5スレ>>824


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「うぃーうぃっしゅあくりすます、うぃーうぃっしゅあくりすます、うぃーうぃっしゅあくりすます」

その部分しか知らないのか、同じ言葉をリズムに乗せて何度も歌うリザードン。
顔には満面の笑み。手には手作りの星や樹木。小さな羽を羽ばたかせながら飾っている。
歌詞の続きを教えようかしらと思いつつフシギバナは物置から大きなクリスマスツリーを運んで来て、
去年とほとんど同じ場所に置き、綺麗に纏められていたコードをばらばらにする。
少し離れた場所では、カメックスが無表情で食材(主に脂肪質)の虐殺真っ最中である。
そして主である彼は新聞を読んでいる。手伝ったら負けだと思っているからだ。心の底から。

(主である彼以外は)慌しいその日はクリスマス。
聖人が誕生し企業が蠢き大人が画策し子供が笑いあい恋人は興奮し独りの人は己の悲運を泣き叫ぶ。
深夜には赤い服を着た老人が冷える身体に鞭を打ち袋片手に玄関や窓から不法侵入を繰り返す。
そんなカオス極まりない素晴らしい日。誰も彼もが幸せになれるだろう祝いの日。


「で、何で手伝わないの?」
「手伝ったら負けだと思ったんだ。心の底から」

こらそこ、地の文でやった事を繰り返さない。

「………まぁいいわ。今日くらい怒るのは止めておきましょう」
「そうそう。折角の宴会なんだし今日は笑顔で、パーッとやろうよ」
「全部飾り終わったよー!」
「ケーキが出来上がりましたわ」

………………。
リザードンが椅子に座り、カメックスは大きなクリスマスケーキをテーブルの中央に置く。
続いて唐揚げに味噌汁に刺身にカレーライスにオムライスなど、数多の料理が並べられていく。
見るだけで満腹になれそうな量に気持ち悪くなり、フシギバナは少し顔を顰める。

「去年もそうだったけど、やっぱり慣れないわね。リザードン、貴方は大丈夫なの?」
「え?なんで?どれもおいしそうじゃない」
「確かに美味しそうなんだけど量が………いえ、なんでもないわ」
「?」

中にはラーメンにカルボナーラなども混ざっている。
質よりも量よりも種類を重視した、和洋折衷や三国同盟どころではないテーブルの上。
これら全てを用意したカメックスは本当に凄いとしか言いようが無いとフシギバナは考える。
しかし反対したにも関わらず今年もアルコール度数の高い酒を置くのは頂けない。

「(………今年も来てしまったのね)」

考えている間にも、エプロンを脱ぎ終えたカメックスが彼の隣の椅子に座っている。
あと数分と経たずして宴会は始まるだろう。そして今日こそは………!
フシギバナは今なら覚えていないはずのソーラービームを打てると錯覚するくらいに力を溜める。

「(今日こそは………平和な聖夜をっ!)」

いただきます。
一人の人間と三人の萌えもんのその言葉と同時に、賽は投げられた。





――――――そしてフシギバナの願いと努力は無駄になる。
飲みたくて仕方が無いお酒をお預けにし細心の注意を当たって事に当たったにも拘らず。
結局、リザードンとカメックスが強い酒を飲み、酔っ払い状態に。

「あは!あははははははははっ!!!!」

勢いで逆鱗を発動し、料理やら皿やら飾り付けやら全てのものを破壊し尽くすリザードン。
それを止めるのは当然フシギバナ。

「ふ………ふふ………ふふふふふ…………」

酔った勢いで包丁を取り出し不気味に笑っているカメックス。目測でハイドロポンプ乱射まであと二分。
それを止めるのは当然フシギバナ。

「…………どうしてこうなったの?」
「ほら、落ち込んでないで早く構えなよ」
「…………」

がっくりと項垂れるフシギバナ。一応彼も素面だが目の前の二人相手では頼りがいが無さ過ぎる。
死を覚悟しつつフシギバナは、自身の身代わりを生み出しその手には宿り木の種を用意して。
彼の言う通り普段の戦闘体勢をとり酔っ払い二人を睨みつけ。そして叫ぶ。

「いいわよ………やってやろうじゃない………!」

七分くらいは投げやりな気持ちになって、リザードンとカメックスへと向かって行った。
家を守る為に。毎年の行事となっているこの乱闘騒ぎの引き金役をフシギバナ自身が引き受ける。
――――12月24日。この日は三人仲良く本気同士での殴り合いと決めている。
どうせ誰も偉い聖人様の事なんて気にしちゃいないんだろうから、別にいいだろう。

「メリークリスマス。カオスな夜を」

主に乱闘開始を告げる為に使っている言葉を呟いて、彼は笑みを浮かべた。
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