彼は迷わずその手を取りました
そして彼はロケット団に入り、世の中に対する復讐を誓った……
『R』Story~化石に愛された男~
プロローグ
「……むっ……夢……か」
どうやら寝てしまっていたらしい。
気付けば車内の後部座席。
外を見ればどうやらそろそろタマムシに到着するか、といったところのようだ。
「あぁ、すいませんレイド様、起こしてしまいましたか?」
運転する団員が声をかけてきた。
「いや、寝てしまった私が悪いのだ」
そうですか、と団員は再び運転に集中したようだ。
まさか昔の夢をまた見るとは思わなかったな……
炎の中自分の萌えもん達を救おうとただがむしゃらに外に逃がした。
そして外に出ればそこには誰一人としていなかった。
後ろで焼け落ちる自分の館、何もかも失った絶望感。
今思い出すだけでも自分の心が軋む。
だがしかしその犯人と今の私は何ら変わらない。
こうして同じように萌えもん達を売り捌いたりしているのだから……
手持ちのボール3つを見る。
カブトプス、ノクタス、そしてユレイドル、皆どうやら寝ているようだ。
3匹とも元々私の館にいた萌えもん達だ。
結局まだ5匹しか見つけられていない。
他の者たちがどうなったのか、未だ知ることは叶わない。
「レイド様、到着しました」
「御苦労、ゆっくり休めよ」
車から降り、地下駐車場に立つ。
タマムシ地下に存在するロケット団本部の駐車場である。
待っていろ、必ずお前たちは取り戻してやる……
世の中への復讐、そして自分の萌えもん達を探し出して保護する事。
昔自らに誓ったこの二つの目的を再び胸にしまい、私は本部の入り口に歩いた。
この誓いある限り、私は前に進めるのだと信じて………………
最終更新:2009年10月16日 15:10