5スレ>>135


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「…は?メイド服?」

どうもこんにちわ、エアームド(♂・3年生)です。
何やら呼び出しを受けて今は学園内の校舎の一つ、その屋上にいる訳なんだけど。

「そう!ボク達三人で買いに行きたいの!」「わ、わたくしは反対したのです!…けど」「…うぅぅ…」
「…意見が一致してないみたいだけど、まぁいいや。…お店ならいくつか町中にあるよ。
 まともなのからそうじゃないのまで」

持ってきていたファイルから地図を取り出す。…ふむ、資料は家のPCにひと通りあるな。

「ん、よし。後で君たちの方に情報をまとめたメールを送るよ。それでいい?」
「うん、よろしくね!」「報酬の方は後でお渡ししますわ!」「お、おねがい、します…」

…草の三つ子、元気なワタッコ・高飛車なポポッコ・大人しいハネッコ。
彼女たちは性格面では正反対だけれど、一つ共通している事がある。

「参考までに聞くけど、それは君たちが着るの?…それとも、オドシシ君に着せるわけ?」
「「「両方!」」」
「…さいですか」

三人そろって同じ相手を好きになっているわけだ。


1年生蹴撃部(足技の格闘技を専門とする部)の新入部員、オドシシ君。
男の子なのに女の子みたいな…あれ、この学園このテの人多すぎない?2年のプクリンや3年のクレセリアや…
まぁともかく、超絶天然で女子からの人気が高い男の子だ。

「ふぅん…ありがと。それじゃあ、後でメール送るから」

3人に告げて、屋上を後にする。

…しかし、メイド服か。

(…シャワーズに…って、待て待て、落ち着け僕!)



      *  *  *



階段を下りていくと、踊り場で女子生徒とすれ違った。
…いや、女子じゃないや。

「や、クレセリア」
「………ん」

相変わらず男には無愛想らしい。

3年生、クレセリア。見た目はどう見ても女子生徒、声も服装も完全な女の子…でも男。
キレると魔王・天然・超フェミニスト・可愛いもの好き・男には無愛想。…僕も若干嫌われてるっぽい。

「そういえば君もメイド服、好きだっけね」
「…何の話だよ」
「いや、気にしないで。こっちの話。ただついでに君の所のメイドさんの事を思い出して――っと!」

殺気を感じて飛びのけば、クレセリアの腕にはサイコカッター。…ホント、怖い奴。
僕も鋼の翼を展開する。…正直バトルでは勝てないが、無抵抗主義なんてもっちゃいない。

「………」
「大丈夫だよ、誰にも言わない。別に言うメリットもないしね。君なら分かるでしょう?」
「…信用しとく」
「それはどうも」

お互いに武器を収めて、歩き始める。彼は上に、僕は下へ。
途中で思い返して、上へ声をかけた。

「クレセリア…もうじきあの日でしょ?隠れる場所がいるなら先に言ってね!
 当日言われてもろくなところ提供できないからさ」

―― 返事は、ない。まぁ、彼の事だから聞き逃すなんて事はまずないだろ。

「さてと、どうするかな、と…」





      *  *  *


「…なんて事があってね」
「クレセリアさんって、そんな喋り方されるんですか?見たことないのだけど」
「彼、女の子の前ではキャラ変わるからね…それをどうこう言うつもりもないけど、さ」

放課後。僕とシャワーズは二人で家路を歩いていた。その帰り道に、今日の出来事を話していた訳だ。
(もちろん、クレセリアの秘密や依頼の詳細に関しては伏せてある。守秘義務ってやつだね)

「誰だって、多少はそう言う願望もあるものだよ」
「…そうかもしれませんね。…ところでエアームド」
「なに?」

「…ペルシアンが、その…メイド服とか、いろいろと集めてためこんでるって噂を聞くのですけど…」
「ああ、聞くね。…プライバシーにかかわる所を省いていいなら、教えようか?」
「…いえ、そう言う事じゃなくて、ただ、悪い予感が…」
「…予感?」

まさか、翌日その予感が当たることとなろうとは。

全く、僕は予想していなかった。




      *  *  *


「…予想外だ、いろいろと」
「あら、エアームド君、いらっしゃい。わざわざありがと♪」
「い、いえ…あの、ピジョット先生」
「何かしら?」
「これは…どういう事ですか…?」

翌日、生徒会の手伝いに来てみると。


…生徒会役員、全員がメイド服を着ていました。
いや、生徒会役員だけではなく。

「なんでハクリューまで?」
「…お手伝いに来たら、なぜか…あの、変じゃないですか?」
「いや、全然大丈夫だけど、そう言う問題じゃないよね?」

手伝いに来ていたらしい剣道部部長のハクリューまでメイド服。…凄い似合うけどね。
…って、ちょっと待て。その奥にいるのは…

「ランターン、君まで!?」
「エ、エアームド…」
「ああ、泣かないなかない。会長さんの前で泣くのはカッコ悪いよ?…って!?」
「…なんだよ」

背の高いメイドがいると思ったら、料理部部長ランターンでした。
その横には、我らが生徒会長サンダーさん。メイド服の状態で足を組んで作業をしているのは、
不機嫌そうな顔もプラスして何だかミスマッチだ。…でもなんかギャップがいいかもね。

「ハクー、迎えに来たよー…って、えぇぇっ!?」
「サ、サンダース…え、えっと、こ、こ、これは…」
「…グハッ」

2年生のサンダース。彼とハクリューは幼馴染で、ほぼ毎日一緒のベッドで眠っているらしい。
…幼馴染ってレベルじゃないよね。の割には、ハクリューのメイド服見て倒れたし。刺激が強かった?

「サンダース、しっかりして!」
「…ハクリュー、それ君が原因だから。…けど、ふつうのメイド服なのにね…っと、ティッシュある?」
「はいこれ」
「ありがと…元凶はやっぱり君だよね、ペルシアン」

で、背後からティッシュ箱を差し出してきたのは、生徒会会計・3年生ペルシアン。
この生徒会第一のムードメーカーだろう。会長をはじめとする面々のまとめ役でもあると思う。

「大当たり。御褒美はなんにも出ないわよー?」
「うん、別にいい。…とりあえず、サンダースの鼻血止めなきゃ」

ティッシュを――いや、細かい描写は控えようか。とりあえず軽く止血をして適当に壁側によせて上を向かせる。

「うぅ、ハク、ハクのメイド服…」
「…駄目だコリャ」

案外ウブ…いや、ある意味…当然なのか。ハクリューのメイド服の破壊力は凄まじい。
うーん…あ、あれ?誰か足りなくないか?

「エアームド、貴方の本命さんも到着ですよ♪」
「へ?」

ピジョット先生の声に振り返ると…

「……っ!」
「エ、エアームド…」

顔を真っ赤にしたシャワーズが隣の準備室から出てきたところだった。…もちろん、メイド服。

「…お前はポテトか、ってやつ?」
「エアームド、そこはトマトだろ常識的に考えて」

うむ、会長さんナイスツッコミ。
フラフラとこちらへ歩いてくる。…なんか目が涙で潤んでるんですが。

「う、うぅぅぅ…」
「あー、よしよし。落ち着いて、ね?」

とりあえず寄ってきていきなり人の胸に顔をうずめてふるふる震えている。あ、耳のヒレまで真っ赤だ。

「…可愛いなぁ…(ボソ」
「っ!!………うぅぅぅぅぅぅぅ」

人の服を掴んで震えっぱなしの彼女はひとまず置いて、ペルシアンに聞いてみた。

「で、なんでこう言う事になってるわけ?」
「えっとね、私がメイド服集めてる事はあなたなら知ってるでしょ?それで、今日の昼間…」


『うーん、だいぶ集まってきたわね…』
『ペルシアン、ちょっといいかしら?…あら?』
『ピジョット先生!?え、えっと、これは、その…』

『あらあら、別にいいのよ?…でも、これだけ数があれば全員着せられそうね…』
『あ、あの、先生?全員って…』
『もちろん生徒会のみんなよ?…嫌なら嫌でもいいけれど、その代りこの写真を…』
『わ、わーっ!それはだめぇぇーっ!!』
『決まりね♪放課後みんなが来たら私からみんなに伝えておくわ♪』

『…まぁ…いいかな、面白そう♪』


「…というわけなのよ」
「なるほど、理解した。写真については聞かないでおくよ、僕も同じ立場だし」
「そうしてね。…どう、似合うかしら?」
「うん、違和感がないね…しかし今更だけど…ここの生徒会って美少女しかいないよなー…」

…「レジスタンズ」が出来るのもどことなく理解できる。…シャワーズもいるから、手は出させないけど。
ペルシアンもノリノリだなぁ…しかし、みんなメイド服でもそれなりに真面目に仕事はしている。
…その辺は生徒会の鏡だね。

「…ピジョット先生?」
「何ですか、エアームド♪」

…聞くべきだろうか、やっぱり。

「先生は、着ないんですか?…メイド服」
「…私ですか?」
「…似合うとは思うんですけど」
「だってお祭りは、遠目に眺めてるから面白いんですよ?
 一緒になって騒いでたら、もったいないじゃないですか♪」

「…そう言うもの、ですかね」
「そういうものですよ♪」

満面の笑みで、当然のように言葉を返してくるピジョット先生。(僕を除いて、唯一の非メイド服)
けれど、訊ねた時一瞬だけ、先生がきょとんとした顔をしたのを見逃す僕じゃない。

(…後でペルシアンに一つ渡してあげるようにお願いしておくか)

さっきから震えっぱなしのシャワーズに視線を戻す。今日の生徒会は3名。
サンダー・ペルシアン・シャワーズ。お手伝いにハクリューとランターンに僕。


「シャワーズ、大丈夫?」
「う、うぅぅぅぅぅぅぅーっ…」

ああ、駄目だこれは。さっきから僕にしがみついてるせいで、皆の視線も集めっぱなしだし。
ハクリュー、会長、うらやましそうな顔しないで。2人とも相手がすぐ横にいるんだからやればいいじゃん。
あとピジョット先生とペルシアン。…満面の笑みでこっちを見ないで。てか先生、そのカメラはなんですか。

「…えぇい、埒が明かない!先生、そこの準備室貸して下さい。とりあえず一度人目のつかない所へ置いてきます」
「あら、ずいぶん冷たいのね。一緒にいてあげないの?」
「僕は手伝いにきたんですし、そもそもシャワーズも僕がいたら落ち着けないので…
 ……先生、一緒にいて落ち着かせてきます。だからその写真はしまってください、お願いですから」

「しょうがないわねぇ。時間はあるから、ゆっくりしてきていいのよ?」
「…はぁ」

ピジョット先生から鍵を受け取って、メイド服をきたままのシャワーズを引っ張って準備室へ連れ込む。
…まさかあの写真を携行しているとは思わなかった…迂闊すぎるぞ、僕。




      *  *  *



「落ち着いた?」
「…はい…」

準備室。椅子にシャワーズを座らせて、服から手を外させて水を飲ませ(校内で販売中・シロガネのおいしい水)、
とりあえずひと段落ついたところで話しかけてみる。顔はまだ赤いが、とりあえず話はできそうだ。

「もう戻って大丈夫?」
「…はい…」
「じゃあ、戻ろうか。みんな頑張ってるし…」
「エ、エアームド!」

扉を開けようとしたら、背後から声をかけられた。

「どうしたの?」
「あ、あの……す、か…?」
「ん?」
「に、にあって、ます、か…?」
「………」
「やっぱり、似合わないですよね…」

…なんだ、そんな事か。答えは決まっているじゃないか。

「大丈夫、似合ってるよ、すごく」
「ホント?」
「もちろん……可愛いよ、シャワーズ?」
「はぅっ…!!」

あ、また真っ赤に…って、あれ?気絶した?…うーん、流石に耳元で囁くのはやりすぎたか…。
何かないかな…あ、うちわがあった。これでいいか。
力の抜けた顔を存分に眺めながら、ゆっくりさましてやるとしよう。




      *  *  *


「…もらってしまってよかったのでしょうか…」
「いーんじゃない?元々着せるつもりだったらしいしさ」

夕暮れの帰り道。今日はシャワーズを載せて、空を飛んで家へと向かっている。
彼女の鞄の中には、ペルシアンからもらったメイド服が入っている。

「でも、こんなの家で着たりしたら…」
「んー…僕の家とかなら構わないと思うけど」
「そ、そんな…!」
「別に僕以外誰もいないしさ。時々隣の子たちがくるけど。…それに」

風を切る音の中で、すこし言葉を区切る。

「…また見たいかな、シャワーズのメイド服。可愛かったし」
「う…うぅ…」
「ダメかな?」
「…ま、まぁ…たまになら…いいですよ」

…今度から、シャワーズが家に来るときの楽しみが若干増えたな…
すこしにやつく頬を抑えながら、僕らは家路を急いでいった。






…この後、生徒会から発症、学園の生徒の半数以上がメイド服の被害にあうという
「メイドハザード」が発生する事になるのは、また別の物語である。






  



























「ああ、楽しかった♪」
「そうですねー。…あ、先生ハイコレ」
「……是は何ぞペルシアン」
「急に古典化しないでください。 先生の分のメイド服です♪」
「…………なんだか、丈が短いような…」
「それ、ちょっと怪しい店で買ったモノですから♪」
「………」




 
 おしまい。
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