5スレ>>75(1)


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うららかな日差しの中。
できるのであれば平和な草原などが良かったのだけれど、
現実に居る場所はコンクリートで出来たジャングルの中。

ぴょこぴょこ楽しげに飛び回る小さな姿と、
その姿と同じくらい小さいのに、小さくうずくまったままの姿がひとつずつ。

片方は何がそんなに楽しいのか、ひっきりなしに笑い転げ
片方は何がそんなにつまらないのか、無表情の顔を崩さずに
ゲンガーの見守る視界のなかにいた。

当のゲンガーといえば、ちょっとぼやーっとしながら

「なんで、こんなことになったんだっけか…」

と、ひとり脳内で呟いて 
新たに出来た兄弟分を視線で追いかけるばかりだった。




――― 元々、俺ことゲンガーは人間に飼われていた。
しかし俺を飼っていた人間は、都合でも悪くなったのかどうかは知らないが
この、都会過ぎて少しばかりカオスになっているジャングルに俺を置いていった。

まあ、そんなことはもうどうでもいい。
もうここの暮らしにも慣れたし、頼りになる大人達も味方についてくれるようになったから
随分良い生活が出来るようになった。だからもうどうだっていい、そんなことは。
生きていられる幸運に、感謝するばかりの毎日なんだし。

新たに出来た兄弟分たちだってよく見たら可愛いし、性格だって素直だから
扱いづらいということは全くないのだけれども。

…だけれども。


…阿呆で未熟な萌えもんトレーナーが、根も葉もない噂を鵜呑みにして
俺の住んでいるこのコンクリ性のジャングルに踏み込んできたのが
今回の出来事のはじまりだった。

阿呆なトレーナーはどんな情報屋に偽情報を掴まされたのか、伝説級に強いゲンガーが
ここに住んでいると聞いてやってきたらしい。

もちろん俺はそんなに強くなんざない。
ごくごく一般レベルの強さのゲンガーでしかない。
根も葉もない噂ってのは、つくづく恐ろしいもんだよなオイ。

それでまあ、俺はそのトレーナーの持つ萌えもんたちと問答無用で戦う羽目になった。

相手は六人。こっちは一人。
まったく、向こうのレベルが低かったから何とかなったものの
あやうくリンチでフルボッコにされるところだった。

その日はそれで終わった。
俺の勝ちで向こうの負け。

それで因縁は終わり…のはずだった。


その三日後くらいのことだった。
いつも飯をおごってくれる喫茶店のマスターが留守で、当てが外れて仕方なく
雨の中残飯漁りをしていたら

路地裏に、阿呆で未熟なトレーナーの萌えもんだった奴らが二人、いた。


そうとう衰弱しているらしく、俺が近づいても二人ともアスファルトの地べたに
ぐったりと倒れこんだまま、ぴくりとも動かなかった。

三日前に見た、あの小奇麗な姿はどこにも無い。

ずぶ濡れの野良犬…いや、それよりもっと酷い姿に成り果ててしまった
三日前に死闘を繰り広げたはずの相手たち。


(……はぐれた、って訳ではなさそうだし…ってことは……)


飼い主に捨てられた、ということなのか。

敗者など要らないと、このカオスなコンクリートの世界に置き去りにされてしまったのだろうか。

ためしに肩の上に身体を乗せてみると、冗談のように軽い体だった。冗談のように小さな体だった。


久々に、腹の底からふつふつと煮え滾るものを感じた。
元・飼い主への嫌悪、憤怒…そんなものなのだろうか。


(要らねえのなら、俺が貰う。
 返せったって言っても、もう遅いんだかんな…クソ飼い主)


まあとにかく、俺ことゲンガーはそんなこんなで二人を拾うことに決めたのだった

が、イマイチまだ納得しきっていないようでもあったのは確かだった…。
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