3スレ>>88

「お父様、私あれが欲しいです」
 オレは家族の反対(世間体とかね)を押し切って、イーブイと共に納涼祭りへやってきた。

 最初は、
「はぐれないように手を繋ごうなー」
「はい、お父様。……お父様の手っておおきいですね」
 だったのだが、
「なぁ、歩くのツラくないか?」
「いいえ、お父様と手を繋いでいるので大丈夫です」
 なんて可愛いコト言うもんだからつい肩車してしまったよ。
「うわぁとっても高いです。お父様すごーい」
「HAHAHA、そんなに言うともっと凄いところを見せなくちゃイカンな!」
 とのやり取りの後、最初のイーブイの台詞に戻るわけだ。

 イーブイが指差したのは、射的の景品だった。
「よし、お前の頼みなら頑張るぞ! ……オヤジ! 十発くれ!!」
 オレはポケットから五百円放り投げる。
 銃を受け取り弾をつめる。
 よーく狙いを定めて……
「おぅオヌシ、まさか可愛い子を肩車しながら狙うのかい?」
「あたりめぇだ!!」
「そいつぁおれっちも応援得ざるをえねぇ。ほれ、三発サービスだ!」
 ノリで叫んでたらなんか弾が三発増えた。
「お父様、がんばって!!」
「おう、任せとけ!」
 まず一発目!
<パァーン!!!>
 よく狙ったはずだが、結構ズレた。
 銃身に細工がしてあるのだろう。
 しかし、覚えたぞ親父!
「お父様!!」
「大丈夫、今のは試しうちだ」
 二発目!
<パァーン!!!>
<カツンッ!!>
 弾は目標に当たったものの、
「大丈夫よ、はじき返したわい!」
「ちぃ、オヤジ、ボラな真似をしやがるぜ!!」
「お父様、アジな真似ではないでしょうか?」
「イーブイ、お前、国語の教師になれるぞ!」
「え、ホントですか?」
 三発目!
<パァーン!!!>
<カンッ!!>
 小気味良い音が響いた。
 狙ったものは前方後方に揺れ……倒れた。
「おっしゃあああああ!!」
「お父様すごい!! だいすきです!!」
<チュッ>
 ほっぺに瑞々しい感触ががが。
「よーし、あと十発残ってるぞ。何でも欲しいものを言ってみろ!」
 今のオレはきっと無敵。
 何せ、イーブイの健康的なふとももがオレの頭に、首に!!
「ではお父様、私はお父様が取った景品が欲しいです!!」
 まだまだオレ達の祭りは始まったばかりだ――

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最終更新:2007年12月21日 00:30
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