2スレ>>652


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「貴様、何しにきた……」


澄んだ青い身体に紅い瞳。
その眼はその翼が生み出す吹雪より冷たく、
その眼は光の届かぬこの洞窟よりも暗く鈍く光っていた。


「穴に落ちたらたどり着いた」

「ふざけるな」

「そこまでふざけてないんだが……帰ってもいいかい?」

「貴様は自らの住処にズカズカと無断で上がった連中を受け入れるのか?」

「追い出すかな」

「同じことだ」

「自分で出てくよ。だから見逃してくれ」

「同じなのは排除するという結果。私のやり方は―」


空気が凍る。
―ちくしょう、予想はしてたとはいえ。うまく逃げきれ・・・・

「―相手を殺すことだ」


俺とそいつの回りを吹雪が囲う。
逃げ場などありはしない。どちらかの死を持って解錠される牢獄


「ウインディ!」

手持ち氷タイプに対抗できるのは抗体をもつラプラスか属性有利なウインディ。
ラプラスは前哨戦で完全に気圧されてる。となれば選択肢は一つのみ。

(最悪の展開だなおい……ウインディがやられた時点で俺の死も確定か)

「マスター……こいつ何者?背中がいやに寒いよ」

「餓鬼の時に絵本で読んだ程度にしか知らないが……
とりあえず今までの連中とは『格』が違うといって間違いない」


陰陽の陰の極地。
存在するだけですべてから熱を奪う伝説の氷鳥。
それが山を越えれば木は枯れ大地が凍り、
それが海を渡れば氷河が生まれる。
絶対零度の覇者、フリーザー。


「ウインディ。お前ぐらいしかたぶん対抗できそうにない相手だ。
お前がやられたら全員死ぬと思っといてくれ」

「冗談……じゃないみたいだね」

「茶番は済んだか?こちらから行かせてもらうぞ」


フリーザーの眼前が青白く光る。

「ウインディ!神速!」

"それ"が放たれるよりも早くウインディの牙が襲う。

「温い」

一瞬にして天井ギリギリまで飛び上がる。
そしてこちらに身体を向けると同刻。
吹雪が俺とウインディを襲う。

「っく」

「大丈夫か!」

「僕はなんとか!マスターは…?」

「心配ない、明日風邪をひくぐらいですみそうだ」

「明日?明日も生きていられると思うのか」

収束された冷気が針の如くウインディに降り注ぐ。
先ほどの吹雪とは違い避ける余地はある。がこの速度にこの数。
ウインディは避け切れず何発かをもろに喰らった。

「ウインディ!」

「う……ぐ……」

「終わりだ」

ウインディの回りの空気が歪む。
温度差による光の屈折。砂漠でまれに起こる蜃気楼と同じ現象。
ちくしょう、こんなに寒いのにそれだけの温度差があるっていうのかよおい!

「っだらぁ!」

「マスター!?」

ウインディを吹き飛ばす。
同時にウインディがいた場所が一瞬にして凍りついた。


―俺の右腕を巻き込んで


「っぐ……」

「マスター!」

「小賢しい真似を…っ!」

「ウインディ!火炎放射!」

ウインディの口から炎が噴き出す。
こちらの暴挙に驚いていたのだろう。その一瞬の隙が奴が逃げるチャンスを潰した。

「ガハッ」

よろめき落ちてくる。しかし、まだ取り囲む吹雪は止まない。
まだだ。まだあいつは死んでないっ!
だがウインディもさっきの一撃が限界で、すでに地に伏していた。

(命に比べりゃ、こいつら全員の命に比べりゃ腕の一本や二本……っ)

「ぐ……らぁ!」

身体を無理に捻る。
すでに右腕は壊死したのだろう。さほど痛みを感じることもなく右腕は身体からはがれた。

「喰らえっ!」

フリーザー目掛けて俺はモンスターボールを投げつけた。
まだ意識が回復してなかったのだろうそのままモンスターボールに吸い込まれていく。

ピコン……ピコン……ピコン……

規則的な機械音だけが響く

………
捕獲完了のサイン。

「助…かった……か………」

「ま、ますたー……右腕……」

「死ぬよりは…まし……だ」


意識が遠のく。まずいな……ここで意識失ったら結局死んじまう。
最後の力でモンスターボールを投げる。

「……!マスター!」

「サンドパン……わりぃ、後頼んだ……」





―――――

―――



「……ん…」

「マスター!気がついた!?」

その声はウインディか、えっと俺はふたご島にいって……

「よかった。お医者さんがかなり危険な状態だって言ってたけど」

サンドパン……?そうだ、フリーザーと闘ってそれで意識失うまえにサンド…パンを出し……


ガバッ!

「っ痛……」

「マスター!まだ無理したらだめだよ……」

「サンドパン、あの後どうなった……?」

「マスターが意識を失ったから……とにかく洞窟から抜けるために穴を掘って……
モンスターボールからどうやって僕らが出れるのかわからないから、ウインディに啼いてもらった」

「それ……で?」

「沖の方にいた人が気づいたからグレンまで連れてってもらったよ。
マスターお礼を言いたいだろうから待っててといったけど……もう行っちゃった」

「そうか……ありがとな二人とも」

「そう……マスター」

「ん?」

ボールを渡される。えっと……なんだ?

「私はみてないけど……」

「フリーザーのボールだよ。マスターが最後に捕まえた」

「あぁ、そっか」


とんでもないもの捕まえちまったな。
自分の右腕を奪った奴とうまくやっていけるのかね。
トレーナーの腕が試されるところなんだな、一本なくしちまったけど。

水平線から二つの山が顔を出す。
自分が死にかけた場所があんなにも遠い。
一匹捕まえるのにかけた代償が腕一本と思うと馬鹿みたいだが、
生き残るのにかけたなら安い。俺にとってこの腕はなにに払われた代償なんだろうな。
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