4スレ>>284


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道具使用禁止、勝ち抜き制、挑戦者側は6匹までなら何匹でも可。
だがリーフィアとヒトカゲしか連れていない俺はヒトカゲしか登録できない。
「もう一匹は登録されないので?」
「あぁ、ちょっとわけアリで・・・」
受付のジムトレーナーが理解できないという視線を送る。
そりゃそうだろうな・・・
どの道ここまで来たら、後戻りは出来ない。
俺は、戦いの舞台へ足を踏み入れた。


分かってはいたが、これはつらい・・・
ニビシティにいる人間の8割は来ているんじゃなかろうか。
彼らの視線が容赦なく降り注ぐ。
ほとんどは嘲りだろう。まさか炎タイプ一人でタケシに挑むとは、という。
自分だってそう思うだろう、我が身のことでなければ。
もうぼやいても仕方が無い。せめて恥ずかしくない戦いをしたい。
せっかく5戦も6戦も見てたんだ、何かそこから生かさなければ・・・
「まさかヒトカゲだけで挑むつもりか?」
タケシのほうは相変わらず余裕そうだ。そりゃそうだろう、負ける要素がほとんど見当たらないのだから。
ヒトカゲのやる気は十分。俺のテンションはお察し。
開始の合図が出された。

「まずは小手調べに捨て身タックルだ!」
タケシの命令に応え、イシツブテが猛然と向かってくる。
上で見てたのとはまるで違う。あれで身長がヒトカゲより小さいなんて信じられない、なんて迫力だ・・・!
食らう訳にはいかない。かといって、あれだけの勢いを殺せる技は今のヒトカゲには無い。
「ヒトカゲ、かわせ!」
しかし、ヒトカゲは動けない。かわすつもりはあってもどうかわせばいいのかが分からないのだ。
「・・・!ヒトカゲ、跳べ!」
ぎりぎりで指示が間に合い。捨て身タックルを仕掛けたイシツブテを飛び越え、無傷でヒトカゲは着地する。
技が終わり、イシツブテが振り返る。それは紛れもなく攻撃のチャンス。仕掛ける技は───
「ヒトカゲ、鳴き声!」
「え!?あ、う、うん!すぅーーーーー・・・
 きゃうーーーーーーーー!!」
絶好のチャンスに攻撃技を放たなかったことに、観客席はどよめいているようだ。
しかし、炎タイプのヒトカゲには地震、岩雪崩、岩石封じのどれもが一撃必殺の威力となる。
幸い、捨て身タックルも含めてイシツブテの技は全てが物理攻撃力によって威力を左右される技だ。
それに、こちらの技にイシツブテを一撃で落とせる可能性のある技は一つだけ。それも、条件を完全に揃えたときのみ。
ならば相手の技の威力を可能な限り下げ、少しでも己の不利を埋めつつチャンスを待つべきだ。
そういった俺の思惑を、おそらくタケシは即座に見抜いたのだろう。
「ほう・・・?どうやら考えてはいる様だな。ならば・・・
 行け、イシツブテ!岩石封じ!」
イシツブテの得意技、何処からともなく出現した岩が四方から襲い来る。
前後左右、あるいは斜め四方からの包囲攻撃・・・!
観戦していたときに上でも見ていた攻撃、辛うじて指示を送る。
「ヒトカゲ、前からの岩に飛び乗れ!」
慌てて大きくジャンプし、岩石封じの回避に成功する。
その後もイシツブテの怒涛の攻めが展開される。
岩雪崩、捨て身タックル、地震、岩雪崩、岩石封じ、etc・・・
降り注ぐ大岩、大震する地面、逃げ場なく迫り来る岩石、そして自らそのものでもってヒトカゲと俺を圧倒する。
仕掛ける側のイシツブテとタケシとは違い、経験の浅すぎる俺たちでは回避指示を出すのにも、それを実行するにも一瞬の間が出来てしまう。
辛うじて直撃は避けても、無常にもダメージは蓄積されてゆく
轟音と地響きを従えた猛攻の合間、わずかな隙を見つけては鳴き声の指示を送る。
(そろそろか・・・?)
六度目の鳴き声が響き渡り、反撃に移ることを決意。
地震にあわせて飛ぶように指示、岩雪崩を引き付けて間をくぐらせ───
「イシツブテ、捨て身タックル!」
───今だ!
開始直後と変わらぬ勢いで迫るイシツブテ。慎重に、かつ急いで距離を測り、
「左前に向かって全力で走れ!」
指示通りにイシツブテに、正確にはその左側すれすれに向かって駆け出すヒトカゲ。
勢いと距離からズレの修正が利かないイシツブテの右側へ。
みるみる縮まる二人の距離、すれ違い始める刹那、
「メタルクロー!」
「いっけえぇぇっ!」
二人が交錯し───
がぎぃぃぃん!
硬いもの同士がぶつかる金属音めいた音を残し、距離を置いて両名とも動きを止める。
唯一イシツブテ本人がヒトカゲに接近する技である捨て身タックルにあわせ、ヒトカゲ自身の全力に加えて互いの加速まで載せたメタルクロー。
物理的にも相性面でもこの上ない完璧な一撃のはずだった。
(どうだ・・・!?)
しかし、イシツブテに倒れる様子は見られない。さすがに平然とはしていないようだが、戦闘不能には程遠い。
「うそ・・・!?完全に決まったのに!?」
ヒトカゲも動揺している。
「今のは実にいい一撃だった。だがな、俺の萌えもんが固いのは岩タイプだからというだけではないのさ」
そう。単純に、ヒトカゲ自身の攻撃力が足りなかった。
完璧に、読み足りていなかった。
状況だけなら、俺達のほうが有利に映るだろう。
ヒトカゲは無数のかすり傷はあっても直撃は受けておらず、対してイシツブテはメタルクローによるダメージがある。
だが、追い込まれているのは間違いなく俺達のほうだった。
ヒトカゲは明らかに疲労困憊している。だがイシツブテはといえば、傷も疲労も物ともせずに戦う構えを見せている。
こうなってしまえば、結果は明らかだった。
疲労と驚愕で動きが鈍り、とうとうかわしきれずに───
「イシツブテ、岩雪崩!」
大岩の洗礼を受ける。
たとえ威力を限界まで下げても、タイプによる補正で3倍まで跳ね上がったダメージを耐え切るだけの体力は、もうヒトカゲには残っていなかった。
倒れ伏すヒトカゲ。
「ヒトカゲ、戦闘不能!勝者、ニビジムリーダー タケシ!」
俺とタケシ、そして互いの萌えもんの培ってきた経験の差。
目の前に示されたそれは、あまりにも大きかった。
勝敗を告げる審判の声も、観客の声も、耳に届かない。
今はただ、早くヒトカゲを萌えもんセンターに・・・
それだけが、俺の意識を埋め尽くしていた。


その日の夜。
幸い、戦闘不能なだけで傷そのものはたいしたことは無く、2,3日で元のように元気になりそうだった。
鳴き声を限界まで使用し、その威力を抑えていたこともあるだろうが、
(手加減、されたんだろうな・・・)
下がるだけ下げてもあれだけの轟音に震動を伴う岩攻撃で、この程度で済むとは信じ難かった。
手当ての済んだヒトカゲは、今は萌えもん用のベッドで眠っている。
苦しむ様子が無いのがせめてもの救いだった。
「マスター・・・」
リーフィアの声。ヒトカゲを起こさないように、声量は控えめ。
「まだ早いのは分かってた。ボールに無理矢理戻してでも戦いを避けてれば、こんな怪我させなくてすんだ。
 俺自身、まだどっかで甘く見てたんだろうな。・・・俺の、ミスだ」
相性面での有利を完全に抑えてすら、やすやすとは突破できないのがジムだ。
相手の方がその有利までも得ていれば、こうなるのは目に見えている。
なのに、ヒトカゲを止め切れなかった。
「マスターのせいでは、ないですよ。・・・思っていたより、ジムが手強かっただけで」
リーフィアは慰めてくれる。だからこそ、情けない。
いつまでもループする俺の思考は、もう一つの声に遮られる。
「・・・ぅ・・・ご主人さま・・・」
「気がついたか、良かった。軽くは無いけれど、そんなにひどい怪我でもなかった。2,3日は安静にしてろよ」
そう笑顔で告げてやる。だが、ヒトカゲの顔は晴れない。
「そう落ち込むなって。苦手な相性の、それもジムリーダーの萌えもん相手に、お前は良くやったよ」
「ううん・・・違うの」
励ましてみたが、否定される。
「あたしから戦いたいっていったくせに、負けちゃって、ごめん、なさ、」
ヒトカゲの声が涙に揺れる。
「あたしが、負けたせい、で、ひくっ、ご主人様、まで、弱いって、思われちゃって、うぅ、
 それに、ご主人様が、毎日、うくっ、ぐすっ、いっしょ、けんめい、働いて、溜めた、お金、も、取られちゃ、て、えぐっ」
負けたのが悔しいだけではなかった。
自分が負けたせいで俺まで侮られるのが、悔しかったのだ。
常日頃忙しそうに働いている俺の、その苦労が自分のせいで失われたと思って、泣いていたのだ。
これだけ想われていたのだと、それを知ることができたのは大きい。
「金だったら、気にしなくっていいよ。また働いたらいいし、全部持っていかれたわけでもないし。
 それに、ダメだって強くお前に言えなかった以上、お前を責めることは出来ないし、その気も無い。
 勝たせてやれなくて、ごめんな。痛い思いさせて、ごめん・・・」
「ぅ・・ぁ・・・ご主人様・・・ごしゅじんさまぁぁ・・・!」
泣きじゃくるヒトカゲの頭を撫でながら。
二度と、負けたくないと思った。
俺が、悔しいから。皆も、悔しいから。
もう、この子達が傷付くのも、泣いているのも、見たくないから───




数日後。
いつものように、萌えもんセンターの仕事をこなす。
ヒトカゲはあれから、必死になって特訓するようになったらしい。
リーフィア曰く、
「本気で火の粉とか使ってくるから倒されないようにするのが大変で・・・」
だそうだ。
ヒトカゲばっかり本気になっても俺が変わらなければ同じことになる。
密かに俺もトレーナー養成雑誌の類に目を通したり、出来る範囲で工夫を始めていた。


その日は非番の前日だった。
午前中で勤務が終わり、たまたま二人をボールに戻してトレーナー用の食堂でホッと一息を付いていると。
「よう」
聞き覚えのある声が掛けられた。
「・・・!」
「確か、ヒロキさん、だったな」
ジムリーダーのタケシだった。
「炎タイプの萌えもんにあそこまで手こずらされたのは、あんたが初めてだったよ」
「それは・・・どうも」
あの日、炎タイプの萌えもんだけで挑戦したのは俺だけだったため、後から挑戦者の登録名簿でも見ればすぐに分かったのだろう。
何かと気さくに話しかけてくる。
萌えもんセンターの職員だったのか、だの。なかなか指示にセンスがあった、とか。
そのうち、俺の腰のボールに話題が移ってしまった。
「そのボールは、ヒトカゲと・・・あれから何か捕まえたのか?」
「あ・・・この子は・・・」
ボールの中のリーフィアとヒトカゲもヒヤヒヤだ。
話でその人柄を聞いていても、自分で確かめたわけじゃない以上信用することは出来ない。
出来るだけ隠し通すべきだと判断したのだが。
「ええと・・・そうです」
「へぇ・・・見せてもらえないか?」
言葉に詰まる。
そのあたりで捕まえたのならポッポかコラッタ、せいぜいオニスズメ。
本当にそうなら見せられないはずはない、とっさの嘘が完全に裏目に出てしまった。
タケシは俺から目を逸らさない。いや、細すぎて実質良く分からないが、多分逸らしてないだろう。
「・・・・・・」
「どうした?」
言葉を返せない。
沈黙を守っていると、譲歩は向こうから得られた。
「見せられない萌えもんなのか?」
「・・・ええ」
「違法なのか?」
「それは違います」
「なら、理由を聞いてもいいか?っと、ニビジムリーダーの誇りに掛けて、他言しないと誓おう」
彼が実直で誠実だという話は真実だったらしい。
大勢挑戦した中の一人の、萌えもんを見せられない理由。
そんなものを他に喋らないという程度の他愛ない約束すら、名誉に掛けて守ると言う。
おそらく、信じてもいいと判断し。
大まかに事情を説明した。
「なるほど・・・それじゃ公開戦では使えないわけだ。・・・いや、通常の公式戦でも出せないな」
「ええ。どうしても記録が残りますから」
納得してもらえたようだ。
「・・・じゃあ。その萌えもんを戦わせていたなら、オレから勝利はもぎ取れたか?」
いかにも萌えもんバトルを生業とするジムリーダーらしい問いに、思わず笑みがこぼれる。
タケシが口を開く前に応える。
「正直、わかりません。相性を把握せずにジム戦で勝つなんてまずありえないけど、
 相性での有利を抑えたからといって勝てるとは限らない」
俺の、偽り無い心情だった。先日のジム戦は、俺にとっては半ばトラウマに近いものとなっていた。
「ふむ・・・」
腕を組んで考え込むタケシ。
すると、不意にこんなことを言い出した。
「そうだ!個人的に萌えもんバトルをやらないか?といっても本来ジムリーダーは公式戦以外では、
 自分のジムのトレーナー以外との萌えもんバトルが出来ない決まりだから、こっそりとな。
 場所はオレのジムでいいか?丁度明日はジムが休みだから誰にも気兼ねなく使える」
唐突に出され、しかもひとりでに進む提案にポカーンとする俺。
「ただバトルするだけじゃジムトレーナーとのトレーニングと変わらないからな。互いに公式ルールにのっとって賞金を出すんだ。
 俺の都合でホームグラウンドでやらせてもらうわけだから、俺の方は本来の額に上乗せしてバッチとジム秘蔵の技マシンをだそう。
 どうだ?」
あくまで個人的にといっておきながら、内容は公式戦となんら変わらない。
気を利かせてくれているのだろうが、おそらくそれ以上に新種の萌えもんとそれほどまでに戦ってみたがっていると見るべきか。
どちらにしろ、願ってもない申し出だ。
しかし、出来ないはずだった草タイプのリーフィアでの挑戦がこんな形で叶うことになるとは。
「お気持ちはありがたいけれど・・・何故そこまで?」
この俺の言葉に、タケシはニヤリと笑みを浮かべ。
「理由が要るのか?なら、ここで何かおごってくれよ。その礼ってことで十分だろ?」
・・・なるほど。いや全然釣り合わないんだけど。
ともかく、降って湧いた幸運に戸惑いつつも、己の財布を確かめた。

                                                      続く(またか)


あとがき(?)
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごm(ry
1話のはずがまさかの前・中・後編三部作とはorz
バトルの迫力足りなさ杉に全俺が号泣。
萌えもんバトルってよくその場に無いもの持ち出してきますよね?話中なら岩雪崩の岩とか。
あるいはかわされた時にフィールドに影響が残るでしょって技も。冷凍ビームとかヘドロ爆弾とか。
ああいうのは自然のものとは違うものでバトルが終わるか技が終わるかのどちらかのタイミングで消えるって設定です。
大抵のものはバトル終了時、技終了と同時に消える技は今のところ想定してないかな。
バトルの雰囲気はアニメ版っぽいのを想像してもらえれば・・・
タケシのイシツブテ相手にヒトカゲで6回も鳴いてる暇なんてありませんしね、普通。
Lv差もほとんど無いつもりだし・・・
ヒトカゲの鳴き声は突っ込みどころです、筆者が凹むギリギリ寸前くらいまで容赦なく突っ込んでくださいw
普通に言葉を操れる萌えもんに鳴き声やらせるとなるとあんなふうにしかならなかったんですw
あとタケシのおせっかいっぷり・・・というか人格設定もいい加減です。後から出す気が無い証拠。
やたらgdgd伸びる上に内容をまとめきれないダメ筆者ですが、必死になって脳汁かき回して文字にしてます。
気が向いたときでかまいませんので、続きの催促でもしてやってください。
ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
                                      書き手より
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