「御主人様は私のものだもん!!」
「違う~!マスターはアタシのものなんだから!!」
昼間のポケモンセンターに響く2匹の声。…会話の内容的に少々苦笑いするしかないのだが、彼女達は俺が捕まえた萌えもんである。
「御主人様は私の大きくて円らな瞳に一目惚れだったんだよ~!!」
周りの目をせずに堂々と言い争いをしてるピンク色の2匹。
「アタシのきゅーとなふぉるむにマスターはハートに三日月が刺さったんだからねっ!!」
…そう、2人はほぼ同時期にパーティ入りした、いわばライバルなのだ。
「御主人様は私の歌、とてもキレイだっていってくれるもん!!」
そう言って顔をぷぅっと膨らませるのは、円らな瞳が可愛らしいプリン。
「それならアタシだって、アタシの歌、とても可愛らしいってマスターいってくれるんだからっ!!」
そう言ってムスッと睨みつけるのは、小さな八重歯が可愛らしいピッピ。
「ぷぅ~…!」
「むぅ~…!」
睨みあったが最後、2匹は一向に動かない。
…早く次の町に行きたいのだが…… あ~、周りからの目が痛いな……
仕方ない、とっとと鎮めるか…
「…スピアー、いつもの頼む…」
「了解…♪」
古参のスピアーは俺の命令を受けると何やら口ずさみならら2匹の方に向かって飛んでいく。
「こ~ん~ぶ~だしきいてるよ~ かつおとこんぶのあわせわざ~♪」
おいおい、何時そんな歌覚えたお前…
「は~い、お遊びはここまでにしときましょうね~♪」
言葉と同時に繰り出される両腕。彼女の十八番、ダブルニードルだ。
「ひゃうっ!?」
「うわぁっ!?」
見事脳天にヒット。
『いった~い!』
同時に声を揃える2匹。刺された所を抑え、プルプルしながら蹲っている所を見るとまたさらに可愛く見えてしまってくる。
「もし次言い争いしたら、今度は突き上げちゃうかもよ~?♪」
流石、頼りになるスピアー。 …だが、その言葉はやめてくれ、勘違いを起こす奴が出る……
「2人とも、ぐずぐずしてないで早く行くぞ。」
『…は~い』
立ち上がり、ピョコピョコついてくる2匹。そうして俺は、ポケモンセンターを出た。
これから何が起こるかは俺にわかるはずもない。
だけど、これだけは確実に言える。
この2人がいるだけで、ずっと賑やかで微笑ましくなるパーティになるだろうと。
つづく
最終更新:2007年12月12日 00:38