5スレ>>889-11


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sweet hideout 1-8



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森を抜けて二人の家に着くと
満天の星がきらきらと輝いていて出迎えてくれた。
 
色々なことがあって体も心もどっと疲れていたけど
この夜空を眺めていたら
それさえも心地のいい疲れと思えてくる。
 
【カイナ】
「う……わぁ……」
 
家の中へ案内される。
 
少し馴染んだ色合いをしている木の床、
壁や床には不思議な紋様や絨毯が敷かれ
その上にはクロスを被せたテーブルと椅子が並ぶ。
 
灯りは蝋燭が使われているから
ぼんやりと分かる程度だけど、
綺麗な装飾遣いに思わず言葉が漏れてしまう。
 
【ゴル姉】
「さてと……ウチは夕食の支度をしとるから、
アルとカイナはその辺の椅子にでも座って待っててや」
 
【アルティナ】
「それじゃあお言葉に甘えて……」
 
【カイナ】
「あ……ありがとう……って、いやいや、
何か手伝うことないか?」
 
椅子に座ろうとしたけど踏み止まって身を乗り出す。
 
案内やら仕事やらしてもらって、更にご飯まで面倒かけるのは
少しいただけないと思う。
 
【ゴル姉】
「お? なんや、気ぃ回してくれるんやな……
まぁ、気にせんでえぇよ、元は二人暮しやから
台所も狭くて、二人でやったら窮屈になってまうからな」
 
ゴル姉はそう言うと鍋に小さな樽から取り出した水を張り、
石造りのコンロのような台所に置く。
 
そしてしゃがみこんで二つの石を取り出した。
 
【カイナ】
(あれってもしかして……火打ち石?
……そっか、この世界には電気もプロパンガスとかも
ないんだよな……)
 
【アルティナ】
「座って待ってなさいよ。
ゴル姉はすっごく料理上手だから
手を出さない方が効率いいのよ」
 
【カイナ】
「そ、そうなのか……でもなぁ……」
 
【ゴル姉】
「それじゃあ、テーブルに食器とグラスを置いてくれるか?
そこの棚に食器が一通り入っとるから、
スープ用の平たいヤツとパン用の小皿を三枚ずつ取り出してや」
 
ゴル姉の向けた視線には、
引き戸がいくつか付いてる木製の食器棚がある。
 
俺は言われたものに該当する食器を取り出して
テーブルの上に並べていく。
 
【カイナ】
「こんな感じかな……?」
 
【ゴル姉】
「おおきに、後は料理が出来るまでくつろいでてや」
 
俺が食器を並べている間にゴル姉は野菜を切り終えて
くつくつと小さく気泡を立てる鍋の中に入れていく。
 
短時間でそれが出来てしまうところを見ると、
ゴル姉は手際がかなり良いみたいだ。
 
【アルティナ】
「あ、飲み物出すの忘れてたね。ちょっと取ってくるわ」
 
アルティナは立ち上がり、網目のあるドアの部屋へ入っていく。
台所とは違う部屋に飲み物が格納されているのだろうか。
 
すぐにアルティナは戻ってきた。
その手には薄っぺらな石が張られたガラス瓶がある。
 
【アルティナ】
「お待ちどう様、とりあえず良いのを見繕って
持ってきたけど、カイナは何か飲みたいものとかある?」
 
【カイナ】
「あぁいや、それでいいよ」
 
席に座ってゴル姉の料理を待つ。
 
手持ち無沙汰になってしまったので
とりあえずはこれまでに起こった一連のことを
振り返ってみよう。
 
まぁ、深く考えるのは苦手だから簡単にだけど……
 
俺はアルバイトの慰安旅行で森まで来ていた。
 
仲間との思い出作り、希少ともいえる娯楽への期待、
そして〝あの家〟から離れるための、そんな旅行。
 
火を熾すための薪を集めに森の深くまで入り込んで、
気付かない内に濃霧に襲われて、意識をなくして……
 
意識を取り戻した時、暗闇の中にいて、
そして滲み出すように聞こえてきた少女の声。
 
〝また始まる〟とはいったいどういう意味なのだろう。
 
仮初めの姿、それは今のこの姿、
〝萌えもん〟なる生き物のグラエナという種族のことを
指しているのか?
 
そして〝仮初めの出会い〟とは……まさか、
この二人の少女との出会いのことを指し示しているのか?



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TO BE CONTINUED
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