5スレ>>893


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  • ゴールデンボールブリッジ

 カスミを突破したデオキシスとそのトレーナーは、レベルアップを目指しトレーナーが多く集う場所を訪れた。
 その為の場所として選んだのはハナダシティジムから少しある居場所にある、橋、通称「ゴールデンボールブリッジ」。
 ハナダの名所でもあるそこには普段から複数のトレーナーが屯しているので経験値を稼ぐには丁度良いと二人は考えたからだ。
 さぁ行くぞと意気込んでデオキシスとそのトレーナーが橋を渡ろうとしたその時、橋の方からトンガリ頭の友人が歩いてきた。

「よぉ、○○○!久し振りだな!」
「相変わらずそいつを連れて歩いているのか。」
「デオキシス以外は連れていない?」
「…あぁ、そう言えばお前は捕獲が苦手だったな。」
「けど手持ちが一体だけってのはトレーナーとして問題だと思うぜ。」
「手持ちが一体が増えるだけでも他の萌えもん達への負担は一気に減るからな。」
「そういうのを考えて手持ち萌えもん達を補佐するのが一端の萌えもんトレーナーってもんだろ?」
「今度、草むらにでも行って手持ちになってくれそうな奴を探してみたらどうだ?」
「…と、長話過ぎたな。俺らしくもねぇ。」
「さてと、折角出会って話をしただけじゃつまらないな。」
「たった一体で戦うお前に、俺達がどれくらい強くなったか見せてやるよ!」
「先ずはそうだな、ポッポ!君に決めた!」

 トンガリ頭がデオキシスの天敵だったと記憶している萌えもんが入ったボールに手を掛けて決めポーズと共にボールを戦闘の場へと投げる。
 しかし次の瞬間にはトンガリ頭の手持ち萌えもんは全てデオキシスによって倒されたのでトレーナーは勝利を収めた。

「!なっ。何が起きた!?『勝負を始めたと思った』のに何で『全て倒されている』!?」
「今、勝負と言う過程を吹き飛ばし勝利と言う結果を残した…これが私の真の能力…その名も、キングッ」
「単にサイコキネシス連打で無双出来て面白く無かったから勝負描写をカットしただけなんだけどな。」
「ちょっと待て、戦闘カットは酷くないか。俺、一応ライバルだぜ?こう、もっと、読者も見ていて燃え上がるような戦いをだな。」
「カスミ戦の方が、と言うよりは、カスミのスターミーは普通に戦っても強いから印象に残り易いんだよ。今のライバルはちょっと。」
「ちょっと…何だよ。その先を言えよ!」
「ついでに賞金も貰っておいたから。」

 トンガリ頭は財布を確認しデオキシスの言う通り所持金が減っている事に気付いた。僅かな間少なくなった財布と見つめ合った後、いそいそと財布と荷物を片付け、

「この先には預かりシステムを開発したマサキって奴が住んでるぜ!」
「お前も預かりシステムの世話になるつもりがあるのなら、挨拶をしに行ったらどうだ?」
「じゃあな、アデュー!」

 等と捨て台詞を吐いてからトンガリ頭を風に揺らしつつも二人の横を通り過ぎそのまま歩き去る。
 段々と小さくなっていく友人の背中を見ながらもトレーナーは一言呟く。






「…、どっちかというと、時間飛ばしはあの人が使った方がしっくりくるな。」
「あの人の名前は『クリム』ゾンだからね。」



  • クチバシティジム

 港町として盛んな街、クチバシティ。
 この街のジムリーダーは電気タイプ萌えもんを専門とする通称『イナズマアメリカン』マチス。
 マチスのジムにはある特殊な仕掛けが施されていて挑戦者であるトレーナーは仕掛けを突破し始めてマチスに挑む事が出来る。
 突破しなければならない仕掛けとは端的に言えばゴミ箱漁りである。こうして書くと一種の嫌がらせのように聞こえる。実際に嫌がらせなのかもしれないが。
 ジムトレーナー曰く「用心深い」マチスは自分の部屋を施錠している。そして施錠を解除させる二つのスイッチがゴミ箱の中に在る。
 トレーナーはゴミ箱の中からスイッチを探し出すことが出来ればマチスが待つ部屋に入る事が出来る、ということである。
 三十箱ものゴミ箱の中から二つのスイッチを探し出すこの嫌がらせに苦戦するトレーナーは多い。また一人、そうして仕掛けにデオキシスを連れたトレーナーも苦戦していた。
 デオキシスは苦々しい表情と共にゴミ箱の中に手を突っ込んで掻きまわすが、目的のスイッチが無かった事に落胆し愚痴を垂らした。

「ジムトレーナー。本当にゴミ箱の中にスイッチが入っているのだろうな。」
「ジムトレーナー全員がそう言ってるし確かなんだろ。ほら、次のゴミ箱を探るぞ。」
「マスターはどうなんだ?スイッチは見つかったか?」
「いや、全く。」
「もう二十五箱は探っているのにな…何でスイッチ一つ見つからないんだ。運が悪過ぎるだろう。」
「あぁ、それ多分、俺の所為。」
「俺の所為?どういう事だ?」

 訳が分からない、とも言いたげなデオキシスに、トレーナーは言葉を選ぶ為に少しの間をおいた後で、その訳を説明し始めた。

「俺は運が悪いんだ。」
「運が悪い?余計に訳が判らないよ。」
「そのままの意味なんだけどな。例えばほら、俺は捕獲が苦手だろ?」
「そんな設定があったね。」
「俺が捕獲が苦手なのは運が悪いからなんだよ。弱らせて、ボールを当てても、結局最後にものを言うのは運だから。」
「なるほど、わからん。」

 こうは言いながらもデオキシスはトレーナーの言おうとしている事は何となく理解できていた。
 今までトレーナーはどんな萌えもんも捕まえる事が出来なかった。ちゃんと弱らせた上でモンスターボールをにぶつけてもだ。
 それがたった一度なら『運が悪い』で済むかもしれない。しかしトレーナーの場合、それが何度も何度もあった。デオキシスはそれを見てきた。
 確実に捕まえるマスターボールを除けば、例えどのような技術を用いても捕獲に絶対は無い。結局最後に必要なのは運だ。
 致命的ではないにしろトレーナーにはそれが欠けていた。例えどんな好条件の下であってもトレーナーは萌えもんを捕まえる事が出来ないのである。

「それは単に運が悪いからで、この運の悪さが、ジムのスイッチ探しにも影響を与えているのではないかと。」
「何と言うかもう能力みたいなものなんだね…もしかして右手が幻想殺しだったりする?」
「いや、それは無い。まぁ、運が悪いと言っても不幸ってわけじゃないからな。」
「? 運が悪いと不幸になるものではないのか?」
「今の俺はそこそこ幸せだよ。嫌いじゃない奴と一緒に旅が出来るのだから。」
「嫌いじゃない奴?私の事か?…、嫌いじゃない、か。ふふ。」

 デオキシスは再びゴミ箱の中を漁る。しかしスイッチは見つからない。
 運が悪いトレーナーの手持ち萌えもんになると苦労するものだと、デオキシスは楽しげに呟いた。






「ジム戦より仕掛けを解除する方が手間取った気がするのだが、気の所為だろうか?」
「気の所為じゃないと思うぞ。ジム戦はサイコキネシスで無双出来たし。マチスよりゴミ箱の方が強敵だった。」



  • 萌えもんタワー

 運が悪いトレーナーと朱色と青緑の少女デオキシスは無事イワヤマトンネルを潜り抜け、シオンタウンの萌えもんタワーに来ていた。
 萌えもんタワーとは多くの萌えもんの墓が集められ建てられた塔であり、毎日のようにかつて寵愛した萌えもんの墓参りに来る人々が訪れる場所である。
 墓場という環境の所為かこの場所には未だ謎多き身体構造を持つゴーストタイプ萌えもんが出現する。
 不謹慎ながら、墓参りではなくゴースト萌えもんを目当てに萌えもんタワーを訪れる萌えもんトレーナーも少なくはない。
 野生の萌えもんを捕まえる事が出来ないトレーナーの目的は墓参りであった。
 近くにあるタマムシシティのデパートで買った色取り取りの花を二階にあった小さな墓の前に供え、黙祷する。
 研究所で暮らしていたデオキシスは研究所の近くに住んでいたトレーナーとの付き合いこそ長いが全てを知っているわけではない。
 トレーナーが誰に祈りを捧げているのか分からず居心地が悪そうに周囲に気を配りながらもトレーナーを眺めていた。
 やがて黙祷を終えて墓前から離れたトレーナーは、私用で待たせてしまったデオキシスに対し申し訳なさそうに話し掛ける。

「悪かったな。俺の私事で時間を使ってしまって。」
「誰の墓なんだ?君の以前まで手持ちだった萌えもんのものか?それとも御両親の?」
「いや、俺の妹の墓だよ。」
「君は人間だろ?妹が萌えもんというのはおかしくないか?」
「義理の、が付くんだけどな。俺にはズバットの妹が居たんだよ。」
「初めて聞いたな。」
「言ってなかったからな。」
「…彼女の死因は何だったんだ?」
「交通事故。母さんとの買い物帰りに大型トラックがぶつかったんだ。」

 そう言えば、あいつが一番最初の手持ちだった。
 トレーナーの台詞に過去を懐かしむかのような様子は無く、感情の篭っていない声音で淡々と語る。

「そう言えば俺が萌えもんを捕まえられなくなったのはあいつが死んでからだったな。」
「妹が君を呪っていると?」
「そうかもしそうじゃないかもしれない。いつも俺にくっついてたから今でも俺に憑いているのかも。」
「悪趣味な洒落だよ、それ。」
「そうか。悪かったな。しかし、こう身内が死を目の当たりにすると、悲しいと思うより死ぬとか生きるとかについて考えさせられるよ。」
「具体的には?」
「人はどうして生きるのかとか、人は死ぬとどうなるのか。人はなぜ出会うのかとか。」
「答えは出たのか?」
「いや。今でも分からん。」
「そんなものだろうな。」
「そんなもんだろう。」

 それからは二人とも、萌えもんセンターの宿泊部屋に着くまで、一言も言葉を発する事は無かった。



「さっきはすまなかった。言い辛い事を聞いてしまって。」
「今度の墓参りにはお前も付き合ってくれ。一人が二人に増えれば、あいつも喜ぶだろうから。」
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