トムは自らの象徴とも言える逸物を私に見せ付けるように、私に見せびらかすように露出した。
突然の事に私は声を出す暇も無かった。いや、ここで落ち着いていられる人等いないだろう。ただただ呆然と、私はトムの逸物を見ていた。
「我慢出来ない」
トムのその青い目が私を見つめる。その双眼は以前から私を見つめていた、あの熱い視線と同様のものだった。
だがしかし、トムの言葉で私は正気に戻り口を開く。
「な、なにを言っているんだ!私には妻と子も……大体君と私は同性じゃないか!」
だが私の言葉も彼の耳には入っていない。それを聞いても尚、彼は私に詰め寄ってくる。
「や、やめ…………」
………………………
……………
……
「面白かったですね」
映画館から出た後、いつもは無表情のフーディンが幾分か表情が柔らかくなっているのに気が付いた。
「そうか。俺はつまらなかった」
フーディンとは対照に、私の顔は多少歪んでいる。産まれ持った造形的な意味では無く感情によって歪んでいるのだ。
「興味深い事ばかりでした。また来ましょうね」
「……」
最終更新:2007年12月07日 22:01