「マスター」
「ミュウ、ツー」
「何処に行くのですか、私から逃げられないことはとうに承知のはずでしょう
無駄な努力に意味はありません、諦めてください」
「ふざけんなこのクサレ野郎、よくも、よくも仲間を」
「……仲間、こいつらがマスターの仲間だと?
いけませんよマスター、そんな勿体無い言葉をこいつらに使っては」
「お前!! なんでこんなことしやがったコラァ!!」
「マスターは、強い仲間をお求めでしたね
いかなるトレーナー、伝説と詠われた萌えもんをも粉砕する仲間、強い萌えもん」
「…………」
「それは私だけで十分だと思いませんか、マスター
こんな雑魚を連れていては、マスター、あなたの品が下がります」
「雑魚だって? こいつらは、俺と共にポケモンリーグを制覇した優秀な仲間達だった
これからカントー四天王の頂点で、最強の称号を俺は、その為にお前を捕まえたのに
それをお前は、こんな」
「雑魚ですマスター、現に私一人に傷一つ付けられなかったのですよ
マスター、私こそ最強にして貴方が捜し求めていた完全なパートナー」
「正気か、そんなことを証明するために仲間をやったっていうのか
お前の強さは、とっくに知っていたのに」
「……いえ、フフ、マスターが私の力を高く評価してくれていたことは知っていました
ええ、知っていました、だからこそこいつらが、目障りになっていったのですよマスター
こんな非力なゴミ共の癖にマスターの傍にいるなんて
マスターのご寵愛を受けているなんて私には、ヒヒ、到底我慢がならなかったんですよ」
「お、お前」
「フフ、マスター、コレで二人きりですよマスター
二人きりなんですマスター、ヘヘヘヘヘマスタ-?
洞窟で、愛おしい貴方に捕まってからずっとずっとずっとこの日を、この日を」
「……狂ったな、お前、もう、いらん」
「無理ですよマスター、ボールの構造は既に熟知しています
ですから、私には、ヒヒ、利かないんですヨ、マスター?」
「本当にか? 本当に、これでも、か?」
「!なっ、これっは! なんでっ!どうしっ……て……」
「……マスターボール、お前には見せたこと、なかったな……」
「ねぇパルシェン姉ぇ、マスターどうしちゃったのかな
随分長いこと、あの洞窟を眺めてるけど、入るでもなし」
「あー、なんかあの洞窟んなかにマスターの昔の仲間が居るらしいんだが
入り口が完全に塞がっちまってて中に入れねぇんだよな」
「え、それ、助けた方がいいんじゃないの」
「……マスターがなぁ、その辺の話、してくんねぇんだよ
人に話したくねぇような思い出、なんだろうな」
「マスター、昔はどんな人だったんだろうね」
「さぁなぁ、今みたいにちゃらんぽらんだったんじゃねぇかな
そう、思いてぇな、あたいは」
最終更新:2007年12月13日 22:19