5スレ>>826


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「はい、ワカバ到着っと!」
「サンキュー、オニドリル。また頼むよ」
「これくらいお安い御用っ! じゃんじゃん飛ばせてよね!」
「いや、流石にそうはいかないが……」

 …あれから俺達は旅の準備をするため、その日の内に一度ワカバタウンへ戻って来た。
 時刻は既に夜9時を過ぎ、辺りは暗闇に包まれている。
 さて、明日からは忙しくなりそうだし、今日はさっさとやることやって寝るとしよう。






 course of life -with you-
 第五話~ド田舎暴走大事件!(前編)~






「じゃあオニドリルは先にみんなを連れて家で休んでてくれ」

 そう言って俺はポニータとラプラスの入ったボールをオニドリルに渡す。
 …そのポニータとラプラスだが、まるでボールから出てくる気配がない。
 恐らくボールの中で眠りこけているのだろう。
 まぁあれだけ昼間騒いでいたからそうなるのも無理はないが。

「分かった。リュウは?」
「ちょっくらウツギ博士に報告してから帰る。すぐ戻るから心配ない」
「了解。じゃあまた後で」
「おうっ」

 家に帰って行くオニドリルを見送り、俺はウツギ研究所へ向かった。
 もちろん報告だけでなく、他にも色々聞き出すためだ。


 …………。


「只今戻りました」

 研究所に入ると、もう夜だというのに研究に打ち込んでいるウツギ博士の姿があった。
 その内過労で倒れてしまうのではないかという心配もあるが、今は触れないでおこう。

「やぁリュウマ君、お疲れ様。久々のカントーはどうだったかい?」
「どうだったも何も。色々あり過ぎて頭ん中ごちゃごちゃですよ」
「アハハ。とにかく今日はありがとう。もう休んでいいよ。
 荷物は無事届けてくれたみたいだし」
「了解です。それでなんですが……」
「さ、詳しい話はまた明日するから、今日はもう休んだ休んだ」
「うぇ? あ、はい……」

 なんだか無理矢理追い出された感が否めないが、まぁいいだろう。疲れたし。
 取りあえず俺はウツギ研究所を去り、家に帰って休むことにした。






 …翌日。

「おはようございます、ウツギ博士」
「やぁ、おはようリュウマ君。体調は万全かい?」
「万全…とまではいきませんが、まぁ良好ですね」

 朝8時、俺達は旅の準備を済ませ、出発前の挨拶をするために再度研究所へ来ていた。
 さて、今日こそ昨日聞けなかった事を聞き出して……と考えていた矢先。

「それじゃあ博士、行って来ますねっ!」
「早く行こ行こ!」
「行こー行こー!」
「それじゃあ、気をつけてね」
「待て待て! 勝手に話を進めるなっ!」

 …まったく。気を抜いたらすぐこれだ。
 油断も隙もあったもんじゃない。

「ウツギ博士、行く前に一つ聞かせて下さい」
「ん? なんだい?」
「…なぜ、俺なんかに旅をさせようと思ったのですか?」

 昨日からずっと気になっていた疑問だ。
 普通ならこういう仕事は普段あちこち駆け回っている親父の方が向いている。
 それなのに俺が行くのだから、何か裏に理由があるはずなのだ。
 …ただ、大体目星はついてるんだよな、これが。

「あぁ、それのこと? それは君のお父さんが……」
「えぇはい分かりましたありがとうございます」
「…もういいのかい?」
「はい。親父が話に出て来た時点で大体把握出来ました」

 …やっぱり。親父の奴、また勝手な事をウツギ博士に言っていたみたいだ。
 どうせ引き篭ってばかりなんだから旅に遣わせてもいい、とでも言ったのだろう。
 まったく。あの身勝手な性格はどうにかならないものだろうか……

「…それでは時間もあまりないので、そろそろ出発します」
「うん。くれぐれも気をつけてね」
「はい。行って来ます……って、あれ? ポニータ達は?」
「先に外へ行っちゃったみたいだね」
「……」

 どうして俺の回りにはこんなにも身勝手な奴が多いのだろう?
 ホントにもう色々勘弁してくれ……

 …そんなこれからも続きそうな苦労に嘆きながらも、俺はウツギ研究所を後にした。
 目指すは再度マサラタウン。出発前の挨拶がてら、図鑑の詳細等を聞きに行く。
 昨日はドタバタしてて聞く暇がなかったからな。






 …約1時間後。
 俺達一行はアサギシティから高速船アクア号に乗り、クチバシティに到着していた。

「じゃあオニドリル、ここからマサラまで頼む」
「任せなさいっ! 飛ばして行くよー!」

 後はマサラまでオニドリルの背を借りて一直線……と思っていたその時。

『ピピピピピ!』
「ん? 電話? …悪いオニドリル、ちょっと待っててくれ」
「はいな」

 旅を始めるにあたってなんとなく腕に固定してみたポケギアの画面を見る。
 画面にはウツギ博士の名前が表示されていた。
 何か追加の注文があるのだろうか。取りあえず電子音が止む前にさっさと出よう。

「…もしもし?」
『もしもし、リュウマ君? た、大変なんだ!』
「どうしたんですか?」
『それが……』


 …………。


「ハイ、マサラ到着っ!」
「サンキュ、助かった」

 ウツギ博士との電話の後、俺達は急遽マサラタウンへ向かうことになった。
 なんでもマサラタウンに暴走している萌えもんが居るから何とかして欲しいんだとか。
 …イマイチ状況がよく分からないが、取りあえず現地に向かうことにする。

「…気をつけろよ。いきなり襲いかかって来るかもしれないし」
「そんなこと言われてもねぇ……って、アレじゃない!?」

 オニドリルの指差す方を見る。
 そこにはオーキド研究所の研究員が暴走していると思われる萌えもんと応戦していた。
 あれは……ハクリューか?
 …とにかくこのままでは研究員の萌えもんがやられてしまう。助太刀しないと。

「大丈夫ですか!? 後は俺がやります。下がっていて下さい!」
「ありがとう。じゃあ任せるよ」

 研究所に慌てて戻って行く研究員を見送り、敵の方に向き直る。
 そこには何やら頭を抱えて悶えているハクリューの姿があった。
 催眠術でもかけられたのだろうかと思ったが、こんな類の催眠術は見たことがない。

「…さ、早く終わらせて旅行といこっか!」
「あのなぁ……まぁいい。オニドリル、任せるぞ!」
「最初から任される気だったよ!」

 オニドリルはここまで飛んできて体力を消耗していると思っていたが、大丈夫そうだ。
 今はあいつに任せて、こっちは相手の暴走をどう止めるかを考えよう。

「そんじゃオニドリル、まずは高速移動で相手を翻弄!」
「はいよっ!」

 言われるままにオニドリルは高速移動し、飛行速度を上昇させる。
 一方ハクリューはというと、竜の怒りをオニドリルに放っているが、かすりもしない。
 ここで隙を見て攻撃したい所だが、迂闊に近寄れそうにない。
 下手をすれば竜の怒りの餌食になってしまうからだ。
 …しかしこのままでは埒が明かないので、少々危険を伴うが、こちらも仕掛けに出る。

「…そのまま燕返しだ!」
「オッケー! とりゃあぁっ!」

 最高まで速度を上げて高速で相手の懐に飛び込み、重い一撃を決める。
 ハクリューはこれをまともに食らい、吹っ飛んだ。
 出だしは好調か……と思ったが、どうもオニドリルの様子がおかしい。

「どうしたオニドリル?」
「…ご、ごめん。やられちゃったみたい……」
「まさか……麻痺!?」

 …甘く見ていた。まさか相手があの状態でここまで出来る奴だったとは。
 オニドリルが燕返しを食らわせた時、恐らく反射的に電磁波を放ったのだろう。
 結果、直接攻撃を決めたオニドリルもまともに電磁波を受けて麻痺したと。
 しかし戦い慣れをしていないとこうは出来ない。一体あのハクリューは何者なんだ?
 …いや、それ以前に俺がもっと早く相手の実力に気付くべきだったのだ。
 まだまだ未熟なんだな、俺は……
 …って、そんなこと考えてる場合じゃないな。切り替えて行かないと。

「一旦戻れ、オニドリル」
「えっ!? でも!?」
「文句なら後で聞く」
「ちょっと、リュ……」

 有無を言わさず強制的にオニドリルをボールに戻す。
 交換するタイミングは相手が持ち場を離れている今しかないからだ。
 それにこのままオニドリルに戦わせても勝機は薄いし、オニドリルが傷付くばかり。
 …だが、今タイプ有利な手持ちに入れ替えれば勝率は格段に上がる。
 ということで、氷タイプのこいつに決めた!

「頼んだ! ラプラス!」
「頼まれましたー!」

 ボールから元気な声と共に勢いよくラプラスが飛び出した。
 見たところ体調に問題はなさそうだ。やってくれるだろう。

「ラプラス、状況は分かるか?」
「ボールの中で話を聞いてたからバッチリですー」
「そうか。それなら良しだ。…来るぞ!」
「はーい!」

 ラプラスを出して程なく、ハクリューが戻って来た。
 何かにうなされているように頭を抱えながらもこちらに向かって来る。
 早く止めてやりたいが、戦闘力も高く、かなり厄介だ。
 どうするか……

「リュウマさん、指示をー」
「んぁ、悪い。…仕方ない。じゃあいつものコンボ行くぞ! まずは雨乞い!」
「はいっ!」

 指示通りにラプラスがどこからともなく雨を呼び、フィールド上に雨が降り注ぐ。
 その間にハクリューが竜の怒りを飛ばしてきたが、なんとか回避。
 しかしあの竜の怒り、威力が相当高そうだ。
 当たったらかなり削られるだろう。気をつけなければ。

「続いて上空に吹雪!」
「はいっ!」

 続けてラプラスに指示。上空へ吹雪を放つ。
 一見意味がなさそうな行動に見えるが、そんなことはない。
 これで凍った雨が相手を貫く数多の刃となり、相手の動きを鈍らせるという寸法だ。

「うっ!」

 こちらの予想通り、相手のハクリューは動きを鈍らせた。
 チャンスは今しかない。ちょっと可哀相だが、少し気絶しててもらおう。

「ラプラス、締めの冷凍ビーム!」
「ごめんなさーい!」

 …とか言いつつ容赦なしの冷凍ビームを放つラプラス。

「…え? きゃあっ!」

 冷凍ビームは見事ハクリューに命中し、更に運が良いことにハクリューは凍り付いた。

「よしっ! ナイス、ラプラス!」
「やっちゃいましたー」

 …しかし、なんか最後ハクリューの様子が変だったような?
 ま、今はいいか。後に分かる事だろうし。

「…で、この子どうするよ?」
「一旦暴走を止めるためにも捕まえちゃった方がいいんじゃないですかー?」
「そうだな。じゃ、そうするか」

 肩に掛けていたポーチから捕獲用のボールを取り出し、ハクリューに投げる。
 するといとも容易くボールの揺れが止まり、捕獲完了の合図が出た。

「これで良しっと」
「やりましたねー!」
「おうっ。ラプラスもよくやってくれたよ。ありがとな」
「えへへ……」

 そう言って俺はラプラスの頭をなでてやる。
 オニドリルも後で労ってやろう。
 どうせラプラスにこうしてるのもボールから見えてるだろうし。
 ていうか、そうしないと後が恐い。
 …そんなことを考えていると、ラプラスが地面を指差して話しかけてきた。

「リュウマさーん」
「ん? どうしたラプラス?」
「アレなんですかねー?」

 ラプラスが指差す場所には何やら小さな電子機器が落ちていた。

「なんだこれ?」
「もしかしたらそれがハクリューさんの暴走の原因かもしれませんねー」
「そうだな。取りあえず拾っとこう」
「はいー」

 …いつも思うんだが、ラプラスはこういう時、恐ろしいほど頭の回転が早いんだよな。
 きっと推理小説を読ませたら一日もしないで謎を解き尽くすに違いない。

「さて、じゃあハクリューはオーキド博士に任せるとして、俺達も研究所に行こうか」
「そうですねー」

 取りあえずこれにて事件は幕を引き、俺達はオーキド研究所へと足を運ぶのだった。
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