「ご主人さまー」
「何だベトベター、しょうもない話だったら聞く気はないぞ」
名前の如く俺にくっついて離れないベトベター。
「お空があんなにも綺麗なのはどーしてですか?」
「……」
無視した。
イチイチマトモに話をしていたら日が暮れる。
「じゃな」
大体、五分と黙ってられない性格の癖に話すことがいつもあぁなのだ。
「あ、待ってくださいよー」
たったったったった……どしゃ!
転んだ。
加えてよく転ぶ。
何もないところでも転ぶ。
足元まで垂れたドレス? ワンピース? 服のことはよく分からんが、それが原因だと思うが。
「う……」
立ち上がろうともせずにうめきを漏らす。
さらに泣き虫。
よく転ぶ上に転べば泣く。
「う……う……ううう……」
泣き出した。
幸い街中ではないので冷ややかな視線は飛んでこない。
やっかいな萌えもんだ。
俺はベトベターの手を掴み、引き起こす。
「はぁ……あんまりすぐに泣くなよ」
「だって……ご主人様が……ぐすっ」
「わーったわーった、置いてかねぇよ」
「ご主人様ぁー」
ピタ。
身長の関係で腰の位置に抱きつくベトベター。
「だーべたべたべたべたくっつくなー!!」
「いやですー。えへへ……」
ベトベターの顔に笑顔が戻る。
「ふぅ……」
仕方ない。
この笑顔に俺は弱い。
もう少しこのままで居てやるか。
出来の悪い妹を持ったような感じだ。
まだ二人で旅を始めて二日目だが、それなりにうまくやっていけそうな気がしていた。
最終更新:2007年12月21日 00:54