「お父様、私あれが欲しいです」
オレは家族の反対(世間体とかね)を押し切って、イーブイと共に納涼祭りへやってきた。
最初は、
「はぐれないように手を繋ごうなー」
「はい、お父様。……お父様の手っておおきいですね」
だったのだが、
「なぁ、歩くのツラくないか?」
「いいえ、お父様と手を繋いでいるので大丈夫です」
なんて可愛いコト言うもんだからつい肩車してしまったよ。
「うわぁとっても高いです。お父様すごーい」
「HAHAHA、そんなに言うともっと凄いところを見せなくちゃイカンな!」
とのやり取りの後、最初のイーブイの台詞に戻るわけだ。
イーブイが指差したのは、射的の景品だった。
「よし、お前の頼みなら頑張るぞ! ……オヤジ! 十発くれ!!」
オレはポケットから五百円放り投げる。
銃を受け取り弾をつめる。
よーく狙いを定めて……
「おぅオヌシ、まさか可愛い子を肩車しながら狙うのかい?」
「あたりめぇだ!!」
「そいつぁおれっちも応援得ざるをえねぇ。ほれ、三発サービスだ!」
ノリで叫んでたらなんか弾が三発増えた。
「お父様、がんばって!!」
「おう、任せとけ!」
まず一発目!
<パァーン!!!>
よく狙ったはずだが、結構ズレた。
銃身に細工がしてあるのだろう。
しかし、覚えたぞ親父!
「お父様!!」
「大丈夫、今のは試しうちだ」
二発目!
<パァーン!!!>
<カツンッ!!>
弾は目標に当たったものの、
「大丈夫よ、はじき返したわい!」
「ちぃ、オヤジ、ボラな真似をしやがるぜ!!」
「お父様、アジな真似ではないでしょうか?」
「イーブイ、お前、国語の教師になれるぞ!」
「え、ホントですか?」
三発目!
<パァーン!!!>
<カンッ!!>
小気味良い音が響いた。
狙ったものは前方後方に揺れ……倒れた。
「おっしゃあああああ!!」
「お父様すごい!! だいすきです!!」
<チュッ>
ほっぺに瑞々しい感触ががが。
「よーし、あと十発残ってるぞ。何でも欲しいものを言ってみろ!」
今のオレはきっと無敵。
何せ、イーブイの健康的なふとももがオレの頭に、首に!!
「ではお父様、私はお父様が取った景品が欲しいです!!」
まだまだオレ達の祭りは始まったばかりだ――
最終更新:2007年12月21日 00:30