2スレ>>862


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我が名はサンダー。
我の居た無人発電所にキングラー単騎で突入してきた人間に興味が沸き、
旅の同行萌えもんとして対等な立場に居る。
今は我の古い仲間に合いに行く途中のふたご島内の洞窟である。
だが、人間の様子が少しおかしい。傍から見ても具合が悪そうである。

「主人?」
「……あ、いや、何でも……無い」

人間の近くに居たキングラーもその様子が判ったのか、心配そうに人間を見ている。
その気遣いに明らかに無理をしようとしてる人間。

「人間」
「何だ…?」
「少しは安め」
「……いや、平気だ」
「否、言い方が悪かったな。
 我が休みたい。休憩をいれようぞ?」
「……そうか」

身近な岩に人間は腰を下ろした。
我の気遣いにキングラーが面食らったような顔でこちらをみていた。
こう頑固なヤツには搦め手で行かないといけない事もある。
我は周囲を警戒しつつ羽を休める。
キングラーも人間の傍へと寄ってその重い爪を置いている。

「人間。気持ちは判らんでも無いが無理は良く無いぞ?」
「無理なんか―――」
「黙れ。傍から見ると無理なぞして居ないとは嘘としか思えん」
「……」
「人間。もう少し自分を大切にせよ。さもなくば薬草を手に入れる前に力尽きてしまうぞ?」
「主人、私もサンダーに賛成です。無理も無茶もいけません。
 ……妹君の事が心配なのは判りますが、倒れてしまっては本末転倒かと思います」
「そう……だよな」

人間も我らの説教により少しは考え直したらしい。
休憩を入れた為か少しだけ顔色が良くなっている。

「……判った。一旦、出直そう。装備を整えてそれかr――」

人間が立ち上がった瞬間、人間が消えた。
余りの出来事にキングラーも我も対処出来ない。

「しゅ……主人ー!?」
「に、人間!?」

人間の居た場所には大きな穴が開いていた。
氷で出来ていた床が人間の重みに耐え切れずに壊れたらしい。
我とキングラーは急いでその穴の中を見る。
……覗き込むと水の流れる音が聞こえる。

「下は水、不味いな。この気温で水に入ると人間なら……凍死してしまうか」
「ど、どうしましょう?!」
「とにかく、下への道を見つけよう。下の水は激流だからな。いくらお主のなみのりでもアレは無理だろう」
「あ、はいっ」

キングラーと我は下へと続く道を探す事になった。
途中で現れた野良萌えもんに下への道の場所を聞きつつ階段へと急ぐ。

「早く…! 早く…!」
「落ち着け。急いては事を仕損じる。冷静に、かつ迅速に」
「! は、はい」

気が競っていたキングラーに対して落ち着くように言う。
キングラーもそれに気が付いたのか急ぎつつも落ち着く。

「あそこだ!」
「はい」

ようやく下への道を見つけると、我は飛んだままキングラーは見事なジャンプで下への道を通り抜ける。
通り抜けた後、人間が落ちたであろう場所の方へとキングラーと共に急ぐ。
数分もしない内に穴の開いた天井を見つける事が出来た。

「落ちたのはここら辺か。下流に向かって探そうぞ」

キングラーと共に下流へと向かって行く。
相変わらずの激流でしばらく時間が経っていたのでどこまで人間が流されたのか検討もつかない。

「主人ー!! 返事してくださいー!!」
「人間ー! 返事をせぬかー!!」

叫びながら下流へ下流へと向かう。
しばらく下流へと向かうと滝が見えた。

「まさかと思うんですけど……」
「……言うなキングラー。我もそう思うがな」

滝の先には大きな石で流れがせき止められている。
最悪の場合、人間は滝壺の中に閉じ込められている。

「……とりあえず降りよう。キングラーよ、我に捕まれ」
「はい」

キングラーと共に崖下へと降りて行く。

「……キングラー。お主が滝壺の様子を見てくれぬか?」
「判りました」

そう言ってキングラーは川の中へと入って行く。
ここで人間が見つかれば良いのだが…と考えているとキングラーが戻ってきた。

「どうだった?」
「……」

キングラーは沈黙したまま首を横に振った。
我も『そうか』と返事をしてそのまま黙る。

「……もう少し周囲を探してみようではないか。……きっと見つかる。そう信じようではないか?」
「……はい」

周囲を探索する我とキングラー。
そこへと野良萌えもんが現れた。

「はぁい? 何か必死に探してる様子だけど?」
「む? お主は?」
「あ、ごめんなさい。私、ルージェラ。萌えもんの1種よ」

ルージェラと名乗る人間種に似た萌えもんへと事情を話すとルージェラは何か考えた後で
『ココに一番詳しい方を知ってるわ。案内するからついてきて?』と言われた。
我もキングラーも藁にも縋る思いでルージェラの後へ続く。

「フリーザ様、お客様をお連れしましたわ」
「ワタクシに客? 今、忙しいのだけれど――ってサンダー?」
「お、フリーザ。久々じゃのう」

サンダーがフリーザに対して知り合いの様に挨拶をする。
ルージェラは驚いた様子でフリーザに問いかける。

「フリーザ様? お知り合いでしょうか?」
「えぇ、ワタクシの古い知り合いですわ。
 それにしても、居心地がいい場所を見つけた――
 なんて言ってたはずじゃないのかしら?」
「ん。少し興味が出た人間がおってのう。
 そいつと共に少し旅へと出る事にしたのだ」
「人間……? まさか、貴女! 人間なんかに捕まって無いでしょうね?!」
「いや、我は我の意思で人間と旅をしているだけよ。このキングラーもそうのだ」

足元に居たキングラーを指してそう言う。
彼女は古い萌えもんである。人間に仕える事を良しとしない節がある。

「……それなら、まぁ、いいけど……。
 それで? 何か用事かしら?」
「うむ。その人間がこの層で行方不明になっての。
 お主ならとルージェラとやらが言うのでついて来たのだ」
「人間ならさっき拾ったわ……。随分と衰弱してるけどね」
「本当ですか!?」
「こんな時に嘘なんか言わないわよ」
「それで今は何処に?」
「ジュゴンに介抱させてるわ。ワタクシよりあの娘の方が暖かいからね。こっちよ」

そう言ってフリーザは我とキングラーを先導し洞窟のさらに奥へと向かって行く。

「人間を助けるとは……お主らしくもないな?」
「……さぁね? あの人の影響かしら?」
「……かもな」

フリーザの背中に我が言うとフリーザはそう返してきた。
我らの心に映るのは1人の人間。
その影を見て我も少しだけため息をつく。
キングラーは何の話か付いて行けず、ポカーンとした顔になっていたが。

「ジュゴン、人間は?」
「あ、フリーザ様。……だいぶ、安定しております。
 もう直ぐ目覚めると思いますが……」
「そう。ありがとう」
「いえ、当然です」

そう言ってジュゴンは寝かされた人間の前を退く。
我らの目に映るのは『あの』人間の姿。
キングラーと共に人間が寝かされた場所へと急ぎ寄る。
見た目は良い。死相は出ては居ないし、体調も戻ったのか顔色も悪くは無い。
ほっと安心したのも束の間。

「…………ん」
「!! 主人!」
「人間!」
「……ん……あ……俺…?」

人間が目を覚ました。寝たままに真っ直ぐに我とキングラーを見る。

「目覚めましたか」
「うっ!?」

フリーザの声に身を起こそうとした人間は何処か痛みを感じた様子でベッドへと戻る。
その様子を見たフリーザが気を利かせて『そのままで』と伝える。

「ワタクシの名はフリーザ。この双子島に住んでる萌えもんよ」
「あぁ……、君に助けられたのか。それは迷惑をかけた。
 ……キングラー、サンダー、心配かけた」
「いえ、主人が無事だった事、安心しました」
「心配させるんじゃないぞ……。兎も角、無事そうで安心したぞ」
「……怪我だからあんまり無理をさせるんじゃないわよ?」

フリーザとジュゴンはそう言って席を外してくれた。
その場所には我らしか居なかった。そんな時間が数時間続いた。



「さて、世話になった」
「もう出るのかしら?」
「あぁ、これ以上世話になるのは、少し心苦しいからな」

ある程度回復をした人間がフリーザへと挨拶をしていた。
ジュゴンは『もう少し休まれては?』と心配そうにしていたが。

「……何かお礼がしたいんだが」
「お礼?」
「勿論、何でもと言う訳では無いが、俺が出来る範囲でなら」

フリーザは『……そうね』と少し考え込む。
そうして数秒。何か決心したのか、『ジュゴン、しばらくココを頼むわ』と傍らに控えて居たジュゴンへと声を掛けた。
ジュゴンの方も判って居たのか一言だけ『はい』と言って短く返事をした。

「貴方の旅にワタクシも連れて行って貰う…ってのはどうかしら?」

少し予想外だったのか、人間は鳩が豆鉄砲でも食らった顔になる。

「そんな事でいいのなら……かまわないが?」
「なら決まりね。これからよろしくね」
「ああ。判った」

我らの旅にまた新たな仲間が加わった。
人間がトレーナーでも無いのに萌えもんが増えるのは何か妙な気分だが、旅は道連れと言う言葉もある。
そんな事を考えていると人間が声を上げる。

「あ! そうだ。聞くのを忘れてた。
 フリーザ、『薬草』の事を知ってるか?」
「『薬草』?」
「そうだ。伝説の鳥が住む山に生える、不治の病気でさえ治すと云われる薬草の事だ」
「……残念ながら知らないわね。……ファイヤーなら何か知ってるんじゃないかしら?
 あの子、山に住んでるし、そこら辺の知識は持ってるかもしれないわ」
「そうか……」

フリーザは空振りだったらしい。久しくファイヤーとも会っていない……。
人間には悪いが我ら古き仲間が揃うのは数年ぶりか…と柄にも無く期待していた。


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