5スレ>>928-2


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これは昔の昔の、萌えもんや人間が生まれる以前のお話です。
その時の世界には、ひとつの卵がありました。
その中ではの美しい娘が眠って浮かんでいるだけでした。
少女が目覚めると殻が破れ、宇宙が生まれました。
少女の名前はアルセウスといいました。
アルセウスはひとりぼっちでしたが、寂しいと思うことはありませんでした。
白い服にくるまれた自分の姿を眺めながら、少女は再び眠りにつきました。

その時少女は夢を見ました。
青や緑、黒や白の色をした世界で、自分の姿形によく似た人々と遊んでいる夢でした。
夢の中がとても楽しかったので、一人になった少女は悲しくなり、膝を抱えて涙を流しました。
すると涙が白く輝き、宙を舞いました。
「これは……?」
少女は何かを思い出しました。
「そうだ、これは光。光よ、私の元に集まれ」
そう言うと、少女を光が包み込みました。
次に少女は、
「私が降り立つ大地よ、ここに現れよ、大気よ、大地を包み満たせ」
と言い、
大地と空気を創りだして光と共に降り立ちました。
少女は何もないところから何かを創る力を持っていたのです。
そして、少女は決意しました。
「そうだ、この大地にさっきの素晴らしい世界を創りましょう。
私の名前はアルセウス。
この神の名の下に、私の世界を創造しましょう」
この時にアルセウスは初めて“神様”になりました。
まずは、集めた光を全て高く高く投げました。
すると光は高いところから神様と大地を明るく照らしました。
神様は光を太陽と名付け、太陽がある世界を空と呼ぶことにしました。
今度は大地の果てを見ようと思い、太陽から逃げるように駆け出しました。
すると空の色が青から赤へと変わっていき、やがては光がなくなりました。
気付けば闇の世界に、白い世界の反対側に立っていました。
大地からその一部を切り取って空に投げると、小さな大地は穏やかに輝きました。
神様はこれに月という名をつけました。
しかし空はまだ暗かったので太陽を小さくちぎって空に浮かべ、星を創りました。
また、太陽の当たらない世界を夜、当たる世界を昼と呼びましだ。
それから空がゆっくり動くようにして、眠りにつきました。

次の日、神様は太陽の光で目を覚ましました。
「さあ、これで白い世界と黒い世界が出来たわ。
次は青や緑の世界を――いいえ。
あの世界には私によく似た存在がいました。
一人で作っていては面白くないから、それを創りましょう」
そしてアルセウスは衣の裾を引き裂いて四人の分身を創りました。
神様にそっくりな妹でしたが、見た目は少しずつ違っていました。
それぞれに“空”、“大地”、青い世界、緑の世界の創造を割り当てて、役割にちなんだ名前を授けました。
まずアルセウスは青い世界の妹に“水”を創らせました。
「水よ湧け、世界に満ち、命をはぐくむ海となれ」
次に緑の世界の妹に、大地を“草”で覆わせました。
「草よ茂れ、大地にはびこり、命をはぐくむ糧となれ」
“空”の妹は風と雲を創り、大地を潤す雨を降らせました。
“地”の妹は海のために大地をへこませ、その分だけ別の場所を盛り上げました。
盛り上がった大地は山と名付けられました。
それぞれが仕事を終えると夜がやってきて、五人は草の上に並んで眠りました。

次の日もアルセウスたちは世界の創り、少しずつ世界に変化がおこっていました。
まず雨雲からは雷が生まれました。
山は爆発して炎と岩をまき散らし、大地に眠っていた金属が現れました。
日の光が少ない地域では大地や海が凍ったり、雪が降ったりします。
神様は新たに分身を創り、妹たちに“電気”、“炎”、“岩”、“鋼”、“氷”を割り当てました。
「次は生き物を創りましょう」
アルセウスはそう呼びかけ、妹たちと眠りにつきました。

次の日、神様たちは魚、虫、鳥などを生み出しました。
とりわけアルセウスは自分たちの似姿として、萌えもんと人間という生き物を作りたがりました。
アルセウスは萌えもんを自分の髪の毛や服の裾から創り、
人間を、土くれに息吹を吹き込んで創りました。
妹たちも真似をして、多くの萌えもんと人間を創りました。
萌えもんと人間はアルセウスが見た夢の主人公で、姿形が神によく似ています。
一人ひとり見た目は違いますが、皆「心」を持つ特別な存在です。
神様が望んだのは、「心」のままに誰もが穏やかに暮らす世界でした。

世界は栄えて多様化していきました。
それに従ってアルセウスは生き物の属性を持つ“竜”の妹、“虫”の妹、“闘”の妹を、創りました。
心が宿った生き物には魂が宿ることを発見し、それが及ぼす影響をも知りました。
そこで魂の属性を持つ“霊”の妹、“超”の妹、“毒”の妹、“悪”の妹を創りました。
姉妹はやがて17人にまで増えました。
やがて姉妹はあまり会わなくなってしまいました。



神様と16人の妹たちによって、世界は支配されていました。
全員が集まったある日、“虫”の妹が言いました。
「聞いて下さいお姉様。先日、こんなことがありました。
私は世界中の森を歩き回っているので、度々人間と会います。
何人かの人間は、私をお姉様の名で呼びました。
しかしいくら違うと言っても、彼らは聞き入れませんでした」
17人はみんな同じ顔をしているので、人間がそれを見分けるのは難しかったのです。
すると他の何人かの妹たちも同じようなことがあったと口にしました。
「では私は『アルセウス』という名を捨てましょう。
これからその名は萌えもんや人間たちが“神々”と呼ぶものに取って代わります」
神様が最初から持っていた『アルセウス』という名前をみんなの物とすることで、
分かち合う喜びと、平等の考えを教えようとしたのです。
しかし、妹たちにはそれが分かりませんでした。
神様は最後に、自分自身に名前を付けました。
「私には、アモールという名を付けましょう」
私たちが確かに知ることが出来るのは、最初に生まれたそのアルセウスの名前だけです。
妹たちの名前は神様にしか分からない言葉で名付けられていたからでした。
「アモール」は、人間の古い言葉で「愛」を意味しています。
それから“悪”と“毒”の妹が一歩前に歩み出て言いました。
「お姉様、お姉様は私たちを創って下さいました。
私たちに取っては姉と言うよりもむしろ母のような存在だと思っています」
「そしてお姉様は世界を秩序で支配した偉大なお方です。
しかし、この世界にはただ一つだけ無秩序な物が存在しています」
「それは、私たちです。私たちに序列を下さい、お姉様」
“悪”の妹が最後にそう付け加えました。
それに長姉は怒って、言いました。
「それは出来ません。
なぜなら、あなたたちひとりひとりは私であり、私はあなたたちだからです。
私たちはアルセウスという、みな等しい存在としてここにあるのです。
上下関係などどうして必要でしょう?」
妹たちは顔を見合わせました。
まずは“空”の妹が宣言しました。
「では、二番目はわたくしでしょう。
空はお姉様が初めに創ったものの一つですし、空は世界の上を覆って存在していますから」
次に“大地”の妹が呟きました。
「でも、そもそも大地がなければ何も存在しなかったんだしね……」
それから“水”の妹が、
「ところで、水は空にも大地にも存在していますわね」
最後に“草”の妹が言いました。
「空の姉様には敵いませんが、草は水を吸って大地を覆い尽くしているのですよ?」
神が最初に創った四人の妹たちは口々にそう主張しました。
他の妹たちもじっとしてはいませんでした。
口々に、自分が優位であることを示そうとしました。
互いが互いをにらみ合い、今にも戦いが始まってしまいそうです。
誰が止める間もなく、アルセウスたちは戦いを始めてしまいました。



アルセウスたちの戦いはとても長引きました。
戦い続ければ続けるほど世界は破壊されていきました。
それを嘆いたアモールは一つの策を打って出ました。
妹たちを眠らせ、萌えもんや人が近づけない場所に封印する事にしたのです。
“空”の妹は雲の中に、“水”の妹は海の底に、“氷”の妹は南極の氷の中に。
他の妹たちも、深い森や険しい山、谷の奥底などに封印されました。
16人の妹を世界のどこかに隠すと、アモールは再び孤独になりました。
そこでアモールは、自分が神であることを捨て、人間の世界に降り立ち、
敬虔にアルセウス神を信じている一人の王様に会おうと城を訪れました。
しかし、門を守る兵士に止められてしまいます。
「王様に会わせて」
そう命じると兵士は門を開け、他の家臣たちもアモールに従って道を示しました。
王様は大きな部屋でお祈りをしていました。
そこにアモールが入ってきますが、大臣や兵士たちは全く動きません、動けません。
王様はお祈りをやめ、近づいてくる白い萌えもんと向かい合いました。
「おや、お美しいお嬢さん……あなたはどちらの国の姫君かな?」
王様が言いました。
お姫様と勘違いされたアモールは笑って言います。
「さしあたり、萌えもんのお姫様、といったところでしょうね?
あなたならば私が誰かお分かりでしょう?」
熱心に祈っていた王様には、今目の前に立っているのがアルセウスだと分かりました。
王様は神様の前にひざまずきました。
「ああ、我らが神よ!
お目にかかることを何度夢に見たことでしょう!
いえ、皆まで言わなくとも私には分かります。
我らに託宣を授けにいらっしゃったのでしょう」
「はい、あなたを人間の王と見込んでのことです。
面(おもて)を上げて下さい。
言葉を聞く時は目を見るものですよ」
神様を強く敬っている王様は、畏れ多くて顔を見ることが出来ませんでした。
「王よ、私を見なさい」
「は」
「人間よ、心して聞きなさい。
私は、あなたたち人間と萌えもんを特別な存在として作り出しました。
他の生き物が持っていない物を、あなたたちは持っているのです。
それを見失った時、私は世界に裁きを下すでしょう」
神様は人間の代表と約束を交わし、静かに去って行きました。

アモールは妹たちを封印して疲れたので、眠りたくなりました。
しかし、自分なしで世界が回っていくこと、変わっていく世界の様子を見られないのを残念がりました。
そこで一つの案を思いつきました。
神様は自身の右腕を姿を自由に変える萌えもんに作り変えて世界に放ったのです。

アモールが眠りについたことで、世界からは神様がいなくなりました。
しかし、アモールは復活のための手段を用意していました。
妹たちに施した封印は不完全で、ひとりでに封印が解けるようにしておいたのです。
いつか、アルセウスの誰かが私たちの前に姿を現すかもしれません。
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