5スレ>>78


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 「師匠~。ししょ~」
 「なんだ~?昼飯はもうちょっとしてからな」
さっきまで俺の後ろをウロチョロしながらついて来ていたハブネークが話しかけてきた
ちなみに何故俺の呼称が師匠なのかというと俺にある程度の剣術の心得があるからだ
流石にもえもんであるハブネークに力で敵うことはないが、剣の腕ならまだ俺の方がマシだと自負している。コイツより上手く居合切りできるしな
 「師匠は必殺技とか持って無いんですか?」
 「……は?」
 「龍翔閃とか、天翔龍閃とか、紅蓮腕とか……」
 「……」
なぜだ。なぜこの娘は人間である俺にそんなものを期待しているんだ。というかどこでその奥義の数々を知ったんだ?
おお、その手に持ってるのは俺が昨日出た街で気まぐれに買った某元人斬りが主人公の漫画ではないか
無いと思ったらお前が持っていたのか。あとついでに言っておくが最後の技は剣技でも何でも無いぞ……
 「ないんですか?」
っと思考がちょっと違う方向にいってしまった。このまま無いと答えては師匠としての威厳に関わる気がするな……
 「いや、あるぞ。」
 「本当ですかっ!」
途端にハブネークの目に期待の色が宿った。
 「言っとくが、その漫画みたいに派手じゃあないぞ?」
 「構いません!是非見せてください!」
 「あ~、機会があったらな」
 「機会っていつですかっ?」
 「次、戦う時な」
そう言って話を切り上げる。次、と具体的に言ったのはまずかったかなと思ったが
まぁ次の街までは森も草むらも通らないし、こいつもこんな口約束明日には忘れてるだろう。
そう思考とハブネークの見せろ見せろという声を流しながら俺は目的地に向かって歩き続けた


さて、日も高く昇り、道中も一段落したところで昼食をとることにした
山の麓だったので山菜でも取って携帯食料の代わりにしようとハブネークを送り出してみたのが間違いの元だった
ガサガサと音がしたかと思うと木々の間からハブネークが息を切らせて飛び出してきた。
どうしたんだと聞く前にもう一体、白い姿が同じように飛び出してきて、俺はハブネークの横に飛び下がった
 「師匠!敵ですっ!」
 「あ~。嬉しそうなのは俺の気のせいか?」
 「さぁ!戦いましょう!さぁ、さぁ!」
 「落ちつけ。構えろ」
ハブネークにそう言うと俺もベルトに挟んでいた木刀を中段に構える

この時代に腰に木刀なんて時代錯誤もいいとこかもしれんがあくまで自衛のためだ
いつも空手の道着で街と街との間の道を闊歩している彼等よりはマシだと信じている

相手は既に臨戦態勢にはいっている。ハブネークを追い掛け回してウォーミングアップは済んでいるといった所か
こちらを睨む釣り上がった目、名前のとおりいかにも不機嫌そうな表情、オコリザルだ
確かマンキーの進化系だったはずだ。となるとつい最近旅を始めたハブネークより遥かに強いな……
 「師匠も一緒に戦うんですよね!」
 「一人で勝ってくれるならありがたいんだが」
 「無理です!」
 「自信たっぷりに言わないでくれ……」
対トレーナー戦じゃない限りはコイツがどうしても一人では勝てないような相手のとき、俺も一緒に戦う
コイツが倒された場合他に手持ちはいないし、俺一人では絶対勝てないし逃げきれないこともあるだろうからだ
それでも勝てない時は何とかして二人掛りで逃げる隙をつくる
 「もしかしてお前わざと強そうな萌えもんに喧嘩ふっかけt」
 「師匠、きますよっ!」
 「……いつも通りな」


オコリザルが俺達に向かって一直線に飛びかかってくる。と、同時に俺達は二手に別れてオコリザルの側面を取る
萌えもんが前に立ってトレーナーを守ると予想していたオコリザルは一瞬困惑するも、素早く俺達二人を見比べ、俺の方に向かってきた
動きの遅いハブネークにすぐに後ろを取られることはないと判断したのだろう
事実、障害物のないところでのオコリザルとハブネークどちらが素早いかといったら断然オコリザルだ
それに基本的に人間の方が弱いから弱いほうから潰そうという意図もあるだろう
まぁ思惑通り生き物としてのスペックでいえば俺はハブネークより弱いわけだが、普通の人間よりは萌えもん相手の時間稼ぎはできる
俺は立ち止まって突き進んでくるオコリザルに向かってまた中段の構えをとった

あと数歩で手が届く間合いでオコリザルは右手を脇に引っ込める。走ってくる勢いをそのままつかった正拳突のようなものだな
いつも通りならば相手の喉に突きをくれるか横薙ぎで勢いを止めた所で後ろからハブネークに斬りつけさせるのだが
 「さっき約束しちまったからなぁ……」
オコリザルを追いかけつつも俺の挙動を見ているだろうハブネークのために、俺は右足の親指に力を溜める
オコリザルの右足が一際大きく前に出る。地についた時には拳が俺に届いているだろう
溜めた力を一気に使い、左斜め後方に回避する。一瞬遅れてオコリザルの右拳がさっきまで立っていたところに恐ろしい風切り音と共に現れる
実際に当たったら骨の1本や2本ではすまないだろう……
さて、ゆっくり恐れ戦いている暇は無い。飛び下がると同時に左脇に引いていた木刀の握りに力を入れ
 「うおおっ!秘剣!」
 「雷・神・剣!!」
全く意味の無い叫び声とともに、俺は木刀をオコリザルの突き出した腕のある部分に思いっきり叩きつけた

皆様は上腕骨内上顆(じょうわんこつないじょうか)という部分を知っているだろうか
漢字で書くと分かりづらいが、ようは肘あたりにある、ぶつけたり叩かれるとシビれを感じるあの部分だ。ファニーボーンと言えば大抵の方はわかるだろう
誰でも一度は自分の指先で弾いたりして遊んだことがあると思う
指で弾く程度の刺激ならいいのだが、そこを堅い棒か何かで強打すると……

 「肘から先もしくは腕全体が燃える様に熱くなって、完全に麻痺して動かなくなり、打たれた奴はあのように腕を押さえて飛び跳ねるわけだ」
俺が親指で指し示している後方ではオコリザルが目に涙をためてはねている。可哀相だけど、これって実戦なのよね
 「凄いです師匠!私にも教えてください!」
 「居合切りが上手くできるようになったらな。ほら、はやく毒状態にしてこい。」
そっと修行に精を出すように仕向ける。うむ、師匠っぽい
 「はい!」
そう返事をするとハブネークはまだとんだりはねたりしているオコリザルの方に向かって行った


あとは隙だらけのオコリザルにハブネークが刀で引っかき毒をあびせて逃げ回り、弱った所で無事捕獲完了
しかし……
 「お~い、よろしくな~オコリザル~」
 「…………」
 「オコリザル~?」
 「…………」
 「オコへぶぁ!」
そっぽを向いたまま拳が飛んできて顔面にめりこんだ
 「嫌われたみたいですね~、師匠」

どうやら好まれる捕まえ方では無いようだ。
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