3スレ>>220


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伝説なんて、誰かの作った御伽噺だと思っていた。
曰く、雷雲に潜む猛禽。
曰く、氷雪に舞う麗鳥。
曰く、烈火を纏う鳳凰。
そんな者は居ない、と思っていた。
けれど、今…目の前に、居るソレは…伝説の、それだった。

「くっ、ニドクイン、アイアンテールだ!」
「ッ、了解、マスター!」
自分の指示を受けたニドクインは大きく尾を振るう。
鉄の様に固い尾をソイツに向けて振るう。
振るった尾は固く、勢いもあり、岩は愚か、時に地面とて容赦なく砕く一撃だ。
しかし、その一撃は空を舞うモノに当たる事なく、地面に突き刺さる。
同時にニドクインの脇を通り抜けて…その直後、ニドクインはその場に膝を突く。
何事、とも思ったが、すぐに理解した。
ニドクインの脇腹に、大きな打撃痕…ソレは先ほどから奴の穿った一撃の痕。
膝を突いたニドクインは、そのままその場に倒れ伏してしまった。

「っ、くそ、戻れニドクイン!」

倒れたニドクインを急いでボールに戻して、次の、いや、最後の仲間を出す。

「カイリキー…お前で最後だ、頼むぞ!」
「任せてくれよ、マスター…!」

拳と拳と克ち合わせ、やる気を見せるカイリキー。
直後、ソイツは身を翻し、カイリキーの正面に立つ。
黄色と黒のドレスを纏い、短く切り揃えた金の髪を風に靡かせて。
少し焼けた肌に映える金の瞳で此方を見る少女。
その伝説の名はサンダー。
そして、その伝説こそ、自分の目の前に現れて…手持ちの萌えもんの殆どを倒していったのだ。
残るは、自分がトレーナーとして初めて捕まえた唯一無二の相棒のみ。

「へっ、ボールの中で見させて貰ってたぜ…強いな、アンタ…けど、家のマスターの為に、負ける訳にはいかねぇのさ!」

大地を蹴り、サンダーへと駆けるカイリキー。
その豪腕を振るい、なぎ倒そうとするも――!

「サンダー、飛べ!」
「イエス、マスター…!」

サンダーのその後ろに居るトレーナーの指示を受け、空高く翔んで一撃を躱す。
…そうなのだ。
自分の目の前に現れた伝説。
ソレは野生のソレが突如として現れた訳ではなく。
一介のトレーナーの萌えもんとして、自分の目の前に現れたのだ。
正直、一番最初に見たときは何か別の萌えもんの色違いじゃないか、と思ったぐらいだ。
けれど、戦ってすぐにソレが本物の伝説なのだと、分からされた、分からされてしまった。

「ちぃ…逃げるな?!」
「逃げた訳じゃない…これは攻める為の、一手…!」

サンダーは言葉を返すと、空で身を翻し、足を突き出して蹴りをカイリキーに叩き込む。
その一撃はカイリキーの頑強な身に衝撃を与える程鋭い…が、しかし。
同時に、カイリキーはその蹴り足を掴んでいた。

「…ッ?!」
「へっ、痛いけど、これぐらい我慢して…こう、だぁ!」

足を掴んだまま、懐に引き込み、自身の身体ごと大地を転がしてダメージを与える。
カイリキーの技の一つ、地獄車。
自身もダメージを食らうものの、その一撃はカイリキーの豪腕も相まって強烈である。
カイリキーはサンダーを掴んだまま転がって行き、ある程度の所で手を離して距離を取る。
やはり、多少のダメージは致し方ないと言えと…それ以上のダメージを相手に与えている。
事実、サンダーは地面に伏したまま、動かない。

「へへっ、これなら幾ら伝説様でも耐えられるか、ってんだ…おら、次来な!」

カイリキーは対戦相手のトレーナーへ向き、次を要求する。
まったく、あいつは…と、思っていた矢先だった。

「…サンダー、起きろ、まだ立てるだろ」

その言葉に、カイリキーと同時にサンダーの方を見る。
すると、そこには…満身創痍ながらも、まだ立ち上がる姿。

「…おいおい、しぶといね…さっきから5人連続でやりあって、それで今のでまだ立つのかい?」

問いに対しサンダーは答えない…ただただ、荒げた息を落ち着かせようと、呼吸をするのみ。

「…寝てなよ、正直これ以上やるのはこっちも気が引けるんだけど?」
「…ハァ…ハァ…でも…」

そこで初めて答える。
金色の瞳を…まだ、折れぬ心根を表すが如き瞳をカイリキーに向けて。

「此処で倒れたら…約束、守れないから」

それだけ言うと、荒げた息はゆっくりとしたものとなる。
サンダーのその様子を見て…ニッ、とカイリキーは笑い、構えを取る。

「良いね…そう言う奴、嫌いじゃないよ…!」

直後、カイリキーは飛び出す。

「だから、せめて…これでゆっくり楽にさせてやるよぉ!」

拳を固め、全力で振るう…ソレは、必殺の拳、メガトンパンチ。
一撃で敵を静める、正に剛拳はサンダーを砕かんとばかりに振るわれる。
…だが、しかし。

「―、そう言う訳にはいかない、って言ったでしょ…!」

拳が振るわれるより早く。
カイリキーの横を駆け抜けて…その渾身の一撃を躱す。

「ッ、カイリキー! 後ろに蹴りだ!」

続いて指示を出す…しかし、カイリキーは答えない。
そのまま……地面へと、仰向けに倒れていく。

「…ごめん、少し、本気でやったから…痛いかもしれない」

そう言うサンダーの指先は赤く…血に濡れている。

「…嘘だ…あの一瞬で…やったとでも言うのかよ…」
「そういう事…ごめんなさい」

傷ついたサンダーは此方を見て軽く頭を下げる。
すると、そのサンダーの横を通り、サンダーのトレーナーが此方に歩み寄ってきて。

「ん」

と一言言って手を差し伸ばしてくる。

「…ほらよ」
「ありがとさんよ」

懐から財布を取り出し、幾ばくかの金銭を渡すと受け取ってそのままサンダーの横に立つ。
そして、かばんから傷薬を取り出すと、彼女の手当てをし始めるトレーナー。

「ったく、無茶すんなよ…痛かったろ?」
「ん…けど、負けるの嫌だったから」

サンダーはその表情をうっとりとさせ、手当てを受けている…その様からはまるで伝説などと言う物は感じられないぐらいに。

「ま、良いさ…さて、そんじゃ、行こうか」
「ん」

そういうと、トレーナーとサンダーは此方に背を向けて、行こうとする。

「…ッ、待てよ!」
「うん? …なんだよ」

思わず呼び止めてしまい、ソレに振り向く奴の顔。
悔しさか、何か…いや、違う。
ただ、一つ、疑問に思ったソレを尋ねた。

「お前…なんで、そんな伝説と一緒に…」
「んー…まぁ、色々あって、な…ちょっと一緒に行かなきゃならない所があるのさ」
「行かなきゃ…ならないところ…?」

そういうと、奴は。
すっと上に向け指を指して。
ニコリ、と笑みを作って言ってのけた。

「何、ちょっとリーグの頂点、って奴かな」

ただ、それだけ言うと、サンダーと共に今度こそ行ってしまうトレーナー。
その様子を呆けて見ている自分が居て…。

「…は、はは…伝説に挑戦する為に伝説を、ってか…そりゃ、勝てない訳だ…」

そんな言葉を吐いて、その場にしりもちを着く自分。
…エリートトレーナーと呼ばれて、頑張って来て、ずっと上を目指して来て。
けれど、何処かで限界を感じて…それで、ずっと弱そうな奴を見つけて喧嘩を売って。
そうやって来た自分と比べると、奴の何とまぶしいことか。

「……俺もまた、上でも目指そうかな…」

ポツリ呟きながら、空を見上げる。
空には、白い雲と、青い空と…それと、飛んでいる伝説の姿が。
そんな姿を見ながら…彼は、ふと思い出す。

「あ、やっべ、皆急いでセンターに連れてかなきゃ…!」

急いで立ち上がって、カイリキーの元へと駆け寄るトレーナー。
こうして、彼のある日の戦いは終わりを告げて………。


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どうも、初投稿でした。
こう、皆さんが書いてるのを見て書きたくなって書きなぐった形に。
今回は視点的には主人公、ではなく対戦相手の視点と言うので書きなぐった形になります、はい。
そして、設定とかは一応自身のプレイしてる奴をメインで考えてみてたりとか。
…いや、と言ってもサンダーが謙虚な性格なぐらいなんですがね?
後は適当、只管に適当。
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