3スレ>>568


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 おつきみ山からニビシティにかけての道を、もえもんトレーナーが歩いている。
 山越えをしてきたのか、どことなく疲労が見える。
 顔には疲労だけではなく、数日振りに柔らかいベッドの上で眠ることができると、嬉しさも滲み出し始めていた。
 やがて、土の道から舗装された道に変わったとき、どこからかゴンッという音が聞こえてきた。

「またか」

 トレーナーは音に聞き覚えがあるのか、聞こえた音を不思議がらずに、慣れた様子で地面に耳を寄せる。
 地面からは、しくしくと泣き声が。
 トレーナーは、呆れながら地面に向かって話しかける。はたから見ると、ただの変人だ。

「ディグダ、何回頭ぶつけりゃ気が済むんだよ」
「痛いぃ、舗装された道嫌いぃ」

 舗装された道の前、土の道からおでこを赤く腫らした涙目のディグダが現れた。
 どうやら、舗装された道に気づかず、突っ込んだらしい。
 しかも、今回が初めてではなく、何度も繰り返しているということ。

「いい加減、ぶつかる前に気づけるようにならないのか?」
「努力はしてるけど……」
「努力は実らないと、意味ないぞ? 自分が痛いだけだろうに」
「頑張りますぅ」

 まだ痛いのか、おでこをさすりながら答える。
 実は努力云々という話ではなく、トレーナーの足音が、ディグダにとって心地よいリズムで、
 聴き入っているうちに、土の変化に気づかずぶつかるのだ。
 そのことを言うのは、照れくさいというか恥ずかしいので、気づかないということにしている。

「ほら」

 トレーナーが両手を、ディグダへと伸ばす。
 ディグダも慣れたもので、土の中から出てきて、トレーナーが抱き上げやすいような体勢になる。

「えへへ~」

 抱き上げられたディグダは、上機嫌で笑う。

「鳴いたカラスがもう笑ったってか」

 トレーナーは苦笑しながらも、ディグダの服についた土を払ってやる。
 そして、抱いたまま歩き出す。

「マスター、ありがとうございます」
「ん、いつものことだろ。礼なんていいよ」

 足音よりも大好きなトレーナーの心音と体温を感じながら、ディグダは会話を楽しむ。
 舗装された道は嫌いだけど、こうやってトレーナーに抱き上げてもらえるから、
 全くないのも嫌だと、心の中で呟いたディグダだった。
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