2スレ>>594


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

*注意事項(こんなあたいの出ないような花の無し、落ちなしの作品にくらいしか必要ないものね~)
*長いです。長過ぎです。ぐだぐだです。
 飛ばして読んだり、読むの止めてくださっても構いません。(これもあんたの”ジツリキ”の無さのせいね!)
*…悪い点、萌えが足りない点、無駄な点などがありましたら、
 遠慮せずばしばし言って下さい!(このどMが!…あれ?Mってどういう意味だっけ?)
*ちなみにうちのピッピは『ばかっこ』ですが、
 作品には全く登場しませんので大丈夫です。(ば、馬鹿って何よ!馬鹿って言った奴が馬鹿なんだからぁ!)
*馬鹿を馬鹿って言ってどこが悪い!
 それに”ジツリキ”じゃなくて”実力(じつりょく)って読むんだよ、
 ねえ君知ってる?知ってるぅ?(う、う~~~!…こ、コメットパーンチ!)
*ちょwwwおまwwwww

ボカーン


(ふっ、ふーん!悪は滅びるのさ!あんな奴のことなんかほっといてとっととSSはじめるさ!)









――――?????_視点

全身全霊をこめたクロスチョップの一撃を受け止められ、
カウンターに食らった電撃の衝撃であたいは後ろに吹っ飛ばされた。

体勢を整え、相手の様子を見るが、
相手がダメージを受けた様子は全くみえない。
最大の一撃をもってしても、あたいの攻撃ではダメージを与えることができなかった。
その事実に、自分の実力の無さが歯痒い…!

「もういい、オコリザル!
 勝負は着いてる!
 これ以上戦う必要なんてない、下がれ!」
マスターの声が聞こえてくる。
言わなくても答えくらい分かってるだろ。

「嫌だ!
 絶対に逃げない!」

昔…あたいがマンキーだった頃、
みんなに助けられるだけの自分が嫌いだった。
だから強くなろうと頑張った、ここに来るまで強くなれた。
他の仲間の誰よりも強くなる。
自分がみんなや、マスターを助けられるくらいに強くなってマスターの夢、
リーグ優勝を絶対にかなえるんだ、って。
どんな奴があたいに向かってきても、たとえ勝てないと分かってる相手だとしても、
あたいは敵に背中を向けない。
倒れるまで戦う、そう誓ってここまで来た。


でも、いくらあたいがそう誓ったところで、それはただの誓い。
現実は勝者と敗者がいて、勝たなければ勝負には何も意味が無いのに気づいたのは…マスターの戦法が相性勝負になった時だった。
相性、タイプ、属性…。
そして、―――実力。


「―い!
 ど――た!?――リザル!」
さっきまですぐ後ろの方にいたのに、マスターの声がどこか遠くから聞こえてくる。
そういや、あの電撃を食らってから、目の前にいる相手がぼやけているのに気づいた。
身体の方も、指先の一本まで、まるで言うことを聞かない。


さっきの電撃、
でんじ、は、…ぐっ!


膝が震えている、ここに来るまで受けたダメージもあるのに、
今こうしてたっているのも不思議な位だ…。


こんな大事な場面で、あと一歩なのに…!
あともう少しでマスターは、みんなは、リーグに――!


「ぐっ、ぎぎ、…ぬぅっ!」
一歩足を前に出し、その一歩で地面に倒れた。
それでも、動けなくなっても最後まで相手から眼をそらさない。
今できることはそれしかなかった。

それが今の自分自身の、…限界。

「ハクリュー、…はかいこうせん」

その一声の後、全身を貫く熱い衝撃が走る。
だが身体がマヒしている今はそんな衝撃なんて認識することもできない。
意識だけがゆっくりと暗転していく。


やっぱり、あたいは…駄目なのか。
みんなみたいには…。

「オコリザルーーーーーッッ!!!」


ごめん、マスター…あと一歩だったのに。


あたいの意識はそこで途切れた。









タッタララーン、タラッターン!(初代ポケモンアニメ風な音で)


『オコリザル!一人の限界』


タラララッ、タラッタ、ターラン!(初代ポケモンアニメ風な音で)







萌えもんトレーナー、ジャックはここまで各ジムリーダーとの死闘を繰り広げ、
激闘の末、バッチをすべて集めることに成功した。
目指すは萌えもんリーグ優勝、ただ一つ。
だがリーグ挑戦した彼らは、最後の四天王ワタルに負けてしまう。
これはそんな彼らのリーグ挑戦への物語である。




――――ジャック_視点



やあ、ジョン元気かい?
おお、ジャック、ジャックじゃないか!
元気そうでなによりだよ、HAHAHA!
おいおいジョン、そんな笑うこと無いじゃないか。
HAHAHA!何を言ってるんだジャック、
僕らは何度も一緒に夜を共にした中だろ?
そんな細かいこと気にするなよぉ、
ほらいつものように、こっちにこいよ。
HAHAHA、今夜は寝かせないぞー。




「「ああ、いい!いいよジョン!アッー!」」

「だぁ~~~!!いい加減にしろ、お前ら!」
さっきから人が落ち込んでいる時に、レアコイルのうちの二人が変な電波を耳元でぼそぼそとつぶやく。
あまりに聞くに堪えない内容とそれを熱演するコイルの声に耐え切れず、俺は二人を振り払った。
そんな反応をおもしろそうに笑いながら、二人はもう一人の場所へ離れていった。

「「3号~、作戦成功いたしました!対象は反応を返す程度の元気は取り戻したようです!」」
ピシッ、と二匹のコイル(自称:1号、2号)が敬礼のポーズを取る。

「うふふ、よくやったわ1号、そして2号。
 あともう少しよ。
 後もう少しで禁断の扉は開かれるわ」
二人の頭をなでなでする電波の根源であるコイル(自称:3号)は何か意味深そうな笑みでこっちを見ている。
いつもならここで他の奴らの突っ込みがはいり乱闘になったりするのだが、
今日はその様子は一向にない。

実際、この部屋の中でこんなに明るいのはこのレアコイルのみ。
俺やそれ以外のリーグ参加メンバーの気分は最悪だった。

ここに来るまで、俺達は共にカントー地方全てのジムをまわり、
それに勝利してきた。
負けた数は10,20回なんてもんじゃない何度も何度も負け、旅を投げ出したくなった。
だけど俺は一人じゃなかった。
どんなときでも、萌えもんたちはただ俺に着いてきてくれた。
だからどんな困難でも打ち勝てると思ってたし、どんな相手にも根性で這い上がってきた。
相性と入れ替え、そしてトレーニングを重ね俺達はここまできた。
だが今回はいつもにくらべ相手が悪すぎた。

万全の準備を整え、俺達の全力を賭けて挑んだ萌えもんリーグ。
四天王の3人は非常に危ない戦いだったが、俺達は辛くも勝利を収めることができた。
もしかしたらこのままいけるんじゃないかと思った。
だが四天王最後の将、ドラゴン使いワタルは今までの四天王とは格が違った。
苦手の相性のないドラゴン属、そしてその全身を覆う硬い身体の前に、
俺の仲間では全く歯が立たなかった。
メンバー最大の物理攻撃であるオコリザルのクロスチョップすら、
ハクリューの硬い皮膚の前ではほとんどダメージを与えることができなかった。
ワタルの2人目の萌えもんの戦いまでの間に全滅した。
最低でも3人はいたはずだが、今の俺達では話にすらならない。
文字通りの完敗だった。


それから数日後、みんなの傷が完治し、
俺はこれからどうするか考えていた。

最大の敗因はドラゴンに対抗できる仲間がいなかったこと、
だがドラゴンに相性のいい属性がわからず、俺達はただ悩むばかりだった。
相手は四天王のワタル、身体を鍛えたところですぐに勝負に挑めるような相手じゃない。
それに、もう一度俺達があいつと戦うためにはまた四天王の3人を超えなければならない。
あの戦いの場にたどり着くのさえ、俺達には全て辛い戦いだ。

有効な策を練っている中、
不意に部屋の気温が数度下がったような気がした。
部屋の窓が外からの冷たい冷気を含んだ風を運び、
一人の萌えもんが帰ってきた。


「ただいま~」
その萌えもんが空から部屋に入ってきたとき、
窓辺から先ほどより冷たい冷気が部屋中に広まる。

フリーザー、以前ふたごじまで捕まえた伝説の萌えもんの一人。
あの見た目の冷たい印象と違い、元気なボクっこだった。
捕まえる前は戦闘の恐怖で表情も固まっていたらしく、
戦った時はお姉さんの印象が強かったが、捕まえてみると意外や意外元気なボクっこ…。
捕まえた後、どこかそう…、
何か釈然としない、もやもやな気持ちになったのも今では思い出だ。

普段は基本伝説の萌えもんである彼女を俺は使わない。
というよりも、俺じゃ使いこなせない。
すべてを凍らす絶対的な戦闘能力を持つ彼女を使いこなす自信がなかった。
だからといって彼女を野生に逃がすのもパソコンに預けるのも忍びなく、
そして何より彼女の提案もあり、今は放任している。
何でも彼女はカントーを飛び回ったり、見回るという使命があるらしい。
伝説の萌えもんの名は伊達ではない。
各地の萌えもんの様子を見守り、異常があったら彼女はそれを叩く。
忙しい時には1ヶ月くらい帰ってこないこともあった。
自由でとらえどころの無く、どこか不思議なオーラに包まれた萌えもんだった。


「あれ?ますたー、それにみんなどうしたの?
 なんか元気ないね」
みんなの様子がいつもと違い、自分がいない間に何があったか知りたがった。

…そうだ!
伝説の名を持つ彼女だったら、もしかしたらドラゴンの弱点を知っているかもしれない。

とりあえず、彼女にリーグ戦のことを説明した。

「いやな、…これこれ鹿鹿で」

「…かくかくうまうまってことがあったんだね」
それを聞いたフリーザーは少し考える仕草をとり、何かを考えている様子だった

「ドラゴン…、
 そういえば昔ファイヤーから、
 ドラゴンは冷気に弱い、って聞いたことがあったような~」

「なにっ!それじゃ冷気が強いお前なら勝てるのか!」
俺の話の食いつき様に驚いたのかフリーザーは驚いていたが、
それだけ今の俺達には余裕が無かった。
どうしても、俺はリーグに勝ちたかった。


「え?ちょ、ちょっとマスター。
 これは噂だから確証も何もないですよ?」

「噂だっていい、今は――」

「できることがあるならその全てをやるべきよ」
この会話の中、今まで顔を伏せていたフーディンが立ち上がった。

みんながフーディンに視線が集める中、俺はただ一人俯いたまま顔を上げないオコリザルに気づいた。
あの戦いの後、オコリザルはどこかみんなとは距離をおき、一人で過ごすようになった。
きっと、最後の最後にバトルに出て、負けたことにプレッシャーを感じていると少なくとも思った。
いつものように次の日には馬鹿笑いできるくらい元気になるかと思ったが、一向に元気になる気配は無かった。


「マスター、オコリザルとフリーザーを交代することを提案します」

「「「「!?」」」」

「えっ、ぼ、ボクが?」

「なっ!」
そんなオコリザルのことを心配した矢先、フーディンの提案に俺もみんなも驚きを隠せない。
なぜならその言葉が意味すること、
それはオコリザルに対する戦力外通知に他ならない。

「そ、そんなフーディン!ひどいじゃないですか!」

「……」←怒りの表情

ウインディはそんなフーディンの言葉に食って掛かる。
ギャラドスも口には出してないだろうけどかなり怒っている。

「あら?何か問題でもあるの、忠犬」

「も、問題ありますよ!
 僕達はここまでみんなで一生懸命鍛えて、励ましあって、
 ともに頑張ってきた仲じゃないですか!どうしてそんな酷い事淡々といえるんです!?」

その口論が始まった中、話題の中心にいるはずのオコリザルは口を開かない。
いつもならウインディが出る幕もなく食って掛かるはずの暴れん坊のこいつがただ黙って何かに耐えるように下を向いていた。


「酷いですって?私達がここに来た目標を忘れた?
 リーグの優勝を果たすこと、…それがマスターの夢。
 なら私達はそれを叶えるのが目標…そうでしょ?
 だったら…」

そう言って、オコリザルを見ながら言葉を続ける。

「勝てる萌えもんがいるなら、
 勝てる萌えもんで行くべきよ」
そうはっきりと断言した。
その一言でウインディも、他のメンバーも何もいえなくなった。


フーディン、お前は確かに正しいかもしれない、
でもいきなりそんな――

「だったら抜かせばいい」
この空気の中、初めてオコリザルがその重い口を開いた。
その表情にはいつもの怒りも勢いもない。
でも静かな表情で下を向いたまま言った。

「マスターが良いんだったら、フリーザーを加えればいい…」

「お、オコリザル!待て!」

俺が止める前にオコリザルは静かに自分のボールに戻った。
その間、俺も他の萌えもんの誰しもが何も言えず、ただ見送ることしかできなかった。
その何も話せない空気の中、俺はさっきのフーディンの言い方がどうしても許せなかった。

「フーディン、
 自分が何を言ったのかわかってるのか?」

「……」
フーディンは何も答えないただオコリザルの入ったボールを見ている。
その表情は顔を伏せてるせいか見えない。
だが沈黙という答えに、俺はますます自分の苛立ちを抑えきれなくなった。

「オコリザルの気持ち、考えたことがあるのか。
 あいつは、あいつはみんなの役に少しでも立ちたいからここまで、
 ここまでずっと死ぬ気で―――」

パリンッ!

俺のすぐ横にあった花瓶が突然音を立てて割れた。


「なら…あんたはどうなのよ」
フーディンは俺の方を見ない、ただボールを見ている。
その声には怒りや悲しみ、それ以上の激しい感情だった。

「あんたはオコリザルの、
 ここまでオコリザルの何を見てきたのよ!」


…返す言葉が見つからなかった。


その日の夜、どこからか冷たい空気が部屋に入り込む中、
俺はその急な寒さで目が覚めた。

「ん?
 誰だ?窓を開けたのは…」
寝ぼけ眼で窓のそばまで歩き、窓を閉じようとしたそのとき、
下を誰かが歩く姿が不意に見えた。
あの両手につけているボロボロのグローブ、
見覚えのあるくしゃくしゃの寝癖のような髪型、
あれは…

「オコリ…ザル!?」
寝ぼけていた頭が一気に覚めた。
パジャマ姿も気にせず、俺はオコリザルを追いかけた。

数十分、オコリザルにばれないように慎重に忍び足で追いかけた。
着いた場所はチャンピオンロードとリーグ会場の途中にある岩場、

俺らがここに来る前に最後に登った場所だ。


こんなところまで着て、
何をやろうとしてるんだ、あいつは。


オコリザルを少し離れた場所から岩に隠れて見ていた。
そして、適当な場所が見つかったのか、オコリザルよりも5倍近く大きな岩前でオコリザルは腕を十字に構えた。


あの構えは…。
俺がその見覚えある構えに気づいたとき、

ミシッ!

オコリザルのクロスチョップでその岩に亀裂が走り、轟音が空に響く。
だが岩は崩れない。ただひびが入っただけだった。
再びオコリザルは構えを取り、突撃する。

ミシミシッ!

だが岩が崩れる気配は依然としてない。
それでもオコリザルはあきらめない。

ミシッ!

もう一撃。

ミシッ!

もう一回。

ミシッ!

クロスチョップのPPが底をついたのか、地面にひざをつけ、荒い息を整える。
岩は依然として崩れる様子は見えず、ただ静かにあった。
本当はすぐにでもやめさせるために走りたかった。
でもできない、今のオコリザルを止められない、止めてはいけないふいんき(なぜか変換できない)だった。

今度は右腕を振り上げ、岩に再び一撃を加える。

ゴンッ!

今度はからてチョップ。
通常のポケモンなら大ダメージを与えるだろう技であっても、
その岩が砕ける様子はなかった。

だがあきらめない。
それでもオコリザルは懸命に岩を叩き続ける。

ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!



あいつ…一体何してるんだよ、
あんな…四天王シバのカイリキーのいわくだきでも砕くことのできないような大きな岩になんで挑んでるんだよ。
…違う、挑んでるんじゃない。
オコリザル、
お前は何をその岩にぶつけてるんだ…。

ワタルとの試合を気にしているのか?


その挑戦は夜が明け、明け方近くなった今でも続いていた。
両腕のグローブはさらにボロボロになり、その姿も土で汚れていた。
疲労で既に立つこともできないように見えたが、
それでも立ち上がる、這い上がり岩に挑む。

「ウオオオオッ!」
最後の最後の全力を振り絞り、
放った右ストレートのパンチ。
技でも何でもない、ただ勢いだけのパンチだった。

ゴッ。

そのパンチで岩が崩れるわけない。
オコリザルはそのまま岩に抱きつくように倒れる。

このとき、俺は勝手に動き出し、
気づいたときには全力で走りよっていた。
オコリザルに急いで近寄る。
疲れ切った顔、閉じたまぶた、止まらない息の上がり、…胸が痛む。
その姿になるまで見ているだけしかできず、近よって止められなかった自分が憎い。

「おい!大丈夫か、オコリザル!」

「はぁ…、はぁっ…、
 ま、はぁ、すたー…はぁ」

「ああ~もうしゃべるな!
 と・に・か・く!少し横になれ!」

「あっ、ま、マスター!」

オコリザルは俺にされるがままに俺の膝の上に寝かられた。
最初は真っ赤になって、照れているのか少しじたばたしていたが、
やがて抵抗しても無駄と気づいたのか、身体を俺に委ねた。

息も落ち着いたが、
今度は何も言わずに、俺と視線をあわせるのを避けた。

「……。」

「……。」
互いに何も話せなかった。
話す言葉が見つからなかった。
でも俺はオコリザルと話をしたかった。


しばらく無言のまま、ただ時間だけがゆっくり流れる。


俺の視界が太陽の光で一気に広まり、
セキエイ高原に朝が訪れた。


ふと見渡すセキエイの景色、
それは今まで見てきたどの場所よりも荒れ果てていた。
ここは萌えもんトレーナーの多くの者にとって夢の場所であり、
同時に絶望を与える場所でもあった。
一体この風景を見た何十、何百のトレーナーがリーグの夢を捨て、去ったのか。
そして、何人がリーグを優勝してこの景色を眺めたのか。

見渡す限り岩しか見えない荒れ果てた土地とは反対に、
リーグ会場はその中に不自然にぽつんと光を放つように建っていた。


そんな光景を見渡しているうちに、
気づいたら無意識に膝の上で横になっているこいつに話しかけていた。


「…なあ」

「……」

「あの岩に
 何をぶつけてたんだ?」

初めて俺の方を向き、その目を見た。
だがまた視線をそらした。

さすがに野暮がすぎたか。

自分の無頓着さになんとも言えず、
次の言葉を捜していたとき、

「不甲斐無さ…、
 悔しさ…、
 情けなさ…、
 …弱さ、そして」


ポツリポツリと話し始めた。
最後は涙声になっていた。

「自分の…限界」

今まで、マンキー…いや、オコリザルは弱音を言ったことなんて一度も無かった。
どんな相手にも、たとえ苦手な相手だったとしてもただ己の拳のみで挑んだ。
何回負けても何度挫けそうになってもこいつは根性で立ち上がったんだ。
そんな現メンバーのエースであるフーディンとは別の意味で、
こいつはみんなに勇気を与えるような存在だった。

カスミとの二回目の戦いでは、苦手な相手であるスターミーの猛攻にみんなが怯えている中、

『は!あんなやつ、
 あたいの拳でK.Oにしてやんよ!』
一番最初に飛び出して一撃であえなく玉砕した。

フリーザーの時は、あの全身を貫く氷の視線を受けてみんながすくんだ時に俺を一蹴りし、

『ぼさっとすんな!
 全軍!続けええええ!!!』
と渇を入れ、最初に飛び込んでいったのは他ならないオコリザルだ。
一瞬で氷づけになっちまったけどな。

それでも、負けて傷ついても、
瀕死状態になってもいつもあいつは、

『ははは、やっちまったぜ』

と眩しい笑顔の一言で済ませた。


…でも、その姿を見るたびに俺の胸はどこか痛んだ。
それは顔には出さないがみんなの心の中も似たような感じになったはずだ。
オコリザルはみんなを勇気付けても、
先頭に立って守ることはあっても、
あいつは誰の協力も借りず一人で戦った。


その信念を真っ向から否定する勇気が俺には無かった。
それを否定することは、オコリザルの戦いすべてを否定するということ、
そう思ったら何も言いだせないさ。


それからだった。
俺は相手の弱点のタイプだけを出して戦うようになった。
弱点だけ、それ以外は絶対に戦闘に出させない。
その方が効率的だし何よりも、みんなが傷つかない。
俺はオコリザルやみんなに、これ以上瀕死の傷を負わせたくなかった。


でも同時にそれは、
得意なタイプの少ないオコリザルから戦う場を奪うことになるのだと、
わかっていたとしても。


「誰よりも、他の誰よりも強くならねえと、
 みんなを引っ張っていこうと思った。
 …でも駄目なんだ。
 俺はフーディンには絶対勝てない、
 フシギバナのようなまとめるリーダーシップもない、
 ギャラドスのように海を渡れないし、空も飛べない、
 ウインディのような速さもない、
 ましてレアコイルのような特殊能力なんてない。
 あたいにあるのは…この拳だけなんだ。
 マスターがあたいを出さなくなって、できることもなくなった」
オコリザルが顔を向けるのは朝日を隠す大きな岩。
その視線には怒りも、憎しみも無く、
ただ静かな静観があった。

ただ一言、戦闘に参加させろって言えばいいのに、
こいつは…俺が戦いを奪っても何も言わず、
自分の役割を、戦うという役割を果たすために…まってたんだな。
俺が俺の指示で戦うのを待ってたのか。

「この岩があたいの…限界、
 崩せない壁」


オコリザル、それは違う。
違うんだよ、何でお前は一人で、
こんな旅の最後の最後のタイミングまで弱音なんてはかず、
そんな意地なんて張りやがって、
なんだよそれ。

今、ここで何か言わないとオコリザルはもう戦えない。
オコリザルにただ戦ってほしいんじゃない、
俺は…今のオコリザルを俺は見たくない、
一人で突っ走るこいつを見ていられない。

「そんなこと――」

「限界って便利な言葉ね」

急に身体が中を浮かび、あの岩から少し離れた場所で身体が地面に落ちた。
膝の上にいたオコリザルは俺が地面に当たった後、俺の上に落ちてきた。
ここまで俺達を運んだ不可視の力…、超能力。

これは…ねんりき!?

「ふ、フーディン!」

俺達をここまで運んだのはフーディンのねんりきだった。
フーディンの後ろにはいつものメンバーがそこにいた。

「おはようございます、マスター、…それにオコリザル」

「び、びっくりしましたよ。
 よな…あ、朝起きたら二人がいなくなっていて」

「「「大丈夫ですか、(マスター)(オコリザル)(貞操)!」」」

「…こんな誰もいない場所で二人っきり、
 …どきどき」
フーディン、ウインディ、レアコイル、そしてギャラドス…。
オコリザルも驚いている様子だった。
ここはリーグのセンターから数十分も離れていて、
数ある岩のある場所からひとつ。
まさか、こいつらも俺みたいにずっと――

その中でフシギバナが一歩前にでてオコリザルの様子を少し見た後、
俺に顔を近づけ、数十センチ手前まで顔を近づける。
「マスター、オコリザルはこれほどまで疲労しているが、
 誰がこんな姿に?」

「え?ええっと――」
必死になって言い訳を言うか言うまいか悩んでいる時、
フシギバナの眼はちらちらと岩の方を向いているのに気づく。
有無を言わせぬ眼で訴えているのが俺にもわかった。


「…あれだよ、あの岩」
この視線に負け、俺はあの岩を指差した。
全員の視線が岩へと移る。

すでに夜も明け、太陽の光にさらされた巨大岩。
オコリザルの超えられない壁。
朝日の光で岩は照らされ、
オコリザルの格闘の後が刻まれていた。
表面から中心にひびは入っているものの、岩の中心部を砕くに至らない。
その何度も何度も拳で刻まれた跡は、オコリザルの必死の抵抗のようで、心が痛んだ。

「ふーん」

「うわぁ、これ全部オコリザルの手形?」

「「「すごぉ~い(痛そうです~)(うわ、岩に血がついてる!)(…血が飛び散るほど激しく)」」」

「……」←何も言えない位驚いている様子。

みんながみんな一長一短の驚きを表現する中、
オコリザルはただ何も言わず黙ったままだった。
そんなオコリザルの様子に気づいたのか、フーディンはオコリザルの近くまで歩く。
オコリザルもフラフラと足元もおぼつかない様子だが、それでも立ち上がり向かい合う。


「…なんだよ」
まだ涙の消えない泣き顔だが、それでもフーディンに向かい合う。

「どうしたの、その情けない顔。
 もしかしてあの岩を崩せないのがそんなにくやしかったかしら?」
フーディンの視線を受け一瞥するが、
返す気力が無いのかすぐ視線をそらす。

「…ほっとけ」
昨日よりはすっきりしたように思えたが、
まだいつもの騒がしさとは程遠かった。

「あらあら随分、威勢の弱いこと。
 たかだかあんな岩でボロボロになるなんて、あほらしい」

「……っ!」
フーディンに返す言葉が見つからないのか、
何も言わずオコリザルは視線をそらした。


またか、…また攻めるのかフーディン!
これ以上オコリザルを攻めるのはいくらお前でも許せないぞ!

「フーd、…ん?」
急に服の裾を引っ張られ、後ろを振り向いてみると、
フリーザーが笑顔で右翼を自分の口に当て、俺が話すのを制した。

今は黙っててあげて、ね?

そんなフリーザーの声が聞こえたような気がした。

「まったく、岩なんか壊す意味なんてないのに、
 そんなに怒りをぶつけたいなら私達にぶつけるいつもの威勢はどこにいったのかしら。
 いつまでもそんな…なさけ、~~~ああもう!イラつくわね!
 泣くな、この脳筋!」

ポカッ

話をしている間にフーディンはオコリザルの頭を軽く叩いた。
その力はいつもの喧嘩の時のような激しさではなく、
小さい子を叱るような感じだった。

「あてっ、
 い、いきなり何すんだよ」

「いい、この馬鹿猿!
 限界、超えられない、そう考える事自体間違ってんのよ!
 こんなものあんた一人で壊す必要なんてないし、壊さなくたって先なんか進めるわよ!
 でも、行く手を阻む岩だったら…!」
フーディンが右手のスプーンを岩の方に向ける。
それと同時に俺の耳元でキィィィンという音が響き始めた。

フーディンがサイコキネシスを放つ前の予兆!

ミシミシミシミシッ!

あの岩がサイコキネシスの超念力の力で表面から崩れていく。
だがサイコキネシスの力のみでは表面が削れても、中の厚い部分までは削れない。

同時に、何か合図したわけも無いのに他のメンバーは動き出す。
ギャラドスのハイドロポンプ、
ウインディのかえんほうしゃ、
レアコイルのトライアタック、
フリーザーのれいとうビーム、
そしてフシギバナのソーラービーム、その全てがほぼ同時に、
オコリザルが付けた大きな亀裂の入っている場所に一斉に攻撃する。

バギギギギッ!

…なんだ、みんなわかってるじゃねえか。
本当に大事なこと、オコリザルに伝えたいこと。
俺が…誤解していたこと。

バガアアアアァァッ!


てことは一番のわからずやは俺だった、ってことか。


その空に朝を伝えるドードーの声よりも大きな轟音がセキエイ高原に響き渡る。
こうしてオコリザルが挑戦し、負けた岩はみんなの力で呆気なく崩れた。

「…ふん」
そういってフーディンは顔をそらし、オコリザルに背を向け、離れていった。

「あ、え、…え?」
オコリザルはただこの流れについて行けず、
文字通り固まっていた。
みんなが振り返り、オコリザルを見つめる中、
俺は後ろからフリーザーに突かれる。


俺の役割まで決めているのか、お前らは。
…情けない話だ、俺の役割まで用意して、
こんな場面まで作って、さあ頑張れってか。


…ありがとな、みんな。


例えそれしかできることがなかったとしても、
己の全力を掛けること。
…お前の信念、難しいな。


俺はしゃがみこみ、オコリザルの顔をまっすぐ見つめる。
先ほどの岩の衝撃で、
固まったままのオコリザルは俺の視線に気づいても先の衝撃が抜けず、唖然としたままだった。
そんな状態にかかわらず、俺は息を吸い、オコリザルに伝える。

「いいかオコリザル、よぉ~く聞け!」

「な、なに?
 な、なんだマスター」
オコリザルはこの展開に流される、ただ流される。
今なら、伝えられる。

「俺達はここに来るまでみんな一緒に辿り着いた。
 …違う、みんなだからここに辿り着けたんだ。
 みんなをまとめるフシギバナ、
 無口だが性格はいいだろうギャラドス、
 忠犬ハチ公ばりに頑張り屋なウインディ
 うちのNo.1のエース兼ツンデレのフーディン、
 変な電波を常に放ち続ける訳わからんレアコイル、
 そして…」
オコリザルの両肩に手を当て、顔を見つめながら話す。

「どうしようもない暴れん坊で、
 自分の信念しか信じて疑わず、
 負けるとわかっても逃げずに立ち向かう無謀の者の癖に、
 それでも絶対にあきらめない。
 …オコリザル、おまえだ」
自分でも随分臭い台詞だとわかっているさ、
でもここで言わなきゃいけない。
ここでこいつに教えなきゃいけない。

「俺は、お前を連れて行く。
 今のみんなでリーグに行く、そう決めた」
俺がそう言っても、オコリザルは顔をそらす。

「で、でもあたいは…戦う事しかできないし、
 ドラゴンの硬さも崩せないし、
 フリーザーの方が――」

あ~もう!こいつは、
こういうときに限ってどうしてそんなにうじうじしてるんだ!

「この分からず屋!
 強い?弱い?属性?
 知ったことか!
 俺は、お前がいいの!
 お前がじゃなきゃリーグを突破しても意味が無いんだよ!」
つい勢いで力いっぱい抱きしめる。

ピキッ


周りの空気が一瞬、零度近くまで冷えたような気が…、
で、でもそんなの関係ねえ!


「俺は、リーグで勝ちたいからお前と行くんじゃない!
 お前と一緒に勝ちたいからリーグに行くんだ!」

「……。」
ここまで言い立ててきたが、
先に俺の方が頭が冷えてきた。
あまりの勢いでしゃべったのはいいが、肝心のオコリザルが何も反応を返さない。
ただ顔と眼が赤く、それもトマトのように真っ赤に染まっている。
ま、まさか説得に失敗!?
それともまた泣かせちまったのか。


なんとも言えない空気の中、ようやくオコリザルの口が動いた。

「……あ、あり、あり、あり」
オコリザルは泣きながら、
それでも必死に何かを伝えようと涙声で、
その言葉を言った。

「ありがとう、ま”す”たー、…み”んなぁ!」
そしてオコリザルは泣いた、
それはオコリザルがマンキーの頃から付き合ってきた俺でさえ初めて見た、
オコリザルの本当の泣き顔だった。
それからしばらくの間オコリザルは俺の胸の中で泣き続けた。
その涙が止まるまでずっと泣き続けた。









―――― 一ヶ月後


そこには笑顔で庭を走り回るオコリザルの姿が!

「あのときはほんとに駄目かと思ったよ」

「もう二度と巨大岩を崩すことに挑戦なんかしないよ」





「変な妄想を口から溢れて出すの、止めて下さらない?」

「はい、すみません」
妄想が止まらずいつの間にか口から言い出していた俺をフーディンは叱った。
レアコイルの汚染がここまで広がってきたか。


あの日から地獄だった。
後悔はしていない、
でもあんなに張り切られるとは思ってもみなかった。


その日の昼には元気を取り戻したオコリザルは今まで以上のハイテンションでみんなを無理やり特訓を始めさせた。
朝の早朝ランニング、トレーナーバトルでは先頭を無視してバトルと聞いたらすぐに飛んで出て来るようになり、
チャンピオンロードの萌えもん相手に大喧嘩し、洞窟がゆれたのもいい思い出だ。
夜は寝る前まで格闘技の底上げ、兼新たな作戦や熱血のテーマソングについてのミーティング。
朝は起きたらレアコイルの恥ずかしい俺の台詞の目覚まし…、
特訓に全く関係ないのもあるが、今まで異常に忙しくなったのは本当だ。

でも、オコリザルは無茶をして勝とうとすることは無くなった。
ピンチになると、すぐにみんなの手を借りたり、逆にみんなからも助けを呼ばれるようになった。

おかげで以前よりも、みんな今までとは違う意味でも強くなった気がする。
それはきっととても単純なこと、
みんなで戦うことを思い出せたから。

一人で一体を倒せないなら、
みんなの力を合わせて勝つことを、もう一回思い出せたからだ。
それを本当の意味で教えてくれたのは…フーディン。
一番偉そうにしているわりに、結局一番みんなを気に掛けているあいつは流石だな。
でも、あいつに頼ってばかりじゃいけない。

俺だってそうだ、戦法や技を考え、あいつらが気楽に勝てる作戦くらい簡単にひねり出せるようにならないといけない。
今まで以上に俺がみんなを信じないと、四天王や…ここに先に来ているだろうジョンには勝てない、きっと。


……ん?
……ジョン?
いや違う違う、確か…シゲ……ハル?
だったっけ?え~っと…誰だっけ?
誰か忘れているような気が…まいっか。


まあ、何にしろ、俺は今再びここに、萌えもんリーグへの入り口に再び立っている。
今度は前のようにはいかない。
もうみんなが倒れるようなことには絶対にしたくないし、そんなことさせない。
今度はみんなで勝つ、勝ってみせる!

バシッ!

オコリザルが両手にはめているボロボロの…、でもどこか輝きを放つグローブを勢いよくうならせ、
右手をリーグの入り口に構え、大声で宣言した。
「おおっっしゃぁぁぁ!!
 四天王ぉ!首あらってまってろやぁぁ!!!」

「またうるさいのが…。
 いい加減場を読むことすらできないの、この脳筋」

「ああっ!なんだとこのツンデレ!」

「そんなでかい口で大声上げないでくださらない、耳障りでしかたないわ。
 あとツンデレはやめてくださらない、ツ ン デ レは」

「あ~~もう、またはじまったぁ。
 もうマスター、マスター!
 何とかしてくださいよ~」

「「「この二人の仲は永遠に変わりそうにないですね(犬猿という意味で)(うさぎとかめ的な意味で)(百合ゲラー的な意味で)」」」

「……二人の仲は永遠に」←どこか満足気な様子

「で、でかい口だあ!?
 く~、こ、このツンツンツンツンデレ!」

「な!つ、ツンを4回も言ったわね!」

「4回がなんだ!、
 何度だって言ってやるぞ、このツンツンツンツンツンデレ!」

「5、5回までも…!
 こ、この脳筋!暴れ猿!なめ猿!無能猿!ヤンデレ(ヤンキーデレ)!」

「い い 加 減 に し ろ 、 お 前 ら は !」

「あらあらこれはいつも騒がしいトレーナーのジャックさん、
 ここはリーグ会場といっても萌えもんセンターを兼ねてるんですからね。
 耳かっぽじってよおくきけこのダラズ。
 センターの前では お  静  か  に お願いします」

「げぇっ!ジョーイさん!!
 す、すぐに鎮圧致すであります!」

「…やれやれだぜ」
フシギバナが静観する中、わいわいがやがやといつもの奴が始まる。

この様子じゃ、誰が来ても、どんな萌えもんがでても、どんな強い奴がいようとも――
負けるわけがないな!


きっと、いや、絶対、…多分(汗)。
と、とにかくさっさと行くか!


「い、行くぞお前ら。
 とっととボールに戻れ」
その俺の一言で、一部不満を言い続ける奴もいながらもみんな大人しくボールに入ってくれた。

「へーん!あたいは知ってるぜ、ずっと前にスプーン2つ眼に当てて――」
「ななな、いきなり何ふざけた事言い出すのよ!だだだ、黙りなさい!」

あのー…まだやってるんすか。
もう扉開いてるんですけど…。


こうして俺達は再びリーグ戦へ向かう、
一歩、そしてまた一歩、俺達は進む。
今度こそ勝つために!










こうして再び萌えもんリーグに挑戦するジャック。
果たして、彼らはワタルに勝つことができるのか。
そしてリーグ優勝をその手につかむことができるのか。
リーグ優勝を目指す彼らの冒険はまだ続く。
続くったら、続く。


To be continued...(?)





















「そういえばマスター、オコリザル。
 まあ期待していないし、敢えて聞かないでおいてあげたんだけど、、
 結局ドラゴン対策はどうなったのかしら?」

「「あ」」
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。