3スレ>>733


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 萌えもん……本来自然の中にいる存在。
 それを"ヒト"という生き物が自らの都合のいいように扱うこの世界。
 まるでヒトはそれらよりも上の存在だといわんばかりに…………



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 町はずれのとあるお屋敷
 町の人はソレを"お化け屋敷"と呼んだ。
 そこには萌えもんたちがいるらしい、それを知り何人かのトレーナーが入って行った。
 結果?誰一人としてそこから帰ってこなかった。
 町の人はリーグ本部に助けを求めた。
 すぐに腕利きのトレーナーたちがそこへ入っていった。
 結果は同じ、いつ誰がはいっていっても誰一人戻ってこない。
 これ以上の被害をださないため本部はそこを立ち入り禁止とした。

 それ以来その屋敷は"死者の館"と呼ばれるようになった。
 なぜか?生きる気力を無くした生き物がそこに引き寄せられる様に入って行くから。




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「…………君も、捨てられた、そうだね?」

 ひとつひとつ言葉を区切るように男がしゃべりかける。


 上下黒のスーツにバイオレットのシャツ。
 黒を基調に銀をあしらったネクタイと白銀のタイピンがより一層その男の暗さを際立たせる。
 黒曜石のカフス、襟につけられたピンバッチ、よく手入れされた皮靴、顔の輪郭を柔らかくする銀フレームの眼鏡。
 身を包むすべてがその男の気品の高さを教えていたがそれ以上にその"闇"が異質なまでに滲み出ていた。


「はい……」

 ベトベトンは答えた。
 その後ろにいる数多のものを代表して。
 皆一様に虚ろな目をして生きる目的を喪った被害者の代表として。

「そうか……なるほど、やはりヒトは君たちを捨ててしまう……自分たちは捨てられることもなく……」

 男は続ける

「君たちは捨てられ、そしてだれからも頼りにされず、さらには卑下た連中に捕まり弄ばれた。
 悔しくはないかい?君たちはある時まで自分の意思で生きてきた、そして自分の意思で誰かに尽くそうとした。
 なのに君たちが尽くそうとした"ヒト"は君たちを見捨てた、そしていまものうのうと生きてるだろう」

 彼女らの目はいまだ虚ろ、だがその男を捉えた。

「たまに君たちを"保護"してくれるヒトもいる。でも彼らは弱い。
 彼らは助けようという気持ちで君らを保護しても彼らを操るヒトは自らの利益を考える。
 救われたとおもっても結局はあいつらの思惑通りになってしまう、悔しくはないかい?」


「……悔しい」

 誰かの声が響いた。

「悔しい、そう思うのだね?」

 男は訊ねる。

「悔しい!」 「あいつらがいなければ!」 「捨てられずに残ってるあいつが!」 「憎い!」

 次々に思いが飛び交う。

「捨てられず残ってるやつが憎い、だがそいつらを憎んじゃいけない。
 彼らもいつ捨てられるか分からない、そんな中必死にしている。
 では憎むべきはなにか?君たちを苦しめているのは"ヒト"だ。
 ヒトに君たちが生きてた証を、必死に生きてきたことを見せつけるのだ。
 そしてヒトに捨てられる苦しみを、地獄へ突き落される悲しみを教えてあげようじゃないか」

 彼女らの目に炎が宿る。
 その炎はあまりに鈍く、だが生きる気力を漲らせていた。

「ベトベトン……いや我らが同胞よ、君にひとつ使命を与えよう」

「なんなりと」

 彼女は応える、躊躇いもなく。

「萌えもんセンターという施設がある、そこでヒトは弱った君たちを回復させる。
 ヒトが使えると判断した子だけ助ける、君らはそこに助けてもらえたかい?
 助けてもらえなかっただろう、そんな施設は必要だと思うかい?」

「必要など……ありません」

「そうだ!」 「潰せ!」 「いらない!」

 怒声が飛ぶ

「ならば壊してしまおう。君のなかに滾る爆弾を爆破させよう。
 それをしてしまえば君は死んでしまう。なぜならあのボールに入っていないから。
 僕は君をボールにいれてもいいと思う。でもそれを選ぶのは君自身だ、どうする?」

「ボールには入らない……ヒトが作った檻になどはいらない」

「では君はどうする」

「壊す……あの憎い施設を爆破する」

 男は微笑む。

「素晴らしい、まったくもって素晴らしい。
 君は死ぬだろう、でもここにいる我らは誰一人君のことを忘れない。
 そしてヒトも君を忘れないだろう、破壊の暴君として記憶に刻まれるだろう」

 男は語る

「さぁ同胞たちよ、報いろうじゃないか。
 君たちを使役するトレーナーを、切り捨てる悪い連中を。
 研究し君らをボールに閉じ込める研究員を、博士を、ヒトを!」

「我らと同じ境遇に立たせてあげようじゃないか……」



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某日、どこの新聞の一面も同じニュースが飾った。

『全国各地のポケモンセンター爆破!犯人はロケット団ではない!?』

全国各地のポケモンセンターと共にロケット団アジトも爆破、
警察も人々も犯人がつかめず見えない恐怖を味わうこととなった


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「……ずいぶん酷いことをさせるんだねマスター」

アブソルが言う。

「酷い?彼らは望んでやっている、僕らと同じように憎み、そして動いている」

「……そうだね、彼女たちは望んで動いている。
 ところでマスター。ロケット団のほうに潜伏してた仲間の一人の連絡が途絶えた」

「……誰?」

「ドンカラスです。逃げたのであれば追手を―」

「追ってはいけないよ、ここにいるのは全て自分の意思で動く。
 彼が自分の意思で動いたのなら止まってはいけないのだよ、もしかしたら幸せな一時を送ってるかもしれないのだから」

「……いいのですか?」

「みな幸せになりたくて動いてる、彼も彼女たちと同じように動いてる、何一つ違わない。
 ……さて、僕は町にいってくるよ。ご飯の用意もしなきゃいけないしね」


 そういうと男は館の裏口から出て行った。



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