SS萌えもん言えるかな4番目ピジョン作品。
「ピジョンってさ」
隣を歩くマスターが不意に話しかけてくる。
「なんでしょう?」
あまり歩くのは得意じゃないけど、まだ空を飛べないし頑張ってついていく。
「進化したいって思うかい?」
そんな事、と思うけど何か意図はある質問なのだろうか。
「当然です、マスターの為に強くなってお役に立ちたいですから。」
とてとて、ぴょこぴょこ。
こんな表現をされそうな歩き方で頑張って歩いていく。
だって歩くのは得意じゃない、普段ならボールの中にいたはずなのに。
「そうか……髪型と髪色だけはそのままでいてくれな、絶対。」
何を言っているのか正直判らなかったけど、一応は頷いておく。
「ピジョンが進化するのは構わないが、
そのままの君の髪型でいてほしい、これは多くの萌えもんトレーナーの願いさ。」
「何の事ですかまったく……、それより次の町はまだなんですか?」
ちょっと足がつってきた、こんなに歩くのは初めてだから仕方がない。
「もう少しだよ、ごめんな、センターについたらすぐ直してもらうからそれまでまってくれな。」
故障したボールを指で突付き私の頭を撫でて、
さりげなく私を抱えあげながら耳元で囁くマスターの声は心地いい。
少しだけ翼をぱたつかせて抵抗する素振りをしてから、
「……進化して髪型変わってたらどうするつもりですか?」
一応聞いてはみるけど……
「絶対セットしなおす、俺好みのお前であるその髪型に必ず直してくれるわ!」
片手で私を抱えてポーチから取り出したのは一組のメイクセット。
「…………」
あきれて物も言えないけど、私の事を好きといってくれるのは嬉しかった。
たまに私の胸部に手が触れている以外の事は許してあげられる気分。
「嬉しそうな顔して頭をついばむのはやめないか?」
半分涙目のマスターに返事をせずついばみ続ける。
これが照れ隠しだって判る様になるまで絶対にやめてあげない。
そう決めた。
鈍くて変態でどうしようもなく優しいマスター。
なんで好きになっちゃったんだろうね。
Fin
―――
甘いのは難しいです。 CAPRI
最終更新:2007年12月15日 16:52