5スレ>>793-1


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トキワの森。ニビへと向かうためには、基本的にはこの森を抜けなくてはならない。
逆に言えば、森の中は数え切れないほどの人が通った道があるので、遭難なんてことは滅多に無い。
…従業員探しの旅、1日目。調理アチャモと会計エアームドを連れ、目指すはニビシティ。

「しかしいつ来ても…トキワの森は暗いもんだね。別に僕に乗ればひとっ飛びでニビにたどり着けるのに」
「クリム…ああ、二人とも知らないだろうけど僕の友達で旅の師匠ね。
 彼が『とりあえず行ったことない場所はできるだけ歩いて行ってみるのがいい』って言ってたから」
「オーナーのお友達は旅慣れしてるんですねっ!」
「みたいだね、カントーとナナシマ一周したり、ホウエンやシンオウにも何度か行ってるみたいだし」

草むらをかきわけかきわけ、かれこれもうすぐ1時間。
もうそろそろニビも見える頃だろう。虫タイプの萌えもんはエアームドとアチャモが全て追い払ってくれているし、
今のところ旅は順調。

「それでさぁ、オーナー。最終的に従業員はどれくらい集めるの?」
「あー…あんまり考えてないなぁ…多ければいいってものでもないし、とりあえず集まるだけ…」
「アバウトだなぁ…店の写真は見せてもらったけど、この大きさなら6人でいいんじゃない?」
「じゃあそれで行こう。ちょうどトレーナー規定にもぴったりで―――あ、見えてきたよ」



夕暮れのニビシティ。
赤い斜陽の差し込む萌えもんセンターで、レンタルしたPCを操作する。
でもトレーナー登録って便利だね、タダで部屋借りれるなんて。

「あ―疲れた…」
「つかれましたー」
「…いや、高々マサラからニビ、4時間歩いてないじゃない。
 今後もっと歩くんだろうからこれで疲れててホントに大丈夫なの?」
「それはそうだけど…まぁ、そのうち慣れるよ」

あんまり遠くまで歩いた事もないし、そこは仕方がない。
別にこの旅には制限時間もない事だし、焦らずじっくり進んでもいいんだ。

「…でも、夜になる前にやることはやろうか。トキワじゃ消耗品はそんなに買ってないから、
 ここでなるべく揃えたいな」
「薬や食料品、水とかだね。野宿用の装備はあるの?」
「一応寝袋とタープ、後はランタンくらいかな…そうそう使う事もないだろうけど…」

ホウエンやシンオウに比べて、カントーは狭く、また人口が多いので野宿する事も少ない。
しかし、旅と旅行は似ているようで異なる。野宿することが少ないという事は、その可能性が0ではないという事なのだ。

「とりあえず、日が沈むまでには済ませたいし…分担しよう。
 アチャモとエアームドは食料品。僕はフレンドリィショップで薬や穴抜けのヒモを買ってくる。
 終わったらこっちに帰ってくること」
「はーい!」
「ん、了解」



ショップに入る。フレンドリィショップは所謂ドラッグストアに近いのだけれど、
実は結構いろんなものを売っている。トレーナーなら絶対に利用する店だ。

「えーと、これとこれとこれ…」

だいたい鞄に入れられる薬の量は限られているので、無駄遣いをなるべく避ける。
そうでなくても、他にもいろいろなものが入ってるし。茶葉とか豆とかカップとか。

「んー…あっちは大丈夫かな」

傷薬、毒消し、穴抜けの紐、虫よけスプレー。ひと通り買い込んでから、
二人の様子を見に行くことに…あ。
…しまった、二人がどこに行くのか聞いていなかった。

「…センターで待ってるか」





「オーナー、ただいま帰りました―!」
「ただいまっと。とりあえず言われたとおり3人分を4日分買ってきたよ。
 一応、万一のことがあった時のために多めに買ってあるから」
「お疲れ様。…お金足りたの?」

買物の量を見ながら聞いてみると、エアームドは若干誇らしげに釣銭を机に置いた。

「3か所回って安いものから順番に揃えてきた。
 だいぶ予定より安くすんだよ」
「………………」
「何さ?」
「いや、なんというか…頼もしい会計担当だなぁって」
「ま、やるからにはできる限りの事はやってみせるからね。
 せいぜいちゃんと引っ張ってくれよ、オーナー?」

…がんばります。
出来ることなら、旅の間に従業員集めだけではなくて、飲み物つくる以外の事も覚えたいと思うのは事実だし。

「じゃあ、ご飯作りますね!」
「あ、うん、よろしく」

…でも、とりあえず今日はアチャモに任せよう。腕前もみたいし。













「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
「おそまつさまですっ!どうでしたか?」

正直なところ、なかなかおいしかった。
野菜メインに濃い目の味付けをしたメニューが、徒歩での旅で汗をかいた体にはどてもありがたい。

「おいしかったよ」
「うん、中々だったかな。…あ、そうだ」

ふとエアームドが立ち上がり、備え付けの冷蔵庫をチェックする。

「食材の余りとかはないよね?旅の間は持ち運び不便だし処理したいんだけど」
「だいじょぶです!明日余りでお弁当作ります!」

…その発想はなかった。確かに、旅の間は普通の食材は嵩張るから有効な手段だ。
うーん、なんというか二人とも有能だなぁ。僕もトレーナーとして、オーナーとして頑張らなきゃ…。

(でも、何を頑張ればいいんだろうな…)

考えていると、テーブルに戻ってきたエアームドが声をかけてきた。

「…オーナー、お風呂沸いてるみたいだけど…先入る?」
「ん、いいの?」
「アチャモは片づけしてるし、僕は朝はいる。…夜は眠いんだ」
「そっか、分かった。お湯は最後に抜いとくからあしたまたいれるよ」
「そうだね。…おやすみ、オーナー。また明日」

言うが早いかボールへ戻るエアームド。
…そっか、一応鳥萌えもんだから夜は弱いのか。

「…じゃあ、先に入るよ」
「はいです!」



センターの個室の風呂は案外広い。
どこかの萌えもんセンターには個室風呂がない代わりに温泉があるらしいけれど。

「そういうのもいいなぁ…」

どこだっけな…カントーではなかったけど。
そのうちお店が開いたら…従業員連れて慰安旅行もいいかもしれないな…

「っと、アチャモが待ってるんだからゆっくりもしてられないな」

桶にお湯を汲み、頭から被って…

「オーナー、お背中お流ししますですっ!」
「ぶっ!?」

…っ!飲んだ、お湯のんだっ、中途半端に気管に入って痛い!!

「だ、大丈夫ですかオーナー!?」
「げほげほ…っは…だ、大丈夫…」

えーと、とりあえず…

「背中流すのはいいけど、タオルぐらい巻こうね」
「あ、ごめんなさい!」

アチャモは外見が12歳程度とはいえ、れっきとした女の子なんだし。
とりあえずアチャモにバスタオルを取らせ、あんまり身体を見ないようにしてタオルを巻く。
我ながら落ち着いてるな、と思ったりする。
…でも実際は結構パニックになってた。タオルがなかなかうまく巻けなかったし。

(うーん、やっぱり慣れてるとこういう反応もないんだろうか…
 クリムなんかは結構あっさりかわせるのかな…)

タオルの結び目を固く結びながら、トキワにいるはずの親友に思いを馳せる。








「へっくしょ!」

「マスター、風邪ですか?」
「案外どこかで噂をされているのかもしれないよ」
「湯冷めしたんちゃうかな?」

「…湯冷めさせたのはお前らだろうが。ったく、この年にもなって乱入してくんなっての…」
「いや、今でも反応が面白くてついつい」
「昔っからその辺はかわらへんもんなぁ…」

「ネタの分からない人はssウィキのストーム7のページ、一番上の作品をチェックですよ」
「何の話をしてんだよ、シャワーズ」






「そういえばさ、アチャモ」
「なんですかー?」

背中を流してもらい、今度はアチャモの頭を僕が洗いながら。
ふと気になっていたことを聞いてみることにした。

「アチャモはオーキド博士のところの前はどこにいたの?」
「前はないです、オーキド博士のところ生まれですっ」
「そうなの?…あ、泡流すよー…それで、お父さんやお母さんは?」
「いるですよ!でも、おとーさんもおかーさんも強くて、
 二人でトレーナーさんと一緒にあちこち旅してるんです」

…なるほど。
湯船は二人が同時に入るには少々狭いので、アチャモは僕の膝の上に。

「寂しくない?」
「ちょっとだけ寂しいです…でも、平気です!
 おとーさんもおかーさんも、アチャモの事が大好きって知ってるですから!」
「…そっか。…いいね、そういうの。…僕には…よく分からないけど」


「……………」
「…アチャモ?」
「…すぅ…すぅ…」

…寝てるし。

「むにゃむにゃ…しょーとけーき…いちごいっぱい…」
「って駄目だって!湯船で寝たら溺れるよ!」

とりあえず風邪ひかないようにして、水分も飲ませないと…!
慌てて風呂からあがり、アチャモのタオルを替えて身体の水分を拭き取って乾いたタオルを体に巻き、
自分も適当にタオルを巻いて風呂場から出る…と。

「…あ」
「あのさ…何してるわけ?」

水の入ったコップを持ったエアームドと鉢合わせした。

「え、えーと…」

まずい。
意識のない、上気したアチャモの顔。それぞれに無造作にまかれたタオル。
…なんかいらぬ誤解を受けそうだ。

「えっと、その…」
「いや、わかってるから。オーナーにそんな趣味がない事は百も承知だって。
 とりあえずそのままじゃまずいだろうし、水用意するよ」
「あ、うん、よろしく」



水分を半分無理やり飲ませ、僕も寝支度をすませて。

「…なるほどね…尽くすタイプというかなんというか」
「どうしようか…服着せてボールに入れればいいのかな」

男二人で、タオル一枚の女の子をはさんで考え込む。
…絵面だけみるとなんかもう誤解しか招けないねこれ。

「…オーナーさ、アチャモの替えの服持ってる?」
「…ないね、備え付けのパジャマはあるけど」
「ボールの中って寒くはないけど暑くもないんだよね。
 風邪ひいたらまずいし…センターだからすぐ治せるけど、出発遅れちゃうからね。
 この際、ベッドに寝かせちゃえば?ベッドは一人用だけど大きいし、アチャモは小柄だから入ると思うけど」

…いや、それはまずいんじゃないかな、僕も一緒ってのは。

「それなら、僕は床で…」
「やめときなよ、今の時期夜は結構底冷えするよ?
 それとも、一緒だと何か不味いことでもあるのかな」
「いや、倫理的に…」
「別に手出さないでしょ?出しても大して問題ないだろうし」

問題あるでしょそこは流石に。出さないけど。

「ほら、僕も眠いしさっさと寝た寝た。そもそも、眠いの我慢して風呂に入るほうが悪いんだ。
 寝てる間にベッドに連れ込まれても文句なんて言えるもんか」
「…しょうがない、か」
「じゃ、お休みオーナー」
「お休みエアームド」

半ば強引に決定されたが、むしろ別に大した問題ではない気もしてきた。
ベッドにアチャモを寝かせて布団を肩まで被せ、横から僕も布団の中へ入り込む。
エアームドはエアームドでボールに入って、5分もたたないうちに寝息を立て始めた。本当に眠かったらしい。





「…参ったなぁ」

最初は体をくっつけないようにしていたが、二人入ったベッドではそれも難しく。
結局は抱きこむようにして寝ることになってしまった。
変な気は起きないし、起こそうとも思えないけれど…やっぱりまずいんじゃないだろうかコレ。

「…でも、暖かいな」

炎タイプだからか、アチャモの小さな体は湯たんぽのように暖かい。
こうやって抱いていると、奇妙な安心感と暖かさで眠気が時とともに押し寄せてくるのが分かる。


「…おやすみ、アチャモ」

深い寝息を立てている少女に囁いて、僕も穏やかに目を閉じ、意識を手放した。
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