1スレ>>248

拝啓、お母様。

「お茶入れてちょうだい。今すぐに」

貴方の息子は、今日も頑張って生きています。

「あつっ!?こんな熱いの飲めるわけないでしょ!入れなおしなさい!」

信頼関係を築くには、忍耐が必要だとよく仰っていましたよね。

「ちょっと、ぬる過ぎるわよ。やり直し」

その言葉を胸に、今日も頑張っているんですが・・・

「不味い。もういいから、ミックスオレ買って来て頂戴。3分で」

そろそろ限界を迎えそうです・・・




ふたごじまにいた、伝説の萌えもんのフリーザー。
多くの萌もんとハイパーボールを犠牲にしつつも、何とかゲットすることが出来た。
が、本当の苦労はここからだった。
食べ物の質について細かく言われたり、マッサージをやらされたり、
タマムシ食堂の1日限定5個のスペシャル弁当を徹夜で買いに行かされたり・・・
とにかく、いいように使われまくった。
その上、戦闘では散々言うことを無視してくれた。
脳波測る機械で、ぜひ俺の脳を見てもらいたい。
爆発すると思う、9割9分本気で。
さすがにこれ以上は耐えられそうにない。
一度ガツンと言うか、そう思いながら、フリーザーを外へ呼び出したわけだが・・

「何の用かしら?さっさと終わらせてもらいたいんだけど」

・・・すごく、怖いです。
一度目を閉じ、深呼吸して気持ちを落ち着ける。
目を開き、こちらをにらみつけるフリーザーをしっかりと見据える。

「フリーザー、そろそろわがままはやめてくれないかな?」

「あら?堪え性のない男、早いのね。」

・・・思わず崩れ落ちそうになった。
男の子に、早いって言葉は禁句だと思うんですよ、先生。
あと、俺は早くない、断じて。
折れそうになった心を必死で立て直し、再度話しかける。

「茶化さないでくれないか?これでも真剣なんだ」

「あっそ」

「俺に不満があるのか?それなら、ちゃんと言って欲しいんだ」

その言葉に、フリーザーはにやりと笑みを浮かべた。
そして、口を開き、

「判断が遅い、相性も考えずに力でごり押ししすぎ、
 相性がよくてもレベル差を考えて、冷静に戦闘を組み立てられない、
 あと、グズでノロマ」

と、再起不能になるくらいに叩きのめしてくださいました。
フリーザーはしてやったりとばかりに笑い、
こんな風じゃ言うことなんてきけないわよねーとダメ押しを叩き込んでくる。
フリーザーの言ってることは、俺自身も気にしていたことだったので、
反論しようにも出来ない。
言い返せない俺を見てご機嫌になったのか、満面の笑みで再び喋りだすフリーザー。

「それにしても、こんなマスターに使われる萌もんがかわいそうね。」

ぐさり、と聞こえるはずのない音が胸から聞こえた。

「貴方のせいで、あの子達は何度傷ついて倒れたのかしらね?ちゃんと自覚してる?」

歯を食いしばる。
悔しいが、事実だ。
俺のせいで、みんなには多くの負担をかけて、危険な目にあわせている。
だから、俺に反論する権利はない。

「でも、貴方に付き従ってるあの子達も馬鹿よね。マゾヒストってやつ?
 貴方なんかを信じて戦ってるなんて、おかしいんじゃない?」

ぶつり、そう確かに頭の中で聞こえた。
そして、気付いたときには、

ぱんっ!!

全力でフリーザーの頬を叩いていた。

「なにを「確かに、お前の言うとおりだよ。」

フリーザーの言葉を遮って告げる。
俺はダメなところばっかりで頼りにならないやつ?
あぁ、全く持ってその通りだ。

「判断は遅いし、ごり押しばかり、冷静に考えるのも苦手だ。あと、グズでノロマさ」

でもな、とフリーザーをにらみ付けながら付け足す。

「あいつらを馬鹿にするな。こんなダメな俺を支えようと必死に頑張ってくれてる。
 俺を信じて命を預けてくれる。そんなあいつらを笑うな。」

そうだ、あいつらは俺のかけがえのない仲間なんだ。
だから、

「俺は、あいつらを笑うお前を絶対に許さない。」

そう言って、言葉を切る。
沈黙が生まれる。
そのまましばらくにらみ合いが続いたが、すっとフリーザーが視線を逸らす。
そして、何も言わずに飛び上がると、そのまま飛び去ってしまった。

「あの、ますたー・・」

足元から声が聞こえ、視線を移すとオロオロと困っているロコンと目があった。

「あの、いいんですか・・?ほっといて・・」

「あー、その、頭が冷えたら帰ってくるだろ」

叩くことはなかったかな、とわずかに後悔が生まれるが、頭を振って追い出す。
心配顔のロコンに、大丈夫だと声をかけ、ポケモンセンターへと戻った。



3日後の夜、焚き火の前で座り込む俺の前にフリーザーは降り立った。

「相変わらずダメダメね、貴方。」

戻ってきて早々、ダメ出しをされた。

「何?人にアレだけ言っておきながら、ボロボロに負けてるじゃない」

あー、ばっちり見てたわけですね、あなた。
実のところ、大丈夫と言っておきながら、心配でたまらなくなり、
この3日まともにバトル1つこなす事が出来なかったわけである。
戦績は、14戦14敗。ひどいなんてもんじゃなかった。

「あとであの子達に謝っておくことね」

「うん、分かってる。本当迷惑かけてばっかりだな、俺」

「えぇ、その通りよ。あの子達だけじゃ貴方に振り回されっぱなしになっちゃうわ」

そう言って彼女は苦笑していたが、ふっと真顔に戻ると、俺のほうを見つめてくる。

「あの子達だけじゃ荷が重過ぎるし、しょうがないから私も手伝ってあげるわ」

「そっか、ありがとう。」

「勘違いしないでもらえる?あくまであの子達のためなんだから」

「うん、それでもありがとう」

そう言って、笑いかけると、フリーザーは「全く・・」と、ため息をついた。
その顔は、呆れつつも、どこか清清しく楽しそうな表情をしていた。

「じゃ、俺の番な」

「何が?」

「この間、叩いてすまなかった。女の子に手上げるなんて最低だった。」

「いいのよ、私もあの子達のこと馬鹿にしたんだし」

「でも、やっぱり「あー分かった。分かったから黙りなさい。」

また、ため息をつくフリーザー。
しばらく、目を閉じ考えると、一言、

「立って、目閉じなさい。」

「うい」

素直に立ち上がり、目を閉じる。
同じように頬を叩かれると思って、歯を食いしばる。
・・・・・・・?
いくら待っても何の反応もない。
どうしたんだ、そう言おうとした時、頬に軟らかい感触が生まれる。
キスされた。多分。
予想外の出来事に、思わず目を開けそうになったその瞬間、

「隙ありぃぃぃい!!!」

「へぶっ!!!」

顔面に思いっきり翼を叩き込まれた。
そのまま、俺は後ろへひっくり返り、目を回してしまった。
ただ、意識が落ちる直前、

「これでおあいこよ、マスター」

そんなフリーザーの楽しそうな声が聞こえた。




おまけ
こんな平行世界

「あら?堪え性のない男、早いのね。」

「早い・・?」

「えぇ、全くもうちょっと耐えれないのかしら。早すぎよ。」

「早いと、そう申したのか?」

「え、ちょっと、どうしたのよ、いきなり怖い顔して・・・」

「早いと、そう申したのだな?」

「ちょっと、なんでこっちに迫ってきてるのよ」

「早いかどうか、その身で確かめい!!!」

「え、や、いやああああああ!!!」


10分後、海の真ん中で氷付けになって浮かんでるマスターが発見されました byロコン

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最終更新:2007年12月08日 00:42
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