3スレ>>595


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前回までのあらすじ
エリカ嬢に踏まれて悦んだ…じゃなかった。

ディグダの穴を経由してカントー首都圏へ行こうとした少年一行。
タイミングの悪いことに、洞窟内部の落盤で足止めを食らうことに。
そんな時ディグダ総長に別の首都圏への抜け道を教えてもらう。
ついた先は黒ずくめの集団の本拠だった。そこで本拠に潜入していたエリカと出会う。

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05 首都圏アンダーグラウンド
~地下帝國大潜伏作戦~(後編)

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「こちらB1区画。異常なし。警備を続行する。」
無線機に向かって報告する、黒の集団。
その様子を窺う視線にも気づかずに――
――入り口の警備は薄いようだな。三人か。
……天井裏から、少年は人の影を確認する。視覚の情報こそ少ないが、聞こえてくる会話で人数を把握する。
――そろそろ頃合だな。
少年は当初の作戦通り、水面下で静かに動いた――





「ようこそ、タマムシジムへ。」
連れてこられた建物の中に入ると、エリカは少年に向かって軽くお辞儀をしながら言った。
「………。」
納得できないまま連れてこられた少年。その間にわからない疑問を自分に何度投げかけたことか。
――この女は何を考えている?
…結果として少年を助けたことになった。その流れで彼に敵意が無いということも把握していただろう。
しかしそれは少年をここへ連れてくる理由にはならない。何か別の目的があるはずだと少年は考えた。
「訊きたいことがある……」
少年はもうこの際、単刀直入に聞くことにした。
「あら…なんでしょう?」
エリカは顔を上げる。横には七人の女性達がずらりと並んでいる。
「何故…俺をここへ連れてきた。」
「何故とは?」
「あそこで偶然遭遇して警戒されたのは理解できる。
…だがここに俺を連れてきてどうするつもりなんだ?」
「……あら、あなたはロケット団と対峙する勢力ではなくて?同志ではないのですか?」
――ロケット団?…同志?
少年には何のことかわからなかった。そんな単語、聞いた覚えは無い。
「違ったのでしょうか?これは大変な勘違いをしてしまいました…。」
少年の反応に肩を落とすエリカ。
「そうでしたか……。これは失礼しましたね。……ですがあなたは何故あのようなところに?」
「え…それは……。」
「…いいえ、話しづらければ結構です。お帰りになられますよね?でしたら見送りに…。」
「待ってくれ。……。」
この場から追い返される前に、少年は少し考えた。
――こいつらの話には首を突っ込みたくは無いが、…ジムリーダーには用がある。
「俺はロケット団とか言うのには用は無い、が…このジムには用がある。」
少年には、違う目的があったが、それに困った様子も無くエリカは毅然とした態度で言った。
「そうですか――やはり貴方が…ペルシアンを従える少年。」
――この女にも情報が渡っているのか。
「詳しいことはカスミから聞いています。かなりの腕前とお見受けしました。」
エリカはそう言うと、巫女服の懐を探り始めた。再び腕を取り出した時、その手には何かが握られていた。
少年に向かってその腕を突き出し、掌を開くとそこには――
「差し上げましょう。…これが必要なのでしょう?」
見る角度によって色の変わる、レインボーバッジ。それが、少年の手にあっさりと、渡ったのだ。
「………。」
少年はそれを、素直に受け取った。…必要なものだ、それを与える資格を司る本人が差し上げると
言っているんだから、受け取るべきだろう、しかし……。
「残念ながら、今は貴方と戦っている余裕がありません。貴方の強さは存じ上げています。
誇ってよいのですよ。…口惜しいですが、これでお別れですね。」
そう言うと少年の横を通り過ぎ、ジムの入り口に向かって歩き出すエリカ。
「さぁ、お行きなさい。旅を続けるのでしょう?」
エリカは迷える子羊を導くように、少年に道を譲る。
しかし、少年は……しばらくその場に留まったままで、動こうとしない。
「………どうしたのですか?貴方は」
「ロケット団は!」
エリカの発言を遮り、少年は不意に叫んだ。
「ロケット団は……"焼き払われた村"に、関わっているのか…?」
…少年の様子に、エリカはしばらく考え込んだが、
「…直接の犯人かどうかはわかりません。ですが」
少年に思っていることを素直に言った。
「関わっていると思います。」





……壁に寄りかかって意識を手放したロケット団団員達を見下ろし、少年は天井裏から通路へ降りた。
「粉は吸ってないな、ぺるこ。」
「吸ったけど、この程度の量なら平気よ。」
先に通路に下りて団員達をおびき寄せたぺるこは、爪の付け根を気にしながら言った。
「うまくいったようですね。フシギバナ、ありがとう。」
「えへへ…ご主人様のご主人様に礼を言われると嬉しいな。」
エリカはフシギバナを労い、持ち主の下へ引き渡す。
……既に入り口の前で待機していたエリカの眷属たちとの合流も完了した。
進入時の作戦はこうだ。まず、少年を隠し通路から天井裏へと回し、ぺるこを送り敵を引き寄せる。
次に別経路から潜入したエリカが、死角からフシギバナのねむりごなを送り一気に眠らせる。
騒ぎはことのほか大きくならなかった。それはぺるこが主人から命令されたとおりに、
ある一人の敵に真っ先に襲い掛かったからである。あとは、無線機を取り上げ縛り上げれば
残りの敵はフシギバナが相手をしてくれた。
「しかし、よくわかりましたね。無線機を持っている敵を真っ先に特定するとは。」
エリカは少年の働きを賞賛する。
「ぺるこに予め命令していたからな。」
少年は、なんとも無いだろこんなこと、と言うかのように毅然とした態度で答える。
「…なんという命令を?」
その命令に興味があるエリカは、詮索する。…いや、詮索の気は無い、ただ純粋な質問だろう。
少年は答えた。
「…"おまえの勘に任せる"」
その答えに満足なのか、微笑むエリカ。
「そうですか。」
エリカは判断した。この方ならもしかしたら…我々の未来を導けるかもしれない、と――





『B1区画、どうした?定期連絡が無いぞ。応答せよ。』
無線機から雑音交じりの声が発せられた。
B区画からの定期連絡が来ないため、業を煮やしたようだ。
その声に応えるのは――
「…こちらB区画。先程までこちらの通信機にトラブルがあったが、…今は解決した。
それ以外に特に……異常は無い。…警備を続行する。」
『了解。…ブツッ!』
手短に連絡を済ませると、通信は途絶えた。
ふぅ、とため息をつく、ロケット団団員。
…体は蔓で自由を奪われ、身動きは取れない。その上、エリカの眷属に命を預けた状態だ。
……首筋には、木葉のような色と形をした刃物が、つきつけられていた――
「――作戦を開始します。散りなさい!」
エリカの命令で、一斉に散開する眷属たち。
「では、わたくし達も行きましょう。」
そしてエリカと少年も、アジトを叩くべく最深部へと向かって進みだした――。
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