3スレ>>708


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「イチャついてんじゃねーぞバカヤロー共!!」
「マスター、落ち着いてください」
「アカンで、サイホーンちゃん、女の嫉妬は男の百倍や」
 此処はどこか、そう聞かれたら答えてあげるのが世の情けって奴よ。
 豪華客船サントアンヌ号、その甲板にて行われているクリスマスパーティー会場のど真ん中にいる。
 ハナダジムから外に出るや否やシゲルの奴が博士に余分にチケット貰ったからお前にもやる、と言われてルンルン気分でクチバシティまで到着し、そのままの勢いで船にまで搭乗したのはよかったのだが……
 視線を降ろす、普段着姿の私。そこにある風景。
 視線を上げる、パーティドレスにタキシード姿の男女達。そこにある風景。
 視線を巡らせる、私服姿の人はそれなりにはいるけど私が最年長っぽいね。そこにある風景。
 視線を若干右にずらす、おいしそうな料理に何処から持ってきたのだろうかと疑問を感じざるを得ない巨大なクリスマスツリー。そこにある風景。
 視線を更に右にずらす、ワインが注がれたグラスを持ったボーイさん。そこにある風景。
 視線を(ry

「あーもう、なによ~もう、私場違いですか~そうですか~ポケモントレーナーはお呼びじゃありませんか~?」
「マスター、とりあえず水を飲んでください」
「あ~もうサイホーンちゃんだけだよぉ~うぅ~もう大好きだ~」
「わっ、ちょ、マスター!?」
 とりあえず、頭がいい感じにボンヤリしてるので近くにいたサイホーンちゃんの首筋に腕を絡めて押したおそうとするものの、流石はパワータイプ、ビクともしねぇ。
 はぁ~やれやれだぜ、全く。へ?酔ってますよ~酔ってるに決まってるじゃないですか。
「おっ、いたいた―――なにやってんだ?お前」
「あっ、シゲルだぁ~」
 慌てふためくサイホーンちゃんを手放し振り返りざまにシゲルへとダイブ。
 普段のジーンズとTシャツ姿ではなく、似合ってねぇタキシード姿のシゲルはなんとか倒れこむ寸前で耐え凌いだ。
 フッ、流石だなシゲル、多分サトシなら余裕で倒れてたぞ。
 あ~そういえばサトシ見てないな~どこにいるんだろ?
「わっ、ちょ、お前!酒飲んでるだろ!?」
「えへへ~あったりまえよぉ~、あっ、リザードちゃんも飲む~?」
 視線を下げればシゲルの傍に控えるように立っていたリザードちゃんと目が合った。
 う~ん、なんというか純粋無垢な瞳だね~、お姉ちゃん嬲りたくなっちゃいそう。
「えっ?私?う~ん……」
「ちょ!?お前人のポケモンに何飲ませようとしてるんだよ!?」
「なによ~、ぶ~ぶ~別にいいじゃな~い」
 全く、こういう事は早めに経験しといたほうがいいのにねぇ~わかってない、わかってな~いよコイツは。
 あぁ~リザードちゃんに警戒されちゃったし~。
「あぁもう、マスター、人目を少しは気にしてください」
「あっちゃ~もう完全に酔ってるなぁ」
 ん~パラスちゃんとサイホーンちゃん~ん~やっぱわたしはしあわせものだ~こんなかわいい娘たちに囲まれて~ってこれあぶない思考だな~
 っと、なんだか視界が……
「ふあ~おねえちゃんなんだかねむくなってきたぞ~」
「えっ!?ちょ、お前まさか寝る気かー!?」
「ん~おやすみ~シゲルぅ~」
 おやすみなさいっと。むにゃむにゃ。



「寝て、しまいましたね」
「あ~爆睡やな~」
「コイツ、全く、少しは周りの迷惑も考えろっての……」
「シゲル?この人寝ちゃったの?」
 この場に残されたのは私とパラス、マスターの友人であり、元マスターオーキドの孫であるシゲルにそのポケモンであるリザードの4名。
 一応、私もオーキドの元に居た以上、彼との面識はある。
 まぁ、私からしてみれば出来の悪い弟のようなものですが……
「はぁ、シゲル、少々手伝ってもらいますよ」
「ったく、仕方ねぇな……って、俺が運ぶのかよ!?」
「当然です、女子をエスコートするのは男子の役割だと、昔から言ってきたでしょうに」
「いつ言ったんだよ、そんなこと……」
 如何にも面倒くさげな表情で、それでもしっかりとシゲルはマスターを背負った。
 まぁ、なんだかんだ文句を言いながらも運んでくれているところは彼の美徳たるべき所でしょうか。
 甲板から船内に入り、私たちの部屋へと案内する。
「ね~ね~シゲル~?この人たちと知り合いなの?」
 っと、そういえば彼女は私たちとは面識がありませんでしたね、同じ建物の中に居たと言うのに。
「あぁ、まぁなんつーか、腐れ縁ってやつだよ」
「腐れ縁?」
「切っても切り離せやん縁ってやつや」
「へ~そうなんだ~」
「そ、そんなんじゃねぇよ!」
「またまた~照れ屋さんやな~」
 パラスの方も自然に溶け込んでいるようだ。
 多分、彼女の雰囲気がそうさせるのでしょうね。
 私は彼ら少々後ろの位置を歩いている。一応、不埒な輩がいないとも限りませんしね。
「はぁ……ったく、重いな」
「シゲル、そういった発言は厳禁ですよ」
「―――アンタは何時まで経っても変わらねぇな」
「―――それはアナタもですよ」
 軽口には軽口を、シゲルはこちらをジッと見つめていたが、すぐにプイと前を向いてしまった。
 何時まで経っても変わらない彼の姿に思わず微笑がこぼれてしまった。
「あ~なんかサイホーンちゃんお母さんみたいやな~」
「そうだね~」
「なっ、お前ら―――はぁ……」
 シゲルは何かを反論しようとしたものの、そのまま押し黙ってしまった。
 リザードの方も何やらパラスと共にシゲルを囃し立てているが、シゲルはそれを素っ気無く扱おうとしているものの、顔が赤いのでその努力は虚しく、塵と化すのみ。
「まぁ、二人とも私にしてみればまだまだ子供ですよ」
「おっ、お母さん発言やなぁ~サイホーンちゃん」
「うん、なんというか威厳に満ち溢れているよねっ」
「……なんでこんな事になってるんだろ?俺」
 しばらく歩いて、私たちは部屋の中へと入っていった。
 おっと、シゲル、逃げようとしても無駄ですよ。



 覚醒した意識と視界が最初に認識したものは、ホテルっぽい場所の天井だった。
 えっと、私どうしたんだっ……あぁぁぁぁぁぁ!!
「あぁぁぁぁ!」
「うおっ!?」
「お目覚めですか、マスター」
 ガバッと勢いよく上体を起こす。
 左右に首を回してみればそこにはトランプをで遊んでいるパラスちゃんとリザードちゃんに、ベッドの傍の椅子に座っているサイホーンちゃんに……
「シゲルだとぉ!?」
 いや、シゲルであった、何がどうあってもシゲルであった。
 いや、落ち着け、私、まずここはどこだ、そうだ、ここはサントアンヌ号の一室だ。
 置いてある荷物を見る限り私の部屋だ、んでもってえぇぇぇぇ!?!?
「お前なぁ、折角運んでやったのになんだその態度は」
 うん、間違いない、このふてぶてしい態度、全く持ってシゲルである。
 えっと、ちょっとまて落ち着け私の思考回路、3番と5番は停止。
 つまり私とシゲルは同じ部屋で一夜を……
「ってキャー!!!」
「マスターどないしたん大声上げて?」
「いや、だって1つの部屋に男の子と女の子がってしかも今日はメリークリスマスなんだよ!?日本の文化わかってんのかー!?しかも一夜を明かしたとかあーもうなんだ、酔った勢いで以下略なのかー!?」
「マスター落ち着いてください、今はまだ夜ですし、マスターが睡眠に入ってから1時間が経ったくらいです」
 本当か?本当なんだなサイホーンちゃん。つまりまだ「いたして」はいないんだな?
 時計を見る。あぁ本当だ、まだあれからちょっとしか経ってねぇ。
「お前が何考えているか知らんが、とりあえず俺は何もしてねぇぞ」
「ふふっ、お互いに耳年増のようですねマスターもシゲルも」
 あぁ、サイホーンちゃん、なんというお母さん的な微笑み。
 いかん、顔が赤くなってるぞ私。
「さて、それじゃマスターも起きたことですし、始めましょうか」
 えっ?いや、何を始めるおつもりですかサイホーンちゃん、はっ、まさか、いやいやそんなこと……
「せやな、んじゃ冷蔵庫からケーキとってくるさかい、リザードちゃんはジュース運ぶの手伝ってや」
「あっ、うん、わかった~」
 テコテコと、愉快な効果音を残しながらパラスちゃんとリザードちゃんは部屋に備え付けられていた冷蔵庫からそれなりなサイズのケーキとジュースを取り出してきて、テーブルの上に乗せた。
 えっと、これは……
「さて、マスター、今日は何月何日ですか?」
「えっと、12月24日だけど……」
 言った後でポケナビを見る、うん、間違いない。
「そういうわけです、さっ、ベッドから降りてください」
 言われるがままに、ベッドから降りる。
「え?え?」
 軽く腕を引き寄せられて、テーブルの前に立たされた、いや、みんなでテーブルを囲ったって感じかな。
 人数分の小さな小皿、ケーキの蝋燭に火がつけられて炎がちょっとだけ柔らかい光を放つ。
「それでは、メリークリスマス」
 サイホーンちゃんの声と共に、パラスちゃんとリザードちゃんからパンッ、と小気味のよいクラッカーの音が鳴り響き、紙吹雪が舞う。
「「メリークリスマス!!」」
 うん、パラスちゃんもリザードちゃんも、実にイイ笑顔だ、頬擦りしちゃいたいくらいに。
 あぁーなるほどね、クリスマスパーティとなるほどなるほど。
 ようやく把握できたよ。
「あーなんだ、その、メリークリスマス」
 うっわやっべ、シゲルが可愛い……はっ、いかん、私は何を(ry
「……うん、メリークリスマス」
 まぁ、楽しむべき時には楽しんでいこう。
 そういえば、昔もよくシゲルと……サトシほんとに何処にいるんだろう?
 流石に1人放置は可哀そうな気がする……
「そういえば、サトシのヤローどうしたんだろうな?折角ジジイにチケット3枚貰ったのに見つからなかったんだよ」
 私の表情に何かを察したのか、ケーキを食べながらシゲルが口を開いた。
 うむ~オーキド博士の気遣いに乾杯なんだけど、やっぱり少し心配だなぁ。
「ねぇねぇサイホーンちゃん、ここに来るまでで赤い帽子被った男の子見なかった?」
 一応、聞いてみると思い当たる節があるのか、身体をビクリを反応させた。
「さ、さぁ~?私にはよくワカリマセンガ」
 ―――断言しよう、絶対なんか知ってる。
「あ~赤い帽子の兄ちゃんならハナダのフレンドリィショップで見かけたけど、その後はようわからんわ~」
「え、えぇそうなんですよ~いや~私も何処かで見た記憶があったのですが、それにしてもパラス、良く覚えていましたね」
「ふぅん、そうなのか、んじゃアイツはハナダにはちゃんと着ていたってことなんだよなぁ~」
「ま、まぁ、此処にいない人の事は置いておいて、今ここにいるメンバーで楽しむ事にしませんか?」
 う~ん、なんだかサイホーンちゃんがえらく慌ててるけど……まぁいっか。
「おねえちゃんうちのご主人様と友達なの?」
 っと、視線を降ろせばそこにはジュースの入ったコップを両手にもってリザードちゃんが。
「うん、昔っからの友達でね、幼馴染って言うんだよ」
 リザードちゃんの頭を撫でながらコップを受け取る。
 うん、なんというか、穢れを知らないって目をしてるなぁこの子。
「そうなんだー、じゃあまた一緒のケーキ食べたりできるの?」
「うん、また機会があれば出来ると思うよ」
 やっばい、マジ可愛い、シゲルのじゃなかったら多分拉致してる。
「じゃあ今度はサトシって言う奴も一緒にみんなで一杯おいしいもの食べようよ」
「そうだね~、そうしよっか、楽しみだねぇ」
「ほな今度は外でピクニックとかどうや?」
「いいですね」
「ちょ、待てお前ら、何俺の一存もなしに勝手にそんなこと―――」
 フッ、甘いなシゲル、女の子と自動車は急には止まれないのだよ。
 それにしてもサトシの奴、一体何処ほっつき歩いてるんだろ?






「全く、何が嬉しくてこんなとこでクリスマスなんですか!?」
「あぁ、だからゴメンナサイ」
「そりゃあ、あの子の事が心配なのはわかりますよ、ですがあんなストーカー染みた行動しなくってもいいじゃないですか!?」
「えぇ、はい、全く持ってその通りでございます」
「あ~もう、サントアンヌ号は今じゃクリスマスパーティの真っ最中でしょうに、なんで私たちが野宿なんだか……」
「えぇ、はい、私が警察に捕まって注意受けて1日無駄にしちゃったからです、ピカチュウ様」
「全く、わかってるなら何か気の効いたものでも出してくださいよ!!」
「はい、フレンドリィショップで売ってたケーキ」
「えっ?その、マスターの分は?」
「あぁ、俺のは無いよ、一応今回の反省も込めて、ね」
「―――半分あげるから一緒に食べましょう」
「―――あぁ、うん」
「「メリークリスマス」」

「……寒いね」
「……そうですね」
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