4スレ>>157


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秘伝マシン4、かいりき。
この技を使えば筋力が増加し、重い石でも楽々動かせる。
戦闘でも相手に大ダメージを与えること間違いなし!

こうげき力が十分あれば、の話だが。


ここは16番道路、サイクリングロード。
私達は次なるジム、ヤマブキジムへの戦力アップのためのレベル上げに来ていた。
右手に自転車のハンドル、左手にバトルサーチャーを持ち、次々と暴走族に喧嘩を・・・
ではなくて、萌えもん勝負を挑んでいるのはうちのマスター。

私、イワークはそんなマスターのパーティの一人として、共に行動している。


「そこの暴走族、萌えもん勝負がしたいと見た」

「ちょ・・・またお前かよ・・まあ、いいけどよ」

バトルサーチャーで反応が出た暴走族に片っ端から話しかけるマスター。
もうこの暴走族と戦うのは10回位になるだろうか。
さすがに何度も戦い、疲れたのか、それとも呆れているのか、暴走族は嫌な表情をしている。
それでも戦いの誘いに応じるのは、やられっぱなしでは嫌だ、という思いがあるからだろうか。
しかも毎回の戦い、しっかり賞金を払ってくれている。
こいつは一体どれだけお金を持っているのだろうか・・・気になるところだ。


「いっそあいつからお金、全部巻き上げてみようか」

一度マスターがこんな提案をしたことがある。
本人は多分冗談で言ったつもりだろうが、なんだか顔が本気に見えたので、
私と同じくパーティの一人、ガラガラが目を覚ますようにと、
手に持っていた骨でマスターを殴っておいた。
手加減をしなかったせいか、その後、2日ほど意識が無くなってしまった訳だが。

それなのにマスターはガラガラを主力から外そうとはしなかった。
まず、力の加減ぐらい出来ないのか!とガラガラを叱った。
その後はガラガラを許し、逆に自分の冗談が皆を本気にさせてしまってすまない、迷惑をかけた、と、
私達に頭を下げた。

私達はそんな優しいマスターのことを気に入っている。
時々発言が乱暴になったりもするけど。

話を元に戻そう。

10回も闘ってくると、相手の手持ちの萌えもんが分かるし、どんな順番で繰り出すのかも嫌でも分かってくる。
この暴走族の初手は・・・確か・・・そう。

マタドガスだ。

この辺りの暴走族が繰り出す萌えもんはドガースやマタドガスが多い。
この萌えもんと闘うときはいつも苦戦を強いられる。
ドガースやマタドガスの持つとくせい、ふゆうによって、じめんタイプの技が効かないからだ。
よって私の今覚えている中で最強の技、じしんは使えない。
いわタイプのいわなだれも、どくタイプにはいまひとつだから、有効とはいえない。
かたくなる・・・補助技だ。攻撃には使えない。却下。
そうなると私に残された技は、覚えたての秘伝技、かいりき。
サファリゾーンで見つかった金の入れ歯を、サファリゾーンの園長に渡して、
お礼として貰った秘伝マシンに入っていた技だ。

「この技はイワークが覚えたほうがいいと思うんだ」

マスターはそう言って私にかいりきを覚えさせてくれた。
それまで、たいあたりではどうも威力不足だと思っていたし、それに代わる技が欲しかったところだったので、
私は二つ返事で了承した。


「イワーク、いけるか?」

マスターは私に呼びかけた。
その呼びかけに対して私はこくん、と頷く。
ちょうどこのかいりきという技を使ってみたかったところだ。
それに、最近は新たにマスターのパーティに加入した、エレブーのレベル上げで、
出番が無くて、体が鈍っていたところだったし。

「よし、頼むぞ」

私が入っているボールを、マスターが宙に投げた。
その瞬間、視界が眩い光に包まれ、一気にボール越しに見ていた風景が目の前に広がる。
真上に広がる空が少しだけ近く感じる。
久しぶりに頬に当たるそよ風・・・気持ちいい。

って、今はそんなこと考えてる場合じゃない。
私は目の前の相手、マタドガスに視線を向ける。
レベルは相手の方が8つ下。
格下の相手・・・でも油断は禁物だ。状況としてはかいりきしか使えない私の方が不利なんだから。

「イワーク、かいりきだ!」

予想通りのマスターの指示。
当然ながら先手は私だ。素早さには自信がある。
指示通りかいりきを発動する。
すると・・・

「・・・!!」

力がどんどん湧き出てくる。
一体私のどこにこんな力が眠っていたのかと疑問に思うくらい。
凄い、これなら・・・

「いけるっ!」

私は力を右腕に集中した。
そしてマタドガスに猛スピードで突っ込む。
もしかしたら、もしかしたら・・・一撃で仕留められるかも?
そんな期待を胸に、私は自分の中のありったけの力をぶつける勢いで、右拳をマタドガスに打ちつけた。


――ぺちっ。


「・・・え?」

拳がマタドガスに直撃したと同時に、気の抜けたような、どこか可愛らしいような音が響いた。
一体何の音だろうか。
どこかでピッピのはたくが直撃したんだろうか。
・・・そういや、マタドガスはどうなったんだろう?
渾身の力を込めた一撃だ、あれを受けて立っているはずなんかない。
それにしても、直撃したときの音が聞こえなかった。
イメージとしては、どかーんとか、迫力ある音を期待していたのだが。
―――もしかして、命中してない!?
私は慌てて、右手に目をやった。

・・・しっかりと、私の拳はマタドガスを捉えていた。
が。
マタドガスは、遥か彼方に吹っ飛ばされても、ましてや瀕死状態にもなっていなかった。
目立つような傷は一つも無い。ほとんど無傷。
そして、マタドガスと目が合う。
彼は微かに口元に笑みを浮かべ、そして。

びちゃ。

ヘドロ爆弾、見事に直撃。
あまりのかいりきのショボさに対するショックと、ほぼゼロ距離のヘドロ爆弾に、
逆に私が一発ノックダウンさせられた。


・・・

後でガラガラから、あのぺちっ、という何とも可愛らしい音は、
自分の拳がマタドガスに直撃した音だということを教えられたのは言うまでも無く。



―――数日後。サファリパーク園長の家。

「イワーク、かいりきを頼む」

「分かりました。マスター」

俺達は園長の家の、大きな岩の向こうにある、不思議なアメを取りに来ていた。
食べるだけでレベルが1上がる、貴重なアイテムだ。取っておかないと。
それに、せっかくかいりきの力で岩を押せるようになったのだから、有効活用しないとな。

しっかし・・・
あの、サイクリングロードでの出来事の後、意気消沈したイワークを慰めるのには苦労した。
どうせ私はかいりきを使っても貧弱な、こうげき力に乏しい駄目萌えもんですよとか、
私を外して、他の萌えもんを連れて行ったほうがいいと思いますよとか、
どうやら自分のこうげき力の無さを身をもって感じたらしく、
相当落ち込んでいた。

俺だけではどうしようもなく、ガラガラやリザードンにも協力してもらって、
なんとか立ち直らせることには立ち直らせたが、

「・・・はあ」

あの件以来、かいりきを発動する前にかならずため息をつくようになった。
あの時のことを思い出しているのか、見てるこっちも気が滅入るようなため息だ。

「・・・んっ!」

ため息一つついた後、岩を押し始めるイワーク。
こうげき力が低いせいか、なかなか岩は前に進まない。

イワークが必死で岩を押しているのを、ただ眺めている俺達。
なんだか薄情な気がするのだが仕方ない。
俺達はあの岩を押すことが出来ないんだから。

「ねえ、マスター」

俺の隣にいたガラガラが話しかけてきた。

「なんだ?」

「なんでイワークにかいりきを覚えさせようと思ったの?
どうせだったらリザードンとかに覚えさせたほうが良かったんじゃないかって、そう思ったんだけど」

「俺もそれは思った。
かいりきの威力を発揮するのであったら、リザードンやガラガラの方が、イワークよりはこうげき力が高いから、
覚えさせるのには適している・・・でも、それでもだ、どうしても俺はイワークにかいりきを覚えさせたかったんだ。
なんでだか、分かるか?」

分からないのか、首を傾げるガラガラ。

「・・・俺は出来るだけ強い技をイワークに覚えさせたいんだ。
イワーク、こうげき力低いからさ、やっぱそこは技の威力でカバーしないといけないと思ったんだ。
それに、こうげき力が低いから・・・って、落ち込んで欲しくないしさ。
まあ・・・今回は見事に落ち込んでしまったけどな」

「ふーん。何も考えてないように見えて色々考えてるんだね。マスター」

「まあな・・・あ、あとそれと」

「まだあるの?」

「岩を押してるイワークの姿。一生懸命押してるんだけど、あまり進んでいないというギャップってやつか?
見ている側としては、それが微笑ましいというか、可愛いというか・・・
それが見たかった、ってのが本命だったりするんだ。実は」

「・・・・いいとこあると思ったら結局は」

ゴン。
ガラガラのホネ棍棒が脳天を直撃。
あれ?この感触、どこかで・・・?
一度経験したことのあるような、そんな痛みを頭に感じながら、目の前が真っ暗になった。








パーティはイワーク、ガラガラ、リザードン、エレブーの4人。
イワークをメインにして書いたんだ。
あと暴走族のマタドガスは雄ということで。

結局リザードンとエレブーが名前だけの登場で、
SS書くのって物凄く大変だなあ、書いている人凄いなあと実感しました。
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