5スレ>>121


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「やぁ、よく来てくれたねブラック君」
「ウツギ博士がかわいい女の子紹介してくれると聞いて(ry」
「まぁそう慌てずに。この世界には萌えもんという……が………で」


楽しげに会話をしている二人を、俺は研究所の2階から眺める。
……全く、くだらない。俺はどうしてあんなヤツに付き合わされなきゃいけないんだ。



「じゃあ、このチコリータにします!」
ブラックはチコリータを連れて意気揚々と研究所を出て行った。



「……さて、待たせてすまなかったねキョウガ君」
このあと俺が研究所を襲って、ヒノアラシを強奪していく話になっているらしい。
俺は二階の手擦りを飛び越え、1階に飛び降りる。

「ウツギ博士、俺はアイツのライバル役を演じるつもりなんてさらさら無いんです」
「じゃあ何故だい?今日私の研究所にわざわざ来てくれたのは」
──ウツギ博士は俺のことを何だと思っているのだろうか。
「競う相手がいなければ、ストーリーは盛り上がらない。そうだろう?」
「……」
「君はいい萌えもんトレーナーになれる。私の目に狂いは無いはずだ」
────俺は無言で研究室を飛び出した。
ウツギ博士はどうして俺を、アイツのライバル役として選んだのか。
どうして、俺は──主人公に選ばれなかったのか──────





ピリリッピリリッ
『ピッ──もしもしウツギ博士?ライバル登場の連絡はまだ?』
『あぁ、すまないブラック君。どうやらこちらではライバルは現れなさそうなんだ。
 ──そうだ、先にカントー地方を旅してきてはどうかね?あちらでは
 オーキド博士が2人のトレーナーを旅立たせたそうだ。きっといい競争相手になるよ』




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ブラックが旅立ってから、しばらく日が経った頃。
俺はウツギ博士に、いっしょタマムシのカジノへ遊びに行かないかと誘われた。
コインをおごってくれるという言葉に釣られ、俺はホイホイとついていった。

──初めて見る都会の風景。田舎育ちの俺は圧倒された。
「あれがタマムシデパートさ。いろんな萌えもんグッズを売っていてね。
 あっちがマンションで、こっちがカジノだよ。ほら、見惚れてないでいこう」
圧倒されっぱなしの俺の手をウツギ博士が妙に強くひっぱる。



カジノに到着すると、ウツギ博士は奥に進み、何やら偉そうな服装の人と話をしはじめた。
ウツギ博士は笑顔でお辞儀をして、相手の耳元で何かをささやく。
相手の目が一瞬こちらを確認したような気がしたが──
二人が数回会話をしたあと、従業員らしき人からコインケースいっぱいのコインが博士に渡される。

そんな様子を入り口で棒立ちして見ていた俺に、ウツギ博士が歩み寄る。
「それじゃキョウガ君、私は少し話をしてくるからね。
 あとでまた連絡するから、しばらくこのコインで楽しむといいよ」
博士はそういってコインケースを俺に手渡し、店の奥へと消えていった。




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俺は持ち前の運を遺憾なく発揮し、コインの山をものの30分で消滅させる。
博士からの連絡もまだない。俺は軽く舌打ちをして、店を出る。
俺は昔の事を思い出しながらふらふらと歩いていた。
萌えもんだって、きっと俺を残して去っていく──もう置いていかれるのはゴメンなんだ

ふと気がつくと、ずいぶん歩いてしまっていた。街を出て、俺は草むらの中に立っている。
……ッしまった、草むらでは野生の萌えもんが出るから注意しろと博士にいわれ──




その時だった。俺の目の前に彼女が飛び出してきて──俺の理性は吹き飛んだ。
無我夢中でガーディに飛びつく俺。突然の事にガーディも激しく抵抗する。
「ひゃぁ!?何よこの人間!離れなさいよヘンタイッ!!」
ガーディの ほえる!▼
「ふかふかもふもふふかもふふかもふもふもふか(ry」
キョウガには ぜんぜんきいてない!▼

「離れなさいって言ってるでしょ!!」
ガーディの ひのこ!▼
「うあっちいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
キョウガは にげだした!▼



俺はその場から飛びのき、地面を転げまわって服の炎を消火する。
ハァ──ハァ──……炎に焼かれた俺はわずかに理性を取り戻す。
そうだ、たしか──萌えもんを捕まえるには道具が必要だと、そう博士は言っていた!
立ち上がるや否や、俺はマッハでタマムシデパートに向かう。


「いらっしゃいま「すみません!今すぐください!」」
突然のDQN出現に店員さんの眉が一瞬ピクリと動くが、すぐに営業スマイルに戻る。
「どのような品をお求めでしょうか?」
ここで俺はまともに答えられるだけの理性を保っていなかった。
「炎のコなんです!わんわんがうがうふかふかもふもふなんです!!」
しかし何とも頭の回転が良い店員である。何のことか把握したらしく、
「こちらでございますね。2100円になります」
俺は3000円を叩きつけると、店員の手からブツを奪い取りデパートを飛び出した。


3秒でさっきの草むらに向かう。そこには彼女の姿があった。
「お前が欲しいいいいいい!!!!」
危ないセリフを叫びつつ、例のブツを投げつける俺。
それは不意を突かれた彼女に直撃し、まばゆい光が辺りを包んだかと思うと──
一回り大きくなって、もふもふ度120%増(当社比)になった彼女が呆然とした顔で座り込んでいる。


当然、俺はこれでゲットできたと思い込んでいるわけである。勢いよく飛び付いて抱きつく。
「もふもふ捕ったどー!!!!もふもふもふもふ」
「!!何度も何度もこの人間はッ────」
ウインディの かみつく!▼
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
頭に噛み付いたウインディをそのまま引き連れ、タマムシデパートにダッシュする俺。


「いらっしゃいま「すみません!でっかくなっちゃった!」」
ウインディを被って頭から血を流しているDQNの再来に、店員さんの顔が引きつる。
が、すぐに営業スマイル。
「どのような品をお求めでしょうか?」
「さっき買ったあれじゃゲットできなかったんです!もう一個ください!」
店員はすぐに状況を把握した。さすが一流のタマムシデパート店員である。
「それではこちらでございますね。1200円になります」
俺は反射的に3000円を叩きつけると、ボールを奪いとり頭の上に投げつける。


彼女はボールに吸い込まれ、ボールは2、3度揺れた後、動きを止める。
「もふもふゲッt──────」
俺は2、3度ふらふらした後、その場に倒れて動きを止めた。




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目が覚めると、俺はマンションの一室でソファーに寝かされていた。
そこに居たのは何処かで見た顔だが──営業スマイルではない人がタバコをふかしていた。
「まったく……あんまウチのデパートで問題起こさないでくれる?」
どうやら変な噂で評判が落ちるのを懸念して揉み消したらしい。

「こんなことは二度とゴメンだからね」
不機嫌そうにタバコを灰皿ににじりつけ、新しいタバコを口にくわえる。
「あなた、萌えもんゲットはその子が初めてなの?」
「あ、はい。いろいろあっt「リザード、火」」
彼女の座っていたイスからしっぽが現れ、タバコに火をつける。
「そう……ま、初めての事に失敗は付き物よ。これからは気をつけなさい」
なんだか許してもらえたみたいだが、俺はそんなことよりイスにされているコが気になって仕方がない。



「それで、あなたこの辺の子じゃ無いわよね?服装がダサいから分かるわ
 保護者の人とは連絡取れるの?」
前半は聞き流し、携帯を確認するとウツギ博士からの着信が大量に残っていた。
「はい、大丈夫です。いろいろご迷惑掛けてすみませんでした」

俺は一礼し、スマイルではない人の部屋を後にした。
「あなた達は苦労する事になるわ……でも、大事にしてあげなさい」
閉まった扉の向こうから、声が聞こえた気がした。






俺はもう決心が付いた。もう昔のことなんてすっかり忘れてしまっていた。
今の俺にはアイツが居る、それだけで十分────これから楽しくなりそうだ。



『[メッセージをどうぞ ピーッ]
 博士、今日は突然いなくなってすみません。私的に重大な事件がありまして……
 それで俺、今日から萌えもんトレーナーになります。旅をして図鑑を集めます。
 あいつのライバルとしてじゃなくて、自分自身として。
 ワガママ言ってすみません。でも、博士には本当に感謝してます。それでは、また』


ウツギ博士の携帯に留守電を入れ、俺はタマムシから旅を始めた。
-fin-
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