5スレ>>951


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  リレーフーディンSS

    想いて届け

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 エスパー種のもえもん達は、その扱う技能の性質上、しばしばこう呼ばれることがある。

 『超能力者』と。

 念動たる"サイコキネシス"であるとか、"未来予知"とか、攻撃に使用される技だけ見てもそれはまさしくその通りで、
 不思議な生命力で以って様々な能力を垣間見せるもえもん達の中でも、エスパーというそれは一際怪奇的で、人知を超えたところにあった。
 まさしく能力という言葉に、超が付く程に。能力を超えた能力、上位の能力として。
 しかし、である。
 しかし、それはあくまでエスパーという特性を持つからこそであって、
 彼らがそれを行使する分には、ごくごく当たり前でいくら初歩的なことであっても、
 それを観測する側の立場、例えばエスパーの素養を持たない他種のもえもん、例えば普通の人間。
 そういう平凡な者達にとっては、干渉し得ない事象であることがほとんどなのである。
 
 金色のショートヘアーに金色の眼を持つ彼女、フーディンは、
 その中でもさらに上位、最強種と呼んでも差し支えがない程、エスパーのスペシャリストであった。

 "サイコキネシス"なんてお手の物、"未来予知"だって軽く、"テレポート"とか、"テレパシー"とか、
 様々な超能力を高いレベルで扱えた。
 けれど、いくら多用な能力を持っていたからといって、

 それを扱える場面なんて、ほとんどない。

 "テレポート"なら触れている・触れられているものと同時に移動することもまあ、出来ると言えば出来るのだけれど、
 エスパー特性、エスパー耐性のない被移動者への負担が、実は結構大きかったりもする。
 "テレパシー"は、こちらからしか送ることが出来ないので、一方通行。会話にならない。

 他の人達が思う以上に、不便なのである。

 だから、彼女、フーディンとその主人とは、他のトレーナーが他のもえもんを扱うように、なんら変わらぬ普遍な関係を築いていた。
 それが、彼女をイライラさせていたのである。

「マスター、次は?」
「うーん、ちょっとニビの方に、行っておきたいかなって」
「"テレポート"は? 使う?」
「……や、あれは勘弁してくれ。ゆっくり行こう」

 一度主人に"テレポート"を使った際、あまりの気持ち悪さに倒れて以降、
 どこへ向かうにも徒歩や公共機関の利用といった(フーディンから見れば)非効率的な手段しかとらないし。

『留守番頼んで悪いな、次の列車で帰るから』
『了解』

 とか、なにかしらの用で離れた時の連絡手段はメールだとか電話になってしまう。
 やはり、(フーディンから見るのなら)非効率的なのだ。

 でも、
 それでも、

 こんな不便極まりない能力だって、
 あってよかったと、思えることもあって、

 あれは確か、何年前のことだっただろうか――
 ――いや、忘れるはずもない、二年前の冬のことだ。

 主人に初めて出会ってから、つまり、彼女が彼の手持ちとなってから、三ヶ月経ったくらいの頃、
 雪の降る寒空の中、お隣の地方で一番お洒落な街に、お出掛けした時のお話。
 所謂――、デートと、いうやつだろう。

 それなりに打ち解けてはいたものの、デートという響きが気まずさを加速させていたような、まだまだ初々しかった頃だ。
 微妙な距離感、冷たい両手、会話の途切れる度に目を泳がせたりして。
 それでも彼女は、彼が好きだったから、主人のことを、もう信頼していたから、
 この日に、覚悟を決めていた。

「マスター、あそこ行ってみませんか」

 でも、

「マスターって、こういうのが好きなんですね」

 やっぱり、

「マスター、おいしいですか?」

 どうしても、

 その言葉だけが言えなくて、
 言い出せなくて、

 どうしてか。
 その言葉を口にしようとする度に、顔が真っ赤に茹で上がりそうで、
 心臓がドキドキして、
 それを彼に心配されても、ちょっと寒くて……、なんてごまかしながら違う話題をなんとか振って、
 ネガティブになって。

 だから私は、最後の手段に頼った。
 ヤマブキへと帰って、自宅について、自室に戻ってから、
 想った。
 


《ねえ、マスター》



 顔を真っ赤にさせながら、



《私ね》



 心臓が爆発寸前になりながら、



《貴方が、好き……です》



 どこまでも強く、"テレパシー"。



 突拍子のなさ過ぎる、一方通行な告白だった。
 けれど、
 それから数分の後、うわーっ! と心で叫びながらベッドに潜り込んでいた彼女の携帯に届いたメールには、
 こう、書いてあった。



『ずっと、一緒にいよう』



 ……だから彼女は今、彼と歩いてゆける、恋人でいられる。
 きっと、恐らく結婚前にもまた念じるのだろう。

《結婚、しませんか》

 とか、あるいは――

《不束者ですが、よろしくお願いします》

 ――なんて、きっと、また顔を真っ赤にさせて、今度こそ心臓を爆発させながら。





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 零です。相当に遅くなって本当に申し訳ない限りですが、リレーSS、お題フーディンとなります。
 回想っぽくなってしまいましたが、甘酸っぱく仕上げられたでしょうか、クオリティが非常に不安です。
 ……行間に頼りすぎた(
 では、こんな拙作を読んでくださった方々に感謝をしつつ、このあたりでー。
 次はブーバーさんのようですよ。
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