2スレ>>961

「ご主人さまー」
「何だベトベター、しょうもない話だったら聞く気はないぞ」
 名前の如く俺にくっついて離れないベトベター。
「お空があんなにも綺麗なのはどーしてですか?」
「……」
 無視した。
 イチイチマトモに話をしていたら日が暮れる。
「じゃな」
 大体、五分と黙ってられない性格の癖に話すことがいつもあぁなのだ。
「あ、待ってくださいよー」
 たったったったった……どしゃ!
 転んだ。
 加えてよく転ぶ。
 何もないところでも転ぶ。
 足元まで垂れたドレス? ワンピース? 服のことはよく分からんが、それが原因だと思うが。
「う……」
 立ち上がろうともせずにうめきを漏らす。
 さらに泣き虫。
 よく転ぶ上に転べば泣く。
「う……う……ううう……」
 泣き出した。
 幸い街中ではないので冷ややかな視線は飛んでこない。
 やっかいな萌えもんだ。
 俺はベトベターの手を掴み、引き起こす。
「はぁ……あんまりすぐに泣くなよ」
「だって……ご主人様が……ぐすっ」
「わーったわーった、置いてかねぇよ」
「ご主人様ぁー」
 ピタ。
 身長の関係で腰の位置に抱きつくベトベター。
「だーべたべたべたべたくっつくなー!!」
「いやですー。えへへ……」
 ベトベターの顔に笑顔が戻る。
「ふぅ……」
 仕方ない。
 この笑顔に俺は弱い。
 もう少しこのままで居てやるか。
 出来の悪い妹を持ったような感じだ。
 まだ二人で旅を始めて二日目だが、それなりにうまくやっていけそうな気がしていた。

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最終更新:2007年12月21日 00:54
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