5スレ>>834


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「こんにち……」
「リュウマ君、見ておったぞ! 中々のバトルの腕前じゃったな!」
「え!? あ…あぁ、はい」

 研究所に入った瞬間、またしてもオーキド博士がお出迎え。
 心臓に悪影響を及ぼす恐れがあるので可能なら控えていただきたい。






 course of life -with you-
 第六話~ド田舎暴走大事件!(後編)~






「…おっと失礼。取り乱してしまったようじゃな。それで、さっきのハクリューは?」
「これです。検査の方をお願いできますか?」
「承ろう。その間に君の手持ちの回復もしておこうか」
「はい。よろしくお願いします」

 先ほど捕獲したハクリューの入ったボールと、消耗した手持ちのボールを博士へ渡す。
 ポニータは今日は戦わせてないから預けなくても特に問題ないだろう。

「あ、それとコレなんですが……」
「ん? なんじゃこれは?」

 戦闘後に拾った謎の電子機器をポケットから取り出し、博士へ差し出す。

「戦闘後に拾った物です。もしかしたらさっきの暴走に何か関係あるかもしれません」
「分かった。これも分析しておこう」

 …しかしこの電子機器、かなり小さいな。サイズ的には大豆くらいの大きさか。
 ラプラスもよくこんな豆粒みたいな物を見つけられたものだ。
 もしかすると視力もずば抜けて良かったり?

「…それでは君も応接室で少し休んでおくといい」
「ありがとうございます。ではそうさせてもらいますね」

 博士に言われるままに、俺は検査や回復が終わるまで応接室で休憩することにした。
 ここへ来るまでに少し疲れたしな。今の内に休んでおいて損はないだろう。


 …………。


「さっきの子、すごく強かったね」
「あぁ。あそこでラプラスに交代してなかったらヤバかっただろうな」
「うん。でもドリちゃん、ボールの中で怒ってたみたいだよ?」
「こりゃ後が恐いなぁ……」

 休憩中、俺とポニータは応接室で適当に話をしながらくつろいでいた。
 やっぱりのんびりしながら雑談するのが一番落ち着くなぁ。

「…って、あれ? なんでお前ボールの中にいるオニドリルの様子が分かったんだ?」
「えっ? いつもボールの中でみんなと喋ったりしてるけど?」
「そうだったのか?」
「うん。そうだよっ?」
「……」

 …こいつらがボール内で会話をしていたなんて、今初めて聞いた。
 てっきり俺はボールから外を覗いたり話を聞いたりしか出来ないと思ってたのだが……

「えっ!? それだけしか知らなかったの!? 他にも色々出来るのに」
「ボールに入ったことないんだから知らなくて当然だ。ていうか人の考えを……」
「じゃあ入ってみればいいじゃん」
「人の話は最後まで聞けっ! んでボールに俺が入れるわけないだろっ!」
「え? なんで?」
「こう見えても俺、一応人間なんだが……」
「…え? あ、ゴメン! そうだったよねっ! アハハ……」

 …ポニータは時々このように盛大なボケを放つことがある。
 これが本気のボケだというのだから恐ろしいことこの上ない。
 天然過ぎにも程が……っと、読心されたらマズいから以下略で。

 …と、ポニータのボケに笑いを通り越して呆れていた時。

『――!』
「…ん? なんだ? 研究室の方が騒がしいな」
「うん。何かあったのかな?」
「ちょっと行ってみるか」
「そうだね」

 あまり気は進まないが、取りあえず俺達はオーキド博士のいる研究室へ向かう。
 一応あのハクリューの事もあるし、万が一博士に何かあったら大変だ。


 …………。


 研究室前に着き、最悪の事態も想定しつつ警戒気味で扉を開く。
 するとそこにいたのは案の定オーキド博士とハクリューの二人だった。
 最悪な事態にはなっていなかったようだが、何やら二人で論議している様子。

「どうかしましたか博士?」
「おぉリュウマ君、丁度良かった!」
「丁度良かったって、何が……」
「あなたはさっきいきなり冷凍ビームを撃ってきた人!」
「へ?」
「なぜ突然攻撃してきたんですか!? 私は何もやってないのに!」

 研究室に入ったと思いきや、なんでいきなり責められてるの俺!?
 しかもさっきまで暴走してたハクリューに。涙目で。意味不明。理解不能。

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 話の論点が……」
「とぼけないでください!」
「いや、とぼけてるつもりはないんだが……」

 助けを求めるべくオーキド博士の方を向く。
 しかし博士は何か考え事をしているようで上の空だ。気付いてくれそうにない。
 …と思ったが、何やら独り言のように呟き始めた。

「…ふむ、やはりか。どうやらこの子は暴走していた時の記憶がないみたいじゃな」
「え? どういう事ですか博士?」
「ん、あぁ。恐らくこの子はじゃな……」


 …………。


「本当に失礼しました! まさか貴方が私の暴走を止めてくれた方だとは知らずに……」
「いやもういいよ。あの時状況も理解しないで攻撃するように指示した俺も悪いんだし」

 …あの後オーキド博士がハクリューの暴走理由を説明してくれ、やっと揉め事は解決。
 せっかく休んだというのに、なんだかもう疲れてしまった。帰って寝たい。

 …で、オーキド博士が言っていた事をまとめるとこうだ。
 ラプラスが拾ってきた謎の電子機器はやはり暴走装置だったらしい。
 取り付けた萌えもんを体力が尽きるまで暴走させるという非常に恐ろしい代物だ。
 しかも一種の催眠術を使用しているため、付けている間の記憶は一切残らないらしい。

 …そして今回その被害者であるハクリュー。
 彼女は旅の途中で奇襲をかけられ、それ以降の記憶がない。
 恐らくその時何者かに暴走装置を取り付けられたのだと考えられる。
 その後彼女はマサラタウンに辿り着き、俺達と戦闘。
 そこで運良く暴走装置が取れて暴走が治まった、ということだ。

 戦闘終盤にハクリューの様子がおかしかったのもこれで納得がいく。
 …とは言え、本人にとってはいきなり冷凍ビームをぶちかまされたようなもの。
 誤解されるのも無理はないだろう。

「…それで、ハクリューはこれからどうするんだ?
 旅に戻るんだったら捕獲キャンセル機能使って自由にするけど」
「あ、それなんですが……ちょっと失礼します!」
「うおっ!」

 そう言うとハクリューは突然俺の目前に顔を近付けてきた。
 そしてそのまま真っ直ぐな瞳でしばらくこちらを見つめる。
 …それに対して俺の方はというと、気が気ではない。
 だって、こんな相手の吐息がかかる距離で冷静さを保てる奴なんて普通いないだろ!

「やはりそうでしたか……。あっ、失礼しました!」
「あ、あぁ……」

 …やっと退いてくれた。まったく、心臓に悪いことこの上ないな。
 オーキド博士といいハクリューといい、一体なんだってんだよ……

「それでどうするのっ?」
「…決めました。私、あなた方について行くことにします」
「ホント!? やったぁ! これからよろしくねっ!」
「えぇ。こちらこそよろしく」
「ちょ、ちょっと待て! だから勝手に話を進めるな!」

 …なんだか急展開すぎて話がよく分からなかったが、とにかく言える事は一つ。
 ハクリューが仲間になった!






「…それでは改めて出発します、オーキド博士」
「うむ。気をつけて行くのじゃぞ」
「はい。行ってきます!」

 手持ちの回復を済ませ、博士から図鑑の詳細も聞き、やっと出発。
 しかし、予定より大幅に出発が遅れてしまった。少し急がなくては。
 と、早足で研究所を出ようとした、その時。

「おぉ、そうじゃ! リュウマ君!」

 …博士に呼び止められた。
 まぁ、なんとなく止められる気はしてたけど。

「…なんでしょうか?」
「今後の進路なんじゃが、ジムバッジを集めつつ図鑑収集をするというのはどうだね?」
「ジムにですか?」
「うむ、そうじゃ。聞けば君、現在就職口を探しているそうじゃな」

 なぜ博士がその事を……と言おうとし、止めた。
 そんなことを博士に話すのはアイツ……親父しかいないからだ。
 …親父め。人の気にしてる事までペラペラと喋りやがって。
 帰ったら覚えとけよ……

「まぁ一応職探し中ですけど、なぜジムなんですか?」
「ほっほ。リュウマ君はジムバッジを持っていると就職に有利なのを知っておるかね?」
「え? そうなんですか?」
「うむ。ただし、萌えもん関係の職に限るがのぅ」

 …初耳だった。そんなことは親からも聞いた覚えがない。
 今までなんとなく集めていたジムバッジだったが、まさかそんな効果があったとは……

「どうだね? 悪い提案ではないと思うのじゃが?」
「そうですね……博士がそう仰るのならそうしたいと思います」
「そうかそうか。では頑張ってくるのじゃぞ。図鑑収集も忘れずにな」
「分かりました。それでは今度こそ行ってきます!」
「うむ」

 そう言って俺は踵を返し、今度こそ研究所を後にした。
 …それにしてもバッジ集めに図鑑収集か。これから色々忙しくなりそうだ。


 …………。


 …マサラタウンを発ち、現在1番道路。時刻は既に3時を回っている。
 今日中にニビシティまで行きたいが、図鑑収集もある。どうしようか……
 …と、今後の予定を考えつつ黙々と足を進めていた時。

『ピピピピピ!』
「ん?」

 ポケギアの呼び出し音が鳴り出した。またしてもウツギ博士からの追加注文だろうか。
 取りあえず早く出るに越した事はないので、さっさと出ておくことにする。

「…もしもし?」
『あ! ホントに繋がった! すごいじゃんこの通信機!』
「はっ?」

 ポケギアから聞こえてきたのは、何やらいつも聞き慣れているテンションの高い声。
 この声は……間違いない。アイツだ。オニドリルの声だ。
 しかし辺りを見回してもオニドリルの姿はどこにもない。

『やっほーリュウ! こちらオニドリル! 暇だから電話かけてみたけど?』
『私もいるよっ?』
『私もですー』
『えっと、私もいます……』
「全員だと!? お前ら一体どこにいるんだ!?」

 オニドリルが勝手にボールから出て空を飛んでいたという事はよくある。
 だが、全員勝手にボールから出てどこかに行ったという事は今までに一度もない。
 とすると、考えられるのは……

『ピンポーン! 流石はリュウ兄、鋭いねっ! 正解はボールの中からだよっ!』
「だからポニータ、人の……」
『ハイハイ、細かい事は気にしない! じゃ、実験も終わったことだし……ブチッ』
「…っておい! 勝手に……どわっ!」

 オニドリルとの通話が切れると同時に、ボールから一気に手持ちの全員が出て来た。
 そしてその反動やら驚きやらで俺は派手に転んでしまう。

「イテテテ……ったく、なんだってんだよ……」
「…何やってんのリュウ?」
「大丈夫リュウ兄? どうしたの?」
「お前らなぁ……」

 …最早怒る気力もない。
 ていうかボールの構造って一体どうなってるんだよ。意味が分からなさすぎる。

「…それでリュウマさーん、これからどうするんですかー?」
「あぁ、それでこれからなんだが……」
「…あの!」
「ん? どうしたハクリュ……?」

 ラプラスに促されてこれからの経路を言おうとしたが、突然ハクリューに止められた。
 しかも何か鋭い目つきでこちらを見ているのだが、俺なんか悪い事したっけ?
 あ、そう言えば……

「…えーっと、悪い。もしかして自己紹介してなかったから怒ってる?」
「あ、それもありますけど、別に怒ってはないですよ?」
「いや、怒ってるように見えるんだが……」
「え? あっ、すみません!」

 …なんだかよく分からない子だなぁ。
 とりあえず話がややこしくなる前に自己紹介しておこう。

「…えーっと遅れたが、リュウマだ。よろしく頼む」
「こちらこそ。ハクリューです。今後ともよろしくお願いします、マスター」
「…あと、マスターって呼び方はあんま好きじゃないからリュウマって呼んでくれ」
「分かりました、リュウマさん」
「あぁ。そんじゃ、そんなワケでそろそろトキワシティに……」
「あ…あのっ!」

 自己紹介も終わって今度こそ出発……と思ったが、再度ハクリューに止められる。
 …そういえばまだ本題聞いてなかったな。いやぁ、うっかりしてたぜ。

「…悪い悪い。本題聞くの忘れてた。で、なんだ?」
「えっと、その……ニックネームって付けないんですか?」
「えっ?」

 …どうやらこれを言おうとしていたため、先程から落ち着きがなかったらしい。
 なぜ落ち着きがなかったのかは俺にはよく分からないが、乙女心ってやつだろうか?
 …それはともかく、ニックネームを付けて欲しいというのは分かった。
 だが……

「あぁ、ニックネームね。止めといた方が身のためかもよ?」
「え? どうして?」
「バカ! オニドリ……」
「リュウの付けるニックネームはセンスの欠片も感じられないんだもんねー?」

 言われた……言われてしまった……
 それは触れてはいけない禁忌の領域だったのに……

「あ…あはは……。まぁ……ねっ?」
「そ…そうだねー……」
「ポニータもラプラスも少しぐらい否定しろっ! お前ら人の気にしてる事を……」
「だって事実じゃん」
「……」
「あたしの付けられたニックネーム、何だったっけ? 確か…オムライ……」
「うわバカっ! 言うなー!」

 …悔しいがみんなの言う通り、俺はネーミングセンスが全くと言っていいほどない。
 故にこれまでの手持ちの名前は全て種族名。可哀相だが仕方がない。
 完全に俺の力量不足。バトルは出来ても、こればかりはどうにも出来ないのだ……

「…ま、そーゆーこと。だから普通にハクでいいんじゃない?」
「うん、私も思った! ドリちゃんに賛成っ! ハクちゃんって呼んでもいいよねっ?」
「私もそれに賛成だよー」

 オニドリルの提案に、ポニータ、ラプラスが賛成する。
 それを聞いたハクリューはしばらく考え込んだ後……

「みんながそう言うのなら……」
「じゃ、決定ね! よろしく、ハク!」
「えぇ。こちらこそ改めてよろしく」

 …半分ほど無理矢理通した感が否めないが、気にしてはいけない。
 そして見てるうちに次々と話が進んでいくが、まぁいいだろう。
 どうせ俺が入ったところで邪魔者扱いしかされないんだろうし。
 心なしか、なんかちょっと不愉快。

 …そんなこんなで新しい仲間を迎え、同時に新しい目標も見つけた俺達。
 旅はまだまだ始まったばかり。まだまだ続く。…多分。










~あとがき~
こんにちは。そしてごめんなさい。ポエルです。
今回は長さの関係上前後編に分かれてしまいました。ごめんなさい。
マサラタウンで起きた暴走事件の話です。

今回の物語の鍵を握るキャラクター、ハクリュー。
彼女はある目的で旅をしていた所、何者かに暴走装置を取り付けられてしまいました。
その「ある目的」ですが、実はリュウマに深く関係のあるものだったりします。

あと本編中に描写はありませんが、実は暴走のせいで町に多少被害が出ていたりします。
看板壊れたりクレーター出来たりオーキド研究所の窓ガラス割れたり……。
しかし後にちゃんと復興するので、細かい事は書いてないのです(笑)

では最後に、いつもこのようなヤツのSSを見て下さって有り難うございます。
これからも精進に励みますので、よろしくお願いします!

では、また!
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