5スレ>>117

萌えっ娘もんすたぁ

第三話「迷子の森・トキワシティ」

今までで俺は多人数で行動をしたことがない。
頑張って多くても2~3人ほどの小規模な人数だった。
しかし、今の現状を考えるとそうも言ってられない。

俺の両手にはゼニガメとピカチュウの手が握られている。
どうもこの二人は頭を撫でられるうえに手を繋ぐことが好きらしい。

「ふふ・・・」
「♪~」

二人ともとても幸せそうな顔をしている。
まあ、二人がそうしていたいというなら
俺はそれでも構わないけどね

また、頭上ではポッポが警戒をしている。
俺に被害を出すものは容赦なくでんこうせっかをすると
張り切っているのだ。
人には危害は加えないようにと忠告はしておいたけど
果たして大丈夫だろうか・・・?

その後ろからくっついて歩いてくるのが
ヒトカゲ・フシギダネ・コラッタの三人。

ヒトカゲは相変わらず素直じゃなく、色々やりにくい。
でもカワイイところもあるので、許しておこう。
フシギダネはフシギダネで臆病な性格なため
ちょっと刺激があるとすぐに涙目になってしまう。
これはこれでやりにくいので、会話をする時は
慎重に進めたいところ・・・
コラッタはその二人のサポート役と言ったところだろうか。
二人が何かあると自分の考えで対処をしてくれる
気が利く娘である。

で、現在俺らはトキワの森というところに来ている。
昼間だと言うのに、かなり暗く
奥に進めば進むほど何も見えなくなるという
迷いの森だ。

「視界が悪くなってきたな・・・みんないるか?」

ちょっと辺りが暗くなる頃、俺はみんながいるかどうかを確認した。
現状、ピカチュウ・ゼニガメは手を握っているので
問題はないけど・・・

「いるわよ」
「は・・・・はぃ」
「ちゃんといまーす」

後ろの三人はどうやらちゃんとくっついて来てるらしい。
上を見上げればポッポもちゃんといる。
どうやら、問題ないらしいな。

「さて・・・ここから迷いの森に入る。
正直みんなを連れてここを抜けるのは厳しい
だから、悪いんだけどみんなボールに入ってくれないか?」

「冗談じゃないわよ!あんな狭い所に閉じ込める気?」
最初に火を噴いたのはヒトカゲ。
俺ら人間にはよくわからないが
ボールの中はとても狭く、暗いらしい。
それなりに休憩する分には問題ないが、長時間いるのは
正直無理だとみんながいう。

「大丈夫だよマスター。みんなちゃんとくっついてくるから!」
「そうです!」
「う・・・・うん」

あのフシギダネですらボールに入るのは嫌らしい・・・
そんなにキツイのかあのボールの中って・・・
しかし、こんな暗い場所でみんなを連れて行くのは・・・・

「わ・・・私は大丈夫ですマスター」

しかし、その中で俺の意見に賛成してくれる娘がいた。
そう、ゼニガメである。

「いいのか・・・?」
「だって、マスター困ってるみたいだし・・・
ちょっと怖いけど、ちゃんと出してくれれば大丈夫です」

不安が混じったような笑顔を作るゼニガメ。
何でこんなにいい娘なんだよ・・・
マジ泣きそうです・・・

「わかった、ごめんよ。しばらく我慢してくれ」
「はい」

静かにボールの中に吸収されるゼニガメ。
この光景を見て残りのメンバーも一瞬で大人しくなった。

「・・・ゼニガメちゃんが行くなら・・・わたしも・・」
次に行動をしたのがフシギダネ。
自分のボールの前に立つと、静かに吸い込まれていった。

「フシギダネちゃん勇気あるなぁ・・・よしぼくも!」
「わ・・・私も!」
「マスター、後でちゃんと出してくださいね?」

次々とみんなが吸収されていく。
どうやら想いはゼニガメを通して通じてくれたらしい。

「・・・・・・・」
一人抜かして。

「ヒトカゲ、君はどうするの?」
「わ・・・私は・・・・」

なかなか行動に進めないらしい。
・・・仕方ないな

「ヒトカゲ、君は俺の傍にいてくれないか?」
「え?」
「ちょっと話がしたいし、この先暗いから君の火で灯してくれるとありがたい」

咄嗟に考えた理由。
でも、言った後に自分でも上手いことを言ったなと考えたりする。

「し・・・仕方ないわね。わかったわ」
その言葉に賛成してくれた。


森の中はとても暗かった。
まだ時間は真昼間だと言うのに、もう辺りが完全に真っ暗。
何故ここまで暗くなったのかはよくわからないが
俺はヒトカゲの火の明かりのおかげで
少しずつ前へと進んでいった。

「野宿する前に終わらせたいね」
「当たり前よ!こんな場所で野宿なんてイヤ!」

ちょっとした会話でも
何かキツイ口調で返される。
なんともキツイ娘なんでしょ・・・・

そこらで拾った棒を前に出し
障害物があるかを確認する。
本当に、それぐらい見えないんだって・・・

しばらく歩いたが
どこを行っても同じ場所のような木があるだけ。
正直、ヒトカゲの火がなかったら
完全に迷子になってたな・・・

「迷ったわね・・・」
「だな・・・スマン」
「私に謝っても出口が出るわけじゃないわ。
とりあえず少し休みましょう」

丁度よく、丸太があったので
その上で休むことにした。
そこらの草をかき集めて
ヒトカゲの炎で焚き火を起こす。

炎が辺りを明るくしていく。
時間はまだ午後3時くらいだというのに
なんなんだろうか・・・

「ありがとヒトカゲ」
「いいわよ・・それぐらい・・・」

ちょっとそっぽを向くヒトカゲ。
あんまりお礼を言われる事に慣れてないと見えた。
丁度いい機会だ、ヒトカゲと話をしてみよう。

「なあヒトカゲ」
「ねえアナタ・・・」

「「あ・・・」」

何かどこにでもありそうな展開が現れた。
その後、そっちからどうぞ。
いいえそっちのほうからとか言う展開だろうな・・・

「あ・・・アナタの方から・・・」

まあ、俺空気読めないんで・・・
遠慮なく会話をするとしよう。

「わかった。なあヒトカゲ、野生の時ってどんな生活してた?」
「野生の頃?」

そう。気になったのはヒトカゲが捕まる前の生活。
いきなりコラッタにごっちんこされ
その後ろから俺が捕獲をしてしまった。
おかげで生活習慣が狂ったと騒いでいたのだが
それ以前はどういう生活をしていたのかが
よくわからない・・・

「そうね・・・」
するとポツポツと回想し始めた。

野生の頃のヒトカゲは誰にもモテるぐらいの
エリート級クラスの容姿を持っていたらしい(人間からはよくわからないらしい)
食べる分も♂の娘(息子?)が持ってきて
食生活も問題なし。巣もそれなりなモノだったらしい
ある日散歩をしていると、コラッタにごっちんこされ
俺に捕獲され、今の状態になっているらしい。

確かにヒトカゲの容姿なら他のオスの連中も
狙っているのは間違いないだろうな。
ただ、その会話をしているヒトカゲの姿は
とても輝いていた。それだけは言える。

「なるほどね・・・そりゃ悪いことしたな」
「そう思うなら、もう少ししっかりしてよね」
「努力するよ・・・で、ヒトカゲは何が聞きたいの?」
「あ・・・」

そう、俺が聞くのもいいのだが
ヒトカゲが俺に聞きたかったこと。
それは一体なんなのだろうか・・・

「そ・・・そうね・・・
私も聞いておきたかったことがいくつかあるのよ」
「そうか。わかった、ちょっと待ってるからゆっくりでいいよ」

後ろに向き必死に何かを考える仕草をするヒトカゲ。
俺に聞きたいこと・・果たして何だろうか・・・?

数分後、よしっと小さい声を漏らしこっちを向く。
なるべく優しい顔をしているつもりで待っているのだが
ヒトカゲから見ればどういう風に見えるだろうか・・・?

「ごめんなさい、待たせたわね」
「いいさ、大丈夫だよ。で、何が聞きたいの?」
「あの・・・アナタは何故トレーナーになったの?」

何故トレーナーになったか・・・
俺も何故なったかはわからない。
元々萌えもんトレーナーの免許は会得していたから
すぐさまゼニガメはゲットできた。
ただたに身分証明が出来るモノを作りたかったからか・・・?

今までひきこもりをしていた以上何ともいえないが・・
でもそれを聞いてヒトカゲは何と答えるだろう・・・・
きっと、絶望を感じるに違いない。
今後のためを思うとそれはマズイ・・・

「・・・仲間が欲しかったからかな」

咄嗟に出た言葉がコレだった。
実際、俺に仲間と呼べるのがいなかったのは間違いない。
シゲル一人が限界だっただろう。

「仲間ね・・・アナタ、一人だったの?」
「そういうことだね」
「そういう風に見えないけど・・・色々あるのね人間にも」

ヒトカゲは俺が前まで
究極のひきこもりだった事を知らないらしい。
ゼニガメにもあんま知られていない事だし・・・・

「そう・・・」
何か信じられない顔をしているヒトカゲ。
彼女から見て、俺は一体どういう風に見えるのだろうか・・・

「なら、もう一つ・・・私達の事、どうおもってる?」

やけにヒトカゲが意識をして聞いてきたもう一つの質問。
私達の事・・・つまり今のメンバーの事だろう。
その彼女達をどう思うか・・・想うか・・・?
俺から見ればゼニガメやフシギダネ
残りのメンバーは大切な仲間と考えている。
日は浅いが、少しずつ親しくなっているのは間違いない。

「・・・・・・・・」
だがヒトカゲのあの目線・・・
何か違う気がする・・・根本的に何かが・・・





「!?」
突然俺の背後から急激な痛みが・・・
何か・・・鋭いモノで刺されたような痛みが・・・

「え!?どうしたの・・・!」
「くっ・・・俺の背中に・・・何かが・・・・・・」

俺自身では何も見えない・・・
とりあえず痛みは堪えられるが、何か俺の中を走り回ってるみたいだ・・

「これは・・・毒針!?」
どうやら俺の背中に刺さったのは毒針らしい。
参ったな・・・やんちゃなビードルが狙い定めたっていうのか・・・?
すぐにヒトカゲが抜いてくれたが、既に毒は体内に進入している。

「やれやれ・・・まだ第3話だと言うのに・・・」
「何訳の判らない事言ってるのよ!しっかりして!」
「スマン・・・」

俺の意識は闇に消えた・・・


【ヒトカゲ目線】
いきなりの流れで私はパニック状態になっていた。
マスターであるこの人がいきなり毒針が刺さり意識不明の重体になっている。
本当は私が刺さるハズだったのに、位置関係上私の代わりに刺さってしまったのだ
何という不運・・・

「し・・・死なないでよ!」

意識のない私のマスターに一言残し
私は暗い森の中を走っていった。

私が野生だった頃に聞いた事がある。
この森のどこかに毒を除去する事が
出来る木の実が存在すると言われている。
本当は私達、萌えもん達のモノだけど
人間にも効力があると聞いた事がある。

詳しい場所はわからないけど
とりあえず今は探すしかない。

自分の火を頼りに草むらをかき分けながら木の実を探した。
途中虫っ娘とかが挑んできたけど、自慢の炎で追っ払った。
私に挑むとか10LV早いのよ。

かれこれ何時間探しただろうか・・・
いや・・・まだ1時間も経ってない気がする・・・
わからないけど、私が探している木の実は一つも見つからなかった。

時間が経つにつれ、マスターの容態が気になってくる。
心が押しつぶされるような不安・・・
それを押しのけ私は必死に探した。


「そこで何をしている・・・」
プレッシャーが濃いような声が私の頭上から聞こえた。
上を見上げると暗い木々の中に揺れる一つの影・・・

「アナタは・・・スピアー?」
「いかにも・・・」

虫の中では上級クラスと呼ばれているうちの一人スピアー。
それが何故私の前に・・・?

「私は今毒を消す木の実を探しているの!」
「毒を消す木の実・・・モモンの実の事か・・・」
「知ってるの!?」
「知ってるも何も・・・私の巣で捕獲してある」

私の中で少しの希望が見えた。
毒を消す木の実、モモンの実を知っている人がいた!

「じゃあ、私に一つ・・・」
「無理だな・・・」

しかし、すぐに私の希望はかき消されてしまった。

「ど・・どうして・・・!」
「こちらもタダで渡すわけにはいかないのでな」
「そんな・・・・」

こうしている間にもあの人は毒で苦しんでいる・・・
何としてもここはモモンの実を・・・!

「お願い!一つでいいの!」
「・・・・・・・・」

しかしスピアーは表情を崩さない。
絶対に渡さないと言う空気を作っていた。

「・・・・お願い・・・・」
気がつけば私は涙を流していた。
何故ここまであの人の事を助けたいと思ったのだろうか・・・

捕まった直前での最初の出来事は今も恨んでいる。
いきなり散歩中だったところでいきなりたいあたりされ
私の言い分を無視した状態で捕獲されてしまった。

でも、捕まってからの生活もそれなりに悪くなかった。
最初はあんまり好きじゃなかったけど
ちゃんとご飯は用意してくれたし
何かに成功すれば、ちゃんと褒めてくれた。
それが少なからず、私は嬉しかった。
もっと私の事を見てほしい・・・
私だけを見てほしい・・・


「・・・では私と一つ手合わせ願う」
「え・・・今なんて?」

聞いた言葉が信じられず再度聞いてしまった。
手合わせ願う・・・戦うっていうこと?

「私に見事勝利したらモモンの実を一つ渡そう。
敗北したらこの話はなかったことにする」

対戦・・・
そこらにいる野生の娘相手には火の粉を振りまけば
逃げていくぐらいで済んだけど
今回ばかりはそうも言ってられない・・・

「わかったわ。受けて経ちましょう!」

負けられない・・・
絶対に・・・!











身体の毒が酷い・・・
さっきのスピアー戦での毒で意識が切れ掛かっている。
手にはモモンの実
私の必死の抵抗のおかげでゲットできた

焚き火の火はもう消えていた。
その横では体制を変えず静かに眠るマスターの姿。
ったく・・・何故こんなことになっちゃったんだろう・・・・

「まったく・・・・感謝しなさいよ・・・」
モモンの実をマスターの口に放り込む。
ちゃんと飲み込んでくれた・・・
よかっ・・・・・た・・・・



その後、私の意識は闇に消えた・・・

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最終更新:2008年02月03日 23:21
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