5スレ>>889-7


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sweet hideout 1-5



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辺りは日も落ちかけ、雀色時になっている。
 
【ゴル姉】
「仕事の報告はお互い終わったようやな」

【ゴル姉】
「後は帰るだけなんやけど……
その前に話すことがあるな」
 
【アルティナ】
「……改めて言葉にすると、嫌なものだけどね。
この世界の理を話すことは……」
 
合流した俺達は、
件となっている萌えもんという種族の
ルーツを順を追って話し始める。
 
俺がこの世界で少しの間だけど、生きるために……



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萌えもんには、彼女達のように多くの種族が存在している。
 
ゴルダック種のゴル姉、ニューラ種のアルティナ、
そして彼女達の不思議な力を発生させるための根源となる
『タイプ』という体質的な特性がある。
 
水のタイプを根源とするゴル姉は、『水の波動』等の技を操り、
仕事にも河や湖などの水質調査をしていて、特性を活かしている。
 
悪と氷のタイプを根源としているアルティナは『悪の波動』や
『粉雪』を操ったり、手に付けている鉤爪を使い薬の材料となる
木の実を収穫し、保冷したりなど多様な方法で
生活にその力を溶け込ませている。
 
この二人のことを見てこそ、タイプによる技の数々は
暮らしの中で便利に扱われているようだけど
その力の本質は、あまり綺麗なものではないらしい。
 
例えば炎というタイプがあり、草というタイプがあると仮定する。
 
炎は草を燃やしてしまう。
つまり、草タイプの萌えもんは
炎タイプの萌えもんを疎ましく思う。
 
しかし、炎タイプにも苦手なものが存在する。
消される危険性のある水タイプだ。
 
かつて、タイプの同一を遵守しようと同タイプの萌えもんが集まって
村を作って勢力を拡大した。
 
自分達が優位なタイプへの脅威となって
不可侵条約などを制定して、代わりに自分達が苦手な
タイプへの進行を防ぐよう、要望を出したりしたらしい。
 
このような三つ巴のような体制が長く続き、
次第に自分達のタイプ外の場に赴くことが極端に減って
排他的な世界が形成されていった。
 
中には例外もあってタイプや種族間に囚われずに
各地の村や町などを行き来して、交易品となるものを
売り歩く種族もいるらしいけど、快く思わない者もいるらしい。
 
そんなことが巡り巡る内に
排他的な世界が形成されたことによって、
重大な問題が生まれてしまった。
 
萌えもんは雄、つまり男の出生率が極端に低く、
同一のタイプ間だけでは繁栄を望むに足るだけの
雄が見つからないようになる。
 
もし雄が見つかり子を成したとしても雌、
つまり女が生まれてくるのが大半で
偏って人口は増えていくようになってしまう。
 
各々のタイプの長となる存在は、打開策を見つけるために
会合の席を設け、一つの決定を出した。
 
それがゴル姉たちが仕事をするこの町らしく
自分達の集落の中から数人この町に住まわせた。
 
これには各集落の人口の削減、勢力の均等化、
外交手段を図るものという意味合いがあるという。
 
綺麗ごとを並べてはいるけど、町に住むことを決められた者達は
『利害の一致や自己満足に過ぎない』と不平を訴えた。
 
それもその筈、関わることの無くなったタイプに
関心があまり無かった上に、
どうやって接したら良いかも分からない。
 
長達は言葉にはしなかったけど、住むことを余儀なくされた
萌えもん達にとっては、タイプ間の嫌がらせが
続いているのだとしか思えなかった。
 
その中で、ある提案を出した萌えもんがいた。
 
『嫌がらせを望んでいる長達の鼻を明かそう。
ここをどんな萌えもんが入ってきても
快く受け入れることが出来るようにしよう!』
 
この提案に不思議と反対する萌えもんはいなかった。
 
ぎくしゃくとした関係が続くよりも、
タイプによる様々な特徴を活かして
誰もが遊びや住みたくなる町を作る方が
生活の向上に繋がると考えたからだ。
 
冷ややかな視線を送る長達を尻目に、
この町に住まう萌えもん達は実施に取り組んだ。
 
そして現在、住人は種族やタイプ間などの
隔たりを微塵も感じさせず、会釈も気持ちよく行える
空間となり、観光客、行商人も多く流通するようになり、
彼女達の提案は成功の形になった――――――――
 
【ゴル姉】
「ま、こんなところやな、ウチもそんな町に惹かれて
近くに住むようになったんや」
 
【カイナ】
「……そんな過去があったのか……
アルティナが『好き好んで使うわけじゃない』って言ったのが
今はすごく理解できる……」
 
【アルティナ】
「この町の人は争いを好まないからね。
仕事とか生活に役立つときしか使わないのが一番よ」
 
【ゴル姉】
「偶には怪我しない程度で喧嘩に使うこともあるけどな、
ウチらみたいに♪」
 
【カイナ】
「は……ははは……」
 
乾いた笑いが出てくる。
 
喧嘩に使うこともある、
これを逆の意味で考えると、喧嘩の度にあんな
トンデモバトルが行われているということだ。
 
あまり想像したくはないけど……そういうことだろう。
 
【ゴル姉】
「そういう歴史のことも踏まえて、カイナ、
アンタが気をつけなアカンことがあるんや」
 
【カイナ】
「……俺が、雄ということか……」
 
【アルティナ】
「そう、基本的にこの町の人は種族の存続がどうだとか
結婚相手がどうだとかは気にしてなくて、
いずれそういう場面が来た時に対処できる気持ちだけ持つの」
 
【ゴル姉】
「でもな、それはこの町に限ってのことなんや。
町の一歩外に出れば、雄の萌えもんを探すために
種族の長が、雄を連れ攫う勢いで見つけろって言い出したんや」
 
【カイナ】
「つ、連れ攫う……!? 無茶苦茶だな……」
 
【アルティナ】
「それくらい必死だから、貴方にも気を付けてほしいのよ、
聞く限りじゃ、貴方の世界では
そんな争いが少ないみたいだから、巻き込まれたりしたら……」
 
確かに、俺の元いた世界では
男性よりも女性の方が危険という認識が強くて
男性が狙われるというのは想像ができない。
 
【カイナ】
「あれ……? じゃああの女の子の行動は
おかしなことじゃなくてごく当たり前のことだったのか?」
 
【ゴル姉】
「ん? 何の話や?」
 
【カイナ】
「俺さ……二人に会う前に小さな女の子に会ってて……
その子が俺に向かって火の粉みたいなのをぶつけてきたんだ」
 
【カイナ】
「ゴル姉たちの言うとおり、あの子が雄を探してるとしたら
俺を捕らえようと攻撃してきたのもなんとなく頷けるな……」
 
【ゴル姉】
「……あーそいつ多分アチャモ種の『アトラ』やな」
 
【カイナ】
「アトラ……? それ、あの子の名前?」
 
【アルティナ】
「ちょっと前に何処かからやってきた娘なんだけど……
町のみんなに挨拶もなしに空き家に住み着いちゃってて
あんまり評判の良くない子だったの」
 
【ゴル姉】
「まーちんまい娘やったし、ちょっとのわがままも
大目にみて黙っといてたんやけど……
やっぱり雄絡みで来てたんやな……」
 
【カイナ】
「何処かからって……あんな小さい娘まで
その……雄探しに駆り出されるのか?」
 
道も町以外は舗装されてないし、
さっきみたいな森も多分いくつもあるとしたら
女の子が一人歩きするのには危険としか思えない。
 
【アルティナ】
「でも……自らそれに名乗り出る娘もいるのが
現状なのよね……」
 
【カイナ】
「自分から……?」
 
萌えもんたちは
そんなにも性急に自分の伴侶を必要としているのだろうか?
 
でも、アルティナは表情に陰りを見せているし
もっと違う意味合いを持っているのだろうか……
 
【ゴル姉】
「カイナぁ……他人のこと気にするのもえぇけど、
狙われてるのはアンタっちゅう自覚持たんとアカンで?」
 
【カイナ】
「いや、確かにそうなんだけど……ちょっと気になって……」
 
【カイナ】
「でも、どうしたらいいかな……?
自分の身は自分で守れればいいけど、
俺には技なんて分からないし、この世界のこともあまり……」
 
【ゴル姉】
「だーからウチラが一緒に仕事するんやって!
向こうも、ウチラが連れ合いって見れば躊躇するかもしれんしな」
 
【カイナ】
「つ、連れ合い!? い、いや……いくらなんでも
そういう騙しは……」
 
ゴル姉が耳を疑うようなとんでもない発言をする。
 
けれど異を唱えているのは俺だけで、
アルティナも別に反論はしてない。
 
【カイナ】
「あ……アルちゃーん? 君のお姉さんが
爆弾発言してるよー?
止めなくて良いのー……?」
 
【アルティナ】
「……別に思わせとけばいいじゃない。
実際には違うんだし……不本意だけど
命や人生に関わってくるから仕方ないわよ……」
 
【カイナ】
「……えぇー……? そんなんでいいのかよ……?」
 
【ゴル姉】
「気にならなくなるやろ?
ウチラの家でしばらく暮らすんやから……三人でな」
 
【カイナとアルティナ】
「なにぃーーーーーーーーー!?」
 
ザワザワ……!
 
ゴル姉の二度目の爆弾発言に
今度は二人声を合わせて叫ぶ。
 
周りにいた町の人々はその叫び声に驚いて、
こちらを見ながらひそひそと話し始める。
 
【声】
「何? あの子達……?」
 
【声】
「あれって森の方に住んでるアルティナちゃんとメロウでしょ?
もう一人知らない子がいるけど、もしかしてあれって雄?」
 
【声】
「みたいね、へぇ~あの二人にも春が来たのね~」
 
【声】
「あ、でも、あのグラエナ君いい顔してるじゃない。
もし恋人じゃないなら、ちょっとモーション掛けてみようかな♪」
 
【ゴル姉】
「あーもうー、大声出したから町の皆にバレてしもたやないか」
 
【アルティナ】
「誰のせいよ! 誰の!!」
 
【カイナ】
「………………」
 
【ゴル姉】
「ウチらはカイナの保護者なんやから当然やろ?
それに、ウチには客間もあるから平気や。
ベッドが足らんこともないしな」
 
【アルティナ】
「そうじゃないわよ!! こ、恋人でもないのに、
一つ屋根の下に雄と雌が寝るなんて
駄目に決まってるでしょ!?」
 
【ゴル姉】
「だからカムフラージュって言ってるやろ?
アルはちょっと気にしすぎちゃうんか?」
 
【アルティナ】
「~~~~! か、カイナ……!
黙ってないで貴方も何か反論し………」
 
【カイナ】
「……………」
 
たら~~~
 
【アルティナ】
「って、何鼻血出してんのよ!
このエロガッパ!!!」
 
【カイナ】
「ぐふあぁっ!!!」



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TO BE CONTINUED
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