5スレ>>83


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初めてサンダーを見た瞬間、背中が何だか寒くなった。
マルマインさんに睨みつけられたときと同じ……きっと怖いんだ。
いくら体にいっぱい憎しみが入っても、怖くなってしまった。

マスターも、同じ気持ちなのかな。
どんなにいっぱい決意をを詰め込んでも、私と同じように怖いのかな。
それを今憎しみで紛らわそうとしている私のように、マスターもまた、決意で紛らわそうとしているのかな……。

マスターが、1個目のボールに手をかける。
上へ高く投げられたボールは、開いた瞬間光を放ち、中から萌えもんが飛び出す。

「リザードン……いくぞ、全身全霊でサンダーにぶつかってこい!」

「はい、マスター! ……それにしてもでんき、なんですよね……」

サンダー1人に対して私たちは4人。考えてみれば卑怯すぎる。
でも、サンダーはむじんはつでんしょにいる皆が何人で戦っても勝てなかった相手だ……このくらい、いいよね?

マスターの1人目、リザードンは真っ赤な翼を広げて、高く、空へと上がる。
サンダーよりも、高く、高く舞い上がる。
そして――――

「リザードン、そらをとぶ!」

マスターの指示と共に、サンダーへ向かって一直線に急降下していく。
でも、サンダーはその場を離れようとしない。相変わらず翼を堂々と広げて、そこにたたずんでる。
5秒ともしないうちに、リザードンはサンダーにぶつかった。

そのとき――――ぶつかったとき、リザードンの表情が微かに変わった。

それは、そう、痛がってるみたいだった。
ぶつかる時の痛み……? 違う、もっと別の何か――――
私は、サンダーの周囲に、電気が走ってるのを確認した。

そうか。

ぶつかるときに電気をだして、リザードンに感電するようにさせたんだ。
だから、逃げないで……

「次は……かえんほうしゃだ!」

すぐにマスターが次の指示をする。
リザードンはすぐさまサンダーから少し離れて、大気をありったけ吸い込んで、
真っ赤な風を、サンダーへ放った。
とても暑い。熱気がこっちまで伝わってくる。数台のきかいが暑さのせいか、音を立てて煙を上げる。
それでも、サンダーは表情一つ変えずに、片方の翼で風を巻き起こすと、赤い風はあっという間に消え去った。

「……!」

マスターも、リザードンも、びっくりしていた。
そんなマスターとリザードンを見て、薄ら笑いを浮かべるサンダー。

「……結局、お前たちも今までの奴らと一緒か」

薄ら笑いを浮かべたのはほんの少し。
サンダーの翼から、電気がだされる。
だされた電気はやがてひとつに集まり、ボールみたいになって、どんどん大きくなって、

「興ざめだよ」

放たれた。
ボールの大きさはとても大きかった。リザードンより一回り……いや、それより大きいくらい。

「リザードン!避けろ!」

サンダーの放った電気の球体にびっくりしたのか、リザードンが行動に移るのは少し遅かった。
そのことと、ボールのスピードがちょっと速いことが重なったのか、
全ては避けることが出来ない。ボールはリザードンの右の翼をほんの少し、かするようにして当たる。

ほんの、少し。
それでもパワーは十分だった。

「く――――っ!?」

リザードンの右の翼が、がくん、と垂れ下がった。
飛ぶことが出来なくなった体は、重力に引き寄せられて、地面へと落下する。

「リザードン!」

マスターは駆け出して、間一髪でリザードンを自分の腕にかかえる。

「大丈夫か、リザードン」

「大丈夫です、マスター……まだ、やれ、ます」

マスターの腕を離れて、再びリザードンは空へ向かおうとするが、右の翼がぜんぜん動かなくて、
その場にたおれ込んでしまう。

「もういい。無理はするな。休んどけ」

「ごめんなさい……」

消え入るような声でリザードンは呟いて、マスターのボールの中へ戻っていった。

「さて……そう易々とは倒させてくれないようだな」

2個目のボールに手をかける。

「ガラガラ、いくぞ」

マスターがボールを投げると、さっきと同じように光が放たれる。

「……さて、どう攻めていくつもり?」

「メガトンパンチ中心で頼む。つーか、これしかダメージを与えられえるわざがないからな」

「了解」

マスターに向かってうなずいて、ガラガラはサンダーの元へ歩いていく。

「ほう、無駄だと分かっていてもまだ戦おうとするか。その心意気や良しとしておこう」

サンダーは空から一気にガラガラへ急降下した。
リザードンの時と同じだ。でも速さがぜんぜん違う。サンダーのほうがとても速い。

――――ぶつかるっ!

私はそう思ったけど、ガラガラはサンダーの攻撃をひらりとかわして、手に持っていた骨をサンダーに向かって投げつける。
骨はカーブしながら、サンダーに直撃する。でも、サンダーは痛がるそぶりを全く見せない。

「さすがに、ホネブーメランは通用しない、か」

ガラガラは軽く舌打ちをして、戻ってきた骨を手に取る。

「我のドリルくちばしをかわすとは……なかなかやるようだな。だが、もう一度同じ手が通じると思ったら、大間違いだ」

向きを変えてをして、再びガラガラの方へ突っ込んでくるサンダー。さっきよりも速くて、ちょっと目が追いつかない。
でも、さっきと同じようにガラガラはかわして、すぐにサンダーにメガトンパンチをあてる。

もう1発。

「ぐっ」

この戦いでようやくサンダーにダメージを与えることが出来た。
計2発のメガトンパンチをサンダーに当てて、ガラガラはサンダーから離れる。

「また同じ手が通じると思ったら大間違いだ……そう言ってなかったっけ?」

あざけ笑いながら、ガラガラは言う。ナメてるとしか言いようがないその態度に、サンダーは怒りをあらわにした。

「……我を挑発しているつもりか?」

口元は少し笑っていたけど、目がとても怖い。ガラガラに向けてかなり怒ってるのが分かる。

「そう怒らないでよ。伝説の鳥萌えもんなんでしょ?ただのいち萌えもんに怒るなんて大人気ないな」

「貴様ッ!」

サンダーはもう一度、ガラガラに向かって突っ込んだ。
さっきよりも速い。でも、それでもガラガラは驚きもしない。
また身をかわして、メガトンパンチを数発、打ち込む。

「これで伝説とか……笑わせるわね」

「人を馬鹿にするのも大概にしろッ!」

サンダーがまた突っ込む。ガラガラがかわして、メガトンパンチ。
戦いは自然とワンパターンになっていた。
攻撃が当たらないことにイライラしてるのか、電気を放出させて怒り狂うサンダー。
あまりの電気の強大さに周りのきかいが壊れる。
ほんの数分でこの部屋のきかいはほぼ壊れてしまっていた。

「マスター、PPない」

何度も突っ込んでくるサンダーを何度もかわしながら、ガラガラは言った。

「ピーピーリカバーは無いしな……分かった」

「早めに勝負を決めたほうがいいんじゃない? リザードンのこともあるし」

「ああ、ちょっとヤバイかもしれない。しっかし、怒らせるなよ、サンダーのこと」

「私は伝説とか何とか言って偉そうにしてる奴は嫌いなの」

「はは……そりゃそうか、とにかく、お疲れ様」

マスターはガラガラをボールに戻して、

「さて……エレブー、行くか?」

私に声をかけた。

「えっ? あ、その――――」

行こうかな、行かないかな……迷ってるうちにボールは宙を舞って、私の目の前が光に包まれたかと思うと、すぐに光が消えて、むじんはつでんしょの風景が広がった。

「えっと、ま、マスター」

私は振り向いてマスターに助けを求める。
どうしたらいいんだろう。バトルなんて初めてだし。

「さっき覚えさせたわざ……あれをサンダーにぶちかましてやれ!」

マスターの指示は分かりやすかった。
さっき、サンダーのところへ行くときマスターが覚えさせてくれたわざ、それを当てればいいんだね。

「……うん!」

視線を元に戻す。目の前にはとっても怖い目で私を睨みつけているサンダーがいる。
やっぱり、怖い……また背中が寒くなった。
でも、決めたんだ。お父さんの仇を取る、皆を助けるって。
昨日、マルマインさんと交わした約束を忘れるな――――
自分にそう言い聞かせてみると、恐怖はちょっとずつなくなっていった。

「……よしっ!」

私は走り出す。サンダーに向かって。

「……調子に乗るな! 我の力はここからだ! げんしのちから!」

「エレブー! れいとうパンチだ!」

拳に冷気を込める。
さっきマスターに教えてもらったわざ、れいとうパンチ。これさえぶつければ、サンダーを倒せる!
マスターの指示と同時にサンダーの翼の周囲に赤いもやが出来たかと思うと、いきなり地面がせり上がってきた。
サンダーのげんしのちからだ。

「うわっ……」

いきなり盛り上がる地面をかわしながらサンダーに接近する。
足場が安定しないから、つまずきそうになるけど、足で必死に踏ん張ってこらえる。
そして、サンダーに近づいたところで、冷気を込めた右の拳を、サンダーにぶつける。
でも、私が殴ったのはサンダーではなかった。

殴ったのは――――空気。

「え……?」

目の前にいたはずのサンダーが消えた。さっきまでそこにいたのに。
どこに行ったんだ?
と、そのときに背中に経験したことのない痛みが走る。振り返るとサンダーが私の背後にいた。

「……ど、どうしてっ!?」

さっきまで目の前にいたはずなのに、どうやってあっという間に私の後ろに回ったんだ!?

「知らないのか?げんしのちからは使うことで使用者の能力を全て引き上げることができるわざだ。
故に、通常では実現できないスピードも――――――」

今度は腹部に衝撃。背後にいたサンダーが、今度は私の前にいた。1秒もかからない。テレポートのようだ。

「可能になる」

「か……はっ!」

息が出来なくなる。苦しい。
深呼吸をして息を整えようとするけど、上手く呼吸が出来なくてもっと苦しくなる。
全身がとっても痛く、私はとうとう、地面に倒れてしまった。

全身が痛い。体が動かない。こんなにも心は熱いのに、まだ戦えるはずなのに。

体が言うことを聞かない。
動け、動いてよ――――どんなに命令しても、体は動かなかった。

「……自覚しろ、それがお前の限界だ」

ガラガラのときの怒りはもう収まったみたいで、口調が冷静に戻っているサンダー。
私は顔だけを起こして、サンダーを睨みつけた。

わずか、数メートル前。

そこにお父さんの仇がいるのに、何もすることができない。
悔しい。それしか言い様がなかった。

――――私、負けたのかな。そんなことが頭を駆け巡る。

「さて……そろそろ終わりにさせてもらうぞ」

サンダーが私の方へ急降下する。
もう、駄目か――――。私がそう諦めかけていた、そのとき。
視界が、何者かによってさえぎられた。

「……お前、なんのつもりだ?」

急降下してきたサンダーは急ブレーキをかけて、止まる。

「もういいだろ、これ以上痛みつけるな……殺す気か?」

私の目の前に立ちふさがった何か――――マスターは、私をかばうように両手を広げて、サンダーの前に立っていた。

「さあな。それはこいつの生命力しだいではないのか?それにこの私の一撃でこいつが死ぬとは決まっていない。
いや、それとも――――お前が死ぬか?」

もう一度、サンダーは速度を上げて、マスターへ突っ込む。

「マスター、逃げて!」

私は叫んだ。マスターもお父さんと同じようになってしまう――――
コイルを助けようとして、体が動かなくなってしまったお父さんのように。
嫌だ。それだけは嫌だ。マスターを、そんなひどい目には遭わせられない。

でも、マスターの返答は、私の思いを裏切った。

「バカ……ここまでやっといて、逃げ出すわけにはいかないだろが。カッコ悪い」

「マスター、駄目だよ、マスターも痛い思いをすることになるよ……」

「構わないさ」

マスターは私のほうを振り返った。必死に笑顔を作ってるけど、ちょっと引きつった顔。

「萌えもんたちを守ることも……トレーナーの仕事だろ?」

そう言うとマスターは、再びサンダーを見据えて、走り出す。
無謀にも走り出したその背中を、私は見送ることしか出来なかった。
サンダーとマスターの距離が近くなる。徐々に、確実に。
そして――――ぶつかった。
マスターは上空へと吹き飛ばされる。

「マスター……!」

知らず知らずのうちに私は右腕を上げていた。それに私は気づく。
そして、さっきまで動かなかった全身が、スイッチが入ったように動く。
立ち上がる。冷たかった体が、芯まで温まったような。
そして、サンダーから喰らった痛みのせいで眠ってしまったいろんな思いが、再び体を駆け巡る。
怒りや憎しみ――――それは強い何かへと変わって、今まで締め付けられて苦しかった胸が解放される。
なんだか体が軽い。

駆け出す。
さっきよりも速く。
サンダーに向かって。右拳に込められるほどの冷気をつめて。

「……?ほう、立ち上がったか。マスターの無様な姿を見て激昂したか?」

サンダーの声など聞こえない。
今の私を支えているのは、さまざまな思い出。
お父さんとの思い出、
マルマインさんに何度もイタズラをして怒られた思い出、
そして――――今までは思い出せなかったお母さんとの思い出が。いっぱい、昨日のことみたいに思い出される。

皆がが私の傍にいる。

「我の攻撃を受けて尚立ち上がろうとするのはたいした根性だと褒めておこう。将来が楽しみだ。ここで死なすのはもったいない、だが――――」

サンダーは翼を広げて宙へ舞った。

「そんな萌えもんたちの希望を絶つのも、また一興」

そして、私の元へと急降下する。今までよりも、もっと、ずっと速く。
でも、私にはサンダーの動きがさっきよりも遅く見えた。さっきは目で動きを追うことが出来なかったけど。

「負けられないんだ……」

サンダーの攻撃をかわすことは全く考えなかった。

「お父さんや、マルマインさん、無人発電所のみんな、それに、マスターたち」

真正面から突っ込む。別に作戦とかは必要はない。

「それと――――みんなのごはんのためにっ!」

私が前へと突き出した拳は、今度はしっかりとサンダーをとらえる。
一気に冷気をサンダーに向けて放つ。

「な……に……!?」

サンダーの右の翼が、氷に包まれる、反対に、左の翼からも。

「バカな……こんなことが……」

やがて氷はサンダーの全身を包む。

「く……これは……強き思いが成せる業……か。なるほど、お前も……」

そう最後に言葉を残して、サンダーは綺麗に氷の中に閉じ込められた。
――――終わった。ようやく。

「……マスター!」

私はすぐにマスターの所へ向う。すでにマスターのところにはボールから出たイワークとガラガラがいた。

「マスター、マスター!」

何度も大声でマスターを呼んだ。でもマスターは目を開かない。
まさか、死んで――――

「大丈夫、エレブー。ちょっと気絶してるみたい」

「まったく……馬鹿なのか命知らずなのか」

「は……はは……」

全身の力が抜けていって、私はその場に座り込んだ。マスターは無事なようだ、良かった……
でも、その安心も長くは続かなかった。

……バチッ。

後から、音がした。不思議に思って振り返る。音は氷漬けにされたサンダーから出ているようだ。

「……え?」

私はまさかと目を疑った。氷から電気が出されている。それはどんどん強くなって、そして――――氷が砕けた。

「我を凍らせたのは見事だが……この程度の冷気、喰らったところで脱出することなど容易」

氷づけにされたのに、サンダーはまだ余裕そうな表情をしている。

「ち……ずっと氷の中で寝てれば良かったのに」

相当サンダーのことを嫌いなのか、また舌打ちを鳴らすガラガラ。

「本来ならば、ここで二度と動けないようにしておきたがったが……お前たちに興味が湧いた。
お前たちは必ず誰よりも強くなる。セキエイにいる四天王よりもな。
そのときは……」

サンダーは体全体に赤いもやのようなものを放出させた。もやというかオーラみたいだ。

「全力で……相手をしよう。情け無用でな」

そして全身から光を出しながら……天井を突き破って、上空へと消えた。
大きなコンクリートの塊が落下してきて、そこから白と水色の世界が顔を覗く。

「わあ……」

とても綺麗だ。そうだ、あれは空、って言うんだった。
前にお父さんが、むじんはつでんしょの外には、空が真上にあってとても綺麗だって。
お父さんの言ったとおり、空は本当に綺麗だった。

「う……」

マスターのうめきごえがしたから、慌ててマスターのほうを振り返ると、
さっきまで目を閉じていたマスターが目をさましていた。

「マスター……大丈夫ですか?」

「もう、いちいち心配かけないでよね。ひ弱なくせして」

「……はは、悪い悪い。で、サンダーは……どうなった?」

「逃げられた」

「そうか……まあ、無事でいられただけ良しとするか。
それに、早くリザードンの手当てをしないとな……いてて」

腰を擦るマスター。そして、私のほうを見て笑った。

「何はともあれ……エレブー……お前のお陰だよ。ありがとう」

私もマスターに笑い返す。
空から差し込んでる光が、私たちを暖かく照らしている。

ようやく、このむじんはつでんしょに、平和が訪れた。







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バトルです。
皆さんのSSを参考にさせてもらって、感じはつかめていたけど、
文章にして書いてみると、詰まったり、表現に困ったり、gdgdっぽくなったり。
今の自分の実力ではこれが一杯一杯っす。
バトルの構想は考えていたけど……やっぱ構想を(ry
次で最後にしたいと考えています。

長文でしたが、目を通してくれて、ありがとうございました。
ツールボックス

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