3スレ>>450


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夜中。
ソレは静かで、誰もが寝ている時。
だが、時にそんな時間でも起きている人間は居る。
理由は人それぞれだ。
仕事の為、生活リズムの狂いの為、それこそちょっともよおした時等もソレだろう。
しかし、今、萌えもんセンターの簡易寝台から身を起こした少年。
その少年は違った。
…いや、そんな大層な理由で起きた訳じゃない。
ソレは誰もが必ず感じる事の為に起きた…いや、眠れなかったのだ。

「……腹減ったぁ」

そう、空腹。
時に人は空腹だと眠れない事がある。
無論、逆に空腹の方が眠れる、と言う人も居るだろうが、ソレは人それぞれだろう。
とりあえず、この少年は空腹だと眠れない性質らしい。

「やっぱ晩飯もう少し食っとくべきだったかな…」

んー、と軽く唸りながら、寝台から降り、徐に鞄をあさり始める。

「何か食うものないかな…でも、パンとか期限近かったからって食いきった気が…」

ごそごそ、と鞄を漁っていると…ふと、指先に何か袋の様な物の感触。

「お…ん、いや…?」

食べてなかったパンか、と思いながら掴むと、袋の中はなにやら固めの物が入っている様子。
少年はソレを掴み、鞄から無理やり引き抜く様に取り出して…ソレを眼にする。

「…あー…そういえば、これ、何かで買ってずっと鞄の中だっけ」

眼にした袋にはあったかそうな湯気の出ているラーメンの絵がプリントされている。
そう、少年の手にしたのは所謂インスタントラーメン…それもご家庭の味方、袋ラーメンだった。
ちなみに味噌味である。

「ってか、ずっと鞄の中で、大丈夫か…?」

徐に袋を振ると、シャカシャカ、と小さな欠片の音がするが、どうやら音から察するに少量の様だ。

「…麺は砕けてないか……寒いし、ちょっと手間だけど、悪くねぇよな」

少年は一つ頷くと、立ち上がって寝台のある部屋を出て、一直線へとある場所へ向かう。
ソレはセンターにある小さな食堂…と言っても、自炊者用の小さな台所、と言った雰囲気のソレだ。
時折、少年はそこで料理…と言っても、大体がインスタントを加工したソレを食事にしている。
なので、勝手知ったる何とやら、と言う訳で夜中に失敬しようと向かった…の、だが。
ふと、食堂の入り口に立って、気付く。
…灯りが奥の方から漏れている…ソレも、あの薄らくらい灯りは冷蔵庫の灯りだ。

「…おや、先客が冷蔵庫を物色中?」

そっと入り口から入り、静かに其方へと歩いて行く。
すれば、冷蔵庫の前に、誰かが座って何かを食べている…というところで少年は気付く。
その後ろ姿は少年が良く見慣れている姿で…両手でにんじんを持って食べてる姿は、正直和む。

「…って、和んでる場合じゃない…おい、ポニータ?」
「カリコリカリコリ…はっ?!」

声を掛けられ、ハッとしながら急いで此方を見るポニータ。
その顔はその瞳と同じぐらい真っ赤に耳まで染めている。

「はっはっは、どうしたこんな時間に…朝御飯には早いんじゃないかな、うん?」
「ご、ご主人こそ、ど、ど、どうしたんですか、一体!?」
「いやいや、まぁ、多分名目はポニータと一緒だよ、うん?」

そう言いながら手にする袋ラーメンを軽く振って見せる。

「うん、でもほら、あれだぜ、流石にお腹空いたからって生人参を齧る真似はどうかと…」
「だ、だって、私は料理なんて出来る訳がないですし…って言うかご主人、何でそんなにやにや笑ってるんですかー?!」

真っ赤になって両手をぶんぶんと振り回しながら怒りを表す、だがその手から人参を離さないのはある種ご愛嬌なのだろうか。
顔から離れない笑顔を浮かべたまま少年は台所の方へと行き、すっと冷蔵庫の傍に歩み寄る。
ソレに対しポニータは少し身を引きながら、主人である少年を見上げて一言。

「う…あ、あげませんよ、これは?」
「流石に齧りかけはいらん」

冷静に切り返しながら、冷蔵庫の中にあったまだ齧られてない人参を手に取る少年。
手にした人参を手近にあったまな板の上に乗せ、引き出しからピーラーを取り、皮を剥く。
そして、同じく包丁を取り出し、皮を剥いた人参の先端とヘタを取り、そこから短冊状に手馴れた様子で切っていく。
そんな様子をポニータはじっと見つめながら、手にする人参をコリコリと齧って。
少年はそんなポニータを見て微笑みながら、フライパンと片手鍋を取り出し、鍋に水を入れ火を掛ける。
フライパンにも火を掛けて、少し油を引いて…1、2分ほど待った後、温まったフライパンに短冊の人参を入れる。
人参を適度に炒めた所で塩コショウを少々振り、再びフライパンを振るう…すると、その間に片手鍋の中の水が沸いて来た。
ソレを確認すると、少年は袋を開けて中の乾麺を沸いた湯の中に放り、再びフライパンと相対する。
フライパンの中には少ししんなりとした人参が出来上がり、ソレを確認した後に火を止める。
片手鍋の方に眼を向ければ、乾麺が徐々に柔らかくなっていき、適当な所で此方の火も止める。
火を止めた所で粉スープを入れ、軽く掻き混ぜた後、その上にフライパンで炒めた人参を乗せる。

「…これでよし、と…ほら、ポニータ、おいで」
「え…あ、はい」

少年とポニータは一緒に食堂へ向かい、テーブルの前に立つと、手近にあった新聞紙をテーブルの上に乗せ、その上に片手鍋を乗せる。
その片手鍋の近くに椅子を二つ寄せると、少年は片方に座り…また、ポニータもそれに釣られてもう片方の椅子へと腰をおろす。

「さ、食べようか…少なくとも、生の人参よりは食べやすいと思うぜ」
「…え、でも、ご主人の…その、お夜食じゃ…?」

そっと上目遣いで主人である少年を見る。
少年はそれに対し、優しく微笑んで答える。

「良いって…それに、美味いモノはこうやって分けて食うともっと美味いんだぜ?」
「……はいっ!」

その言葉にポニータもまた、笑顔を浮かべて…箸を手にし、器用に使って人参を掴み、口へと運ぶ。
美味しそうに頬張る姿を見て、和む少年。
だが……1秒、2秒、そして3秒後。
ポニータが口を開いた…その瞳に涙を溜めながら。

「……あついです、ごしゅひん…」
「え、待て、お前炎属性なのに猫舌なのかよ?!」

突然の真実に驚愕を隠せない少年だった。
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