2スレ>>572


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[星のお礼]


「せっかく楽しみにしてたのになぁ」
 もえもんセンターの一室、雨が降る外を見ながらナゾノクサが、残念そうに言った。
「来年の楽しみにすればいいじゃないか」
 寝る準備をしながら、トレーナーが言う。
「う~でもぉ」
 雨を降らせる雲を恨めしそうに、ナゾノクサは見ている。
「さあ、寝るぞ」
 ベッドに入ったトレーナーがぽんぽんと、隣を叩く。
 いつもならば、嬉しそうにやってくるナゾノクサは、名残惜しそうに窓から離れない。
 もう一度、トレーナーが呼ぶと、しぶしぶ窓から離れ、ベッドに入る。
「見たかったなぁ天の川」
「明日、晴れたら見れると思うけどな?」
「でも七夕は今日だけだもん! 
 それに、織姫と彦星も年に一回しか会えないのに、くもってたら会えないよ。可愛そうだよ」
 ナゾノクサは、一生懸命腕をぶんぶんと振り、主張する。
 それを見たトレーナは、小さく苦笑。
「(雲の上はいつも晴れだから、会えてるんじゃないかなって思うのは、俺も成長した証なのかな)」
 小さい頃は、ナゾノクサと同じことを言ってた、と思い出す。
 でも、どうにもできなくて、ふてくされて寝たことも。
「(こりゃ、明日機嫌とるの大変そうだ)」
 できることの少なかったトレーナーと違うのは、ナゾノクサには、現状をどうにかできる力があること。
 何かを思いついた様子のナゾノクサが、ベッドから飛び出る。
 そして、そのまま雨の降る外へと出て行った。
 それを追ってトレーナーも外へ。傘を持って出たトレーナーの目に飛び込んできたものは、月。
「え? 雨は?」
「ますたー、ほらほら! 天の川!」
 少し雨に濡れたナゾノクサが、空を指差し、嬉しそうに笑う。
 空には、星が散りばめられ、幾千幾万それ以上の星が集まった川、天の川が。
 トレーナーは、ようやく気づく。雲にぽっかりと、穴が広く開いていることを。
「なんで、切り取ったみたいに、穴が開いてんだ?」
「にほんばれを使ったの~」
 嬉しそうに空を見上げながら、ナゾノクサは答えた。
「あ! 間違えて覚えさせた奴か!」
 今日の昼、草タイプの技の効果が、上がると思って、ナゾノクサに覚えさせたことを思い出した。
「こんな使い方もできたのかぁ」
 上機嫌に笑うナゾノクサを見ながら、子供の発想力の柔軟さに感心するトレーナー。
「これで、織姫と彦星も会えたよね?」
「ああ、きっと会えたよ」
 仲間にも、見せようとモンスターボールを取り出そうとした時、
「あっ流れ星!」
 ナゾノクサが、空を指差し、トレーナーに教える。
 見上げた空には、たしかにいくつかの流れ星。
 それは偶然か、それとも、想い人と会わせてくれた織姫と彦星からのお礼か。
 わかることは、ナゾノクサが喜んでいることだけ。
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