4スレ>>317

「…あたし達こんなことしてていいのかなー」
「ん?どうした、ライチュウ」

あたしたちは今、マサラタウンのマスターの家にいる。
あの修行から帰ってきて、もうすでに一週間。

「マスター、あたしたちリーグに行くんじゃなかったの?」
「そうは言うけどな、今行ったら戦力4人だろうが。そう思うなら早く体を治せ。
 キュウコン、お前もだ。…正直、気づかなかった俺の責任だけどな…けど、体を壊してるのはお前たちだろ」
「は、はい…ごめんなさい」





ファイヤーに家まで送ってもらって、俺達はマサラの自宅に帰ってきた。
一日充分に休息を取って、次の日にトキワジムに挑戦するつもりだったのだ。
けれど、その予定を曲げざるをえない事件が起きた。

帰ってきたその日に、ライチュウとキュウコンが倒れた。

原因は分かっている。もともとまだ子供で成長期なこいつらの体は、他のみんなよりもデリケートだ。
進化による体の急激な変化と、ファイヤー相手の激闘により、二人の肉体へのダメージは極限に達していた。

要するに、そう言う事だ。すべては、トレーナーでありながらそれに気付けなかった俺の責任だろう。
…ともかく、俺としては全員でジムを制覇するつもりだ。とにかくまずこの二人を治して、それから仕切り直しだろう。
幸いにも、まだ取り返しのつかないことにはなっていなかった。きちんと完治すれば、また元通りに戦える。

「とりあえず、お前らはまだこれからなんだ。無理をして体を壊されても困る。
 …リンゴ剥けたぞ。ほれ、キュウコン。あーん」

…言っとくが俺も旅をするからには包丁ぐらい簡単に扱える。リンゴだって剥ける。
フシギバナとシャワーズは義母さんの手伝い、フーディンとプテラは買い出しに出ているしな。

「あ、はい…ん…」
「…キュウコン、何故俺の指ごと喰う。痛くはないけど離してくれ」
「んーんー」

…爪楊枝を忘れていたので手でつまんで口に入れておこうと思ったんだけれど、
キュウコンの奴、俺の指ごと口に咥えてきやがった。しかも器用にリンゴだけ食って、指は離してくれない。
離してほしいのだが、頼んでもイヤイヤと首を振るばかり。赤ん坊じゃないんだから指を吸うな。

と思ったら、もう一つリンゴをつまんでいた逆の手を引っ張られた。そして――

「あーん」
「…ライチュウ、何してんだよ」
「ふぁっへ、ひゅうほんはっはひふふいー(だって、キュウコンばっかりズルイ)」
「だからってお前も咥えんな。頼むから解放してくれ。なんかこんなの昔話でみたぞ」

俺は二人の親に奪いあいをされる子供か。大岡越前役は誰だ。

ざっと現在の状況を説明すると…今俺はキュウコンとライチュウがそれぞれ寝ているベッドの間の椅子と小机で、
林檎を剥いて喰わせようとして、左手をキュウコンに、右手をライチュウに喰われている…というか、吸われている形になってる。
別にそんなに距離もないから、腕を引っ張られてたりはしないんだが…なんだこの奇妙な構図は。

「んー、ふ、ん…ちゅ」
「ちゅぱ、んあ…ん」
「とりあえずお前ら色々自重してくれ」

と、部屋のドアがノックされた。間髪入れずに誰かが踏み込んでくる。

「御主人さまー、二人のほうはどうかなー…って、何してんの?」
「見て分かるように両手を喰われている。助けてくれフシギバナ…って、おい?」

部屋に入ってきたフシギバナの目が光った気がした。

「なんか楽しそー、ボクも混ぜて―!」
「ちょっとまてお前どこを…って、頭に齧りつくなぁぁぁぁっ!?」



       *  *  *



夜。寝ついた2人の枕もと、俺とシャワーズは椅子に座って窓から外の景色を眺める。
何となく、俺の両手は外したゴーグルをもてあそんでいた。

「マスター、もうお休みになっても大丈夫ですよ。後は私が看ます」
「平気だ。…もともと、こんな事になったのも俺のせいだからな。
 …元をたどれば、戦うべきじゃないこいつらを巻き込んだのも、全部俺なんだ。…シャワーズ、お前も巻き込んじまったんだ」

そうだ。すべては、俺の身勝手な戦いなんだ。こいつらは関係ない、ただ巻き込んでしまっただけ…。
…かつての俺だったら、今みんなを置いてこっそり抜け出したかもしれない。けれど、そんな事はもうできない。

「私は…いいんです。もともと私には帰るところがありませんし、もう親もいませんから」
「そんな事言っちまったら、こいつ等も一緒だよ。2人とも、帰る場所も仲間ももう存在しない」
「…初めて、聞きました」
「俺も全部知ってるわけじゃあないけどな」

二人の寝顔を眺めながら、ゆっくりと過去を振り返り、言葉へしていく。






       *  *  *


トキワの森。ちなみに、一度スピアーに追われて撤退したので本日二回目。
だが、今回は先ほどゲットした心強い仲間がいる。

「マスター、次はそこを左ですよー」
「ん、こっちか」

バタフリー。このトキワの森の出身だが、進化してそろそろ森を出ようとしたときに俺に会ったらしい。
今は俺の手持ちとして旅に加わってくれている。

「たぶん、この辺にいると思うんですよ」
「へぇー…どうしようか。俺が呼んで出てくるとは思えないんだけど」

バタフリーが言うには、森を出る前に会いたい奴がいるらしい。
誰だろうな。萌えもんなんだろうけど。スピアーとかかなぁ…

と、思ったら、目の前に何かが飛び出してきた。

「あれ、バタフリー?どうしたの…って、人間!?」

警戒態勢をとっているのは、小柄な黄色い萌えもん…ピカチュウか。

「…バタフリー」
「うん。私はもう、トキワの森を出なくちゃいけない。この人…マスターに出会わなくても、
 そうするつもりだった。もう、ここにいる訳にはいかないから」
「嘘、でしょ…?やだよ、バタフリー。あたし、君以外に誰もいないんだよ!
 お父さんもお母さんもきょうだいも友達も、誰もいないの!
 君が行っちゃったら、あたしどうしたらいいの!?」

…なるほど、そう言う事か。
俺も似たようなものだ。実の両親は、俺を残して家に火をつけて逃げたんだからな。

「…マスター、この子も連れて行ったらいけませんか?」
「俺としては構わないが。…こいつは納得するか?」
「ピカチュウ。もしよかったら?あなたも一緒に来ない?」

涙でぬれた眼をこちらに向けて、しばらく見つめた後――
こくり、とうなずいた。

「いく。あたしも、もうここにはいたくないもん。連れてって、人間」
「…いいのか?」
「言ったでしょ、あたしの友達は、もうここには誰もいないの。名残なんて、ないよ」

ボールを取り出して、ピカチュウに軽く放り投げる。
揺れる事もなく、彼女は俺の仲間となった。


「御主人さま、ボク今回空気だね」
「…ああ。悪いな、フシギダネ」



       *  *  *


あのあと。色々とあって、結局ピカチュウが俺になついたのは、おつきみ山だったか。
それまでは本当にツンツンしてて、何度か電撃も受けたっけな。

…ロコンと会ったのも、そのしばらく後か。
あいつは最初はもっと酷かったんだよな。なんせ火をつけられたし。




       *  *  *




ハナダシティ北、ゴールデンボールブリッジ。丁度俺達はそこを渡り終えて、
事もあろうかこの俺を勧誘しやがったロケット団員をたたきのめして河へ投げ込んだところだった。

「…マスターは、相変わらずロケット団がお嫌いですね」
「だね…マスター、今日は特に容赦なかったよねぇ」
「あの野郎、よりにもよって勧誘なんてして来やがって…今が夜中なら間違いなく縛って川底に沈めてるところだ…!!」
「御主人さま、犯罪者になられるとボク達が困るんだけど」

ああ、そうだな…落ち着こう。うん。よし。マサキに会いに行くか。

「…ねぇ、マスター」
「どうしたピカチュウ」
「あれって、何かな?」

ピカチュウの指さす先を見ると、何やら草むらがうごめいている。
…野生の萌えもんか?

「って、うわぁっ!?」

草むらの中から、炎が飛び出してきやがった!?

「マスター、大丈夫!?」
「ああ。…何だ今の」

と、草むらから何かが飛び出して、走り出した。橋から見て左、川沿いの草むらの方へ――

「追いかけよう!」
「うん!」
「はい!」
「わかった!」




草むらの中をかき分けて走っていると、河原に出た。…いる。小柄で赤い姿をした萌えもん。
先ほどの攻撃から考えても、おそらくは炎タイプ。図鑑を確認。

「ロコンか…野生…だけど、なんか変だな」

もともとは綺麗だったろう髪を乱し、薄汚れた肌と、恐怖と敵意に血走った目。
明らかに、錯乱状態に――って!

「みんな、伏せろ!」

轟、と炎が俺達の頭上を走り抜ける。…やるしかないか。とにかく動きを止めて…あれ、何か熱い…

「御主人さま、服!上着!燃えてる!」
「でぇぇぇぇっ!?」

あっつぅぅぅっ!いくらなんでも着てるものが燃えてたら熱い!心頭滅却とかいう問題じゃねぇだろこれ!
ロコンの方を見れば、第二射が…!!

「ぐぅあぁぁぁっ!!」
「「マスター!!」」
「御主人さま!」

くそ、直撃は避けたが、服が思いっきり焼けてやがる!このままじゃ生きたまま焼け死ぬ!
とにかく炎を止めるべく、俺は河へと飛びこんだ。



「御主人さま!?」

河へ飛び込んだマスターも気になるが、まずは目の前の相手を止めることとフシギソウは判断した。

「ピカチュウ、バタフリー!あの子を止めて!ボクはマスターを助ける!」
「うん!」
「頼みます、フシギソウ!」




「御主人さま、大丈夫!?」
「ああ、大した傷じゃない」

水から上がって、焦げかかった上着を捨てる。皮膚がほとんど焼けていないのは幸いか。

「あー、くそ!やけどはまずないかもしれねーが、服がびしょびしょだ…リュックも焦げてるし」

中身は無事か。

「マスター!さっきの子、捕まえたよ!」

見れば、ロコンは深い眠りに落ちていた。バタフリーの眠り粉が利いたのだろう。

「…しょうがないか。センターに戻ろう。…この服も替えたい」




「ロコンの方は、どうなりました?」
「だいぶ落ち着いたようですけれど…ちょっと問題が」

ハナダシティ、萌えもんセンター。ジョーイさんに聞いて、ロコンの病室へ入る。
脅えた眼で見つめられたが、とりあえず閉じられた扉の前に立った。

「そこ、座っていいか?」

ベッド脇の椅子を指さす。答えはないが、こくんとうなずいてくれた。
とりあえず座って、彼女の目を見た。脅えた眼をしているが、肌や髪は多少きれいになっている。

「別にいきなりとって食ったりもしない。…何があったんだ?」

…答えは返ってこない。口も開きそうにない。ただただ、首を左右に振るだけ。

「…しゃべれない、のか」

うなずかれた。

「どうやら、ショックによって一時的に失語症になっているみたいです」

なるほど。…紙とペン…いや、野生だと字って書けないか?

「…そうだな。じゃあ、質問するから「はい」か「いいえ」で答えてくれるか?」

うなずかれた。『はい』ってことか。
しかし、これじゃあまるでRPGの主人公だな。…今はしゃべらない主人公ってあんまりいないけどな。

「えっと、じゃあ…あの時、俺に火を吐いたのは、俺を狙っていたから?」

「いいえ」。

「…何かが、君を探していた?」

「はい」。

「君は、それから逃げていた?」

「はい」。


…長くなるので、要約しよう。

ロコンが住んでいる所のある家に、ドロボウが入った。ロコンは、縛られた家の人たちのかわりに、
ドロボウが目的としていた技マシンを持ち出して、逃げだした。そのままどこかに技マシンを隠し、
ドロボウはその隠し場所を吐かせるためにロコンを執拗に追い回している――という事らしい。

「泥棒っていうか…十中八九、ロケット団だな。…あいつらより先に技マシンを手に入れて、
 その家の人たちに渡してあげたいんだけれど…どうしよう。連れて行ってくれるか?」

「いいえ」。

「まぁ、当然か。俺だって得体の知れない奴だもんな。じゃあまずは、その家の人たちに話を聞くか…
 そっちは、案内してくれる?」

「はい」。

「ジョーイさん、この子の体の方は…」
「無理をさせなければ、全く問題ないです。警察の方にも連絡をとりますね」
「お願いします。…行こうか、ロコン」

「はい」。





「ロコン―!」

被害を受けた家には、夫婦と1人息子がいた。ロコンは野生らしいが、
この家の人間には可愛がられていたようだ。

現に、小さな少年はロコンを思いっきりだきしめている。ロコンも、前の暴れっぷりがうそのように大人しい。

「けど…ドロボウというより、これじゃあ強盗ですね」
「ええ。私の技マシンも、なくなっていました…ロコンが隠してくれたそうなんですが…」

家の中は、穴や足跡だらけだった。だいぶ修繕はされているものの、これでは安眠はできない。

「当人がしゃべりたがらない。と。おそらくは、またロケット団が襲ってくることを危惧しているのでは、と思うんですけれど」
「でしょうな…ですが、警察が警備している間は襲ってはこないでしょう」

…問題はそこだ。ロケット団を倒しておかないと、結局は元の木阿弥になってしまう。
俺は同行していたジュンサーさんに提案した。

すなわち、囮作戦だ。警察は一度この家から引いて、遠くから監視を行う。
そしてロコンをこの家に戻して生活させる。俺は、センターの2階にある部屋から家を見張ることになった。




「…来ないな。バタフリー、フシギソウを起こせ」
「分かりました、マスター。…でも、マスターもお休みになったほうがいいのでは?」
「そうもいかないだろ。今あそこに一番近い戦力は俺たちだ。トレーナーが寝ちまったら話にならねーよ」

闇の中。部屋の電気は一応消して、俺は街灯の明かりを頼りに目を凝らす。

「マスターは、随分とあの子にこだわるのですね」
「…ああ。何でだろうな…何か、近しいものを感じたんだろうか」
「近しいもの?」
「似てるって事だ…しっ、何か来た…!」

黒い服…おそらくは間違いない。ロケット団だ!
かちり、と。ボールにバタフリーを戻す。フシギソウとピカチュウも、俺の合図で…起きなかったけど、まぁいい。

「行くぞ…!」
『ま、マスター!?どうする気ですか!?』
「決まってんだろ、降りるんだよ!」

ロープを窓に挟んで、それを引っ張って壁を降りる。正面入り口に回り込んでいたら、手間がかかりすぎるからだ。





悲鳴も怒号も聞こえないが、物音は確かにする。先ほど蹴り破られたドアを通って、家のなかへ飛び込む。靴ははいたまま。
家の人達は…全員気絶している…どうなってんだ!?

「くそ、ロコンは――」

いた。電灯の破壊されたリビングの隅に、ロコンが追い詰められていた。黒服の右手が、掲げられる――!

「言え、このガキがっ!」
「やめろっ!!」

背後から突進、一歩手前で跳躍して回し蹴り――確かな手ごたえ!
綺麗に顔面に当たってくれたようだ。ロコンを背後に庇い、俺は吹っ飛んだ黒服の男に向けて身構える。

「何だお前はっ!」
「お前たちに名乗る名前などないっ!!」

…なんか間違えた気がするが…ええい、もういい!

「くそ…技マシンを渡せ!ラッタ、こいつを痛めつけろ!」
「バタフリー、応戦しろ!とにかく近づけるな!ピカチュウ、外に出て警察を呼べ!フシギソウは裏口へ回って奴の逃げ道をふさげ!」
「はい!」「了解!」「うん!」

3方に仲間たちが散る。ラッタが飛びかかるのを、バタフリーが念力で撃ち落とした。
同時に、家の外で光が奔るのを横目で確認。電撃を使ったのだろうか。
…相手の手持ちはゼロ。警察ももうじきここへ到着する。

「さて…もう終わりか、ロケット団?」
「…へ、へへ…甘いな坊主。俺達が独りだなんて、いつ言ったかな!?」
「しまっ――」

反応は遅かった。ちょうど俺達の右側にある壁が粉砕されて、破片がこちらに襲いかかってきたのだ。
咄嗟にロコンを抱いて転がり、何とか庇ったが…

(くそ…足をやられたか…頭も軽く出血してるな…)
「バタフリー、大丈夫か!?」
「く…」

駄目か…瓦礫にやられたバタフリーをボールに戻す。
破壊された壁の向こうに、二人のロケット団員と、ギャラドスとダグトリオがいた。
この破壊はギャラドスの仕業、か……!!

「形勢逆転だな?」
「く、そ…!」

ロコンを抱き締めたまま、俺はゆっくりと後退する。…だが、足の痛みで歩けず、無様に這うような姿になるだけ。
万事休すか…!?下策だが、もうこれしか…!

「ロコン、逃げろ!ここは俺がどうにかしてみる!とにかく外に出ろ、もう警察もくる!」
「…です…」
「え?」
「いや、です…わたし、もう逃げたく、ないです…」

小さく、けれど強い声で。焔の少女は、俺に告げた。
気付けば、俺は笑っていた。危険な状況にも関わらず、すこし笑い声が漏れた。

「なんだ。可愛い声してるんじゃないか」

ロコンが俺の前に出る。俺も膝に力をこめて、壁をついて立ち上がった。

立ち上がれ、気高く舞え、運命を受けた戦士よ ―― 千の覚悟身にまとい 君よ雄々しく はばたけ… ってのは、カッコつけすぎだよな。



「やるぞ、ロコン!とにかく時間を稼げ、ピカチュウとフシギソウが戻ってくるまでだ!」
「…はい…!」

相手は水と地面…相性は悪いが、やるしかない。

「でんこうせっかで出鼻をくじけ!火炎放射は使うなよ、火が燃え移る!
 とにかく、足を止めるな、小回りで対抗するんだ!」
「は、はい!」

しかし、幾らなんでも消耗したロコンには相手が悪すぎる。回避しきれず、ダメージを受けてこちらへ戻ってきた。

「くっそ…」

ギャラドスがハイドロポンプを放とうとした、その時。

「イーナーズーマー…キィーック!!」

雷撃の矢と化したピカチュウが、俺の背後からギャラドスに突撃した。
水・飛行タイプに電撃は大敵だ。さらに。

「連・撃!天下無双葉っぱ舞い!」

縦横無尽に展開したはっぱカッターが、ダグトリオへと向かい、その体に突き刺さった。
…しかしあいつ、いつの間にあんなネタを…

「ピカチュウ、フシギソウ!」
「マスター、大丈夫!?」
「御主人さま、遅くなってごめんなさい!警察の人ももうここの包囲終わったよ!」
「よくやった!…さて…再び形勢逆転、って奴だな。俺の気が変わらないうちにさっさと捕まっておけ」

ボールを回収したロケット団が、おびえた目でこちらを睨みつけてきた。

「…何者だ、おまえ…」
「何年か前に、自分の生家を焼いて逃げたロケット団幹部の息子――といえば分かるか?
 いや、これじゃあ兄貴と間違えられるか」

…どちらでも同じ事か。とにかく、後は警察に任せてセンターに行こう。
ロコンとバタフリーの治療を依頼しなくては。





「…で、これは…どういう事ですか?」

ロケット団を撃退した翌日、被害者の家に行くと、ロコンが技マシンの隠し場所を教えてくれた。
家主の家族はそれを確認した後、俺にそのマシンを渡してきたのだ。

「あなたがいなければ、ロケット団を撃退できませんでした。そのお礼に…」
「買いかぶりですよ。俺がいなくても警察がなんとかしてくれたでしょう」
「けれど、貴方のおかげでロコンは助かったんです」

…結局、押しつけられてしまった。まぁ、あっても困るものじゃあないんだけれど。
そして、もう一ついただいたものがある。

「…ホントに、よかったのか?」
『はい…わたしも、ついていきます』

ロコンだ。俺に完全に懐いてしまい、旅に同行することを希望してきやがった。
楽な旅ではないだろうし、今の家族の事もあるだろうと言ったのだが、
なぜかすんなりと連れて行く所まで持っていかれた。

「…まぁ、しょうがないよな。よろしく頼む、ロコン」
『はい、よろしく、です…ますたー』




       *  *  *



「なるほど、そんな事が…なんか、ロコンの話だけ長くないですか?」
「いや、まぁ…出会いの話だけならこうなるんだな、これが」

夜の部屋の中、眠る二人と起きている二人の姿が月明かりに映える。

「マスター、だったらなおさらです。あなたまで体を壊されては困ります。
 私達のけがなら、こうやって待つこともできますが…マスターがいないと、話になりません」
「…そうか…そうだな、そろそろ俺も休むか…」
「ええ。マスターが元気なら、きっと2人も早く治りますよ」

「そうだな…ところでシャワーズ」
「はい?」
「なんでお前メイド服なんだよ、さっきからずっと思ってたんだけど」
「あ、あの…気にいってしまいまして…だめ、ですか?」

「…シャワーズ」
「はい?」
「今日はちょっと久しぶりに一緒に寝ようか、そのままで」
「え?え?」
「大丈夫だ、こいつらはたぶん朝まで寝てるから。ほら行くぞー」
「え、え、ええええええっ!?」

おしまい。


























あとがき。

ああもう何で毎回こう言うオチなのかな!?(知るか

とりあえず、今回はなかなか眠気との戦いが中心でした、ストーム7です。

今回で、出会い回想編は終了となります。プテラは…まだ固定されてないから!

ピカチュウの話が短いのは、どうしてもこれ以上行くと単品出せるくらい長かったからでした。その分ロコンが増えています。

次回の予定は未定ですが、多分学園の方へ走ると思います。それでは、また。読んで下さり、ありがとうございました!

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最終更新:2008年01月26日 20:57
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