3スレ>>859


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『ストライク斬狂録?』
  

  夜闇のとばりがおりた草原にストライクが一人。
 空には、ちらちらと輝く星を従えて、見事な真円を描く満月が浮かぶ。
 それを見上げることなく、目を閉じたままストライクは野に立つ。
 しんっとした草原には、風が草を揺らす音のみが響いて、鳥や虫の鳴き声すらしない。
 半刻前には騒がしかった草原は、ストライクによって静寂がもたらされた。
 ぶらりとさげた刃から、ぽたりぽたりと紅い雫が地に落ちる。
 ストライクはそれを拭うことすらしない。拭っても無駄だからだ。
 刃は、血が染みこんで、淡く紅く染まっている。
 いまさら拭ったところで、なにが変わるわけでもない。
 僅かな休息の合間に、ストライクの脳裏に浮かぶのは、主と仲間のこと。
 戦いに酔い、敵を打ち倒す快楽に浸る自分を止めようとしたものたち。
 彼らを斬ったことでストライクは、修羅道へと踏み入った。
 主殺し、仲間殺しの禁忌を思い出し、興奮に体が火照る。
 くっと漏れでた笑いには熱き想いが含まれ、顔には狂気を含んだ綺麗な笑みが浮かぶ。
 以来、あの興奮を求めて刃を振り続けた。
 過去を懐かしむストライクに、忍び寄る複数の気配。
 草原は、静寂を破られて、再び闘争の場となる。
 草原に闘志と殺気が満ちていく。
「きたのか」
 そっと呟いたストライクは、嬉々として戦場へと飛び込んでいった。
 いくつもの影の間を駆け抜け、刃を振るう。
 幾千の戦場を越えた経験をもって、放たれる技を見切り、回避する。
 舞う血しぶきと上がる悲鳴。
 もっと、もっとだ、と戦う快楽を求める心を抑え付け、乱れかける心を平静に保つ。
 血しぶきによって重さと粘りを含んだ空気を裂いて動き、上がる悲鳴を曲として舞うストライク。
 月下のもと、血染めの桜の花をふぶかせるストライクは、妖艶な姿で見るものを魅了する。
 その姿に誘われたものを新たな獲物として、ストライクはいつまでも舞い続ける。
 真紅の桜は、季節に関係なく常に草原に咲いていた。

「という話を考えてみた」
「主は私を、戦闘狂か殺人快楽者にでもしたいのですか」
「ストライクってこういう話が似合いそうだなと」
「考えるのならば、もっとほのぼのとした話や、甘い感じの話を希望。
 例えば……白雪姫とか?」
「……似合わねぇ」
 ふりふりのドレスを着たストライクを想像して思った感想を、少年はぼそりと呟いた。
 それをストライクは、聞き逃すことはなかった。
「失礼な! 私だって、ほかの女の子が夢見るようなことに憧れる!」
「ストライクってお姫様よりは、それを守る騎士とかのほうが似合うって」
 少年とストライクは、騒がしく語り合う。
 暇つぶしに語られた、平穏な日常の会話は、仲間が止めるまで続けられた。
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