5スレ>>810


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「…早かったねぇ」
「うん。もう着いちゃったよ」
「流石は高速船だねー」
「あぁ。そうだな」

 アサギシティでは色々あったが、俺達は無事にアクア号に乗り、クチバ港に到着した。
 なんだか移動時間が早過ぎて、ろくに休めなかった気もするが……






 course of life -with you-
 第三話~懐かしき記憶と知られざる過去~






「なんだかすごく港町って感じがしますねー」
「あぁ、ラプラスはクチバに初めて来るんだったよな」
「私とドリちゃんは……確か今回で二回目だよね?」
「うん、確か。ワカバに引っ越す時に立ち寄ったくらいだったけど」
「そういやワカバに越してからもう9年経つんだっけな?」

 ちなみに俺がこの町に初めて来たのはまだ8才の頃で、あまり記憶に残っていない。
 まぁ、引越し作業の最中でゆっくり出来なかったってのもあるんだが。
 帰り際にちょっと散策でもしてみよう。みんなもそっちの方が喜ぶだろうし。

「…それでリュウマさん、これからの経路はどうするんですかー?」
「あぁ、それなんだが、この町の西にあるディグダの穴って所に行こうと思う」
「ディグダの穴? それって確か、ニビシティまで続いてるっていうやつ?」
「そう、それ。そこを通って一旦ニビに行く予定だ」
「へぇー。なんだか面白そうだね! 早く行こうよリュウ兄!」
「そうだな。さっさとニビに行って少し休憩するか」






 …ディグダの穴。
 その昔、その名の通りディグダ達が掘ったと言われている洞窟だ。
 クチバからニビを結ぶ唯一の洞窟なので、こう見えても結構重宝されているんだとか。
 何が目的で掘られたのかは知らないが、せっかくなので有り難く使わせてもらおう。

「うわぁー、思ったより広い洞窟だねっ!」
「これをディグダ達が掘ったんだとさ」
「こんなに広い洞窟を? こんなのあたし達には到底出来そうにないね」
「ホントだねー」

 …しかし、思ってたよりディグダの穴って長いのな。
 出るまでには少し時間が掛かりそうだ。雑談でもしながら行こう。
 …と考えていた矢先……

「ねぇ、出口まで競走しようよっ!」
「あ、いいね! 乗った!」
「私もやるよー」

 …これだよ。こいつら、目の前に道有らばすぐ競走と来るから困ったもの。
 少しは普通の人間である俺に配慮して欲しいもんだ。

「じゃあスタートの合図はあたしが! …位置についてよいどんっ!」
「あっ、ちょっとドリちゃんずるいっ!」
「ずるはだめだよー」
「あ、おい! ちょっとお前ら!」


 …………。


 10分後、ディグダの穴、ニビシティ側の出入り口。

「リュウ! 遅い!」
「遅いですー」
「ま、まぁ、しょうがないよ。ねっ?」
「ぜぇ…ぜぇ……」

 …こいつら俺なんかお構いなしに突っ走っといて、なんて酷いことを言うんだ!
 おかげでこっちはディグダに絡まれたり落とし穴にハマったりで大変だったってのに。
 もう色々勘弁してくれ……

「ねぇリュウ、ニビシティ見え……」
「行く! 少し休むぞ」
「うん。ちょっと休んでこ!」
「そうですねー。私も少し疲れましたー」

 もうこれ以上競走だの何だの言われたら、俺が持ちそうにない。
 休める時に休んで、少ししたら出発しよう。

「じゃ、ニビまで競走ね!」
「よーし! 負けないよっ?」
「私も負けないよー?」
「……」

 …最早何も言うまい。






「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ……」

 結局三人の競走はニビまで続き、俺はやむを得ずそれを追いかけるハメとなった。
 …もうダメだ。これ以上走ったら…死ぬ……

「リュウマさん、大丈夫ですかー?」
「ね、ねぇ、ちょっと無理させ過ぎたんじゃないかな?」
「いつも運動してないんだから、たまには体動かさないと! ね? リュウ?」

 …なんだか怒りを通り越して呆れてしまった。
 だがこいつらも普段は家に居るから体を動かしたくて仕方ないのだろう。
 ま、今回は大目に見といてやるか。

「…ふぅ。じゃ、センターでちょっと休憩だ。大人しくしとくんだぞ」
「「「はーい」」」

「…ねぇリュウ?」
「ん、オニドリル? どうかしたか?」
「ちょっとその辺一回りしてきていい?」
「あぁ、別に構わない。ただし、あんまり遠くには行くなよ。少し休んだらすぐ出るし」
「分かった。ありがと。じゃ、また後で!」
「はいよ」

 新しい町に来るとこのようにオニドリルが町の偵察に出るのはいつもの事だ。
 そのおかげで一度行ったことのある町へ正確に飛べたりするんだけどな。
 だから特に止めたりはしないが、稀に問題抱えて帰って来るからなぁ、アイツ……






「ふぅ、ここら辺の空気もずいぶん久し振りね」

 私は今、ニビシティ上空を飛行している。
 昔はよくここへ群れの仲間達と一緒に食料探しに来てたんだっけ。

「みんな、元気かなぁ?」

 見下ろせば、自分の故郷であるトキワの森が見える。
 昔からよく見ていた風景だ。忘れるはずがない。

「…ちょっとだけならいいよね」

 …気付けば私は、トキワの森にある開けた場所に降り立っていた。
 鳥萌えもん達がよく離着陸地点として利用していた場所だ。
 管理が行き届いている様子から、今もその用途で使われているのが見て取れる。
 ここも昔と変わらないみたい。安心した。

「……」

 …でも、何かおかしい。
 いつもならもう少し静かなはずなんだけど、なんだか少し騒がしい。
 一体どうしたんだろう……と考えていた、その時。

「きゃああぁぁ!」
「…今の悲鳴は……まさか!?」

 どこか聞き覚えのある声。間違いない。この声は私の親友の……






「…えーっと、ほのお!」
「『お』か。…んー、オニドリル」
「…そういえば、ドリちゃんまだ帰って来ませんねー。ルビーですー」
「そうだねー。何してるんだろうね。えっと、イシツブテ!」

 オニドリルが帰って来ないので、俺達は三人でしりとりをして暇を持て余していた。
 それにしても、やっぱり遅い。もう30分近く経っている。
 いつもなら10分くらいで帰って来るんだけどなぁ。

『ピピピピピ!』
「わっ! な、なに!?」
「ん、ポケギアか。テレフォンテレフォンっと」
「あ! 『ん』が付いたよっ!」
「リュウマさんの負けですー」
「あ、いや、今のは……」
「後でジュース買ってよね? 約束でしょっ?」
「…へいへい」

 なんだか無理矢理負けさせられた気がするが……
 まぁそれは置いといて、ポケギアをバッグから取り出し、鳴り響く電子音を止める。
 こんな時に一体誰だろう。ウツギ博士からの追加注文だろうか。
 そんなことを考えながらポケギアの画面を見る。
 …しかし、画面には想像を絶する文字が表示されていた。

「…なん…だと?」
「えっ? リュウ兄、どうか……」
「二人共、今すぐ出るぞ!」
「いきなりどうしたんですかー?」
「事情は後で話す! とにかく、オニドリルが危ないんだ! 早く行くぞ!」
「う、うん!」
「はいですー」






「クウっ!」
「え? その声はまさか……ユウ?」
「…その名前で呼ばれるのも久し振りだね。ユウだよ。大丈夫?」
「私は……大丈夫」

 悲鳴を聞いて駆け付けた先には、私の親友クウが倒れていた。
 私がまだ群れにいた頃、共に日々を過ごした唯一無二の親友だ。
 昔はオニスズメだったけど、彼女も進化を終えてオニドリルになっていたようだ。
 しかしその親友は見るからにボロボロで、傷だらけになっていた。
 …ちなみにユウというのは群れにいた頃の私の名前。もちろん、今は使ってないけど。

「ほぅ。助っ人か?」

 後ろを向くと、そこには胸にRと書かれた黒い服を身に纏った男が立っていた。
 その隣には、男の手持ちであろうハガネールがいる。
 …確かこいつらは悪の秘密結社ロケット団。そんな奴がなんでこんな森に……

「ハガネール、構うな。そいつごとやっちまえ」
「…どうやら考えてる暇は無さそうね。クウ! あんたは群れのみんなを呼んで来て!」
「え? で、でも……」
「早く行く! ここはあたしが引き受けるから!」
「…うん。分かった!」

 …親友が行って間も無く、戦いの火蓋は切って落とされた。
 相手のハガネールの猛攻を高速移動で回避し、対抗策を練る。
 タイプではこちらが完全に不利。
 今はなんとか攻撃をかわせ続けているけど、それも時間の問題。
 でも、だからといって無暗に攻撃してもスタミナ切れを起こすだけ。
 取りあえず敵の様子見がてら時間を稼いで、仲間が来るのを待とう。

「ちっ、チョロチョロと鬱陶しい! ハガネール、作戦Bだ!」
「おっと!」

 突然相手のハガネールが長いポニーテールを振り上げてきたが、これも回避。
 …しかし、作戦Bというのが妙に引っ掛かる。これだけでは終わらないはず。
 次の攻撃に備え、体制を整える。…だが、遅かった。

「がっ!」

 頭上からの岩石封じが決まり、そのまま私は地面に叩き付けられてしまう。
 …さっきの振り上げは攻撃するためのではなく、岩を投げるための動き。
 即ち、私を騙すための動きに過ぎなかったのだ。
 油断していた……

「うっ…肩が……」

 今の攻撃で肩がやられてしまったらしい。これでは得意の空中戦は出来そうにない。

「ほぅ。やられてもなお立ち上がるとは」
「生憎あたしは負けるのが大っ嫌いでね」
「その根性は認めてやろう。だが、それもいつまで持つかな?」

 再び遅いかかるハガネールの猛攻。それを紙一重で回避し続ける。
 しかしとうとう体力が尽き、アイアンテールを回避しきれずに転んでしまった。

「…どうやらここまでみたいだな。ハガネール」
「うっ! 何を……」

 転んだ私はハガネールのポニーテールにいとも容易く捕縛され、締め付けられた。
 増援は…増援はまだ来ないのかっ……!?

「さて、あの世に送る前に貴様に聞いておく事がある」
「……」
「ロケット団を裏切って逃げたオニドリルがここに居ると聞いたのだが、知ってるか?」

 …ロケット団を裏切って逃げ出した? 何を言ってるんだろう、こいつ。
 そもそも私達がロケット団なんかに力を貸すわけないし……

「残念だけど…あたしは何も知らないよ。知ってても誰があんたなんかに……」
「そうか。じゃあ貴様にもう用は無い。ハガネール」
「う……うああぁぁ!」

 ハガネールの容赦ない締め付ける攻撃に意識が朦朧とする。
 …万事休すか……と思ったその時。

「…!?」

 ハガネールの締め付ける力が弱まった。何事かと思い、閉じかけていた目を再び開く。
 するとハガネールが凍り付いていたのが見えた。こんな事が出来るのは……






「…ったく、何かと思って来てみれば、なんだか面倒なことになってるな。ポニータ!」
「ハイッ!」

 ラプラスの冷凍ビームで凍らせたハガネールからオニドリルを奪還する。
 体中傷だらけだ。今度は一体どんな無茶をしたんだか。
 …だが、今はこっちが先だな。

「こいつぁウチのオニドリルが随分と世話になったみたいじゃないか」
「ちっ、トレーナー付きだったか。ハガネール、一旦退くぞ!」
「させないよっ!」

 逃げようとするロケット団団員にすかさずポニータの炎の渦が発動。
 身動きを取れなくし、逃げられなくする。

「…形勢逆転だな」
「ですねー」

 こうしておけば、しばらくロケット団団員は逃げられないだろう。
 ハガネールも凍り付いてて動けないみたいだし。
 ひとまずそちらは置いておき、オニドリルの方に向き直る。

「…ドリちゃん、大丈夫?」
「あ…あたしは大丈夫」
「何が大丈夫だ。あと少しでも遅れてたらダメだったろうに」
「ごめんなさい……」
「…まぁいい。その話はまた今夜だ。で、これは一体何がどうなってるんだ?」


 …………。


「巻き込んでしまって本当にごめんなさい! 何とお礼を言えばいいのやら……」
「いや、いいって。気にしないでくれ」

 …あの後間も無くオニドリルの友人達が到着し、彼女らから色々と事情を聞いた。
 俺達がカントーを離れた後、群れの大人達が次々と消えていったこと。
 その裏では今のようにロケット団が関係していたということ。
 そして、オニドリルの母親もその犠牲になっていたということも。

「……」
「ごめんね、ユウ。私、群れを守ることが出来なかった……」
「…いいよ、別に。クウが悪いわけじゃない。
 何も考えずに群れを出て行ったあたしも悪いんだし……」

 瞬く間に空気が重くなり、場がしんと静まり返る。
 安らぎを与えてくれるはずの草葉が擦れる音も、今はただの雑音にしか聞こえない。

 …しかし、そんな静粛を破ったのは意外にもポニータだった。

「でもさ、別に死んじゃったわけじゃないんでしょ?
 だったら探そうよ! ドリちゃんのお母さん!」
「私もポニちゃんに賛成ですー」
「…ポニ、ラプ……。…うん、そうだね。こんな所で落ち込んでらんないね!」
「そうそう! やっぱりドリちゃんは元気なのが似合ってるよっ!」
「ホントだねー」

 …やれやれ。一時はどうなるかと思ったが、これにて一件落着だな。
 なんだか、どっと疲れてしまった……






 ロケット団団員を警察送りにし、ひとまず俺達一行はトキワの森を後にした。
 まぁ、トキワの森にはまた物資調達の帰りに寄れるしな。特に問題ないだろう。

 …そして間もなく、俺達は懐かしのトキワシティに到着するのだった。

「うわぁー! すごい久し振りだねっ!」
「あぁ。9年振りだな」
「緑が多い町ですねー」
「昔ほどじゃないみたいだけどね」

 確かに9年前と比べると、若干緑が少なくなっているようだ。
 町の発展のために建造物を建てたりするから仕方ないのだが、やっぱり少し寂しい。

「さて、懐かしむのはこれくらいにしてと。さっさと回復してから仕事終わらせるぞ」
「じゃ、センターまで競走ね!」
「うん! 早く行こっ!」
「行こう行こうー」
「だからなんでそうなるっ! てかオニドリル、お前怪我は……」
「そんなの関係ねぇー!」
「関係ないよねっ!」
「うん。関係ないねー」
「あーもー! だからちょっと待てって!」

 まったく。もうホントに色々勘弁してくれ……
 かくして俺達はセンターに寄った後、オーキド研究所に向かうのだった。






「ところでさ、リュウ」
「ん、なんだオニドリル?」
「あの時あたしがトキワの森にいるって、なんで分かったわけ?」
「あー、それか。いや、ね。どうせお前のことだからそこにいるだろうなって……」
「嘘でしょ?」
「へ?」
「ポニやラプから聞いたよ。ポケギアが鳴ってたって。まさかとは思うけど……」
「い、いや! 別に俺はお前に発信機なんて付けたりは……」
「あー! やっぱり! リュウ! あんたって奴はっ!」
「悪い悪い悪かった! 余りにもお前が心配だったからさ! 頼む! 許してくれ!」
「あたしはもう子供じゃなーい! …で? 発信機ってどれ?」
「…それ」
「…これって去年、あたしの誕生日にあんたから貰った羽のネックレス?」
「(こくり)」
「…そ、そう。そうだったの……」
「……」
「ま…まぁ今日はこれ以上咎めたりしないけど、別に許したわけじゃないんだから!」
「わ、悪かったーっ!」
「あ、ちょっと! どこ行くの!? もぅ……」
(それにしても、あたしのことそんなに心配してくれてたなんて……)










~あとがき~
こんにちは。ポエルです。また書かせてもらいました。ごめんなさい。
今回はまだまだ続く物資調達編の途中経過と、オニドリルの過去をちらっと。

物資調達編はもう次回で終わると思います。
いえ、終わらせます。まだ本編にも入っていないので……

オニドリルについては、別に記憶喪失とか異常はなく至って元気な娘です。
が、カントーを去った後に災難が振りかかるという設定です。
彼女の元居た群れがロケット団に襲われ、大事な仲間が連れ去られてしまっています。
そしてこれからの旅でそれとリンクしていく……という予定です。あくまで予定。

最後に、いつもこんな私のSSを見ていただき、誠に有り難う御座います。

…では、これにて失礼します。
ツールボックス

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