※微エロ注意?
「トリック・オア・トリート!」
居間でくつろいでいるリリュ君に向けて飛びついてみる。
「はい・・・・・・?」
最初は何のことか分かっていなかったようだけど、すぐに思い当たったらしく、
「ああ・・・・・・もうそんな時期だったか。
残念ながら用意してるわけないぞ? たった今まで忘れてたんだから」
「ぐぅ・・・・・・」
一刀両断。それはもう、見事なまでにばっさりと。
「う・・・・・・うぅ・・・・・・」
あまりのつれなさについむきになってしまう自分が居た。
ここは、もう・・・・・・
「・・・・・・お菓子くれなきゃいたずらするぞ」
三十六計拗ねるに限る。
「リリュ君が寝てる間にいたずらしに行っちゃうぞ・・・・・・布団の中でごそごそ色々やっちゃうぞ・・・・・・」
さすがにこれは効果があっただろうと若干期待を込めて目を向けると、
「出来るもんならやってみろよ姉さん。 ただし家に被害が出るのは勘弁な」
いつもの鉄壁発動。まともに対応する気すらないらしい。
・・・・・・反応するどころかずっとテレビから目を離さないし・・・・・・
「というか、俺にねだるんじゃなく仮装して外行ってこいよ。
まだそのほうが確実性あるだろ?」
あの爺ならほぼ確実に釣れる、と言っていた。
別にお菓子が欲しいわけじゃ・・・・・・まぁいいや。
「じゃあ、着替えてくる・・・・・・」
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ワイシャツをベースに、赤地のネクタイを締め、黒いスカートに黒いベスト。
さらに近づけるため、黒いビニールを自分の羽に巻いていく。
いつもの髪飾りの代わりに悪魔の羽を思わせる髪飾りをつけて、完成。
「ねぇねぇ、どう? リリュ君。小悪魔っぽくしてみたんだけど」
「・・・・・・小悪魔っちゃあ小悪魔だけどさ、どこの図書館司書だよと。
それにしても、なんでそんな飾りがあるんだ・・・・・・?」
「あるからあるの。
・・・・・・あれ?リリュ君は来ないの?」
居間から出ようとしたとき、ソファから動く気配がしない人を見て言う。
「ん?あぁ、俺は行かねぇよ? もうそんな歳じゃないし。
姉さんだけで楽しんでこいよ」
言外に含められた言葉が感じ取れる。確実に動く気は無いのだろう。
「・・・・・・・・・・・・」
むりやりにでも、動かしてみせる。
右腕を振り上げると共に
ズダンズダンズダンッ!
幻の銃声が響き、
「あ、あが、あがああああああああああ!!!」
頭を抱え、絶叫するリリュ君。
たっぷり20秒は頭を締め付けただろうか。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・脳みそが、脳みそが・・・・・・・・・・・・」
仰向けに倒れてピクピク痙攣している。せっかくの行事を蔑ろにするからだ。
「いくら機嫌悪いからって・・・・・・"じんつうりき"は使うなと・・・・・・あれほど・・・・・・」
「いつも避けてるのに何言ってるの。ほら早く着替える!」
「無理ですってお姉さま・・・・・・頭かき混ぜられた直後に動ける人間なんt「もう一回ぐちゃぐちゃにして欲しいの?」
そうやって脅すと素直に起き上がった。
鬼だ・・・・・・人をなんだと思ってやがる・・・・・・だと聞こえてきたが気にしない。
歩くどころか立つことさえつらそうだったがそんなのは知らない。
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マサラの中では皆さんからお菓子を戴いたので、トキワシティに遠征中。
リリュ君はというと、家に居たときと殆ど変わらず、増えたものといえば黒のパーカーのみ。仮装も何もあったもんじゃない。
「トリック・オア・トリート!」
挙句、コールするのはわたしだけという始末。どれだけ面倒なんだ。
トキワでも結構な数をもらえたので、引き上げる。
こういった形でリリュ君と外出する機会はあまり無いので正直帰るのがもったいない。
「よくこんな数集めたな・・・・・・」
リリュ君の手には中くらいの袋ひとつほどお菓子が詰まっている。
「えへへ~・・・・・・結構やるでしょ」「褒めてない。どんだけ食い意地張ってるんだって話だ」
・・・・・・女の子に対して食い意地とか酷いと思うんだ。ぐすっ。
一気にテンションが下がったまま、家に帰り、食卓の上に袋を置く。
「・・・・・・さて、食うか」
集まったお菓子は本当に様々。ごく普通の飴やチョコレートから始まり、柚子の皮スナックや羊羹一本(!)を経て、
・・・・・・なにやら精力がつきそうなお菓子?まで。これ、リリュ君に食べさせたらどうなるんだろう。
そして、そのままもそもそと食べることになった。
でもなんか足りないし・・・・・・いつもじゃ出来ないあれ、やってみよう。
「リリュ君・・・・・・食べさせて」
意を決して、甘えてみる。
「は? 何言ってんだ姉さん」
問答無用で切られた。でも引き下がるものか。
「指についたりとかで服を汚したくないの!」「洗えよ」
「服が濡れるから嫌なの!」「洗濯するって」
「断ったらリリュ君の脳みそかき混ぜるの!」「謹んでお受けさせて戴きます、お姉様」
よし、通った。
目を閉じて、んっ、と口を軽く突き出す。
傍から見ればキスを催促しているような格好、絶対に外でするはずが無い。
はーっ、とため息をつく音が聞こえた後、なにやら硬くて太い棒状のものが口の中に入ってきた。
「どうだ、姉さん」
「んっ・・・・・・ひょっほひあうれ・・・・・・おいひい・・・・・・」
口を大きく開けても、かなり辛い大きさ。
必死になって、舐め取る。
「はむっ、んっ、じゅるっ、んちゅっ、んんっ・・・・・・」
「姉さん・・・・・・そんながっつかなくても・・・・・・
お、おい、そんなにしたら・・・・・・っ!」
「んぅっ!・・・・・・なんかでたぁ・・・・・・!」
どろりとした液が口いっぱいに広がり、端から漏れてしまう。
「ん~~・・・・・・!」
「あーあー・・・・・・結局汚れたじゃねーか・・・・・・どうすんだよ・・・・・・」
リリュ君が慌てて拭き取っていく。
「はぁ・・・・・・こりゃクリーニングしないと落ちないぞ、ったく・・・・・・」
「ごめん・・・・・・」
既に染み込んでしまったベストを脱がされ、ため息。
「にしても、なんであんなものが製品化されてるんだろうな」
リリュ君の視線の先には、さっき食べさせてもらったお菓子の袋。
『大○の小枝"期間限定かぼちゃミルク入り!"』
・・・・・・まさかミルクがそのまま入ってるとは思わなかった。
「・・・・・・いや、俺は知ってたんだけどな?」
「・・・・・・なんで言ってくれなかったの」
「姉さん必死に舐めてたから言うに言えなかったんだよ!
注意もしたはずなのにな・・・・・・」
「うぅ・・・・・・」
「まぁ、やったものは仕方ない。
・・・・・・飯は軽めでいいな?」
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どうやらリリュ君もハロウィンの存在を覚えていたらしく、軽め――本当に軽め――の食事が置いてある食卓の中心には、やたら凝っているジャック-O-ランタン。
どう見ても、前々から作ってあったと言わんばかりの精度。
「ねぇリリュ君、これって「なんでもない」
「でもこんなに手の込んだ「なんでもない」
・・・・・・これ以上追求するのはやめてあげよう。
面白いが、胃袋をおさえられるのと天秤にかけるとやはりリスクが目立つ。
・・・・・・そして、大事なことを忘れていた。
「ところでさ~、リリュ君。
さっきも言ったけどいたずらするぞ」
対するリリュ君は、
「だから俺も言ったとおりしたけりゃ勝手にしろと、ただし家に被害は出すな」
「む~・・・・・・」
「分かったようだから寝る。おやすみ」
手をひらひらさせながら去っていってしまう。
た、確かにああまで言われたらどうしようもない・・・・・・
被害を出す気は毛頭無いが、それでも自分を近づけさせない何かがあった。
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「・・・・・・な~んて、そんな簡単に折れるわけないもんね~♪」
忍び足どころか、音を立てないように緩やかに飛行する。
つまり、物理的に地に足が着いていない。
「もうすぐ・・・・・・もうすぐ・・・・・・
いやいや焦っちゃだめよわたし、気付かれないように・・・・・・」
目標まで3メートル、2メートル、1メートル、ドアノブに手をかけ、そして・・・・・・
抱き枕によってカモフラージュされたベッドに気付くまで、もう少し。
fin
あとがき的な言い訳
あ、ありのまま起こったことを話すぜ・・・・・・
『電波を受信するままに書いていったら話がだんだんおかしな方向にシフトしていった』
何を言っているのか(ry
もうハロウィン関係するかどうか危ういよね。
というか毎回こんな感じだよね。反省も後悔もしている。
これ以上あとがき書けないよ・・・・・・
それでは、これにて。
最終更新:2009年11月05日 18:51