5スレ>>889-2


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sweet hideout 1-2a アルティナルート


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【???】
(いちかばちか……何か投げつけて
気を逸らした隙にこの場は逃げよう……)
 
俺はさっき拾った木の実を取り出して
手の中に忍ばせる。
 
【女の子】
「さぁ! おとなしく捕まっ……」
 
【???】
「今だぁっ!!」
 
【女の子】
「ふぎゃっ!?」
 
【???】
「え……? あ、あれ……? なんだ今の……?」
 
少女が火の粉をこっちに飛ばしてくる瞬間に
コマ状の実を投げつけたら実が弾けて
女の子を包んで爆発した。
 
【???】
「だ、大丈夫か……?」
 
ぷすぷすと煙を立てながらノックダウンしてる
少女を見て、俺は恐る恐る近寄る。
 
【女の子】
「……きゅう~~……」
 
どうやらノビてるだけみたいだ。
見事に目をぐるぐる回して失神してる。
 
【???】
「でも……どうするかな……?
起きたら俺のことまた攻撃してきそうだし……」
 
かといってこの場所を離れるのも薄情な……



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【???】
「……仕方ない。この子が目を覚ますまで
少し離れた場所で様子を見ながら休むか……」
 
それだったら追いかけられても逃げられるし、
少なくとも下手に動き回るより
この子の帰る場所には民家もあるかもしれない。
 
後からツケるなんてストーカーまがいなことはしたくはないけど
状況が状況なだけに手段は選んでられない。
 
多少心が痛むなか、俺は失神している少女からは見えない位置、
距離20メートルぐらい離れた大木まで移動し、
そのままもたれかかった。
 
【???】
「……さて、これからどうする……?」
 
突然の来訪者に、有耶無耶にされかけたけど
当初の目的はキャンプ場に戻ることだ。
 
あの少女をツケれば確かに民家には辿り着ける。
 
でも、その民家がキャンプ場から明後日の方角だとしたら?
そもそも、ここが本当にキャンプ場付近の森の中か……?
倒れた場所と景色が違いすぎるから誰かに連れて来られたのか……
 
がさっ!
 
【???】
「!?」
 
思考を遮るように聞こえてきた草木の分ける音。
 
あの少女はまだ起きていない。
人か獣かの判断ができていない俺は
相手に姿が見えないよう少し位置をずらし隠れて息を殺す。
 
がさっがさっ!
 
どくん、どくんと鼓動が高鳴る。
 
もし相手が熊でこちらに気づいていたとしたら………
生死の危険がよぎる中で必死に平静を保とうとする。
 
【???】
(あと少し、あと少しで姿が見える……鬼が出るか蛇が出るか………)
 
がさっがさがさっ!!
 
【???】
(……!? え……? また……女の子……?)
 
想像していたものとは全く異なる相手を見ることになった。
 
一方の女の子は草木を掻き分けながら、
何やらあちこちの木を注意深く見ている。
 
【女の子】
「……ふぅ、ここら辺の木々はまだ実を付けていないな……
必要な分は獲れたけど、余裕もって帰りたいし……」
 
少し残念そうな溜め息をして、また木々に視線を向けだす少女。
どうやらこの子は木の実の採取に来ているようだ。
 
【???】
(……とりあえず、命の危険は無くなったか……?
けど……あの子のあの姿……)
 
さっきの子とはまた別な見慣れない服装や装飾品……
それに、手に付けている鉤手のようなものがとても気になった。
 
俺はそんな特異な少女に目を追うことに夢中になって、
自然と身を乗り出していることに気づけないでいた。
 
ぐぐぐ……べきっ!
 
【???と女の子】
「!?」
 
【???】
(し、しまった……小枝を……)
 
【女の子】
「…そこかぁっ!!」
 
【???】
「ひっ!?」
 
もたれかかっていた木の側面に、少女が付けていた鉤手が突き刺さる。
 
鉤手はびいぃぃぃんと高速振動しており、
もし当たったのが俺自身の体だとしたら
怪我では済まないものとなっていただろう。
 
【女の子】
「そこにいるのは誰!? 素直に出てきた方が身のためよ!
今のは脅しで放ったけど、今度は外さないから……!!」
 
物凄い剣幕、それも生死の危険からなるような表情で
こちらに言い放ってくる少女。
 
【???】
(この子も攻撃を……!? いや……さっきの子とは違って、
自分の身を守るためにやってるように見えるけど……
でも、出会いがしろの存在にここまでするか……!?)
 
【女の子】
「……出てこないのね、それなら仕方ないわ……すぐ楽にして……」
 
【???】
「!? ま、待ってくれ!
い、今出るから……そんな物騒なものを投げないでくれ……」
 
流石にまずいと思った俺は、
相手に言われるまますごすごと姿を晒す。
 
しかし、少女の表情は険しいままで、
こちらの意見に取り繕ってくれるかすら、少し怪しい。
 
【女の子】
「……? 貴方、もしかして雄? なんでこんなところに一人で……」
 
【???】
「ちょ、ちょっと待ってくれ! お、雄ってなんだよ!?
そんな動物みたいな呼び方……俺は人間の男……」
 
じゃきぃっ!!
 
【???】
「うっ……!?」
 
【女の子】
「誰が勝手に喋っていいって言ったの?
貴方は私の問いに簡潔に答えればいいの」
 
首元に鉤手を突きつけられ、下手に機嫌を損ねたら
終わりということが全身に伝わってくる。
 
【女の子】
「もう一度聞くわ……どうして出生率の低い雄の貴方が、
一人でこんな森の奥にいるの? 答えなさい!」
 
【???】
「く……キャ、キャンプに来てて、
それで火を熾すための小枝を捜していたんだ……」
 
【???】
(くそ……本当のことを言い続けるのが無難だけど、
この子の言ってる事には疑問点が多すぎて気になってしまう……)
 
男の出生率が低い……? そんなことある訳……
それに雄って呼び方……
 
俺は質問に答えつつ、この子の言動の一つ一つを頭の中で確認していた。
 
【女の子】
「……誰か仲間がいるの?」
 
【???】
「……ここにはいないけど、同じアルバイト仲間が……」
 
【女の子】
「……アルバイト?」
 
【???】
「て、手伝い程度の仕事をすることだよ。
今、それの慰安旅行中で……」
 
【女の子】
「……私の仕事、知ってる?」
 
【???】
「い、いや……良く分からないけど、木の実の採取をしてる……?」
 
次々に少女から受ける質問、
その内に彼女の目的が見えてきたような気がする。
 
【???】
(なんだろう……? この子、表情は崩れることなく険しいけど、
何処か怯えているような……)
 
この質問も、俺に敵意があるかを調べているみたいだ。
 
【女の子】
「それじゃぁ最後の質問、貴方は何者なの?
ニンゲンとか、訳の分からないことを言っていたけど、私の敵なの?」
 
最後の質問は、こちらが耳を疑いたくなるような内容だった。
 
【???】
(に、人間っていう言葉の意味を知らない!?
そんな……俺は人間だし、彼女だってそうにしか見えない……)
 
【女の子】
「……何を黙っているの……!? 答えなさい!」
 
【???】
「……俺はアンタの敵じゃない。何者かなんて言われても、
只の人間と言うしかない。俺にはアンタも人間にしか見えない……」
 
【女の子】
「貴方……もしかして頭を強く打ったりしなかった?
どうやらそのニンゲンっていうのは種族の名のようだけど、
私は萌えもんのニューラという種族よ」

【???】
「……は? もえもん? ニューラ……?
そんな種族、聞いたことも……」
 
この子が何を言っているのか、全然理解できなかった。
 
初めて聞く単語、アイヌとか色々な名前の部族が
存在すると聞いたことはあるけど
ここは日本、それも種族なんて聞いたこともない。
 
【女の子】
「……本当に頭を打ってるみたいね。
貴方だって私から見たらそのニンゲンには見えないわ」
 
【女の子】
「グラエナ種ってことだけは、
その黒髪と耳の形状で分かるけど……」
 
少女は俺の首元から鉤手を下ろすと、
片方の手で頭を押さえながら溜め息混じりに話してくる。
 
【???】
「え? グラエナ……? ……耳………?」
 
俺は人間ということを否定されたことより、
自分も聞き慣れない種族と見られていることの方に驚いていた。
 
困惑していた俺は
慌てて自分の顔を触って確かめてみる。
 
【???】
「……いつもの場所に耳が無い……? そ、それどころか、
この犬みたいな触り心地のが、本当に……俺の…………?」
 
先程覚醒したときに感じた体の異変、
その時には気付きもしなかったが、その耳に触れてみると
くすぐったく感じ、自身の感触ということがはっきりと分かる。
 
【???】
「――――!!」
 
俺は自分に起こったことに畏怖を感じ、その場を駆け出そうとする。
狂いそうになる思考の中で浮かんだのは、あの声のことだった。
 
【???】
(アイツだ……! さっき気を失った時に聞こえてきた少女の声……
俺に何かしたのもアイツしか考えられない!!)
 
【女の子】
「ま、待ちなさい!!」
 
駆け出そうとする俺を、反射的に少女の手が掴まえてくる。
 
【???】
「お、俺に触るな!! 俺はアンタの敵じゃないんだから
何処に行こうと勝手だろうが!」
 
【女の子】
「……! っこの……!!」
 
【???】
「!! ……ぁ……ぅ………?」
 
顔に響く衝撃、じんじんと熱い感触が頬に纏わり付く。
 
俺は何が起こったのか分からず、呆けていた。
 
【???】
「う……痛ぅっ………」
 
腕に圧迫感があり、視線を向けると
少女が怒りの表情でこちらを見ている。
 
その瞳はうっすらと滲んでいるように見えて……
 
【女の子】
「……確かに、さっき出会ったばかりだし、
貴方を止めるのは筋違いかもしれないけど……!」
 
【???】
「………?」
 
【女の子】
「そんな乱れた心で走り回って、怪我したり迷ったらどうするの!?
それを私に見過ごせって言うの!? 冗談じゃないわ!!」
 
【???】
「……あ……わ、悪かった……取り乱したりして………」
 
我に返ってみると確かにそうだ。
ここの地理に関してまったくの無知なのに、
なぜ駆け出そうとしたんだろう……
 
【女の子】
「私の言葉で混乱しちゃったのなら謝るわ……」
 
【女の子】
「けど、貴方を困らせようとして言ったわけじゃない……
私も貴方のことが不安だったから……聞いたのよ……」
 
少女は俯きながら掴んでいた腕を放す。
 
言葉使いも優しく、より深く聞こえ、
彼女と地面の間から雫が一つ、二つと落ちるのが見えた。
 
泣いている。
俺はまた自分勝手に行動して、
誰かを困らせて、泣かせてしまった……
 
罪悪感が込み上げて胸を締め付ける。
でも……
 
【???】
「ごめん……でも、俺もどうしようもなく不安だったんだ」
 
【???】
「自分が信じられないこと、それを知ったり、受けたりして……
……縋りたかったんだ。その信じられないことの答えに……」
 
俺も瞳から何か込み上げてくるものを感じ、
『縋りたい』と言ったときには
崩れる様に少女の肩に手を置いていた。
 
少女は、初めは驚いていたが、
こちらのことを察してくれているのか
そのままにしていてくれている。
 
【女の子】
「……………」
 
【???】
「俺……俺は………!」
 
がさがさ……
 
【???と女の子】
「!?」
 
【青髪の女性】
「アル~、木の実集まったんか~?
それやったらいつもの渓流で水浴びせぇへん?」
 
【???】
「……え?」
 
【女の子】
「ゴル……姉………?」
 
重い空気をぶち破るように現れた女性。
言動から察するにこの少女の知り合いのようだけど……
 
【青髪の女性】
「…………」
 
【???】
「…………」
 
【女の子】
「…………」
 
【青髪の女性】
「……おっ邪魔しました~♪」
 
【???】
「へ!?」
 
【女の子】
「きゃあぁぁ!? ちょっと、離してぇ!!」
 
どんっ!!
 
【???】
「どわっ!?」
 
にっこり笑いながら不可解な言葉を発して去ってしまう女性。
俺と少女はしばらく固まっていたが、気が付いたかのように
顔を真っ赤にして少女は俺を突き飛ばして女性の後を追う。
 
【女の子】
「ご、ゴル姉……! すっごく勘違いしてると思うけど、
アレは全然違うんだからね!  そういうのじゃないんだからね!」
 
【青髪の女性】
「いやぁ~アルも成長したんやな~♪
まさか仕事中に雄と逢引を楽しんでいるなんてなぁ……
あぁ~お姉ちゃん嬉しくて涙が止まらへんわ~♪」
 
【女の子】
「……違うって言ってるでしょおぉぉぉ!!」


 
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TO BE CONTINUED
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