4スレ>>304


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「おおおおおお……! で、伝説のオーロラチケットまでこの目で見れる日が来るとは……!」

主人がオーロラチケットをシーギャロップ社社長さんに見せると…。
案の定、このリアクションが帰って来ました。
もう主人も私も『どうにでもしてください…』状態なので社長に言われるがままシーギャロップへと乗り込む。



「着きましたねー」
「あぁ、着いたな」

その島は『始まりの島』と呼ばれていた。
シーギャロップの発着所がある以外は何も無い島であった。
グロッキーになった主人が復活するまで数十分。
体調が直った主人と供にシーギャロップ発着所を出た私達。

「ここに最後の試練があるんだよ」
「最後ですからねー、頑張ってくださいねー」

ルギア様とホウオウ様が案内をするように主人の前を進む。
私達もそれに従って後に付いてゆく。

「ふむ? 何も…無いのう?」
「こんな島だったんだ、始まりの島って…」
「ここまで何も無いと逆に清々しいわね」

小さい島であった。四方が4,50メートルしか無い島で木さえもマトモに生えては居なかった。
サンダーが言う様に何も見当たらない。
言動から察するに伝説の御三方はこの島へは来た事が無いらしい。


「さて、ボク達は見守る側に立つよ。一応、試練だしね」
「がんばってくださいね~」

ホウオウ様達はそう言って芝生の方へと歩いて行った。
試練の開始方法さえも教えて貰えない様子である。
つまり、自分で試練を探して解けと言う訳か。

「主人、どうします?」
「…とりあえず、言われた通りにしてみよう」

主人はオーロラチケットを天にかざした。
オーロラチケットは淡い光を放ち霧散する。
しかし、それ以外に何も起きない。

「何も起きないな?」
「…あぁ」

ファイヤーの言葉に戸惑いながらも同意する主人。
伝説の御二方の方を見る主人。顔に『言われた通りにしたんだけど、どうしたらいい?』と書いてあるようだ。

「あ、マスター、マスター」
「ん? 何ー? ルギアー」

ルギア様が主人を呼び、主人がルギア様の方へと足を踏み出した瞬間、
まるで雷が落ちたかのような轟音と供に岩が主人の居た場所へと落ちていた。

「――――」
「そこ、危ないですから~……と言いたかったんですが、遅かったみたいですね~」

ルギア様以外は声を失っていた。
一歩間違えれば主人は居なくなっていたかもしれない。

「ル、ルギア! 判ってるんだったら、最初から言おうよ!?」
「いえ~、今、私も始めて知りました~」
「だ、だったら何で落ち着いてられるのですか!? 危うく主人を失う所だったのですよ!?」
「マスター、怪我はございませんか~?」
「あ……、あぁ……。た、助かった」

のほほーんと言った感じで主人を心配するルギア様。
ルギア様は天然娘でなおかつマイペースさんでしたかっ。
そんな私の脳内突っ込みに気が付くはずも無い主人は、
警戒しつつ降って来た石に近づいて行く。
反応は何も無かった。

「……何も起きないな」
「どうしましょう? 主人」
「こうして見てても仕方ないからな。手分けして何か無いか探そうか」

主人の言葉に伝説の御三方も同意して島を隅々まで調べ始める。
私も主人も出来る範囲で島を調べ始める。

「……待てよ?」

私と供に周辺を調べていた主人が何かを思い出したらしい。
主人は中央に落ちてきた石へと向かっていく。

「やぱりだ」
「…? どうしたのじゃ? 人間」
「多分、だけど判ったんだ。おーい、皆、こっち来てくれー」

丁度、休憩にでもやってきたのだろうか、サンダーが主人に声を掛けてきた。
それを抑えるようにして主人は私達を中央へと呼んだ。

「この石をよーく見てくれ。何か文様が刻まれてる」
「……羽? の様ね?」
「そうだな」

そう言うと主人は見守っている伝説の御二方へと向かって歩いて行く。

「ホウオウ様、ルギア様、羽を1枚貰えないかな?」
「はね、ですかー?」
「何に使うのかな? 僕達の羽はそれなりの力があるからね。早々に渡すには行かないから」
「2人供、『封印のカギ』なんだろ? へその岩と同じかと思ってな」
「……あ、正解ですー」
「うん。よく気が付いたね」

伝説の御二方はそう主人を褒めると1枚づつ羽を主人へと渡した。
主人はその羽を持ってまた私達の方へと向かってきた。

「……それじゃ、置くぞ」

私達に確認をすると羽を石の窪みへとはめる様に置いた。
―――すると、岩は空気に溶ける様に消えてしまった。


「――誰ダ。我ノ封印ヲ解キシ者ハ?」

上空から声が聞こえた。
その声の主は見た事も無い萌えもんであった。

「お前は?」
「……『デオキシス』」
「デオキシス、妹が病気で薬草がどうしても必要なんだ」
「――ナラバ、我ニ『力』を見セヨ!!」

グンっと体が後ろへと押される感覚がした。
気が付くと数メートルは飛ばされていた。
『サイコキネシス』!? しかも、萌えもん4人と人間1人を飛ばす程の力!?
デオキシスの余りの力に驚愕しながら体勢を整える。

「主人!」
「来るな! コイツは俺の試練だ!」

デオキシスに対峙した主人の下へと向かおうとしたが、主人に止められてしまった。
私達は主人の下へと行こうとするが主人が許さない…。

「何ノツモリダ?」
「あいつ等は関係ねぇ」
「……自ラ死ヲ選ブト言ウノカ?」
「妹を助ける前に死ねるか!」
「――『スピードスター』!」
「がっ!?」

デオキシスのスピードスターが主人に当たり砕ける。
私達、萌えもんの体力があるからこそ、萌えもんの攻撃を耐えられる。
遥かに体力が低く打たれ弱い人間には萌えもんの攻撃を受ける事は無理だ。
既に主人の体はボロボロであった。

「……『力ヲ示セ』ト言ッタ筈ダ」
「正直、お前の言う『力』が何を示すのか判らん。
 お前を倒す力か? それとも妹を助ける為の力か?」
「……知レタ事。全テヲ実現スル『力』ダ! 『コスモパワー』!!」
「くっ!?」

『主人が危ない』と思った瞬間、私の体は既に動いていた。
大きなハサミを盾にして主人とデオキシスの間に入っていた。
いつの間にか憶えていた『まもる』を発動させる。
………いつまで待っても衝撃は来なかった。

「キングラー。お主も無茶をするのぅ?」
「と言うワタクシ達もそうなんですが」
「ご主人様~、もうちょっと私達を頼ってよー」
「お前ら…」

私の前に伝説の御三方が居た。
デオキシスのコスモパワーは御三方によって防がれてたらしい。

「主人。敵との交戦許可を」
「だが…」
「ご主人様、このままでは何も出来ずに死ぬぞ?」
「そうよ。妹さんを助けるんでしょ?」
「いつまでも逃げる事は出来ないのじゃ。
 男には決断しなければいけない時が必ず来るのじゃよ」
「……そうか」

主人は私達の事を聞いて静かに立ち上がった。
痛むのか足を引きずりながらだが、割としっかりとした足運びだった。

「……デオキシス」
「ヤット『力』ヲ見セル決意ガ付イタカ」

「――俺はこの試練を放棄する」
「―――!?」
「……え?」
「ちょ!? ココまで来て放棄するなんて!」

試練を与えた側の御三方が逆に驚いている。
いや、私達も十分に驚いているが。

「しゅ、主人! 何故ですか!? 妹さんの事は!?」
「……諦めた訳じゃない。ただ単にこの手が使えなくなっただけだ」
「だ、だが! 我々も居るではないか!」
「自分の欲しい物の為に無理矢理に力で奪い取るのは正しい事か?」
「だけど、私利私欲の為ならそうかもしれないけど、人間は妹の為にしてるから―――」
「別だと言えるのか? 妹の病気を治すのも私利私欲の内かもな」

主人の言葉に納得が行かない。伝説の御三方もその様子で不満顔で居る。
折角、主人の目標が達成されようとしているのだ。
しかも、私達を使えば確実に。

「デオキシス。そう言う事だ。戦闘から逃げたと取って貰っても構わない。
 これが力の無い俺に出来る精一杯の抵抗だ」
「判ッタ。…………合格ダ」
「言わなくとも判ってるさ。……って、はい?」
「『合格ダ』ト言ッタノダ。『心ノ強サ』ヲ見セテ貰ッタ」
「……えーっと?」
「心ノ弱キ者は『力』ヲ求メ続ケテ自滅スル。ソノ『力』ガ何デ有ロウトナ」
「俺は弱いよ。心が弱いからコイツらを捕まえられない。
 力を持ってしまったら、自分が力を求め続けるかもしれないから」
「心ガ弱イト判ッテ居ルノナラバ、ソレハ強イ証拠ダ」
「……そうか」

デオキシスは上空から静かに下りてきた。
主人の目の前で止まる。

「コレヲ」
「…?」

デオキシスから小瓶の様な物を渡された主人。
主人は小瓶を大事にカバンの中へとしまう。

「封印ノ鍵ダ。『ヘソノ岩』デソレヲ撒クト『薬草』ガ目覚メ、芽ヲ出ス」
「あぁ、ありがとう」
「数百年ノ眠リハ長カッタ。我ハ少シ旅ニ出ヨウト思ウ」
「そうか」
「マタ会オウ。心ノ強キ者ヨ」

デオキシスは出現した時と同様に上空へと浮かび上がって行く。
私達はソレを見えなくなるまで見ていた。

「さて、『へその岩』に戻ろうか」
「ついに…ですね」
「あぁ」

シーギャロップの発着所へと私達は向かい、シーギャロップに乗り込んだ。
私達の後ろには主が留守になった島があった。




「休んでる暇なんか……」
「薬草は逃げませんから休みましょうね、青年」

先を急ごうとする主人をフリーザーが窘める様に落ち着かせる。
主人は不満そうだが、体調が悪く反論は少ない。

―――数十分後。
体調も戻った主人と供にホウオウ様の居た場所へと向かって行く。

「ここか」
「そうだね。こう言うのって真ん中か一番上で使うのがセオリーだし」
「ホウオウちゃん、メタ的発言は止めといた方がいいわ~」
「漫画で見たし」

雰囲気ぶち壊しな天然組は見ない振りで。
気を取り直したのか、主人はデオキシスに貰った小瓶の中身を土に振りかけた。

「―――」
「凄いですねー」
「わぁ~」
「おー」
「凄いな」
「綺麗ですね~」
「ボクの住んでる所がこんな場所だったなんて…」

数秒の間に芽が出て一面緑になり、白い花を咲かせた。
私達は真っ白に染まった頂上を見て感嘆の声を上げた。

主人はスコップを出すと薬草を土ごと掘り出し始めた。
私達も少し手伝う事にした。
数分後、主人の手には5株程度の薬草があった。

「コレで妹さんが治せますね」
「あぁ、俺の旅もやっと終わりだ」
「早く帰ってあげぬとのぅ」
「そうだな」
「また薬草がみれるとは思わなかった」
「皆、ありがとう。ココまで来れたのはお前達のお陰だ」

主人の笑顔は少しだけ寂しそうな顔であった。
まるで別れが来て無理矢理に笑っているような顔である。

「…主人? まさか、ここで私達と別れようとしてません?」
「――え? 違うのか?」

驚いた顔で私に聞き返してくる主人。
私はそんな主人に対して怒りを通り越して呆れを感じていた。

「はぁ……主人? 私の主人は貴方様です。ボールとかは関係ありません。
 私が貴方様を主人と決めて、主人は同行を許してくれました」
「あー…。サンダーとフリーザーとファイヤーは?」
「当たり前じゃろう?」
「今更、帰れってのも酷いんじゃないかしら?」
「だねぇ。少しの間だろうけど、お世話になっていいか?」

伝説の御三方も同じ意見の様子である。
主人は私達に負けたのか、そっか…とだけ言った。



クチバの港へと帰ってきた私達一行。
相変わらずの船酔い主人の為にクチバの萌えもんセンターに寄る。

「体調、大丈夫ですかぁ~?」
「七島とカントーは遠いからねー。ボクでも人を乗せて飛べないよ」
「……何でお前らがここに居る?」

あれから当然のように付いてきた伝説の御二方。
あまりに自然すぎてここまで気が付かなかったが…。

「『責任取ってください☆』って言ったじゃないですか~」
「ボクはルギアのお目付け役」
「…………好きにしてください」

ルギアの言葉に負けたのか体調に負けたのか、
――多分、後者だと思うが――主人は突っ伏してしまった。



「ただいまー 父さん~、母さん~、帰ったよ~」
「……? 留守、でしょうか?」

私達はタマムシシティにある主人の家へと到着した。
主人が声を上げても誰も出て来なかった。

「おかしいな。病院の日じゃ無いんだけど、
 …かと言って妹の状況からあんまり外に出れないし」
「取り合えず、上がるか…」

私達は主人の家へと上がる事にした。
そのまま居間へと通される。

「まぁ、適当にゆっくりとしてくれ」
「はぁ…」
「何か飲み物を出すよ。…手紙?」

キッチンの方で手紙を見つけたらしい。
主人はそれを見ていた。

「う、嘘だ…ろ?」
「どうされた? 主人」
「俺らが7島に行ってる間に妹の病気が悪化したらしい。
 医者の話から有効な治療法が無いから悪化するばかりで1ヶ月持つか判らない…と書いてある」
「……ご主人様、それって早く病院に向かった方が良くありませんか?」
「あ、あぁ…」
「マスター! 貴方は何で帰って来たのですか!?」
「――! そ、そうだった! 薬草!」
「急ごう! ボク達なら人間1人乗せて飛べる!」
「あぁ! 判った」
「主人! 薬草を!」
「ありがとう! 皆! 行こう!」

私達は主人の家を飛び出して妹さんが入院していると書いてあった病院へと急いだ。



「母さん! 父さん!」
「おかえり。良かったわ…」
「手紙は読んだか?」
「あぁ、読んだ。それで妹は?」
「まだ大丈夫だ。相当参っている様だが」
「人間、一刻も早く薬草を使わなきゃ」
「あぁ、判ってる」
「薬草…見つかったのか!?」
「話は後だ。妹に飲まさなきゃ」
「あぁ」

主人の両親と共に病室へと急ぐ。

「大丈夫か!?」
「あ、お兄ちゃん…」

病室には衰弱した主人の妹が居た。
顔色は真っ青で既に死相が見えている。

「薬草…手に入れたぞ」
「あぁ、そうなんだ…」
「これでお前は助かるんだ」

主人は持ってきた薬草を主人の妹へと飲ませる。
飲んで暫くすると、主人の妹は静かに眠り始めた。

「…これで待つしか無いか」
「精々、祈る位しか私らには出来ないな…」
「そうだな…」












――――それから数日。

「あっと言う間だったな」
「…そうですね」
「お前と会ったのが昔の事みたいだ」
「そんなに昔じゃ無いんですけどね。
 色々とありましたからね」
「そうだな」

私はベランダで黄昏て居た主人の後ろで主人の言葉に答えていた。

「旅に出て、お前と出会って、サンダーと出会って、フリーザーと出会って、ファイヤーと出会って、
 ホウオウとルギアと出会って、デオキシスに殺され掛けそうになって…、薬草を手に入れて…」
「色々…ありましたね」

「おにいちゃーん、何でベランダで黄昏てんの?」

窓から顔を出した主人の妹が主人に質問をした。

「……男には黄昏たい時があるもんさ」
「…? 良く判らないよ? それより、ご飯だって」

結論を言うと主人の妹は元気になった。
今までの病気が嘘の様に今は健康体である。
問題はそれ以外にあった。
病院に向かう時に私達を目撃したトレーナーが主人にバトルを挑んだり、
薬草の効果に目を付けた研究者が家に押しかけて来たのを撃退したり…。
今も家の前でサンダー達がトレーナー相手にバトルをしているが…。
旅の後いつまでも野生のままでは何かと不便と言う事で、
6人共に正式に主人の萌えもんになった。

「行くか…」
「ですね」

サンダー達に声を掛けた主人はベランダから部屋へと入って行く。
主人は薬草による利益も伝説の方々によるバトルも興味が無いらしくこうして平和に暮らしていた。
『幸せは求めたら逃げるもんさ』と主人の談。
その顔はとても幸せそうな顔であった。
ツールボックス

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